龍の軌跡 第一章 BLEACH編   作:ミステリア

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前話の宣言通り。何とか八月内に投稿する事が出来ました。

これも読者の皆さんのお蔭だと思っています。有難う御座います。

そしてこの小説のお気に入り件数が124になりました。

お気に入りに入れて下さった皆さん。本当に有難う御座います。嬉しいです。

しかし未だに不調を引き摺っており、今回はいつもと比べて短めとなっています。

では、どうぞ。


第三十八話

 

――一護サイド――

 

ギァン!!

 

俺の振り下ろした天鎖斬月の刃とバウスの腕から生やした刃がぶつかり合い、大気を震わせる。

 

(やっぱり強ぇ!くそっ!もう少し踏ん張ってくれ吉波!)

 

強化されたバウスの強さに内心歯噛みし、弱々しくだが確かに其処にある吉波の霊圧を感じ取り、俺は心に生まれる焦りを必死で抑えつけて戦っていた。

 

「どうした?太刀筋が鈍ってるぜ?」

「うるせぇ!」

 

心の内を見透かしているように笑みを浮かべて言うバウスに、俺は吠えて更に天鎖斬月を振るう。

 

ガッ!キィンッ!ギンッ!

 

だが焦りに任せて振るったその斬撃は全て腕から生える刃に防がれる。

 

「くっ!」

 

反撃に繰り出した前蹴りを後ろに跳んで避けた俺は、霊圧を上げて月牙天衝を放つ体勢をとって地を蹴り、月牙天衝を放たずに刀身に纏わせたままで一気に唐竹割りに斬りつけた。

 

ガァン!!

 

「・・・っ!」

 

その一撃も受け止められはしたが、今までとは明らかに違う威力に僅かだがバウスの体勢が崩れ、防御が緩む。

 

俺はその隙を逃さず、再度霊圧を高め――

 

「月牙・・・」

 

切り上げの一閃を放つ。

 

「天衝!!」

 

放たれた黒い月牙はバウスを飲み込んだ後に壁にぶつかり、深い切れ込みが生まれ、衝撃に土埃が舞う。

 

俺は今のうちに吉波の所に向かいたくなる衝動を堪えて天鎖斬月を下段に構え、舞っている土埃に向かい地を蹴って突進する。

 

ボッ!

 

俺が地を蹴るのと、土埃の中からバウスが俺に向かって飛び出してきたのはほぼ同時だった。

 

ギァンッ!!

 

お互いの突進の勢いを乗せた一撃がぶつかり合い、辺りの大気を震わせる。

 

「意外だな。てっきり俺を放って置いて上に向かうと思ってたぜ」

 

「行った所で吉波のいる所に着く前に、お前に邪魔されると分かっていたから・・・・なっ!」

 

鍔迫り合いでギリッ・・・ギリッと刃が鳴る中で言葉を交わし、俺は一瞬だけ力を込めて押し込み、それに対して力で押し返そうと力を込める僅かなタイミングを見計らって後ろに跳んで下がった。

 

それによって力を入れる対象が突然無くなり、バウスの体勢が僅かに崩れ、隙が出来る。

 

その隙を見逃さず、俺は天鎖斬月を下段に構え直し、バウスの脇腹に狙いを定めて左に薙払った。

 

だが――

 

ガシィッ!

 

その一閃をバウスは崩れた体勢にも関わらず止めて見せた。

 

それも今までみたいに腕から生える刃じゃなく、素手で掴むことで。

 

「なっ!」

 

予想外の事態に俺は動揺し、動きが止まってしまう。

 

バウスはその隙を逃さず、掴んでいない方の拳を俺の腹に叩き込んだ。

 

「がはっ!」

 

重いボディブローをまともにくらい、肺から空気が強制的に吐き出され、足が止まる。

 

そんな俺に、バウスは更に何発ものボディブローの追撃を加える。

 

「が・・・!」

 

同じ箇所に重い攻撃を受けた事による激痛。腹部を叩かれ、呼吸をすることが困難となり発生する息苦しさ。

 

この二つが俺の意識を遠退かせる。

 

ドンッ!

 

「・・・っ!」

 

更にくらった腹部への一撃に、もう声を上げる事も出来なかった。

 

内臓の筋肉が硬直していくのが分かる。

 

そしてバウスは俺の腹部にめり込んだ拳を引かずにそのまま力を入れて、片手で俺の体を持ち上げた。

 

そして天鎖斬月を握る手を引くと同時に、俺の体を支えている拳を自らの頭上で弧を描く様に振り回し、一本背負いをするかの様に俺を床に叩き付けた。

 

ダァン!!

 

背に走る衝撃と、再度腹にめり込む拳。二つの力が俺の体の中でぶつかり合い、全ての衝撃が残らず伝わる。

「がっっ!」

 

その衝撃に遠退きかけた俺の意識が強制的に引き戻される。

 

だがそれは俺にとって幸運だった。

 

僅かでも意識が戻ったからこそ、倒れた俺目掛けて踏み潰そうと足を上げているバウスの姿が見えたからだ。

 

「っ!」

 

俺は瞬時に握られている天鎖斬月に霊圧を込め、月牙天衝を放てる体勢をつくる。

 

だがバウスはそんな俺の気配を察したらしく、握っていたその手を離した。

 

その瞬間に俺は素早く床を転がってバウスの踏みつけから逃れ、なんとか立ち上がって天鎖斬月を構える。

 

バウスはダメージから回復していない俺を好機と見たらしく、両の拳に紫色の光――おそらく冥力――を纏わせて地を蹴り、俺に向かって突進してきた。

 

俺は向かってくるバウスに剣を大上段に振り上げ、霊力を解放すると同時に一気に振り下ろす。

 

「月牙天衝!!」

 

空を走る黒い斬撃の波動。

 

しかしバウスはそれを見ても怯む事無く突っ込み、光を纏わせている拳を月牙天衝に叩き込んだ。

 

バジュッ!!

