「よ、ようやく追い詰めましたよ…ゼェ…」
「むー、お姉ちゃんしつこいなー」
今私はこの女の子を捕まえに来ていた、何故追いかけていたかというと、この子が私の大切なものを持って逃げたからだ。
マスターには後でちゃんと謝ろう…怒るだろうなあ…
「さあ、返して下さい」
「わたしはいらないけどそう言われると逆に返したくなくなっちゃうなあ…」
「なっ!そ、そうだ!じゃあ私のこんぺいとう半分あげます!それでどうですか?」
「半分?全部の間違いでしょ?」
「そんなぁ!」
そんな…私が楽しみにとっておいたこんぺいとうが…
「ほらさーん、にーい、いー…」
「わかりました!わかりましたよ!…はい、これです…」
「お姉ちゃん、ありがとう!じゃあ返すね」
返ってきて喜んだのも束の間、何ということでしょう!所々に穴が開き、もはや原型をとどめていないではありませんか!
「ちょっと!ボロボロになってるじゃないですかあ!やっと見つけたのにぃ…」
「泣いてるの?お姉ちゃん、泣いてる姿もとってもかわいいわ!ね、アリス?」
「ええ、とってもかわいいわねありす。
でもお姉ちゃん、それは最初からボロボロになってたわよ?」
そんなはずは…ん?あれはたしか…私がマスターに召喚されるちょっと前のこと…
〜〜〜
「ちょっと○○○!今回は協力プレイだから投げるのはナシって言ったのはそっちですよ!?」
「ナシといったなあれは嘘じゃ!ふん、人斬り風情が正々堂々を語るとは...腑抜けたものじゃのぅ?」
「この...いいですよ!もうあなたが泡になっても割ってあげませんからね!」
「へへーん、ワシの引き立て役の癖に調子に乗った罰じゃ!一生泡になっておれ!…あ」
「あ!あとすこしだったのに!もうすぐでクリアだったのに!あなたという人はいつもいつも…今日という今日はもう許しません…このプリン私が食べてやります!」
「な!それは限定品でワシは徹夜で並んで買ったのじゃぞ!…よくも…覚悟せい!」
「というか私がいないと何もクリアできないとかゲーム下手くそすぎワロタ」
「利用されてることにも気づかないでノコノコゲームしにくるとかアホすぎワロタ」
「「…………。」」
「「この野郎!」」
〜〜ケンカ中(殴り合い)〜〜
「あ!何処かで私を呼んでる声がします!」
「逃がさぬ!食べ物の恨みは怖いんじゃ!○○○○!」
「なっ…こんな所で宝具を…早く行かなくては!とうっ!」
〜〜〜〜
はっ!そういえばマスターに会う前に宝具を喰らってしまったような…まさかその時に?
おのれ…どこまでも私の邪魔をして…次会ったらボコボコにしてやります…
「「バイバイお姉ちゃん、こんぺいとうありがとね!」」
はあ…これどうしましょう…このままでは本来の性能が発揮されません…
取り敢えずマスターの所に戻るとしましょう…
〜〜〜〜
「おかえりセイバー、大切なものをありす達に返してもらえた?」
「え、ええ…こんぺいとうと引き換えに返してくれました、すみません…折角マスターがプレゼントしてくれたのに…」
「気にしないで、あれくらい何時でもプレゼントするよ。ところで、返してもらったものは?」
「あ、あれは少々汚れてしまっていたので桜さんに洗濯してもらうよう頼みました」
(汚れるどころか穴だらけのボロボロですが...直せるらしいのでよかったですが)
「そうか、ならよかった、それでセイバー。
ヴォーパルの剣ができたらしくてさ、これを使えるのはマスターだけらしい。
そこら辺を踏まえて作戦を立てよう」
「はい!頑張りましょうね、マスター!」
「……ところでセイバー」
「はい?何でしょうか?」
「…今俺はね、とても怒ってるんだ。
どこかの誰かさんに麻婆をたらふく食べたお腹を揺らされ挙げ句の果てには置いていかれる、何てことがあったおかげで俺はどうなったと思う?」
「さ、さあ?ど、どうなったんですか?」
「……ゲロを吐いてしまったんだよ、事もあろうに女の子の前でね。
これがラニだから何も言わなかったものの遠坂の前だったらどうなっていたと思う?…俺は確実にゲロ波くんと呼ばれていただろう…」
「だ、誰でしょうねぇ〜、ゲロを吐くまで走らせる人なんて私には分かりませんねぇ……テヘッ♡」
「セイバーぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
「ごめんなさぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!!!!!!」
〜〜〜〜
…いつも俺はこれまでの戦いでは相手が強大だったからこそ必死にマスターとして戦えた。
だけど…今回は立場が逆だ。
ダンも、シンジも、自分などより遥かに聖杯に近い願望を持つ者だった。
…ありすは自ら聖杯戦争に飛び込んだわけではない、彼女にとっては絵本の中の物語のようなものなのだ
「マスターは優しいですから、あんな小さな子は倒せない…など思っているのでしょうね」
「…俺にはあの子たちが敵意を持って襲って来たとは思えないんだ、ユリウスのような殺気をまるで感じなかった。
まさか、本当に遊びのつもりで襲ってきたんじゃ…」
「無垢な子供の遊びほど残酷なことはありませんよ、マスター」
「でも…」
「マスター、お気持ちは痛いほど分かります。…ですがあなたはこれまでの戦いで一体何を学んだのですか?
命を奪った相手に恥じない戦いをするのでしょう?なら覚悟を決めてください」
…そうだ、自分は教わったばかりじゃないか。
なのに相手は小さい子供という理由で俺は戦うことから目をそらしていただけじゃないか。
「よかったです…あ、そういえばマスター、いろんな戦いがあったので私経験値が結構たまっているのですが」
「いつもセイバーには支えてもらってばかりだな…本当にありがとう、じゃあ明日は教会にいってから決戦場へ行こうか」
「そうですね、早く元のステータスに戻りたいですし」
そうだった、セイバーのステータスが低下しているのは俺のマスターとしての才能が乏しいからだ。
こんな自分に文句一つ言わずについて来てくれるセイバーに改めて感謝する。
「明日勝とうね…セイバー」
「はい、一緒に生き残りましょうね!マスター!」
何度も交わした決戦前のやり取り。
もう彼女たちを倒すことに迷いはない、といったら嘘になるがセイバーの言う通り俺は命を奪った相手に恥じない戦いをすると誓った
例えこの手が汚れるしてももう後戻りはできない、明日自分が生き残るために俺はあの少女達を…殺す。
今回でてきたセイバーと一緒にゲームしていたのは誰なのか...
モロバレでしょうけど心の中に秘めておいてください