「しぶといねぇ…あんた。今、楽にしてやるよ」
今回も旦那の意向とは裏腹にオレは敵の隙を突き暗殺を試みていた。一回戦の時と同様、 密かに忍び寄り密かに殺す。 旦那には怒られるだろうがそれがオレのやり方だ。
…ってかオレはこのやり方しかできない。 他のめちゃ強い英霊さんと違ってオレは白兵戦なんてできないからだ。 あとはこの毒つきのナイフで刺すだけだった、その瞬間、カーテンに人影が映った。
「させません!」
「おっと、危ねぇ!」
ガシャァァン!
「ほ、保健室が!」
おかしいな。 オレは完璧に気配を消していたはずだが… このセイバーが索敵のスキルを持っているなんて考えにくい。 ならどうやって俺の存在に感づいた?
「まさか気付かれるとはな…見たところオタクには索敵スキルなんてのは無さそうだが… 何故気付いた?」
「生憎私は生前の縁で奇襲などには詳しいんですよ。 それにしてもマスターが寝ている隙を狙うとは…やはり正々堂々と戦う気はなかったようですね」
「はあ?何言ってんのオタク、俺はアンタみたいに真っ向からの斬り合いは得意じゃないんだ、使えるものを使って何が悪い」
「いえ、別に非難しているわけではありません、むしろ安心しています。あなたのような人ならば私もただ斬ることに徹することができるでしょう。…速攻で片をつけます!」
ドガン、バキン、メリッ
「や、やめてください!このままじゃ保健室が壊れちゃいます!」
「うん…ここは何処だ…?俺は確か…藤村先生に吹き飛ばされて…」
「うわあああああ!大惨事じゃないか!」
そうだ、自分は気絶してしまって保健室に運ばれたのか…でもここは本当に保健室なのだろうか?自分の知っている保健室はこんなにボロボロじゃなかったような…
「あ、起きたんですねマスター」
「戦ってんのにえらく余裕じゃねえか、セイバー!」
相手のサーヴァントが隙を見せたセイバーに弓を向ける、奴が使う弓はボウガンのような弓だった。
あとはセイバーに矢を放つだけだったのだがどういうわけかその動きは止まっていた。
「そこまでだ、アーチャー。…これはいったいどういうことかな?アーチャー」
「ダン・ブラックモア!」
「どうもこうも旦那に勝たせるためにやってんですよ、マスター?だって決戦日まで待つとか正気じゃねーし?オレらも楽できて万々歳でしょ?」
これは一体どういう状況なんだろう、この口ぶりから察すると自分は寝込みを襲われたということだろうか。
「どうにもお前には誇りというものが欠落しているようだな、アーチャー」
「誇り、ねぇ…俺にそんなもん求められても困るんですよね、ほーんと誇りで敵が死んでくれるなら最強だ。 ってかそれで勝てるんならいいですけど。だが悪いね、オレゃその域の達人じゃねぇわけで、きちんと毒を盛って殺すリアリストなんすよ」
「あの二人、仲が悪いようですね…まあどちらも間違ってはいないんでしょうが…ズズ」
そういってセイバーがお茶を飲んでいる、美味しそうなので自分も桜にお茶を頼んでみる。
「失望したぞアーチャー! 許可なく校内で仕掛けたどころか毒ナイフまで用いるとは。
…アーチャー、もう敵マスターに校内で攻撃を仕掛けないと誓え」
「聞けないっすね」
「そうか、残念だ。…アーチャーよ、令呪をもって命ずる。学園サイドでの敵マスターへの攻撃を永久に禁ずる!」
「な!?はああああ!?」
「「え!?」」
「これは国と国との戦いではない、人と人との戦いだ この戦場には公正なルールが敷かれている、それを破ることは人としての誇りを貶めることだ」
「旦那、正気かよ…負けられない戦いじゃなかったのか」
「無論だ、わしは自身にかけて負けられぬし当然のように勝つ、その覚悟だ」
…令呪、本戦参加者に与えられたサーヴァントを律する3つの絶対命令行使権利、信じがたいことにこの老騎士はそれを使ったのだ、自らのサーヴァントに正々堂々と戦えと。
「やれやれ、わかりましたよ、了解ですよ、従えばいいんでしょ従えば、もうしねーよ」
アーチャーが弓をしまい霊体化する、どうやら本当に令呪の効果が働いているらしく戦意がまるで無くなっていた。
「知らぬことだったとはいえ、こちらのサーヴァントが無礼な真似をした、君とは決戦場で正面から雌雄を決するつもりだ、どうか先ほどのことは許してほしい。では、失礼する」
〜〜〜〜
「まさか、敵のマスターが助けてくれるとは思わなかったよ」
「そうですね...私もあのまま戦っていたら危なかったですし、あの時敵のマスターが来たのは不幸中の幸いでした」
敵はアーチャーだ、遠距離の攻撃を得意とする敵と戦うのは初めてだし、今日はアリーナで戦闘経験を積んだ方がいいだろう。
「セイバー、今日はアリーナに行こうか?」
