龍の軌跡 第一章 BLEACH編   作:ミステリア

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どうも。ミステリアです。

まず最初にすいません。大変お待たせしてしまいました。

最初にこの話を書き始めた時には、書くのを凄く楽しみにしていた最終決戦ですが、何故かモチベーションが全く上がらず、結果。過去最大レベルの不調となってしまいました。

始めは一話で最終決戦を全て書こうと思っていましたが、二話に分けることになりました。

本当にすいません。

次は何とか早めに書いて投稿しようと思っています。

では、どうぞ。



第三十九話

 

――三人称サイド――

 

「お前もしぶといな。まだ生きていやがったか」

 

口の端を歪めて挑発するかのように嘲りを込めて言うバウスに対し、龍一郎は何の反応も返さずに四つん這いに這う様にしている一護を流し見た後に、視線をバウスに戻しエクセリオンブレードの切っ先を右下に下げた下段の構えで、地を踏みしめる足。特に蹴り足の親指に力を込め、いつでも踏み込める体勢を作る。

 

「一つ聞きたいんだが、その力。どこで手に入れた?」

 

龍一郎に応える様に拳に冥力を込めて構えるバウスは、声のトーンが下げて唸る様に問い掛ける。

 

「素直に言うと思うか?」

 

挑発じみた龍一郎の返答にバウスはふっと口の端を上げて「それもそうだな」と返した後に、「それなら力付くで聞かせてもらうぜ」と言って冥力を解放し、戦闘態勢を整える。

 

「・・・上等」

 

ドンッ!!

 

龍一郎が答えた刹那の後に爆発音にも似た両者が地を蹴る音が響き、互いの間合いにまで接近した。

 

そしてバウスは自らの体重を乗せ、冥力を纏わせた右拳の打ち下ろしを。

 

龍一郎は切っ先を下げている天力を込めたブレードを、一気に左に切り上げた。

 

自らの長身と重量を生かしたバウスの打ち下ろしと、龍一郎の切り上げ。

 

どちらが有利なのかなどいうまでもなかった。

 

だが――

 

ギァンッ!!

 

鈍い金属音と共に弾かれたのは、バウスの右拳だった。

 

「なっ!」

 

うち負けるのは予想外だったのか、バウスの表情が驚愕に染まる。

 

その動揺から生まれる隙を逃さず、龍一郎は返す刀で逆袈裟に斬りつける。

 

ザンッ!

 

「っ!」

 

今までよりも更に高められたスピードで繰り出された斬撃をその身に受け、バウスの顔が苦痛に歪む。

 

一方龍一郎は、まともに一撃を当てた事に良しとせず、追撃にブレードを左に薙ぐ一閃を見舞う。

 

ギィンッ!!

 

だが響いた音は刃が肉を斬り裂く音ではなく、刃と刃がぶつかり合う甲高い金属音。

 

「・・・ちっ!」

 

小さく下を打った龍一郎の視線の先。其処にはブレードの刀身を受け止めるバウスの左腕から生えた刃があった。

 

だが両の手で振るった斬撃を片手で完全に受け止める事は出来ず、バウスの身体が僅かにだがよろけ、体勢が崩れる。

 

龍一郎は其処を見逃さず、一歩踏み込んで渾身の刺突を放つ。

しかしバウスは大きく後ろに跳んで距離を取り、龍一郎の放った刺突は空を突く結果に終わった。

 

間合いを開けたバウスはギリッと鳴る程に奥歯を噛み締めて、龍一郎に怒りと苦渋を綯い交ぜにした目を向けていたが、噛み締めていた力をふっと緩めて口の端を僅かに上げて口を開く。

 

「成る程な」

 

「何がだ?」

 

納得した様子で言うバウスに、龍一郎が問う。

 

「お前のその力の正体さ」

 

断言したバウスの言葉に、龍一郎の眉がピクリと動く。

 

「瀞霊廷を覆っている天力による結界。その媒体となっているこの場にある珠から力を吸収したな」

 

無言を貫く龍一郎に、バウスはまっすぐに目を見て続けた。

 

「おそらくこの場にあった媒体の珠に込められた天力の属性と、お前の持つ才牙の属性は同じ『光』だな。だからこそ才牙と珠が共鳴し力を取り込む事が出来たんだろう?」

 

