龍の軌跡 第一章 BLEACH編   作:ミステリア

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今回は少々ご都合主義&強引と思われるかもしれませんが、何卒ご容赦下さい。


第十八話

――龍一郎サイド――

 

「全力でいきますよ!恋次さん!」

 

「当たり前だ!手加減なんかしたら、ぶっ潰すぜ!」

 

気炎を上げて闘志を露にし、俺と恋次さんは向かい合う。

 

さて、何故このような状況になったのか。

 

話は三十分程前に遡る。

 

バウスが去った後、突然意識を失った俺が目を覚ますとそこは執務室とは違う一室で、周りには一護さんに恋次さん。ルキアさんにエルフィだけではなく、後廷十三隊の一番隊と十二番隊を除いた全ての副隊長達が勢揃いしていた。

 

起きたばかりというのもあり、一体どういう状況なのか分からずに困惑していると、それを察したエルフィが今の状況を説明してくれた。

 

俺が意識を失った後、突然倒れたことに慌てた一護さん達が急いで俺を四番隊に運んでいる途中で、丁度雀部副隊長を運び終えた平子隊長とエルフィの二人と鉢合わせし、相棒のエルフィならば倒れた原因が分かるのではないかと『サーチ』をかけて貰った所、何の事は無い。才牙の使いすぎによる強制的な睡眠だった。

 

才牙は一撃必殺の威力を持つが故に天力を大量に消耗する為、長期戦は禁物。

 

戦いが長引けばその消費した天力を回復させる為に短時間だが強制的な眠りに襲われる。

 

冒険王ビィトで主人公のライバルであるスレッドも言っていた事だ。

 

考えてみればフェザースラッシュにゼノンウィンザードと大技を連発し、移動する時も常にエクセリオンブレードを出していたのだ。

 

睡眠に陥らない方がおかしい。というか、よくバウスが去るまで天力が持ったものだ。

 

ともあれ命に別状は無いと判明した後、地獄蝶によって今現在動ける護廷十三隊の全隊長に緊急の隊首会が開かれることが知らされ、隊長達は全員一番隊舎の隊首会議場に向かい、副隊長達は控え室に集まって今回の襲撃に関する情報を伝え合う事となり、最も多くの情報を持っているであろう俺とエルフィ。そして敵の首領と思わしき者と直接交戦した一護さんがこの場に呼ばれたらしい。

 

それでようやく現状を把握した俺は、取り敢えず副隊長達に挨拶と自己紹介をして、俺が知っているウ゛ァンデルやモンスターの事を全て話した。

 

俺の説明に副隊長達は初めは当然というか警戒心を抱いていた雰囲気だったが、恋次さんとルキアさんのフォローの甲斐もあり、説明が終わった時には最初よりは警戒心を緩めてくれた。

 

もっとも、二番隊副隊長の大前田さんは最後まで『けっ!貧乏人が!』と言わんばかりの目でこっちを見ていたし、三番隊副隊長の吉良さんと九番隊副隊長の檜佐木さんは俺の話を聞いて頷いていたり質問したりはしていたが、最後まで疑わしげな視線を俺に向けていたりしていたのだが…。

 

そんなこんなでざっくりとだが話も終わった所で緊急の隊首会が終わったと連絡が入ったのだが、何故かその後に一護さんが卍解を会得する為に使った浦原さんがこっそり作った空間。通称『遊び場』に半ば強制的に連れてこられ、恋次さんと戦う事になってしまった。

 

なんでも隊首会でそのように決まったらしい。

 

ちなみにどんなやり取りがあったのかというと―――

 

 

                ☆

 

――三人称サイド・一番隊舎隊首議場――

 

一番隊隊長ならびに護廷十三隊総隊長である山本元柳斎の前に、各隊の隊長達が居並ぶ。

 

偶数と奇数の隊に分かれて立つ列の中に、一つだけ空いている空間が存在した。

 

銀髪翡翠眼の少年。十番隊隊長・日番谷冬獅郎の右側。現在集中救護室で治療中の十二番隊隊長・涅マユリが立つべき場所である。

 

「――以上が、今回の旅禍襲撃についての報告です」

 

両耳付近の髪を布で巻いた独特の髪型をした女性。二番隊隊長・砕蜂(ソイフォン)が報告を終えて列に戻る。

 

「負傷者の状況は?」

 

元柳斎に応え、落ち着いた容姿をした女性。四番隊隊長・卯ノ花烈が一歩前に出た。

 

