桜セイバー in Fate/EXTRA   作:日向辰巳

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最近サブタイトルを変えようか迷ってます。 何か第1話とかだったら味気ない気がするんですよね…。なので思いついたら変えようかと思ってます。 気に入らなかったら、ごめんなさいm(__)m



第6幕『狂気』

遠坂達の戦いを間近で見て出てきた感想は素直に見事の一言しか無かった。 そのくらい遠坂達が相手にしている奴らは強いのだ。 いや、強さで表せるようならまだ可愛いものだろう。

 

「ぐっ…こんなことが…確かに織田信長と私の相性は最悪ですね…」

 

「そうね、アンタとアーチャーの相性は最悪。 でもね、敗因は相性が悪かったからじゃない。敵を侮り慢心していたことが貴方の敗因よ」

 

どれだけ強かろうが誰にでも弱点はある。いや強すぎるが故に慢心というものが存在する。遠坂はそこを的確に突き相手を追い詰めていた。

 

「…確かにこれは私の落ち度ですね。貴方ほどの人を侮るなんて本来してはならないことでした」

 

BBは追い詰められているにも関わらず普段の口調で話し続けている。BBにとってこの状況は不都合な筈だ。なのに奴のあの余裕の態度はなんだ…?

 

「…なのでこちらも最大戦力で行かせてもらいます。…来なさい、パッションリップ、メルトリリス!」

 

突如BBの背後から飛び出してきたのは一人の少女だった。 その姿はある一部分を除いてほとんどBBや桜に酷似していた。

…というか、一人? BBが呼んでいたのは二人だった気がするのだが…

 

「リップ、あの子はどこ?何であなただけが来るのよ。私が呼んだのは二人のはずよ」

 

「あの…その…メルトは…その…」

 

「早く言いなさい。私を怒らせたいの?」

 

「ごめんなさいお母様…メルトは…私用があるから来れないって…」

 

「チッ、使えない子ですね…まあいいです。貴方は裏切り者を始末しなさい。 私がセンパイを捕まえますから」

 

「…………」

 

少し気弱な態度の少女…パッションリップは俯きながら返事をしていた。 その姿はまるで浦島太郎のいじめられているときのカメさんを彷彿とさせた。

 

「チッ…まずいわね…」

 

確かにこのままではかなりまずい。 敵の応援は一人だとしてもその一人が異常な程の魔力を放っている。…だが驚くべきところは他にもある。

 

「岸波くん、貴方も気づいたようね。あの子の凄まじいほどの魔力がどこから来ているか」

 

「…ああ、もちろんだ」

 

大きく実ったその二つのメロンは男性だけでなく同じ女性である遠坂も目を惹きつけてしまうという不思議な魔力があるのだろう。実際、俺はそのメロンに目を奪われていた。ガン見してしまっていた。

間違いない、魔力を放っているのはあの二つのメロンだ……!!!!

 

「マスター最低です。」

 

体力が戻ったらしい総司に冷ややかな視線を向けられる。 …ごめんなさい、少しハジけたい気分だったんです。

 

「お遊びはここまでにするとして、遠坂が言っているのはあの腕の事だな?」

 

「そうよ、腕と言うよりあれは爪ね。どんな能力があるか分からない今、ここは一旦退却した方がいいわ」

 

確かに敵の能力も分からない今、一旦態勢を立て直した方がいい。…それに今は俺たちという足手まといがいる。その状況で二人も相手にできないと言うのは正しい判断だろう。

 

「逃げるわよ岸波くん。貴方はその少女を抱えながら走って。後ろは私に任せなさい」

 

少女を抱え来た道を全力で戻る。総司も走れる程度には回復しているし、このまま何もなければ脱出できるはずだ。

 

「逃さないで! 貴方は遠坂さんを追いなさい。センパイは私が捕まえます!」

 

二人が全力で此方へ向かってくる。何とか遠坂はアーチャーと共にパッションリップを捌いているが、そちらに気を取られすぎて脇をすり抜けてきたBBは迎撃できなかった。

 

「挟み撃ちですね、センパイ。もう諦めて私に捕まったらどうです? 今、諦めて捕まるというのなら両手両足失くすだけで済みますよ?」

 

「…そうはいかない、俺たちは何としてもここを突破してみせる」

 

総司が平晴眼の構えでBBと対峙する。ここを突破して何としても校舎へ戻らなければ。 …出口まではあと少し。 このまま階段を駆け抜ければすぐに着く筈だ。

 

「先程は不覚を取りましたが次はそうはいきません。 …沖田総司、参る!」

 

回復した総司に指示を出しBBに突撃する。 外からの助けを期待できない今、 内側から強引に外に出るしかない。 ここは強行突破させてもらう!