問うというよりは確認をしているかの様に聞くバウスに、龍一郎は口の端を上げてふっと笑って「ご明察だ」答えた。

 

「吹っ飛ばされた先に天力珠がなければ、今こうやってお前と対峙することは出来なかった」

 

「上に飛ばしたのは失敗だったな」

 

自らの愚を悟るバウスに、龍一郎は挑発の意を込めて「そうだな」と認める。

 

しかしバウスはその挑発に乗らず、先程までは無かった余裕の光を眼に宿して「だが、タネが割れれば何て事はない」と投げかける。

 

「どういう意味だ?」

 

眉をピクリと動かして問う龍一郎に、バウスは「お前だって分かっているんだろ」と歯を剥き出しにして邪悪な笑みを向けて続ける。

 

「天力珠から力を吸収し、力を増幅させたのは確かに予想外だった。だがいいのか?結界を作っている天力珠の力を貰って?」

 

「やっぱり気付いたか。頭の回るお前なら何時かは気付くと踏んでいたけど、思ったよりも早かったな」

 

バウスの指摘に龍一郎はふっと苦笑して、その指摘が的を射ている事を認めた。

 

バウスの言う通り、龍一郎は天力珠から力を得て今の状態となった為、頭上にある天力珠に蓄えられた天力は著しく減少している。

 

それはつまり瀞霊廷に張られている結界の力が弱まっているということだ。

 

実は龍一郎は知らなかったのだが、中央にある天力珠の力が弱まったのを感じ取った東西南北の門に設置された他の天力珠が弱まった力を補い合っていたのだ。

 

しかしそれはあくまで一時的な時間稼ぎにしかならず、結界が消え去る時間を遅れさせただけに過ぎない。

 

結界を持続させる方法はただ一つ。龍一郎が貰った天力を天力珠に戻すのみ。

 

その為、龍一郎が今の状態でいられるのには時間制限が存在する。

 

当然龍一郎もその事を十分に承知している。

 

だからこそ龍一郎は一番隊執務室で戦った時の様にスピードを用いて翻弄する戦い方ではなく、強化された力で正面からねじ伏せる戦い方に。

 

尤も。それこそがバウスに違和感を与え、龍一郎の力の正体を見破る切っ掛けとなってしまった可能性は否めないのだが。

 

「いいねぇ。精々楽しませてくれよ」

 

バウスは狂喜の笑みを浮かべて両の拳に冥力を纏わせる。

 

どうやら力で押し切ろうとする龍一郎に対して離れて逃げに徹し、時間を稼ごうとはせずに、同じく力で真正面から迎え撃ちねじ伏せる戦い方を選んだらしい。

 

「意外だな。俺に付き合ってくれるとは思わなかったぜ」

 

「なぁに、ようやく楽しくなってきたんだ。時間切れを待つのなんざ勿体無ぇぜ」

 

感心と驚きを綯い交ぜにして言う龍一郎に、バウスは笑みを浮かべたままで口の端をペロリと軽く舌で舐めた。

 

そして龍一郎はいつでも地を蹴れるように足に力を込めて、ブレードの切っ先を右下に下げた下段の構えを取り、バウスは自らの冥力を更に高め、両の拳を堅く握る。

 

――ドンッ!

 

炸裂音を響かせ一気に地を蹴り、龍一郎が飛燕の如き速度で一直線にバウスに向かい、間合いの中に入り込んだ。

 

ゴゥッ!

 

その刹那。重い風切り音を立ててバウスは自らの体重を乗せた右の打ち下ろし放つ。

 

だが龍一郎はその右拳が放たれるよりも速く更に一歩踏み込み、エクセリオンブレードを左に切り上げ、バウスの打ち下ろしの拳にぶつけた。

 

ギィィンッ!

