桜セイバー in Fate/EXTRA   作:日向辰巳

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感想をくれる方々、本当にありがとうございます!
やはり感想があるとモチベが上がりますね!ずっと更新したいなと思っていたのですがリアルが忙しくて中々…
久しぶりに時間ができたので投稿しました。楽しめて頂けたら幸いです。ではどうぞ!


第5幕『反撃開始』

総司が縮地を使いアーチャーの懐に飛び込む。敵のアーチャーの武器は銃、こちらの武器は刀、つまり総司の間合い。

敵は今総司のスピードについて来れていないはず…ならば今、一気に勝負を決める!

 

「ATTACKだ!総司!」

 

総司が突きを繰り出す。まだ相手のサーヴァントは総司のスピードについて来れていない、この程度では相手のサーヴァントは倒せないだろう、だが倒せないまでも手傷を加えることくらいはできるはず…

 

「…グッ!?」

 

「GUARD…じゃ、読み違えたの、未熟なマスターよ」

 

何故だ。相手は完全に総司のスピードについて来れていなかったはず、一体何故…

 

「馬鹿ね、敵の姿が見えなくてもガードするくらいは基本でしょう。 馬鹿正直に突っ込んだところでそんな単調な攻撃が効くと思ってるの?…行くわよ」

 

…くそ、完全に読み違えた。完全にこちらの間合いだったのに攻撃を加えられなかったのはかなり痛い。次は何が来る、どうすれば…

くそ、迷ってる場合じゃない!

 

「もう一度だ!距離を詰めろ総司!」

 

「判断遅い!ガンド!」

 

「くっ…この程度…」

 

遠坂のガンドを辛うじて防いだが敵の攻撃は止まらない。アーチャーは総司と離れ不敵な笑みを浮かべていた。

まずい、ここは既に…敵の間合いだ!

 

「よく防いだのぅ、じゃが…次はどうかな?

三千丁の火縄銃…その身でとくと味わうがよい!」

 

敵の背後からは数え切れないくらいの火縄銃がその銃口を向けていた。

まさかあれを全部総司に…?

死ぬ。あれを食らえば確実に総司は死ぬ。自分の所為で…

 

「クソ…ソウジ…ウグ…アアアア!」

 

身に覚えのない異質な魔力が身体中を巡っていく、その1秒にも満たない時間がやけに長く感じたのは流れていく魔力が濃ゆく、流れるだけで激痛を感じていたからだろうか。

 

「…何が、起きた」

 

目を開けた時、映り込んだのは血を流し倒れている総司、トドメを刺したであろうアーチャーがこちらに銃口を向けている姿だった。

 

「これで終わりじゃ」

 

撃たれた。心臓を的確に撃ち抜かれた。これで俺は確実に死んだ。つまりは、ゲームオーバー。俺たちの聖杯戦争が、終わり…?こんなところで…?

こんな…ところで…終わるわけには…いか…な…

 

 

〜〜〜〜

 

 

ここは…何処だ、目の前には戦闘態勢の遠坂と敵のサーヴァント、アーチャー。

そして俺の前には、俺のサーヴァントでありパートナーでもある沖田総司。

おかしい、俺はさっき確かに…

 

「マスター!ご指示を!」

 

「…総司が、生きてる…?」

 

目の前で繰り広げられている戦闘は一分の狂いもない先程と同じ戦闘。ここで俺がATTACKを指示してしまった為に総司は…

 

「早く!マスター!」

 

総司の声で我に帰り戦闘態勢に入る。さっきは選択をミスしてしまった。どういうわけか知らないが俺は戻ってきた、次は間違えない!

 

「間合いを詰めるんだ総司!」

 

「舐めないで!貴方の作戦なんてお見通しなんだから。 アーチャー!G…「GUARD…だろ?遠坂!」

 

「なっ!?」

「すまないな遠坂、それはお見通しだ」

 

すかさずGUARD BREAKの指示を出し敵の守りを崩す、よし、流れは来た。

 

「決めろ総司!」

 

「一歩音越え、二歩無間、三歩絶刀!」

 

沖田総司が用いる必殺の対人魔剣。

『無明三段突き』

放たれた壱の突きに、弐の突き、参の突きを内包したほぼ同時ではなく全く同時に放たれる突き。

全く同時に放たれることによって”同じ位置”に”同時に存在”しているという事象崩壊を引き起こし、壱の突きを防いでも弐の突き、参の突きが貫いているという矛盾によって局所的に事象崩壊現象を引き起こす。

つまりは防御不能の魔剣。

それに敵は隙だらけだ。首を落とすことなど造作もないはず…

 

「そこまでで〜す、セ・ン・パ・イ」

 

