「切符良し、おやつ良し……」
声に出しながら荷物を整理していく。別に遠足に行くわけではないのだが、遠出におやつは必須だろう。
「よし、行くか!」
最終確認が終わったので意気揚揚に自分の部屋を出る。これから行くところを考えるとわくわくが止まらない。ここから俺の新たなる伝説が
「どこに行こうっていうのかしら?」
……始まらなかったみたいだ。
☆
「で?あんたは母親に何も言わずにどこに行くつもりだったのかしら?」
「は、ハイカラシティです」
妙にかしこまった言い方になってしまった。こうなった母さんはいつになっても怖い。
「……へえ」
母さんの顔がさらに怖くなった。だが、ここで恐れていてはハイカラシティへの道はない。こうなったら母さんを説得するしかないだろう。
「母さん、俺このときのために小遣いためてハイカラシティ行きの切符に、ブキだって買ったんだ! だから……」
「母さんはまだ何も言ってないわよ?」
た、確かに。だが何に怒っているのだろうか。見当もつかない、そんな顔をしていたら
「はあ……、親心子知らずとはこのことね。あんたのことだから、いつか行きたいって言うと思ってたわよ」
母さんにはバレバレだったみたいだ。でもこれってもしかして……
「え、じゃあ!」
「ええ、行ってもいいわよ。でもね……」
ガタン!と母さんが机を叩く。思わず体が跳ねる。めちゃくちゃ怖い。
「あんたが黙ってここを出ていこうとしたことに怒ってるの! あんたは家出をして母さんを悲しませたいの!?」
「!!」
やっと気付いた。母さんは俺の心配をしていたのか。ハイカラシティに行くことしか考えないあまりに、母さんの気持ちを考えてなかった……。
「ごめんよ、母さん……俺、母さんに言ったらダメって言われると思って……。 心配させるようなことしてごめん……」
「……わかればいいのよ」
母さんが大きなため息交じりにそう言うと、立ち上がって奥の部屋に入っていく。何しに行ったのかと考えていると、母さんが黒い物体を持って戻ってきた。
「ほら、行くならこれを持っていきなさい」
「これは……ブキ? 見たことないなぁ」
「ええ、あなたのおじいさんが使っていたブキよ」
「おじいちゃんが!?」
おじいちゃんの使っていたブキとは驚きだ!俺のおじいちゃんはかつてあのカラストンビ部隊に属していたという。そんなおじいちゃんが使っていたんだ、すごいブキに違いない。そんな期待の目でそれを見ていると
「ああ、それ、故障してるから使えないわよ」
なんだ、期待して損した。何でそんなものを俺に渡してくるんだ。修理してから渡してくれ。
「お守りにと思ってね。それにハイカラシティになら直せる奴がいるかもしれないでしょ? こんな田舎じゃブキの修理屋もいないからね」
考えてみるとそうだ。俄然行きたくなってきたぞ!
「そういえばユウ、あんた列車の切符買ったんでしょ? 時間は大丈夫なの?」
「へ……? あ、やっば!時間無い!」
気づいたら家を出なければ間に合わない時間になっていた。慌ただしく荷物と母さんからもらったお守りを持って玄関へと向かう。
「まったくあのバカ息子は……。気を付けていきなさいよ!」
「ありがとう母さん!俺絶対イカして帰ってくるよ!」
俺は母さんにそう言い残して家を飛び出した。ここから俺の新たな伝説が始まるんだ!
☆
「ホントにあの子は慌ただしいわね……、誰に似たのかしら」
そう言って私はため息をつく。誰かさんの顔を思い浮かべると、またため息が出てしまう。
ユウが家を出てからしばらくして、あることに気づいた。
「……。 あの子住むところは確保してるのかしら」
私はそこまで呟いて、あの子がしてるわけないか、とまたため息をついた。
お話の導入ですね。ここからユウ君の冒険、苦難が始まります。原作通りだとチュートリアルから始まりますが、そんなもの書いていられないので、蛇足気味にユウ君の出発シーンから。つぎはハイカラシティに着いてからですね。ちなみにユウ君は最初から俺TUEEEEEではないのであしからず。
僕自身SSの投稿は初めてなので、あまり面白いものが作れる自信がありません。なので意見・要望・批判・感想があれば遠慮なくどうぞ。一応出す予定のキャラクターや設定は固まっているので投稿はそこまで遅くはならないと思います。リアルが忙しくなければの話ですが。