龍の軌跡 第一章 BLEACH編   作:ミステリア

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どうも・・・最近仕事が忙しくて一日の執筆時間が三十分程しかないミステリアです。

時間の合間合間で何とか一話分書いて、気が付いたら一ヶ月近く経過。

憂鬱です。

そのせいか、この話の最後の方がかなり手抜き気味になってしまっている感じです。

何だか愚痴の様な報告となってしまい、すいません。

では、どうぞ。


第三十二話

 

――三人称サイド――

 

時間は少し遡り、龍一郎がまだ強化状態になっていないバウスとエクセリオンブレードで戦っていた頃。

瀞霊廷の各所でも戦いの幕が上がっていた。

 

 

ギィンッ!

 

金属音と共に刃が弾かれ、火花が散る。

 

「フン」

自らの肉体で刃を弾いたヴァンデル。アートロンは鼻で笑って腕を振るい、背後にいる死神に遠心力を乗せた裏拳を見舞う。

 

だが刃を弾かれた死神。六番隊隊長・朽木白哉は鈍く輝く拳を瞬歩で避け、間合いを取った。

 

「どうした?その程度の攻撃じゃあ、俺の装甲を傷付ける事は出来ないぜ」

 

「テメェ!「待て。恋次」・・・っ!」

 

挑発に乗り蛇尾丸を振るおうとする阿散井恋次を白哉が止める。

 

「奴は私が倒す。兄は隊士と共に天力珠の護衛に回れ」

 

「しかし・・・「我らに与えられた任は天力珠の護衛。趣旨を取り違えるな」・・・分かりました」

 

感情的になって言い返そうとするのを正論によって封殺され、恋次は苦い顔をしながらも一礼をした後に瞬歩で隊員の元に向かった。

 

「舐めてるのか?貴様の斬撃は俺に通じないんだぜ。1対1で勝てると思ってるのか?」

 

「愚かな。一撃を止めた程度で私の力の底を見たと言うか」

 

「余裕ぶっこいてんじゃねぇぞ!」

 

冷静に言う白哉に、アートロンが文字通り風を纏って飛翔し、その巨体に似合わぬスピードで一直線に突っ込んでいく。

 

「破道の三十三・蒼火墜」

 

真正面から突撃してくるアートロンに、白哉は詠唱破棄をした中級鬼道を放つ。

 

青白い閃光がアートロンの巨体を呑み込み、爆発。煙が上がる。

 

だが――

 

「パアアッショオォォン!!」

 

雄叫びを上げて煙の中から出て来たのは、鬼道の一撃をまともに受けながらも傷一つ無いアートロンだった。

 

「無駄だあっ!元々堅牢な装甲を更に冥力で強化した俺の体は正に鉄壁!結界によって冥力が弱まってはいるが、貴様如きの攻撃では傷付ける事も出来ん!」

 

地に降り立ち朗々と告げるアートロンの挑発に、初めて白哉の目元がピクリと動いた。

 

「・・・図に乗るな」

 

僅かに怒りを含んだ声でアートロンを睨み、白哉は刀身を眼前に構え――

 

「散れ・・・千本桜」

 

自らの斬魄刀を解放した。

 

刀身が無数の刃となり、一気にアートロンへと襲い掛かる。

 

だが、アートロンは襲い来る無数の刃に怯む事無く、冥力を纏わせた拳を頭上へと掲げ、地面に叩き付けた次の瞬間。

 

ドォン!

 

爆音と共に発生した旋風がアートロンを中心に螺旋を描き、近くにいる白哉の体を僅かに揺らし、離れた場所にいる六番隊の隊士達に動揺を与える。

 

そしてその凄まじい旋風は白哉の放った無数の刃を全て吹き飛ばし、攻撃を完全に防いで見せた。

 

「!」

 

白哉の顔に明らかな動揺の色が浮かぶ。

 

しかしそれも無理からぬ事だった。今まで千本桜の斬撃を躱したり無傷圏に入り込む事で無力化した者ならばいたが、全ての斬撃を吹き飛ばした者など存在しなかったのだから。

 

そんな白哉の動揺を見たアートロンは「フッフッフ」と愉悦を交えてた含み笑いを漏らす。

 

「どうやら貴様の刀の能力は、俺の能力との相性が悪いようだな」

 

「相性だと?」

 

白哉の声が一段低くなり、動揺により見開いていた目がスウッと細くなる。

 

「そうだ!貴様も見ただろう。その刀の能力など通じぬという「ならばその目に刻むがよい・・・」っ!」

 

