桜セイバー in Fate/EXTRA   作:日向辰巳

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二十六話

決戦日は明日…少しでも情報を得るために俺たちは図書室へ来ていた、そして何か掴めたら、と思って本棚を見ていたら向こうから何者かの気配がした

 

「こんにちは」

 

不意に現れたのはレオだった、何か用でもあるのだろうか?

 

「いえ、特に用はありません、ただ今のうちにお別れの挨拶をしておきます、白野さん」

 

「...お別れ?」

 

「はい、貴方の次の相手が兄さんだと聞いたものですから…貴方では兄さんには勝てない、ですからお別れの言葉を」

 

兄さん?ユリウスのことだろうか?

 

「おや?ご存じない?僕と彼は腹違いの兄弟なんです、貴方とは偽りとはいえ友人でしたので一応ご挨拶をと思いまして」

 

「随分と言ってくれるな、こちらにしても簡単に負ける気はない

…それに勝負に絶対なんてものは無い」

 

「それはそうですね、彼とて絶対ではありません...もし兄さんが敗北するならその時は不運だと思いましょう、ただ純粋に、彼には運がなかったと」

 

肉親に対して随分と冷たい態度だ、レオはユリウスの勝利を願っているんじゃないのか?

「僕の中では彼の勝敗で揺れ動くものは何もありません、最終的にこの戦いで勝ち残るのは僕なのですから、今ひととき彼の生を祈ってどうするのです」

 

「レオ…それは」

 

その瞬間首元に剣が突きつけられる…速い

まったく目で追えなかった、このままでは殺されてしまうかもしれない、ここで退いた方がいいのかもしれない、だが俺はここで退くことなどできない

 

「...目的達成のためなら実の兄すら手にかけることもためらわない、それはあまりにも感情がないんじゃないか」

 

「ですがそれは無意味な死ではありません、兄さんは僕が世界を統治するための礎になります...それは人々にとって揺るぎない成果でしょう…ガウェイン、剣を納めなさい」

 

「…はい」

 

…これがレオの考え方…世界に君臨することを約束された王者の思想

ユリウスは何を思ってこの戦いに参加しているんだろうか...

 

〜〜〜〜

 

「白野くん、私とラニで話し合ってみたけどユリウスのサーヴァントの透明化を破る方法なら一つだけあるわ」

 

あるにはあるのか、ならばその方法を教えてもらうしかないだろう、どうせ自分が考えても何も出ないのだから凛たちの考えを使わせてもらうしかない

 

「まずは透明化のスキルについて、可能性は三つよ、一つは宝具を使って周囲に同化している

二つ目は魔術を使って透明化している

三つ目は集中力に依存して気配を遮断している、この三つだと思う

それぞれの能力に反応する三種類のトラップを作ったからあなたに預けるわ」

 

「何から何までありがとうな、遠坂」

 

いつも凛には助けてもらっていて感謝してもしきれないな、そんなことを思っているとラニが話しかけてきた

 

「白野さん、私からもこれを

…目くらましのようなものです、一時的なものなので数秒しか持ちませんが」

 

「充分だよ、ありがとな、ラニ」

 

二人にここまでしてもらったんだ、明日は負けるわけにはいかない、相手の情報がない戦いは初めてだ、相手がどんな攻撃をしてくるのかもわからない、セイバーと明日に向けての作戦を考えなければ

 

〜〜〜〜

 

決戦への準備は整った

相手のサーヴァントの透明化を封じる算段もついた、後は純粋にマスターとしての能力とサーヴァントの力比べとなる

 

「………ふふ」

 

「どうしたんだセイバー?今の作戦、何かおかしいところでもあった?」

 

ふとセイバーを見てみるとセイバーは穏やかな表情で微笑んでいた、あれは喜び…というより満足げな表情だろうか、何か眩しいものを見るような目でこちらを見ていた

 

「いえ、どこもおかしいところはありませんでしたよ」

 

ならどうして...はっ!まさか制服のズボンのチャックが全開になっているとか?