 

黒い斬撃は禍々しく輝く拳によって霧散する。

 

「くっ!」

 

予想はしていたが、充分に力を込める事が出来なかったとはいえ、卍解しての月牙天衝をあっさりと破られた事に俺は悔しげに呻き、更に突進してくるバウスに対して天鎖斬月を構え、迎え撃つ体制をとる。

 

力比べで適わないのは百も承知しているが、何発もくらったボディブローのダメージで足元が覚束無くなっている今の状況で、瞬歩を使って避ける事も、跳んでやり過ごす事も出来そうになかった。

 

「ハウリングドプレッシャー!!」

 

吉波から聞いていた奥義の名を叫び、バウスのラッシュが始まる。

 

「・・・っ!」

 

嵐の様な連打となって襲い掛かってくる左右の連打を、俺は力に対して力を込めた防御をせずに、避けられない拳打は側面に天鎖斬月の刀身を当てて受け流し、避けられるものは避けていく。

 

そうしてラッシュをいなされているのに焦れてきたのか、バウスの攻撃が段々大振りになっていき、連打の回転が遅くなっていく。

 

「・・・っ!」

 

ギリッと俺にまで聞こえる程に強く歯を噛み、バウスは右のフックをこれまで以上の大振りで振るってきた。

 

その一撃も俺は冷静に対処し避ける。

 

だが次の瞬間。視界内に入れていたバウスの拳が突然『消えた』。

「!?」

 

突然の事態に拳打の一撃をかわそうと動いていた俺の頭と体が刹那硬直する。

 

そして――

 

ゴッ!!

 

バウスの右拳が俺のこめかみに直撃した。

 

俺の体が横に弾かれる様に吹っ飛ばされ、激しく脳が揺さぶられる。だがそれだけじゃなく精神的なダメージも大きかった。

 

(何でだ!どうやって拳を消したんだ!?)

 

拳打の衝撃とパニック。脳の外と内が揺さぶられ、五感の情報が一瞬シャットアウトされる。

 

それは完全な無防備状態。

 

当然バウスがその隙を見逃す訳がなかった。

 

ガッ!ドスッ!バキッ!ゴッ!

 

追撃のラッシュが俺の体に次々と叩き込まれ、最後に腕をクロスさせた状態で首を掴まれる。

 

(・・・そうか)

 

首を掴んだ手が視界の外に出て、手首から先が切れた様に見えた事で、俺はさっきの消えたフックの謎が解けた。

 

大柄でリーチも長いバウスが接近して巻き込むような大振りのフックを放った場合、拳は視界の外側へと入りこみ、対峙している相手には拳が消えた様に見えてしまう。

 

ダメージが足にきていて動けなかった俺と、ラッシュがあたらず徐々に大振りになっていったバウス。この二つの要点が重なった結果だという事だ。

 

尤も。バウスがこうなるのを意図してやったのか、それとも偶然こうなったのかは分からないが。

 

そんな俺の考えがまるで走馬灯のように流れていく。

 

そして――

 

「ガアァッ!!」

 

バウスの咆哮と共に――

 

ズガアァァァン!!!

 

拳に纏わせた冥力を解放し、強烈な爆撃を叩き込まれた。

 

苦痛の呻きを爆音に掻き消され、俺は蹴鞠の様に宙に放り出された後に碌に受け身もとれないままで床に打ち付けられた。

 

「がはっ!」

 

全身に感じる痛みに耐えて俺はすぐに立ち上がろうとしたが、足も手も力が入らずにカタカタと震え、まるで奴に跪くかの様に這う姿勢でいることしか出来ずにいた。

 

爆発が起こる刹那。俺は吉波に聞いていた霊圧を瞬間的に解放する防御法でなんとかダメージを軽減してはいたが、それでもすぐに立ち上がる事が出来ない程のダメージを負わされていた。

 

「往生際が悪いぜ」

 

四つん這いになった俺を見下ろしてバウスは呆れた様に言い、掌に紫色の火球を生み出す。

 

「いい加減にくたばっちまえよ」

 

そう言って腕を振るい火球を投げ放つバウスの姿が、俺には酷くゆっくりに見えた。

 

(動け!動け!動けぇっ!!)

 

迫り来る火球を前に俺は必死になって叱咤するが、体がそれに応えてくれない。

 

――もう駄目か――

 

頭の片隅でそんな言葉が過ぎったその時――

 

ガシャアァァァン!!!

 

天井に張られているステンドグラスを思わせる色彩豊かなドーム状のガラスが割られ、其処から一筋の『光』が俺に迫り来る火球目掛けて一直線に向かっていく。

 

そして――

 

ザンッ!!

 

『光』は火球を両断し、俺を護る様に俺とバウスの間に降り立った。

 

眩く輝く『光』に俺目が灼かれると思い咄嗟に目を閉じるが、その『光』から発せられる輝きは目を灼く様な強い感じはせず、どこか優しい暖かみを感じる輝きだと気付き、俺はゆっくりと目を開く。

 

開かれた視界の先。

 

其処には体全体に白銀の光を纏い、翼の大剣。エクセリオンブレードを携えた吉波が、俺を護る様にバウスの前に立ちはだかっていた。

 

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