「はい。重軽傷者は多数に及んでいますが、幸いにも現在死者は出ていません」

 

「雀部の容体は?」

 

「多数の裂傷・打撲傷は見受けられますが骨に異常は無く、数日程の治療で完治できると思われます」

 

元柳斎は一礼して下がる卯ノ花に頷き、杖を床に突いて注目を集めた。

 

「十三番隊副隊長・朽木ルキアからの報告で皆が聞いているとは思うが、旅禍の正体はイレギュラーズと称する一団。そして儂と相対した奴等の首領と思わしき存在。自らをバウスと呼称する者から、奴等の目的を聞き出した」

 

元柳斎の言葉に代償の違いはあれど、極一部を除く全ての隊長達が反応する。

 

「総隊長。その目的とは?」

 

肩に掛かる程度の黒髪に、上流貴族にのみ着用を許される髪飾り。牽星冠(けんせいかん)をつけた男性。六番隊隊長・朽木白哉が冷静に問う。

 

「鬼道砲を奪い、現世に放つ事」

 

「なっ!本当ですか!」

 

長い白髪とどこか生気が乏しい様子が特徴的な男性。十三番隊隊長・浮竹十四郎が思わず声を上げ、元柳斎は無言で重々しく頷いた。

 

「十三番隊副隊長・朽木ルキアからの報告で皆が聞き及んでいる筈。奴等イレギュラーズの最終目的は世界を滅ぼし自らも滅ぶ事。それが目的であり存在の意義。そのためならば死をも厭わぬ存在と」

 

「なんとも面倒な事やな」

 

「まったくだねぇ…」

 

五番隊隊長・平子真子が溜め息混じりに吐き出し、隊首羽織の上に羽織った女物の着物が印象的な男性。八番隊隊長・京楽春水がそれに同意する。

 

「無論儂もそのような輩に鬼道砲を渡すつもりなど毛頭無い。だが奴等が油断ならぬ相手だという事もまた事実」

 

「元柳斎殿がそこまでいう程なのですか」

 

巨躯の人狼。七番隊隊長・狛村左陣が耳をピクリと動かした後に目を見開いた。

 

山本元柳斎重國は全ての死神の頂点に立つ死神。その元柳斎が油断ならないという言葉を使ったのだ。狛村の動揺も当然といえるだろう。

 

「奴等は冥力と呼称する特殊な力を用い、目に見えぬ障壁を常時展開しておる。その強度は凄まじく、儂の流刃若火の炎をも完全に受け止める程」

 

「へぇ。面白ぇじゃねぇか」

 

ソウルソサエティ最古にして炎熱系最強の斬魄刀の力を防ぎきったという事実に動揺する隊長達とは別に、歯を剥き出しにして歪んだ笑みを浮かべる者が一人いた。眼帯をかけた男。十一番隊隊長・更木剣八である。

 

(((((((((((……この戦闘狂が!)))))))))))

 

剣八を除く全ての隊長達の心が一つになった瞬間だった。

 

「総隊長。その冥力で作られた障壁を破壊する方法は何か無いのでしょうか?」

 

剣八を無視して卯ノ花が一歩前に出る。

 

「現段階では十三番隊副隊長・朽木ルキアの報告にあった、イレギュラーズを滅するべく神によって送られた者。吉波龍一郎の持つ特殊な武器が、奴等の操る冥力を破壊若しくは著しく弱化させるという事のみ確認されている」

 

「現状では他に有効な手は見つかっていない…という事ですか?」

 

再度問う卯ノ花に、元柳斎は無言で肯定の意を示した。

 

「気に入らねぇ…」

 

「何がだい?」

 

ポツリと漏らした日番谷の呟きに浮竹が問うと、彼は吐き捨てるように言った。

 

「神に選ばれたのかなんだか知らねぇが、そんな胡散臭い奴の力に頼らざるを得ないこの状況にだ」

 

「同感だ」

 

全くだといった口調で砕蜂が頷く。

 

「ちょい待てや。そいつの人となりも見んと、その言い方は無いんとちゃうか?」

 

諌める平子の一声に、二人は(特に砕蜂は平子を軽く睨みつけた後に)ばつの悪い顔をしながらも、不服そうに俯いた。

 

そんな二人を見て、やれやれといった様子で溜め息を吐いた後に京楽は元柳斎に視線を向けた。

 

「山じいはその子の力を借りようと思っているのかい?」

 

全ての隊長格の視線が元柳斎に集まり、元柳斎は僅かに逡巡した後に口を開いた。

 

