桜セイバー in Fate/EXTRA   作:日向辰巳

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ランルー君の話し方が読みにくいかと思います


二十三話

くっ…もう手持ちの宝石がきれる、まさかこんなに堂々とマスター狩りをする奴らがいるなんて….

 

「このッ...ガンド!」

 

ガンドは私が一番最初に覚えた得意魔術で比較的燃費もよく使いやすい魔術だ

だがその魔術はいともたやすく切り裂かれる、たしかに一時的な時間稼ぎを目的とした一撃でそこまで魔力は込めていなかったがこんなにあっさり潰されるとは思ってもみなかったし、ショックでもあった

 

「フハハハ!粘るな小娘!…だがサーヴァントを呼び出さないとはどのような了見だ?」

 

「くっ…」

 

「置いていかれたか…では憐れみをくれてやろう」

 

「ごめん白野くん、私、先にいくわね...」

 

目前に槍が迫る、できればラニにだけでもこの事を伝えて逃げて欲しかったけどそれすらも出来なかった。時間稼ぎも出来ないなんて私はまだまだ未熟だ…諦めかけたその時私の前に立ちふさがる人がいた

 

〜〜〜〜

 

体育館を出て保健室へと急ぐ、ここからなら裏口に回った方が速いはずだ

それに保健室には遠坂達がいる、ランサーが来てしまったら流石の二人でもサーヴァントがいない状態では太刀打ちできないだろう

そして廊下を走っていく、その先に揉み合っているランサーと遠坂がいた

今にも殺されそうになっていた遠坂を見た瞬間、俺は走り出していた

 

「マスター!?待って下さい!」

 

セイバーの言葉も耳に入らず遠坂の元へ走っていく、殺させるものか絶対守ってやる!

 

「ではな小娘、せめてひと思いに殺してやろう」

 

前に出る、英霊相手に防御なんて無いも同然だがやらないよりはマシと判断し最大まで両腕を魔力で強化し相手の槍を防御する...

 

「ぐ、ぐうあああああああ!」

 

防御した筈の両腕が豆腐のように容易く貫通され心臓に達する寸前で止まる、奴があと少しでも力を入れていたら俺は死んでいた...

 

「なに?新手か…フハハハ!やるではないか小僧!両腕を犠牲にしてまで娘を守るか!」

 

「はあああっ!」

 

その瞬間、セイバーの突きが炸裂しランサーを吹き飛ばす、だが運悪く鎧に当たり突きの威力が軽減されてしまった

そしてこの状況は最悪だ、遠坂を助けるためとはいえ両腕が使い物にならなくなった、骨まで完璧に砕かれてしまいもう腕が上がらない、サポートなど全くできない

…でもここで退くわけにはいかない、ここで退いたら凛が死ぬ、例え死んでも退くものか!

 

「はあ...はあ...相手を間違えるなランサー

お前の相手は俺たちだ!」

 

「フフ、フハハハハハハハ!善い!善いぞ!妻よ!見よあの極上の供物達を!

その曇りなき気高き瞳には空に浮かぶ月すら霞む!ああ、俺は其方達を貫かずにはいられない!何故なら一一一そう、お前達は美しい。

愛ゆえに!俺はお前達が愛おしい!愛するが故にお前達を殺したくて仕方がない!

今ここで血祭りを繰り広げてもよろしいか!?我が妻よ!」

 

「…白野さん」

 

「駄目よ、ラニ

私たちは令呪を剥奪されている、正当防衛ならともかく表立ってこの戦闘に介入すれば運営がどう動くかわからない」

 

「しかし…」

 

「白野くんなら大丈夫よ、あいつはこういう時は強いんだから…」

 

 

「セイバー…魔力は回す、何とかあいつに勝ってくれ」

 

「もちろんです、後でマスターにこんぺいとうを買ってもらうためにもここで負けるわけにはいきませんからね!」

 

…そういえば後で何か罰を受けるんだった、色々ありすぎてすっかり忘れてたけどこんぺいとうって…

まだありすの事根にもってたんだな、セイバー

 

そして英霊同士の戦いが始まる、ランサーはあの少女の言っていた通り動きが鈍く敏捷においてはセイバーが圧倒的に有利だった、がランサーは凛のアーチャー以上に防御に関しては上手かった。なるほど、これなら多対一で戦えたことにも納得がいく

 

(懐に入り込めない…こんなに狭い所であんな長い槍は振るいにくいはずなのに…)

 

「フハハハ!なめるなよ小娘!貴様等を我が妻に捧げるまでは我は倒れん!そして貴様の頼みは敏捷だな?…ならばそのスピード、封じさせてもらう!」

 

いきなりランサーがセイバーから狙いを外しこちらへ突進してくる、俺は動けない、動けたとしてもこの狭い廊下では逃げ場がない

 

「させません!うっ…」

 