「わかりました、ではさっそく行きましょう、マスター」
〜〜〜〜
「gain_str!」
俺はセイバーにコードキャストをかける、敵が一回戦とは違い、耐久力が高くなっている。長期戦が苦手なセイバーの為にも短期決戦で決着をつけなければ。
「サポート感謝します、マスター。ふう...この調子なら今日中にアリーナを突破することも不可能ではないでしょう」
「そうだね、この調子で敵をどんどん倒していこう」
確かに今回は順調に進んでいる、そう...順調過ぎるほどに、さっきから拭いきれないこの不安は一体何なのだろう
「危ないマスター!」
そう言ってセイバーに突き飛ばされる、先程まで自分がいた場所には弓矢が刺さっていた。
「マスター、早くここから脱出しましょう、何か嫌な予感がします」
「うん、幸いにも出口はもう少しだし一気に駆け抜けよう」
そう言った瞬間…自分とセイバーの目、鼻、口など至る所から血が出てくる、これはまさか…
「毒です!マスター!敵サーヴァントからの攻撃を受けています、このままでは…」
「急いでアリーナを抜けるんだ!」
この感じは…あのアーチャーだ。令呪を使われて自分達を攻撃できないようになっているはず、何故攻撃を仕掛けられる…
「そりゃオレはアンタに攻撃したわけじゃねーからな」
そう言って現れたアーチャーは体に傷がついていた。
「おおっと、今はあんた達と戦う気はないぜ? 矢がそっちまで飛んで来ちまっただろ? ガウェインに矢を弾かれちまった。 いやーやっぱり円卓の騎士様はオレなんかと違って強さがダンチだな」
「レオがここに来ていたのか…」
なるほど、あの二人に会ったからアーチャーもそこまで傷ついているという事か、恐らく戦闘になったのだろう、でなければ彼の体はあそこまでボロボロになっているわけがない。
それにしても本当にレオの凄まじさがわかってしまう、同じサーヴァント同士でもここまで違うものなのだろうか。
「その表情を見るにアンタ達の知り合いか? だがまあこれ以上言う義理はねぇな。それにこの結界を解除する気はない」
「そうですか、誠に残念です」
そしてセイバーは剣を構える、恐らくアーチャーをここで仕留める気だろう、俺も脳を戦闘体勢に切り替え目の前の敵に集中する。だが正直彼をここで仕留めることは難しいだろう、結界を貼られている以上ここはもう敵の領域だ、奴も何の策もなく俺たちの前に出てくるほど馬鹿ではないだろう。そしてセイバーが構えた時俺は気になるものを発見した、不自然に魔力が集中している場所があったのだ。
「おおっと!今日はこれ以上誰の相手をする気もないしな、これで退散させてもらうぜ」
「させません!」
「待てセイバー! この結界の基点を発見した。 近くにあるしあのアーチャーを倒すよりあれを破壊した方が早い」
おそらく魔力が集中しているあそこだろう、その証拠に近づくにつれて毒が強くなっている。
「…わかりました、確かに彼を倒すよりは早いでしょう。では急いで破壊しに行きましょうか」
「そーそー、俺ももうボロボロだしここらで帰らせてもらうぜ、じゃあな、お二人さん」
その瞬間アーチャーの姿が消える、なるほど、レオとガウェインを前にして逃げ切れたのも透明化があったからか。
さて、じゃあ俺たちは結界を壊しに行くか。
〜〜〜〜
「おそらくあの木がこの結界の基点ですね…はっ!」
セイバーは剣でその木を一刀両断する、破壊された木が初めからそんなものなかったかのように一気に霧散する。
「ぐ…毒を吸いすぎたか...セイバー、大丈夫?」
「いえ…あまり余裕はありませんね…さっさと戻ってマイルームへ行きましょう」
セイバーが危険なのは魔力を通じてこちらにも伝わってくる、セイバーの言う通り早く脱出して休んだ方がいいだろう。
そしてアリーナを脱出した瞬間…
「マスター…もう限界です、病弱に毒が追加されてもう一歩もウゴケマセン…こふぁ!…すみませんがおぶっていただけないでしょうか?」
こうして俺は疲れきったセイバーと共に自分も癒してもらうため、保健室へと向かうのであった。
みなさんはfgoの屋上行きましたか...?僕はアーチャーがいなかったのでいつものパーティーで行ったんですがめちゃくちゃボコボコにされてしまいました...なので令呪を使ってやりましたよ!ヒャッハー!
あ、今回緑茶さんは
学園サイドでは殺せないのでアリーナで岸波くん達を殺そうと考え罠を張る→ガウェイン&レオに会う→戦闘になる→返り討ちにされそうになり逃げる→最後に宝具を使い少しでもダメージを与えてやる→宝具発動→岸波くん達アリーナ到着。
みたいな感じです、岸波くん達は巻き込まれたということですね
わかりにくかったと思うので補足説明付け加えておきます。