 

甲高い金属音にも似た音が響き渡る共に火花が飛び散り、衝撃が2人の身体をビリビリと震わせる。

 

だが双方の体が弾かれる事は無く、互いにその場に体を残す。

 

否。ぶつけ合ったその瞬間。僅かに、しかし確実にバウスの巨体がぐらついた。

 

だがバウスは崩れた体を即座に立て直し、ブレードとぶつけ合った事で散った冥力を拳に再び纏わせて半身になって構えた。

 

構えたバウスに龍一郎は追撃の袈裟斬りを見舞うが、その一撃はバウスの腕から生える刃によって受け止められる。

 

(体勢を立て直す時間が速い。下半身が強靭な証拠だ。ならどうする・・・どうやって体勢を崩す・・・)

 

ボッ!

 

お返しとばかりに放ってきたバウスの右ストレートを半歩右に動き、最小限の動きでなんとか避けながら、龍一郎は必死に頭を回転させてバウスを倒す一手を確実に当てる方法を考えていた。

 

そしてそれはバウスも同じ考えでもあった。

 

双方共に相手を倒せる必殺の一手。すなわちゼノンウィンザードとハウリングドプレッシャーを確実に当てる為、相手の体勢を崩す攻撃を当てる事に。そして相手のその攻撃を避ける事に全ての思考を巡らせ、全神経を集中させていた。

 

現在の状況は僅かだが龍一郎に優位となっていた。

 

それは、龍一郎がバウスの打ち下ろしの拳に斬撃をぶつける前に踏み出したたった一歩の踏み込みによって引き込んだものだった。

 

最初にバウスの間合いに入り込んだ時点で、バウスにとって一番パンチに体重を乗せる事の出来る距離。つまり破壊力が最大値となる距離で一度足を止め、バウスに拳を打たせる。

 

その瞬間に更に一歩前に踏み込む事で、斬撃と拳打がぶつかり合う場所を自らにとって有利な場所にしたのだ。

 

いくら巨躯で体重もあるバウスの打ち下ろしであろうと、腕の伸びきらない状態でぶつければその破壊力を何割か減らす事が出来る。

 

バウスが体勢を崩した理由は其処にあった。

 

破壊力を削られた打ち下ろしと、蹴り足の捻りと腰の回転と共に放った切り上げ。

 

どちらが上回ったかという明確な結果だ。

 

元々ボクシングを学んだ事のある龍一郎は、相手との距離を測り戦う事の重要性を知っていた。

 

だが執務室での戦いではバウスのリーチの長さとパワーを警戒し、それらを封じる戦い方を選び敗北した。

 

それを教訓に今回は得物がエクセリオンブレード一択ということもあり、龍一郎は自らの力を最大限にまで高め、相手の力を最小限にまで下げれる空間を作り上げ、正面からのぶつけ合いを選んだのだ。

 

無論バウスも自らの力が思い切り振るえない土俵に引きずり込まれた事は察しており、この状況を打開する簡単な方法も知っていた。

 

下がればいいのだ。

 

龍一郎から半歩でも後ろに下がって距離をとれば、自らの力を最大限に振るう事が出来るようになり、パワーの差で一気に優位に立てることができる。

 

だがバウスはそれをしなかった。否。出来ないのだ。

 

僅かでも後ろに下がって距離をとれば、龍一郎は一気に突進して再び距離をつめて一撃を見舞ってくる。

 

それも突進の勢いを加えて威力を増した、体勢を崩す可能性の高い一撃を。

 

いくらバウスといえど、凌げるかどうか分からない威力の高いその一撃を受けよういう考えは起きない。

 

もしその一撃を受けきれずに体勢を崩せば、間髪入れずにゼノンウィンザードを放ってくるのが分かっているからだ。

 

そうなるとバウスのとれる行動は、龍一郎に有利なこの距離で打ち合い、打ち勝つこと。この選択肢しか存在しなかった。

 

「・・・っ!」

 

幾重にも張られた伏線に見事に嵌められ、その怒りにギリッと鳴るほどに歯を噛み締め、バウスは拳を握り冥力を纏わせる。

 

「オオォォォッ!!」

 

「アアァァァッ!!」

 

互いに咆哮を上げて振るうバウスの拳と、龍一郎の斬撃がぶつかり合い――

 

ガギイイィィィッ!!!

 

凄まじい衝撃音がドーム全体の大気をビリビリと震わせた。

 




感想を書いてくれたロフトさん。そしてこの小説をお気に入りに登録してくれた読者の皆様。

本当に有難うございます。
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