アートロンの口を噤ませる程の迫力を秘めた静かではあるが響く声が、白哉の口から紡がれる。

 

「相性等に捕らわれぬ絶対的な力というものを・・・」

 

粛々と告げ、白哉は千本桜を掲げた後に手を離すと、それは何の抵抗もなく地へと吸い込まれた。

 

「卍解」

 

そしてそれと入れ替わるように、地から多数の巨大な刀身が、白哉の背後に生え並ぶ。

 

「千本桜景厳」

 

全ての巨大な刀身が花びらの状に砕け、先程とは比較にならない程の刃の嵐がアートロンへと迫る。

 

それに対しアートロンは再び自らを中心に旋風を発生させ、刃の群れを吹き飛ばす。

 

「無駄だぁっ!いくら数を増やそうと、俺の風の前には無意味!」

 

「・・・愚かな」

 

吠えるアートロンに白哉は冷然に呟いた後に、スッと右手を挙げる。

 

ブワッ!!

 

白哉が手を挙げたのを合図に、アートロンの足元から千本桜の無数の刃が飛び出した。

 

「な、何ぃ!?」

 

アートロンの驚愕の叫びが上がるのとほぼ同時に、無数の刃がアートロンを包み込み、桜色をした球状の繭と化す。

 

「如何に旋風とはいえ、風の及ばぬ所はある。ならば其処に刃を通せばいいだけの事」

「このおぉっ!!」

 

逆上したアートロンは拳を叩きつけ、風を放つが、刃で成した繭はびくともしない。

 

「無駄だ。その刃の球は決して破れず、相手を全方位から斬圧する。名を・・・吭景千本桜景義」

 

「ぬおおぉぉあぁぁぁっ!!」

 

アートロンの叫びも――

 

「刃の吭に・・・呑まれて消えろ」

白哉の言葉も――

 

ゴッ!!!!

 

斬圧する轟音によって掻き消された。

 

その衝撃で土埃が宙を舞い、辺り一面を覆い隠す。

 

白哉はアートロンの居た場所に背を向け、何も言わず歩を進め――――ようとした刹那。

 

ジャッ!

 

『それ』は朦々と立ち込める土埃を切り裂き、飛燕の如き速度で白哉へと迫る。

 

だが白哉は飛び出してきた『それ』に驚きはしたが、すぐに冷静さを取り戻し、瞬歩を使い回避した。

 

ザンッ!

 

空を切った『それ』は白哉の背後にあった塀を切り裂き、斬撃の跡をつける。

 

「・・・しぶといな」

 

『それ』の正体。真空の刃の放たれた場所に視線を戻し、白哉が呟く。

 

白哉の視線の先。

 

其処には吭景千本桜景義の斬圧を受け、装甲の所々が罅割れながらも立っているアートロンの姿だった。

 

 

 

           ☆

 

 

「霜天に坐せ・・・」

 

解号を口にし、十番隊隊長・日番谷冬獅郎の手に携える斬魄刀の柄の先から三日月型の刃とそれを繋ぐ鎖が伸びる。

 

「氷輪丸!!」

 

斬魄刀の名を叫ぶと同時に空が曇り、凍り出した空気中の水分が日番谷の周りに集まってくる。

 

それはやがて氷の龍となり、炎を思わせるヴァンデル。ジェラに牙を剥いて襲い掛かった。

 

だがジェラはすぐに三叉戟を携えていない方の掌を襲い来る氷の龍に向けて、鬼火を思わせる握り拳大の青い火球を次々と放つ。

 

火球の一発一発が当たる度に龍の体が砕け、十発目の火球を受けた所で、遂に龍は粉々となった。

 

「成る程。見た目はガキだが中々やるじゃねぇか」

 

『ガキ』の一言に、日番谷の目がスウッと細くなる。

 

「ガキじゃねぇ。十番隊隊長・日番谷冬獅郎だ」

 

ガキィンッ!!