「フハハハハ!さあさあさあ!気を抜くなよ!抜くと愛するマスターが串刺しだぞ!」

 

今のところセイバーは何とか捌いているが自分達が足手まといになっている所為で得意のスピードが生かせていない、このままでは…

 

「キミノサーヴァントモガンバルネ

…キミ、彼女ノコト好キ?」

 

いつの間にか背後に敵マスターがいた、自分に話しかけてきているが突然なにを…

 

「彼女、キミノコトヲマッスグ見テル

キミノタメニアンナニ傷ツイテ、キミヲ守タメニアンナニボロボロニナッテ…マルデ命クチハテルマデ戦イツヅケルカノヨウニ」

 

「耳を貸さないで下さい!こいつらは敵です!敵の言うことなんか…がはっ!」

 

「懐ががら空きだぞ?セイバー!」

 

セイバーが殴り飛ばされる、耐久が低いこともあってかなりのダメージを受けている

ランサーもダメージは受けているがまだまだ戦闘を続けるだけの体力は残っているだろう

 

「ランルー君モネ、愛シテルモノアッタンダ

イチバン愛シタノハランルー君ノベイビー

小サクテ柔ラカイトッテモカワイイベイビー

ダケドモウイナイ、ランルー君ガ愛シタモノハミンナ無クナル…

…ゴチソウ無クナルノトテモ悲シイ」

 

いなくなった…?そういえば彼女はお腹がすいたとも言っていた、まさか…自分の子を…

 

「ケヒャヒャ!オ腹ガスイタラ悲シクナルヨ、ゴチソウノナイ世界ナンテツマラナイ

ダカラランルー君ハ聖杯ニオ願イスルンダ

世界中ノミンナノコト好キニナレマスヨウニッテ、ソシタラゴチソウイッパイ食ベラレル」

 

「何と美しい!その姿にこそオレはかつて失った愛を見た!愛がなければ生存できぬ!

愛を求めてもがき続ける!

これほど純粋な殉教を貴様らは狂っているなどとほざくのか!」

 

倒れているセイバーに向かって槍を突き付ける、そしてセイバーに駆け寄る暇もなく…セイバーは胸を貫かれた

 

「すみません……マスター……」

 

「…セイバー…?セイバーぁぁぁ!!!!」

 

セイバーとの魔力の繋がりがどんどん薄くなっていく、自分が死んでしまうことより大切な人を失う方が何倍も辛い、セイバーを失った痛みで目から涙が溢れて止まらない

 

「ふはは!待っているがいい妻よ!其方の満たされぬ腹にようやく肉が戻るのだ!」

 

そして俺にもランサーが近寄ってくる、 串刺しにしようと追い込んでくる…望むところだ、セイバーを失ったからと言って絶望して背を向けて死ぬなんてあり得ない

死ぬというのならせめて真っ向から貫かれて死んでやる!

 

「岸波くん!セイバーはまだ生きてる!今すぐ治療を施せばまだ間に合うわ!」

 

この声は…凛?セイバーが、生きてる?

よかった…生きていてくれた、そしてセイバーが生きているのなら俺が死ぬわけにはいかない、全力で頭を回転させ、最善の策を考える

 

「ふん、運良く致命傷は避けたようだな…だが治療などさせるわけがなかろう、ここで貴様を殺して終わりだ!」

 

このままでは俺は死ぬ、でもセイバーは死んでいない、生きている、治療をすれば治るらしいが腕は負傷していて回復のコードキャストは使えない

だが俺にはもう一つだけ使える魔術がある!

 

「セイバーのマスター 岸波白野が令呪をもって命ずる!全快しろ!セイバー!」

 

「ぬぅ!?しまっ…ぐ!?」

 

その瞬間、ランサーの腕が宙を舞う、そして丸腰になったランサーにセイバーは斬りかかる

 

「…その首貰い受けます!」

 

セイバーは鎧に覆われていない首を狙い容赦なくランサーの首を斬り落とした、ギリギリだったが何とか勝てた…

 

「公爵死ンジャウノ?ジャア食べナイト…

トッテモ悲シイケド食べナイト…」

 

「(……食べる食べると望みながらその実倒した相手をひと口もしなかった哀しい女よ…正気を失いながらもまだ其方は人間だった、この身は貴女に愛される資格がない、それではしばしのお暇をいただこう…)」

 

この戦いで俺は流石に無茶をし過ぎてしまった、もう立っているのも辛く目眩がしてくる、セイバーが駆け寄ってきている

そして相手のマスターが消滅した事を確かに確認して…俺は地面に倒れこんだ

 

「本当にお疲れ様です、マスター、ゆっくりおやすみください」

 

そう言って優しく抱きしめてくれたセイバーの目にはとめどなく涙が溢れていた

 




令呪はこんな風に使っても大丈夫ですよね?
まあ独自設定ということにすれば何とかなるか…

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