駅を出ると昼過ぎということもありお洒落な服を着ている今時の若者や夏の日射しが暑いこの時期というのにスーツを我慢してきている営業マンなど多くの人々が視界を覆っていた。
「いやーすごい人ですなー」
「まあ、調度昼飯時だし外食店が賑わうよな」
見渡すと駅周辺に飲み屋やレストランといった飲食店は都市部ということもあり数多くあるもののどこも先客で一杯だ。
「予想はしてたけどここらは混んでるし予定道理繁華街までちっと歩くか。行けるかハッピー?」
「あい。お腹すいてもう歩けない位だけどシンの奢りだし文句いいません!」
_____俺の奢り確定事項なんね…
あえてここは触れないでおこう。
「オイラ、魚が食べたい!」
「はいはい。とりあえず移動するか」
そんなやり取りをしながら美味しい魚料理の店を求めて(ハッピーのリクエスト)しばらく歩いていくと、何やら人だかりが見えてきた。よくよく見てみると若い女の子達ばかりが一人の男を中心に群がっている。
「キャーサラマンダー様ー♪」
「こっち向いて~♡」
サラマンダーなる紫髪のなんちゃってダンディー男を女たちは腕を組もうとしたり、抱擁を交わそうとしたりしている。
…ケシカラン。
「ははっ。そんなに焦らなくても僕は何処にも逃げたりしないよ可愛い仔猫ちゃん達♡」
そう言ってウインクを1つ。
やっぱり世の中男は金か顔なのね…。
「ねえ、シン。サラマンダーってナツのことじゃない!行ってみようよ!」
「よく見てみろ。ナツがあんなモテモテじゃないだろ。」
「あ、」
「だろ?」
俺の知るサラマンダーたるナツ・ドラグニルはあんな女たらしではない。一言で言うなら単純で扱いやすいお馬鹿さんだ。しかしそのくせ人懐っこい笑みを浮かべるものだから大半のことは許してしまいそうになることもある。
それにハッピーには見えてないだろうが俺にはじ自称サラマンダーを名乗る男の姿がはっきり視認できる。間違いなやつは偽物だ。
「でもなあーんか、どっかで見覚えがあるような…」
腕を組みウーンと唸るも脳内検索にヒットする人物はなかった。
「もしかしたら、なんか知ってるかもしてないし近くまで行くか」
ハッピーの顔を窺うと首を縦に振ったので同じ考えなのだろう。
そう決まれば後は早い話、青年と一匹はまるでバーゲンセールの時にあるような人混みに助走を着けて走り突っ込んだ。
フォニュフォニュフォニュと柔らかい女体の海をかき分けて進むと「ううん…」やら「いやん…」やら「そこはダメ…」という喘ぎ声が進めば進むほど聞こえてくる。
_____おお、ここは天国か……
本来の目的地も忘れて無我夢中に触りまくっているとフォニュウンと本日一番の大きい何やら好ましいマシュマロ感触が手のひらが押し潰したッッ!
「キャーッッッッッッ!!!」
甲高い声が町中に響き渡った。
「シン…。やっちゃったね…」
そんな憐れの目で見ないでおくれ。
次の瞬間、声の主と思われる人物から右腕をガシッと掴まれた。それも本当に女なのかと思ってしまうほどの握力で。
「変態!何すんのよ!折角フェアリーテイルのサラマンダー様に会えて楽しい気分だったのに!」
「いや、その点に関しては非常に申し訳ないのですが。そこの彼はたぶん偽物かt…」
「うるさい!」
そう言うと、より一層腕に力を込める。正直腕が千切れそうなほど激痛である。その証拠に骨がミシミシと軋んでいる。
「サラマンダー様が偽物な分けないでしょ!あんたとは違って彼はあんなにも素敵なんだから…ってあれ…」
掴まれた腕が解放される。恐らく次は更なる試練が待ち受けているのだろう。そうなる前に先手(全力土下座)を打たなければ…っ!
「本当に申し訳ありませんでしたあああああああああ!」
先手を打ったのはシンだった。容赦のない罵倒や暴力を与えられるのを覚悟したのか電光石火の空中土下座。
「うーん…」
「…?」
少女からの反応がない。それどころが何かしらを考えてるように見える。男一心の土下座の効果はなかったのだろうか。それともお仕置きを考えてるのか!
「君達一体どうしたんだい?」
生け簀かない男が仲裁に入ろうと思ったのか颯爽と土下座状態の青年と難しそうな表情の少女の間を割って入った。
「あ、いや…俺が悪いんです!お騒がせさせてご免なさい!」
「ふむ、正直な君に免じて話を聞いてあげよう。何か事情があったんだろう?」
「事情ってかなんというかはい…。」
___このシチュエーションは不味するっ!任務中にわいせつ行為をした評議院なんて知られたら辞職どころじゃすまない…。
土下座のままシンはまさに絶体絶命、八方塞がり、自業自得。だが天は裏切らなかった。
「おー。ハッピー、シンやっと見つけたぞ~」
鱗のようなマフラーが目印の救世主が降臨した。この好機逃すべからず。
「あーナツどこ行ってたんだよ!俺ら彼を探してたんですよー。いやー全く困った奴だ。ということでお騒がせしてすいませんでした!!!」
ナツとハッピーと怪力少女を強引に引っ張ってその場から全力で走り去る。早急にこの場から離れないとシンは社会的に抹殺されてしまっただろう。
「ちょ、え?え?」
「待てって。一体何が起きたんだハッピー!?」
「猫には分かりません」
三人とも状況が呑み込めてないのか情けない声を各々上げているが気にしないでとにかく走り続ける。
「猫がしゃべったああああ!」
金髪の少女は自分がスカートを履いているのも忘れて脚を激しく上下に振る。
___案外この女の子ユニークなのかもしれない。
感想待ってます!