突然、アーチャーと総司の間に割って入った声はあの崩れ落ちる校舎で聞いた声だった。

…つまりは敵。ならばいきなりで悪いが倒させてもらおう。

 

「構うな総司! そのままいけぇ!」

 

総司の魔剣は防御不能。今更どんな技を使われた所で…

 

「無明…三段突き!」

 

「無かった事にしますね♡十の支配者の冠/一の丘(ドミナ・コロナム・カピトリウム)

 

「…なっ!?」

 

「君は…桜?」

 

「違います先輩! 私の姿をしてはいますがその人は…」

 

「もう、私とセンパイが話しているのに外野がうるさいですね。 うるさい外野には出て行ってもらいましょうか」

 

通信が途絶える。だが俺は驚くことが多すぎて通信が途絶えたことなど気にならなくなっていた。まず一つは総司の魔剣を打ち破った技のこと。もう一つは何故あの少女が桜と同じ外見をしているのかということだ。

 

「…どうしたのよ、ここは私のエリアのはずでしょう。 助けてくれた事には感謝するけど貴方が介入するなんて聞いてないわよ」

 

「貴方が約束をキチンと守るならそのつもりでした。 …ですが貴方の攻撃は全てセンパイへの殺意がこもっていました。センパイは生かして捕らえる。先に約束を破ったのはそちらの方ですよ?」

 

「はあ?貴方戦いってものを分かってるの?確かに善処するとは言ったけど必ず生かして捕らえるなんて言ってない。

…だいたいね、生かして捕らえる程難しいものは無いわよ。 本気で殺し合って、相手がギリギリ生きてたらラッキーくらいに考えておくのが普通でしょう、BB」

 

…彼女の名前はBBというのか、BB…何だろう。名前は記憶にないが声などははっきりと覚えている。俺は彼女と何処かであっているのだろうか。

…俺の記憶に関係しているのだろうか。

 

「うっ…と、とにかくセンパイは私が貰います。 これは命令です、従わないと言うのなら私があなたを殺します」

 

「…わかった。好きにすればいいわ」

 

そして遠坂は戦意が無くなり背を向ける。すると桜?のような少女はこちらへ歩み寄ってきた。

 

「うふふ、迎えに来ましたよ?センパイ♡」

 

「待て…マスターには指一本触れさせません…ウッ!?」

 

総司が斬りかかろうとするがマイナススキルの”病弱”が発動してしまいうまく歩けていない。総司の魔剣は確かに強いがその後に高確率で病弱が発動してしまう。

だから最低でも一人は倒さなければならなかった。だが魔剣も防がれ相手は二人共健在、総司は瀕死の状態と来ている、状況は絶望的だ。どうする…

 

「まだ諦めてないんですか? お馬鹿なセンパイ。なら、貴方のサーヴァントを消せば諦めて捕まってくれますかね?」

 

「なっ…!」

 

あいつは総司を傷つけるつもりか。

今、総司は病弱が発動していてとても動ける状態じゃない。そんなことさせるわけには…

 

「ふふっ、少し動揺しましたね?やはり貴方の心の支えは沖田さんですか。じゃあ…消しますね」

 

「があっ!?うっ!う…あ…かはぁっ…」

 

「あはははははは!見てくださいセンパイ!面白い!どんどん血が出てきますよ!ほら!もっと血を出しなさい!あははははははは!」

 

「かふっ……うあっ…あぁ…」

 

動けない総司は容赦なく蹴られ避けることができない。弱っている総司はただ攻撃を受け続けていた。

 

「やめろBB…それ以上は…総司が死んでしまう…」

 

「うるさいですね。 センパイ何かが私に命令するなんておこがましいです。 少しセンパイにも罰を受けてもらう必要がありますね」

 

その瞬間、意識が飛んだ。体が宙に浮いている。…何が起きた?顔が痛い。意識がぐらつく。突然の衝撃に理解がついていかなかった。

 

「うっ…顔を…蹴られたのか…?」

 

「はい、ついでに数分は動けなくなるようにしたので貴方はそこで黙って見ていてください」

 

くそ…本当に動けない。もう総司の魔力は途絶えかけている。あれ以上の攻撃を受けたら本当に死ぬ、ダメだ、総司にはまだ側にいてもらわないと…俺は…

 

「ク…ソ…総司…」

 

「死になさい沖田総司。 貴方からはリソースを取ることはしません…私の手で殺します」

 

BBの攻撃が容赦なく迫る。総司は動かない。俺は動けない。動けたとしても何ができるわけでもないが何もできない自分が悔しい。情けない。総司を救うことは…もう…できない。

 

(すみませんマスター…私はここまでの様ですね…ずっと一緒にいる約束…したのに…)

