桜セイバー in Fate/EXTRA   作:日向辰巳

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お久しぶりです、いろいろあって更新が遅くなりました
CCC編です、頑張りますのでよろしくお願いします!


CCC編
序幕


気持ちよく晴れた朝の通学路。

正門には直ぐに到着した。

 

 

「おはよう!今日もいい天気で何より何より!」

 

この人は柳洞一成、 この学園の生徒会長にして俺の友達。 とにかく真面目で頼まれてもいないのにこうして毎朝校門の前に立ち挨拶運動をしている。

 

「おはようございます一成生徒会長、今日も朝早くからご苦労様です」

 

「ウム、 いい返事だ。 そして昨日は手伝わせてしまってすまなかったな、 何しろ俺以外に生徒会役員がいないのでな」

 

「大丈夫だよあれくらい、 また困った時は言ってくれ」

 

「いつもすまんな、ではもう一つ頼まれてくれんか。 一階の用具倉庫の鍵を閉めてきてくれないか? 鍵を閉め忘れてしまったようでな」

 

「了解。まかせといて」

 

一成にはいつもお世話になっている。 その彼からの頼みだ、断るわけにはいかない。 朝のHRにはまだ時間があるがすますなら早めにしたほうがいいだろう。

さて、たしか用具倉庫の鍵を閉めに行くんだったな。

 

”………を覚ま…くださ……マス…”

 

不意に、左手が痛んだ。 何事かと思い左手を見てみると…

…左手には文字のような痣が浮き上がっていた。

 

(何だろう…何処かで見たような…気のせいか)

 

単なる目眩だろう、深呼吸し用具倉庫へと向かう。 ただ、ひどく懐かしい声を聞いた気がした

 

〜〜〜〜

 

用具倉庫に着いた、だがここには特に用はないので一成からもらった鍵で鍵を閉める。 さっさと施錠して教室へ急ごう。

 

「それはそうとして暇ッスね〜。 そんな時は貪るように口に菓子を投入! 燃料補給もバッチリッスよ」

 

………ん? 今何か声が聞こえたような……

 

「ん〜、このぐ〜たらしてるだけの人生ってどうなんすかね? だがそれでいい、いやそれがいい!ボクはほんと人生の勝ち組ッス〜」

 

…明らかに中に誰かいる。 ドアをノックして誰かいるのか、と声をかける。

 

「ッ!」

 

ガタガタと音がする、その音は1分ほどで収まった、入りますよといい倉庫の中に入った。

 

 

部屋の中には大量の菓子の残骸と散らかった布団の山があった。 何故倉庫に布団と菓子が…そう思った時もっと目につくものに気がついた。ロッカーが、動いている。

ため息をつきロッカーの前まで移動する。 あまり関わりたくないが恐らくここだ。

 

「中の人、出てきなさい。君は完全に包囲されています」

 

「な、なかのひとなどいないっ! ボクの名前はヘビーメタル! この愛くるしい容姿を人はそう呼ぶ! ボクはロッカー! すなわち君が話しているのはロッカーで中の人などいないッスーー!」

 

そうはいっているがドアの部分が閉まりきっていない、体積的に入らないのだ、この人は。

 

「わかった、君がそういうのならそうなんだろう」

 

「ホッ...」

 

「あ、ドアが少し開いてますよ?私が閉めてあげましょーか?」

 

「!い、いえいえ大丈夫ッス!どうぞおきになさらず……」

 

ニヤリ

 

「そうかっ!それなら!」

 

開いていてはロッカー(笑)さんも何かと不便だろう、俺は人助けとしてロッカーさんのドアを閉めてあげようとする。

 

「ちょぉぉぉぉぉ!な、何で押すんですか! あわわわわわわわわ、それ駄目! 出ちゃう、中身が出ちゃうッスーーー!」

 

そしてロッカーのドアが勢いよく開き、中から突然人が出てきた

 

「うっ、ぐっ…… ロッカーの中ですらバウンドするとは…たるみきった肉が憎いッス…」

 

…やっぱり人だった。

わかってはいたがいったいこんなところで何をしていたのだろうか?