 

「ちょろちょろと邪魔な虫ですね、絶対にここは通しませんよ」

 

総司はスピードで敵を翻弄し後ろ、前、横など多彩な方向から技を繰り出しどこにいるから分からないようにしている。 そしてついに総司の突きが当たり、BBの体勢が崩れた。逃げるなら今しかない…

 

「お母様だけ、ずるい…その人は…私が…!!!」

 

「行かせないわよ」

 

遠坂の方を見るとパッションリップが遠坂達を強引に突破しようとしていた。 だがアーチャーは敵の攻撃を軽々と躱し、 攻撃を叩き込んでいた。

 

「もう、邪魔、しないで…」

 

パッションリップが振り上げた腕の先に居たのは…遠坂。 まずい…このままでは遠坂が殺される…!!!!

 

「退けぃ!リン!」

 

「アーチャー!」

 

遠坂の代わりに貫かれたのはアーチャーだった。 あの一瞬で遠坂を守るために寸分の迷いもなく自分の体を盾にしたというのか。

 

「かはっ…何と重い一撃よ…是非もなし…か」

 

「アーチャー!」

 

「次は…貴方です…」

 

次にパッションリップが狙ったのは総司だった。

だが総司はいち早く存在に気づき既に防御の態勢を取っていた。 いや…ダメだ。あの攻撃は防御してはいけない。 あの両手についている巨大な爪に掴まれては駄目だと本能が叫んでいる…

 

「逃げろ総司! その手には触れちゃいけない!」

 

総司の所へと飛び込み二人で階段を転がり落ちる。 …結果的には助かったが出口へは遠ざかってしまった。 それにあの少女も置いてきてしまった。

 

「…リップ…貴方…」

 

「あ…ああ…ご、ごめんなさい!」

 

BBが苛立ちながらパッションリップを睨みつけている、 BBの体には先程のパッションリップが放った一撃に付けられたであろう傷が付いていた。

 

「…なるほど、あの両腕に掴まれてはいけないという事ですか」

 

出口まではあと一歩だった。 外に出さえすれば校舎に来れないBBの追跡からは逃れられた筈なのに…

 

「…このダメージはまずいですね。 リップ、私は下がります。 代わりに貴方が捕らえなさい。 失敗は絶対に許しません」

 

「…はい、わかりました」

 

BBは傷が深いのか撤退していった。 これであとはパッションリップただ一人。 …だが此方も一人は戦闘不能、動けるのは俺たちだけだ。 さっきから状況はほとんど変わっていない、どうしたものか…

 

「行きます…簡単に死なないでくださいね…?」

 

「遠坂! そいつを連れて逃げろ! 」

 

「馬鹿言わないで! 貴方達はどうするのよ! 貴方達を犠牲にするなんてそんなの私は認めないからね!」

 

俺たちはもう限界だ。 ここは遠坂達だけでも逃げてもらい希望を託す。もうそのくらいしか俺にやれることは残っていない。

 

「頼む…遠坂」

 

「…ああもう、わかったわよ! 絶対に助けを呼んでくるからそれまでに死ぬんじゃ無いわよ!」

 

 

そして遠坂は出口に向かって走り出す。 パッションリップは遠坂には目もくれず俺たちだけを眼中に捉えている。 やはりわかってはいたことだがどうあっても俺たちを逃す気は無いらしい。

 

”ならやることは簡単だ”

 

…そう、やることはただ一つ。

 

”殺せばいい。それも残酷に、凄惨に。 オレ達に刃向かったんだ。 それくらいの覚悟はあるんだろうよ”

 

何だ!?俺はこんなこと思って###

…そうだよ、俺は何も悪くない。 ソレにアイつらが向かってくるからワルい、カラ殺すンダ、せいとうぼーえーじゃナイカ。

 

あレ?ナニカがおか、しい。?

…可笑しくない、ヨ。ダッておきタを助けた時といいイまはとてつもなくカラダのチョしがいいんだカラ。

あたまモ妙にすっきひして###

 

「絶対に…逃がし、ません…」

 

「お下がりくださいマスター。 ここは私が」

 

…………………………………………………………。

 

「…マスター?」

 

………………………………………………………………………………………………………………………。

 

「下がるのはオマエだ。 オキタソウジ(・・・・・・)

 

「…え? 今、 なんと……?」

 

ヤツの狙いは俺だ。 オレを狙われたラ、オキタは必然的にオレを庇わなイトいけない。 ナラ話は簡単だ。俺が戦えばいい。 コンな簡単なことに気づかなかったなんて。

 

「ま、まってください! 人の身でサーヴァントに立ち向かうなど正気ですか! それに「ウルセェなあ」

 

「…………え?」

 

「うるせぇんだよ、オマエは黙ってソコデ見てろ。 今ここでオマエに出来ることはナイんだよ」

 

「…………はい。」

 

「話は…終わりですか……なら、死んで…ください……」

 

パッションリップの方へと向きなおる。するとパッションリップはこちらに突進しオレを狙ってきていた。

 

…… おもしろい。 ならばオレは全ての痛みを受け入れよう。 受け入れた上で拒絶しよう。

この力は報復の力。 向ける相手はパッションリップ。

今ここにオレの生誕を祝うように、 オレの再誕を呪うように、 この力を解放しよう…………………。

 

 

「……偽り写し記す万象(ヴェルグ・アヴェスター)

 

 


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