 

瞬歩で接近した日番谷の斬撃を、ジェラは三叉戟で受け止めて火花を散らす。

 

ギッ!キィンッ

 

二合、三合と刃と三叉戟がぶつかり合い、冷気と熱気が空気の歪みを生む。

 

一端下がって間合いを取った両者が同時に氷の飛礫と火球を放ち、合間で爆散。相殺される。

 

「へっへっ・・・やるじゃねぇか」

 

「てめぇもな・・・」

 

肩を細かく動かして含み笑いを漏らすジェラに、日番谷は険しい顔をして応えた。

 

「だがこっちも立て込んでいるからな。一気に決めるぜぇ!」

 

吠えたジェラは日番谷に掌を向け、火球を放つ。

 

日番谷はその一撃を跳躍して避けるが、ジェラは空中に逃れた日番谷に火球を放った。

 

それも一発だけではなくあちこちに散りばめるようにして火球を連射し、日番谷の逃げ道を塞ぐ。

 

だが日番谷はその状況に焦ることなく、火球に氷の龍を放って空中で爆裂させることで『穴』を作り、そこに瞬歩で入り込む事で火球の包囲網を脱出した。

 

しかしジェラは包囲網から抜け出した日番谷に息を吐く間を与えないとばかりに、更に火球を撃ち込み続けた。

 

「・・・ちっ」

 

ジェラが物量でのごり押しで来た事を察した日番谷は舌打ちを一つして、襲い来る火球の群れをあるものは避け、あるものは氷で迎撃して対処する。

 

「このっ!ちょこまかとぉっ!」

 

火球が当たらない事に苛立ちを露わにして、ジェラは持っていた三叉戟を地に突き刺し、両の掌を日番谷に向けて放つ火球の数を更に増やした。

 

だが日番谷はそれを見ても動揺する事無く、冷静に氷の飛礫をぶつけて数発の火球のみを迎撃した。

 

その結果――

 

ドオォン!

 

氷の飛礫と火球がぶつかり合い爆発した事により、近くにあった火球がそれに巻き込まれて誘爆する。

 

ドンドォン!!

 

それがあちこちで連鎖的に発生し、最終的には――

 

ドドドドドオォォォォン!!!

 

全ての火球が日番谷に当たることなく爆発した。

 

「・・・なっ!」

 

まさか全ての火球をあっさりと対処されるとは思わなかったのか、ジェラは驚愕の呻きを上げる。

 

驚愕によって生まれる僅かな隙。それを逃さず、日番谷は空中から瞬歩で一気に間を詰め、突進の勢いを乗せた必殺の刺突を放つ。

 

ガッ!

 

しかしその一撃は我に返り間一髪で後ろに跳んだジェラの影を貫き、刀身は堅い音を立てて石畳に突き立てる結果となる。

 

当然ジェラはその隙を逃す事なく、即座に掌を日番谷に向けた。

 

「勝負を焦ったな!これで終わりだ!!」

 

だが劣勢の日番谷の口から紡がれたのは、焦りや悔やみを露わにした言葉ではなかった。

 

「終わりはお前だ」

 

その言葉と同時に地に突き立てられた氷輪丸の力が解放され、日番谷を中心とした一帯が一瞬で凍り付いた。

 

当然凍結範囲の内にいたジェラも例外に漏れず、炎に包まれている体の殆どが凍り付いている。

 

「ば・・・馬鹿な・・・俺の体が・・・」

 

自らの肉体に起こった事態が理解できないのか、ジェラは呆然とした様子で掠れた声を漏らす。

 

「お前の火球と俺の氷輪丸が真正面から力比べをすれば分が悪いという事を、お前は物量戦に出た時点で察していた筈だ」

 

そんなジェラに日番谷は淡々と言い含める。

 

「物量戦という選択は間違いじゃ無ぇ。だが攻撃が当たらない事に業を煮やして数を増やしたのは失敗だったな」

 

氷輪丸の切っ先を向け――

 

「勝負を焦ったのがお前の敗因だ」

 

先程ジェラの言った言葉をそのまま返して締めた。そして日番谷は切っ先を向けた刺突の構えを取り、地を蹴って飛燕の如き速度で駆ける。

 

「貴・・・様ぁ・・・」

 

ジェラはせめてもの抵抗とばかりに、向かってくる日番谷に殺気や怒気を綯い交ぜにして日番谷を睨みつける。

 

そしてその憎悪を感情に呼応するかの様に、ジェラの体の炎が大きく燃え上がり、体を縛る氷を少しずつ溶かしていく。

 

だがジェラが全ての氷を溶かすよりも早く日番谷の刺突がジェラの肉体を貫き――

 

バンッ!!

 

十字架型の氷塊がジェラの身を更に縛る。

 

「・・・竜霰架」

 

静かにその技の名を呟いた日番谷は、炎の魔人を閉じ込めた氷の十字架に背を向けた。

だが――

 

ドン!!