…いや、なっていない...よかった、ならなんで微笑んでいたのだろうか

 

「マスター、いい顔をするようになりましたね今の貴方の目には覚悟が感じられました...もう貴方は一人前です。

...頃合いですね、マスター

私は次の戦いで全てを出しきります、切り札を温存するのはここまでです」

 

全てを出し切る、それはつまりサーヴァントの切り札の宝具を使用する、ということだろうか、だがセイバーは宝具を何処かに落としたと言っていなかったっけ?

 

「はい、ですがそれも見つかりました、使用のタイミングは任せます...お手を、マスター」

 

手を握った瞬間、セイバーの魔力が流れ込む、この宝具は...

 

「ですが勘違いしないで下さいね、宝具があろうと勝率は五分かそれ未満…というところでしょう、勝敗は一瞬で決まります」

 

「セイバー...君は...」

 

「…私のことはこの戦いに勝てたらお話します、今は目の前の戦いに集中してください」

 

そうだ、セイバーの宝具に驚きはしたがまずはユリウスとの決戦にだけ集中しよう

...次は負けない、こちらの全身全霊をもってあの暗殺者を打倒する!

 

〜〜〜〜

 

「ようこそ、決戦の地へ。

身支度は全て整えたかね?」

 

「ああ、開けてくれ」

 

「いいだろう、若き闘士よ、決戦への道は今開かれた」

 

そしてエレベーターに乗り込み、決戦場へ向けての準備をする、するとエレベーターの明かりがつき、目の前にユリウス達が見えた

 

「ほう、あれだけ痛めつけられていてまだ闘志は萎えておらんか

それに覚悟を決めた顔をしておる、呵々、あの情けない顔をしていた小僧がよくぞそこまで腕をあげた!」

 

「アサシン、無駄口は...」

 

「許せユリウス、儂の対戦相手はみな一撃で沈んでしまったゆえな、立ち上がってくる者を見ると気分がいいというものよ!

…ところでそちらのマスターは何か我が主に言いたいことでもあるのではないか?」

 

…そうだ、俺はユリウスに言いたいことがある

 

「ユリウス、お前は誰のために戦っているんだ?」

 

「……なんだと?ふざけたことを問うな、レオのために決まって……」

 

「それは違う」

 

そう、最初は俺もレオへの忠義心で戦っていると思った、だがそれは違った

 

「お前の虚ろな目にはレオは映っていない、どこか遠い違う場所を見ている

…ユリウス、お前はいったい誰のために戦っているんだ?」

 

「馬鹿なことを言うな!俺はレオの為にここにいる、レオを優勝させるために…」

 

「それは嘘だ。だったらなぜ、お前はそんなに辛そうな顔をしているんだ!ユリウス!」

 

「呵々!お主でも動揺することがあるとはなユリウス!まだまだ死人になりきるには若い、ということか?」

 

…エレベーターが動きを止める、どうやら決戦場についたようだ

 

「無駄口を叩くのはそこまでだ、行くぞ、アサシン」

 

「承知、残る試合も数少ない、思い切り楽しむとしようか!」

 

…最初は睨まれただけで体が動かなくなっていた、だが今なら怯みはしない

まっすぐに視線を受け止めて闘技場へと足を踏み入れた

 

「くははははは!滾る!滾る!やはり武とは生き死にあってのものよ!所詮は俺も血に飢えていたということか!お主らは強い、今までのどの敵よりも!さあ力比べだ!

極致のその先を見せてみろ!」

 

「本性を現しましたね、あなたの一撃必殺とも呼べるその拳...恐ろしいですが乗り越えてみせましょう!」

 

「行くぞアサシン」

 

「応、我が拳は二の打ち要らず、初撃こそ肝要...武を交える前に是を討つ、この拳、破れるかな!」

 

 

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