 

「え?ボクはただお菓子を食べてゴロゴロしていただけッスよ?……ところで、誰ッスかキミ。 純情可憐な女子の部屋に侵入するとか、ソッコー通報されてもおかしくないッスよ」

 

「俺は岸波白野、ここの生徒だよ。 それにしても…女子部屋…ねぇ…」

 

ここは用具倉庫だし、それに色んなものが散らばっている。 果たして女子部屋と呼べるのだろうか?

 

「どこからどう見ても女子部屋ッス。 1ヶ月程掃除してないからちょっと散らかってるように見えるけど…」

 

1ヶ月も何故ここに住んでいるのだろうか? …一体彼女は何者なんだろうか。

 

「ボクっスか?ボクはジナコ=カリギリ。 この学園の補欠教員で今は用具倉庫警備員?的なものをしているっす」

 

彼女が?服や髪もボサボサな彼女が?…とても補欠教員には見えないのだが…

 

(ちっ…折角いい隠れ家を見つけたと思ったのに…ボクの安息を邪魔されるわけにはいかない、何とかして出て行ってもらわなければ)

 

そしてどうやってここからジナコを追い出すか考えていると突然ジナコから声をかけられた。

 

「あーーー!何かグラウンドの方に薄い桜色の髪をした美少女がーーー!」

 

「なっなんだって!どこだ!どこにいるんだ!薄い桜色の髪をした美少女ーーー!今行くぞぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

「ふぅ…馬鹿で助かったっす…」

 

〜〜〜〜

 

くそ、学校を10周くらい走り回ったのに見つからない…

はっ!しまった!ホラを吹いたなジナコめ…何て巧妙な罠を仕掛けてくるんだ!…まあいい、機会はまだある。

放課後にでもまた…ハッ!鍵がない!

まさか...スられた?くっ…あの一瞬でここまでするとは…

…まあいいか、彼女はあそこに住んでるみたいだしこちらも管理してくれるなら願ったり叶ったりだし。

朝のHRまで時間もない、急がなければ。

 

〜〜〜〜

 

「お前さ、聖杯戦争って知ってる?」

 

いつも通りシンジやレオと話しているとふとそんな話が出てきた。

 

「ボクも聞いたことがあります。何でも優勝すれば何でも願いが叶うとか」

 

「胡散臭いったらないよねぇ、そういえばお前らは叶えたい願いとかってあるの?」

 

「俺はないかな。欲しいものは努力すればよいものばかりだから」

 

「白野さんらしいですね」

 

「つまんねー奴、僕の願いは誰もが…」

 

キーンコーンカーンコーン

シンジが何か話しているがチャイムの音でかき消され何を言っているのかわからない。

そして担任の先生が入ってきたので俺も自分の席に戻った。

 

〜〜〜〜

 

そして夕方になり、俺も家に帰るとする。 すると靴箱に倒れている女子生徒を見かけた。

 

「大丈夫か!」

(どうして周りの奴らは無視してるんだ…)

 

「は、はい…あ、私は一年の間桐桜です。 配置は保健室、管轄はみなさんの健康管理です…あの、先輩はどこの…?」

 

「俺は2−Aの岸波白野だよ」

 

「え…一般生徒の方なんですか…?」

 

「ああ、もう大丈夫、保健室に連れて行くから」

 

そして桜を保健室のベッドに寝かせ、桜が寝るまで話をした。 そして桜が寝たのを確認してから俺は保健室を後にした。

 

すると突然また左手が痛み出した。

 

”マスタ…もうす…助けに…”

 

なんだ…この痛み…異常を訴えて…? 何か…大事な何かを…

その時、世界が真っ赤に染まった。

 

[制限ジカンデす、校内に残っタ全ての知性体にお知ラせしマス

貴方たちが持っていた世界観は全て崩壊しました

貴方達ハ聖杯戦争ごと売却サレました

貴方達は 無価値 です]

 

な、何だこの放送は? いや、それより...この異様な景色は...?

 

「あ、アぁぁぁぁ!だ…タスげて…」

 

その男子生徒は何か黒いものに捕まっていた。 あれに捕まれば自分もあの生徒のようになってしまうだろう。 そしてその瞬間外から黒いものが校舎にはいってきた。

心の中で男子生徒に謝りながら俺は逃げるために上へ登った。

 

「う、うわあああああ!どうなってるんだよこれ!おいライダー!ライダー!」

 

シンジが、あの化け物に捕まっている。 シンジはこちらに気づいて俺の方に手を伸ばす。だが、俺がシンジを助けようとしたら俺も捕まってしまうかもしれない。

…あれはもう助からない。 すまない...シンジ...