 

「これで終わりです」

 

終わった、そう思った。だが、BBの攻撃が総司に当たることはなかった。

 

「…何のつもりですか、アーチャー」

「…………」

 

「何のつもりと聞いているのよ! そこを退きなさい織田信長!」

 

「断る」

 

「なっ…何ですって…!」

 

…総司を助けてくれたのは先程まで戦っていた遠坂のサーヴァント、アーチャーだった。

鋭い眼差しでBBを見据えるその姿は織田信長の名に恥じない力強さを感じさせた。

 

「凛さん、このサーヴァントを退けてください」

 

「あー、それ無理。だって今アーチャーが貴方の前にいるのは私の命令だし」

 

「…正気ですか? センパイを助けるということは私の敵になるということ。私と戦って勝てるとでも?」

 

…確かにそれは事実だ。 俺たちを助けても遠坂にメリットなんてない。むしろデメリットしかない筈、なのに何故…

 

「ずっと違和感あったのよね、何で私が貴方の方についてるのかって。

…でも貴方が岸波くんの顔を蹴り飛ばした時に確信したわ。もう貴方に力は貸さない。いや、貸せない。私、貴方のこと嫌いだし」

 

「……へぇ…」

 

「それにね、何より私は昔から弱いものいじめってのが大っ嫌いなの。

…だから敵対させてもらうわ。…あ、勘違いしないでね、どの道貴方とは一緒に戦えなかっただろうしいつかは殺し合いになってただろうし、それが少し早くなったってだけよ」

 

「遠坂…ありがとう…でも」

 

遠坂が味方になってくれた。それはありがたい、とても心強い。でも奴には勝てない。確かに遠坂は強い…が奴に勝てるとは思えない。

 

「でも何?まさか私に勝てないっていうつもりじゃないでしょうね。 私が何の勝算もなく敵の前に出るとでも思ってるの?…まあこっちは任せて貴方はサーヴァントの回復に努めなさい」

 

…確かに遠坂がただの無謀で敵の前に立つわけがない。ここは遠坂を信じて俺は総司を助けに行かせてもらおう。

 

「…驚きました。遠坂さんがここまでお馬鹿さんだなんて。 月の聖杯戦争に参加した百体以上のサーヴァントをすべて取り込んだこの私に勝てるとでも?」

 

「ふーん、すごいわね〜。百体以上か。で?それが何よ」

 

遠坂の指示でアーチャーが攻撃を開始する。だがBBはアーチャーの銃の攻撃を指一本で受け流してしまった。

 

「ほらほら、そんな攻撃効きませんよ。 そんなにちまちま撃ってないで全部撃ってきたらどうです?無駄な足掻きでしょうけどね」

 

「…じゃあ、お言葉に甘えて。アーチャー!貴方のありったけの弾をあいつにお見舞いしてやって!」

 

アーチャーが魔力を解放する。あれは総司にも使った大技。 総司はかなりのダメージを負ったが相手は通常のサーヴァントとは文字通り格が違う。 数百体のサーヴァントを取り込み神にも近い存在になっている。

ダメージは与えられたとしてもその技では…

 

「三千世界に屍を晒すが良い……天魔轟臨! これが魔王の三段撃ちじゃあ!」

 

数え切れないほどの火縄銃がBBに向けて発射される。だがBBは余裕綽々な顔でその光景を見つめていた。

 

「ふん…そんなの数が増えただけじゃないですか、そんなもの…」

 

「そうよ、これは貴方の言う通りただ数が増えただけ。 …でもそれで充分なのよ」

 

「…えっ?そんな…嘘…きゃああ!」

 

…押し…切った?相手は数百体のサーヴァントを取り込んだ化け物。とても一介のサーヴァントが敵う相手ではない。なのにあそこまでダメージを与えるなんて…

 

「残念だったわね、BB。織田信長のスキルには天下布武・革新というスキルがあるの。

このスキルは神や神秘に近いものほどダメージが大きくなる。…数百体ものサーヴァントを取り込んだのが仇となったわね、BB」

 

「相性ゲーとか得意なんだよネ!ワシ!」

 

…これが、遠坂凛。

強いとはわかっていたがここまでとは、完全に相手を圧倒している。 抜群のコンビネーションで絶望的な状況を跳ね返してしまった。

 

「さて、反撃開始と行きましょうか。岸波くん」

 

 




最近凛をイジりすぎたかな、と思ったのでカッコよくしようと思ったら想像以上にカッコよくなりました。
凛って結構男前ですよね。いや、もちろんかわいさもありますよ?まあ可愛さでいったら沖田が一番なわけですが。
帝都聖杯忌憚の発売が楽しみですね(≧∇≦)

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