 

その十字架は即座に砕かれる。

 

ジェラを中心に起きた紫炎の火柱によって。

 

「なっ!」

 

振り返った日番谷の顔には、今までにはなかった動揺の色があった。

 

そして紫炎の火柱に立つジェラは、その体を形作っていた輪郭が徐々に崩れていき、やがて火柱と完全に一体となった後に形作られ現れたのは、もはや人の形を成してすらいなかった。

 

「グオオォォォッ!!」

 

見上げる程の巨体となった紫炎の龍が喉を震わせて天に吠えた後に、日番谷に憎悪を込めた視線を向けて息を吸い込み――

 

ゴウッ!!

 

紫炎の吐息を吐き出した。

 

冥力の力を宿した禍々しい炎が辺り一帯を覆っていた氷を溶かし、露わとなった石畳を舐め、日番谷を飲み込もうと迫る。

 

が――

 

「卍解」

 

周りで燃え盛る紫炎によって熱された空気が急速に冷やされ凍てついていき、日番谷を飲み込もうとしていた炎の奔流は、氷によって形成された壁によって二つに断たれ、日番谷に届かずに終わった。

 

そして炎が途切れると同時に砕けた氷の壁の向こうに立つ日番谷の姿は、先程とは大きく異なっていた。

 

翼を持つ氷の龍を自らの体に纏わせたかのような外見で、背後に三つの巨大な花の様な氷の結晶が浮かんでいた。

 

「大紅蓮氷輪丸」

 

自らの斬魄刀の真の名を静かに言った日番谷の後ろには、主に仇なす者を睨むかの様に氷の龍が出現する。

 

炎と氷。二体の龍が対峙し――

 

「「グオオォォォッ!!」」

 

咆哮が瀞霊廷を揺らした。

 

――エルフィサイド――

 

「・・・・・・っ!」

 

突然伝わってきたその感情に、戦闘中にも関わらず我は思わず顔を上げてしまった。

 

ザンッ!

 

「ギャアァッ!!」

 

意識を逸らしてしまった我のすぐ横で斬撃音と悲鳴が上がる。

 

慌ててその悲鳴の方に顔を向けると、其処には上下を断たれて霞みとなり消えていく強化ヴァンデルと、そのヴァンデルを斬り裂いた体勢でいる雀部長次郎忠息副隊長の姿があった。

 

「済まない。礼を言う」

 

手短に礼を言い、我はなるべく隙を減らす為に雀部副隊長と背中合わせになる。

 

「エルフリーデ殿、如何為された」

 

「龍一郎が危ない」

 

「・・・どういう事ですか?」

 

一言で答える我に、雀部副隊長が怪訝な様子で再度問う。

 

「今の我は龍と心話をしてはいないが、リンクは繋がっている。その繋がっているリンクから、龍一郎の感情が伝わってきた」

 

「感情が・・・一体どんな?」

 

「絶望だ」

 

即答した我の言葉に、雀部副隊長の顔が曇る。

 

「一刻も早く龍に加勢する必要がある・・・」

 

「しかし我等がこの場から脱出するのには今しばらく時間がかかります。如何なさるおつもりですか」

 

雀部副隊長のその正論に我は考えを巡らせる。

 

そして一つの案が頭に浮かんだ。

 

「では、現世より増援を要請する」

 

「なっ!」

 

我の案に雀部副隊長は驚愕の呻きを漏らした。

 

しかし我も思わず呻きを上げてしまうその心中も分からなくはなかった。

 

通常現世からソウルソサエティに行くには穿界門を通って行く他に方法は無い。

しかも地獄蝶を持たなければ強制的に断界へと送られる為、どうしても時間が掛かってしまう。

 

そのため火急であるこの状況で出す案では無いと思うのも理解できる。

 

だが我には一つ腹案があった。

 

「現世にいる者の中で1人だけすぐにソウルソサエティに行ける者がいる」

 

確信を持って告げる我に雀部副隊長は何か言おうとしていたが、やがて口を噤んで前に出て、迫り来る強化ヴァンデル達に厳霊丸を構えた。

 

「エルフリーデ殿。今この場で唯一瀞霊廷の状況をある程度把握出来る貴女がそう言うのであれば、その考えを尊重します。

そしてその案を実行するには、現世にいるその者に今の事情を伝える必要があるのは明白。

ならばその間、この雀部が貴女を御護り致します!」

 

強化ヴァンデル達に立ち塞がる雀部副隊長に我は「感謝する」と一言礼を言い、『その者』と心話をするべく目を閉じて意識を集中した。

 

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