俺は君を見捨てる…

 

…はずだった

 

「おま、え…何で僕を…」

 

「知るか!体が勝手に動いたんだ!もうここまできたら絶対助けるからな!シンジ!」

 

くっ…シンジの体が重い…いや、これはもう廊下と一体化してるのか?どうすればいい、どうすれば助けられる…

 

「…クッ!ああもう何やってんのおまえ! もう無駄だってわかんないの! 目障りなんだよ! どっかいけよ!」

 

シンジが俺の腕を振り払う。シンジは目に涙をためて俺に訴えている。 こっちにくるな、逃げろ、と。

ならば俺にできることは…

 

「ごめん、シンジ」

 

友の気持ちに応えることだけだ。

そして俺はさらに階段を登り、屋上へとたどり着いた。

 

「諦めなさい。諦めて。諦めちゃえ。諦めろ。諦めれば。諦めたら」

 

ただ世界が終わっていく。 俺は残った足場に逃げ込みながら、飲み込まれないように手足を震わせることしかできない。

 

「ふふ、それでいいの。 大人しく眠りなさい。どうせ…

 

どうせ貴方達はみんな、価値のない生き物何だから」

 

 

…………無価値?

人間に、価値がない…?

 

「それはきっと、違うと思う」

 

怖い。

 

「違いません」

 

怖い怖い怖い、けど…こいつからは逃げたくない!

自分を簡単に諦めてたまるものか!

 

「貴方達は無価値です」

 

「それは違う。人間にどれほどの価値があるかはわからない。

でも、それでも”自分の価値”を最後に決めるのは自分自身の気持ちのはずだ!」

 

…ここで諦めてはいけない。 いや、諦めることはできない。

たとえ無駄な抵抗だろうと血の通った手足がある以上は、決して…

 

「な、何ですって!だめ!そこは!」

 

屋上から、飛び降りた。 諦めたくない、その一心で。

俺の体は、底のない闇へと落ちていった 。

 

〜〜〜〜

 

…終わりが見えない。

ただひたすらに落ちていく、ここで俺はどんどん忘れ最後には何も無い存在になる。

…つまりは、ゲームオーバー。

こうなってはもう誰も自分を救えない。もう、このまま眠ってしまおうか。…だが脳裏に一瞬何かがよぎった。

突然、左手が発光した。 …声が、聞こえた

 

”ソラを見ろ、手を伸ばせ”

 

”ただ一言 を呼べ”と

 

…そうだ。俺はこの声を知ってたんだ!

共に戦うと誓った、彼女の名は…

 

 

「来い!セイバー!」

 

 

 

「はい!待ちくたびれましたよマスター!」

 

伸ばした腕に触れる、確かな感触。ああ、確かに俺の相棒だ。

 

「桜花爛漫 この花咲くや 散りぬるや。桜セイバー! 推! 参!です!」

 

例え忘却の彼方にあったとしても忘れることはできなかった、俺のサーヴァントだ。

 

「嬉しいよ、セイバー」

 

「…えへへ、私も嬉しいです。ですが今回ばかりはもうダメかと思いましたよ、何度呼びかけても気付かなかったので…マスターが無事かと気が気でなかったです」

 

セイバーが手を握る。体温が抜けた体に再び熱がこもる。

ところで…

 

「ところで…どうやって脱出するの?この空間」

 

「あ、そうですね…確か刺激を与えればいいって桜さんが…」

 

刺激か…と言ってもこの空間でどうやって…

 

「マスター、歯をくいしばってください」

 

「…へ?なん…」

 

「オラァ!オラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!」

 

その瞬間、セイバーの右ストレートが俺に炸裂した。 いや、右ストレートどころか再起不能になるレベルのパンチが炸裂しているような…

そして俺の意識は遠のき…

 

(あれ?これ大丈夫だよね?自分のサーヴァントに殺されちゃったよテヘペロとか笑い話にもならないよ?)

 

と一瞬焦りながらもう一度俺は目を閉じた。

 

 

 




なんか終わったみたいな感じになってますね笑
で、でも終わってませんよ!まだまだこれからです!
CCC編もよろしくお願いします!

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