「瀞霊廷を守護する護廷十三隊の戦いに、他の者の介入を許す事など有る筈も無し」

 

元柳斎はそこで一度言葉を切り、「然し」と繋げる。

 

「彼の者を見る限り、言の葉で引くように聞かせても決して引かぬであろう事は明白」

 

「それは俺も同感や。あの吉波っちゅう奴の目、誓いっちゅうか…絶対に譲れん何かを持っとる様に見えたわ」

 

元柳斎の言葉に平子が頷き、「ありゃ~そう簡単には引かんで~」と言って締めた。

 

「なら話は簡単だ」

 

目付きの鋭い男性。九番隊隊長・六車拳西がこれまで黙していた口を開き、皆の視線が彼に集まる。

 

「説得が無理なら、誰かと戦わせて力ずくで引かせりゃいいだろうが。それにそれなりの力がある事を示して貰わねぇと、少なくとも俺は納得出来ねぇ。足手まといは必要無いしな」

 

辛辣な物言いだが一理ある拳西の言い分に、皆が特に異論を挟むようなことはしなかった。そして僅かな間を置いて。

 

「確かにそうだ。ある程度の実力がなければ、何の意味も無ぇ」

 

日番谷を皮切りに――

 

「情報だけならば聞き出すだけで済む事だ」

 

拳西に賛同するのが不服なのか、不承不承といった様子の砕蜂が――

 

「弱い奴なら用は無ぇ」

 

剣八が賛同する。

 

「むぅ…」

 

次々と賛同を表明していく隊長達に、元柳斎は髭に手を当てて逡巡した後に杖で床を突き、注目を集めた。

 

「九番隊隊長・六車拳西の要請を容認する。して彼の者の相手じゃが…」

 

「俺が「その相手は我が隊の副隊長。阿散井恋次を推奨する」あぁん?」

 

一度言葉を切った元柳斎に剣八が一歩前に出て名乗り出るが、朽木白哉の静かな声によって遮られ、剣八は不服そうな顔をして殺気を帯びた視線で白哉を見た。

 

「現世とソウルソサエティを通して彼の者の戦いを見ていた阿散井ならば、彼の者の特殊な能力に惑わされる事も少ないであろうと思われる。それに…」

 

白哉はそこで一旦言葉を切り、剣八に視線を向けて続ける。

 

「目的はあくまで彼の者を引かせる事と実力の把握。兄に任せれば彼の者の戦力を見極める前に斬り殺す恐れがある故」

 

白哉のその言葉に、剣八を除く全ての隊長達は『あり得る』と心中で納得した。

 

「それとも兄は、加減をして彼の者を必要以上に傷付けぬ事が出来うるのか?」

 

まだ何か言おうとする剣八に有無を言わさず言葉を叩き付ける白哉に、剣八は「ちっ」と舌打ちをして一歩下がって列に戻った。

 

「それでは六番隊副隊長・阿散井恋次と吉波龍一郎の戦闘をここに了承する!」

 

元柳斎の声が、しんとした議場に響き渡った。

 

 

                 ☆

 

 

――回想終了・龍一郎サイド――

 

そして話は冒頭へと繋がる。

 

向かい合う俺と恋次さんから少し離れた場所には、隊長達と一護さん。そしてエルフィが此方を見ている。

 

俺はオケアヌスの輪から斬魄刀を取り出して、同時に写輪眼を発動。自らの緊張感を高めて戦闘体勢へと移行する。

 

そんな俺を見て恋次さんは「ほぅ」と意外そうに呟いた後に俺に聞いてきた。

 

「今回は才牙ってのを使わねぇのか?」

 

「はい。才牙だと恋次さんには勝てないですから」

 

俺の返答に恋次さんの眉がピクリと動く。

 

「その言い方…斬魄刀を使えば俺に勝てるみたいな口振りだな」

 

「勝てる可能性が才牙を使う時よりも高いという話ですよ」

 

「上等だ!」

 

恋次さんが歯を剥き出しにして獰猛な笑みを浮かべて吠え、斬魄刀を抜く。

 

「いくぜ」

 

「はい」

 

一言のみの遣り取りを終えると、俺と恋次さんは同時に地を蹴って突進し刃を一閃した。

 

ガギィィン!!!

 

鋼と鋼がぶつかり合う音が衝撃波となって辺りの空気を震わせた。

 

 

 

 




今回でアットノベルズに投稿していた分を全て移転しました。

今後は不定期&亀更新になりますが、どうか温かく見守って下さい。
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