仮面ライダーナスカ RETURN AtoZ/運命のガイアメモリ   作:零六五五

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疲れた。二話です。どうぞ


Nの帰還/愛する人へ

この街のシンボルとも言える風都タワー。街に住む人々が愛し、憩いの場所だった。そのタワーに備わった巨大な風車。今日もいつもと変わらずその風を全身に受けて回っている。

空はどんよりと曇り、どこか風都タワーの回り具合も心なしか芳しくなかった。

 

 

そんな風都タワーの麓。ある一点に集った人々は各々がガイアメモリを握りしめていた。そしてNEVERの一員にそのメモリを手渡そうと我先にと押し寄せる。だがそのどれもが彼らの望むメモリではなかった。

 

「もぅ、ミュージアムのメモリばっかりじゃない!全然期待出来ないわっ!」

NEVER隊員の一人、泉京水はそう言い口を結んだ。

 

 

 

 

その様子を見ていたのは一人の男だった。

 

「人間というのはどいつもこいつも欲望で溢れかえってやがる」

 

彫りの深い顔に巻き上げた金髪。白い服装に右腕だけ赤く塗られたジャンパー。その男に派手な色彩の服を着た青年が近寄る。彼が両手に握っていたのは『アイスキャンディー』だった。

 

「でも、その欲望でガイアメモリがこんなにたくさん集まるって、欲望の力だと思わない?」

 

「ふん、どうでもいいから早くアイスを寄越せ!」

 

そういい、男はアイスを奪い取り、豪快な食べ方でその菓子を口に運ぶ。それを見た青年は自らもアイスキャンディーを食べながら申し訳なさそうに切り出す。

 

「なぁ、アンク。この街の人たち困ってるみたいだからさ。メダル、使わせてくれない?」

 

それを聞いた男は青年の方を振り向き、口にアイスを含んだまま一度静止した後、嘲笑の笑いを浮かべる。

 

「映司、お前なぁ。ヤミーも出ていないのに俺がメダルを使わせると思うか?」

 

「だよなぁ・・・・・・」

 

そういい、彼は右手に持ったベルトのバックルを眺める。

 

 

 

それはメダルスロットを三つ備えたバックル、オーズドライバー。

 

 

 

 

 

轟音を響かせ、道路を走る三台のバイク。その音に気付き、泉京水と芦原賢が顔を上げる。

 

翔太郎はT2ジョーカーメモリを取り出しそのスイッチを押す。

 

『JOKER』

 

ガイダンスボイスが流れ、そのメモリをロストドライバーへと差し込む。流れるような動作でバックルを展開した。

 

「変身。」

 

『JOKER』

 

紫色のエネルギー体が彼を包み、その姿を仮面ライダージョーカーへと変貌させる。

さらにほぼ同時に霧彦はナスカメモリを起動させ、ガイアドライバーへと差し込んだ。

 

『NASCA』

 

霧彦の身体がモザイクの様に霞み、ナスカ・ドーパント(仮面ライダーナスカ)へと変身する。

 

 

突然の侵入者に驚き戸惑う人々は彼らの道を開け、左右へと散っていった。そして泉京水は認識した。迫り来る異物が敵であると言う事を。

 

「まさか、仮面ライダー?」

 

艶のある声でそう言い、ルナメモリを投げる。そして金色の身体に変わった京水は左手を振り上げ、自らの身体を分断するようにエネルギーを放つ。

 

「私が愛してあげる。」

 

そのエネルギーは量産型戦闘員、マスカレイド・ドーパントとなり三人の仮面ライダーを襲う。それを見た翔太郎と霧彦は即座に判断する。今、彼らと戦うべきではない。一刻も早くこの最上階へと、フィリップの居るあの場所へと行かなくてはならないのだ。

ジョーカーはハードボイルダーを飛び降り、その車体を敵の集団にぶつけて時間を稼ぐ。その間に敵の中心部へと降り立ったナスカが目にも止まらぬ速さで次々と敵を無へと返していく。その中をジョーカーは敵を拳で弾きながら階段へと進む。

 

照井竜はそのバイクを止めて迫り来る敵戦闘員を睨む。その手にはおよそ生身の人間には扱えないであろう、エンジンブレードが握られていた。その武器を掴み、変身できない彼は一撃一撃に魂を込めるかのように敵を斬り割く。照井竜は戦う、例え変身できなくとも。それは彼が街を守る警官であり、仮面ライダーだからだ。照井はちらりとジョーカーとナスカの方を見る。あちらはあらかた片付いてきている。

 

「左、園崎、上を目指せッ!!」

「照井、お前大丈夫なのか!?」

「俺に質問をするなッ!」

「だったな。行くぞ、霧彦。」

「だが彼は・・・。」

 

霧彦には生身の人間を此処に置いて行くことに抵抗があるようだった。霧彦は照井竜という人間をよく知らなかったのだ。だが翔太郎は知っていた。照井は例え生見でもここで負けるような男では無いと。だからハッキリとこう言えた。

 

「心配はいらねぇよ。照井の奴も仮面ライダーだからな!」

 

そう言い、ジョーカーは上を目指し走る。ナスカもそれに続いた。

残されたのは照井ともう一人、芦原賢=トリガー・ドーパント。彼は懐からトリガーメモリを取り出しこういった。

 

「ゲームスタート。」

 

『TRIGER』

 

 

 

 

 

ナスカとジョーカーは三階へと上がる。その階段を上がったとたんにナスカに鉄の棒が迫る。一瞬早くナスカブレードでその攻撃を受け止めるが、そこからの追撃にナスカは吹き飛ばされた。

 

「霧彦!くっそ、次はお前か。」

 

堂本剛三はNEVERの上着を捨てて、その鍛えられた身体を空気にさらす。その動きに呼応するかのようにジョーカーも身体に力を入れる。

 

「行くぜ?マッチョマン。」

 

『METAL』

 

投げたメタルメモリは引き合うように堂本剛三の背中へと吸収される。彼の身体を鉄の塊が包んだ。そして己の武器を握りしめてジョーカーへと立ち向かう。圧倒的なパワーに片割れのジョーカーでは力不足であった。柱に激突し突き飛ばされるジョーカー。その柱の抉れようはメタル・ドーパントの規格外のパワーを表していた。

 

地面に伏すジョーカーに追撃が迫る。そのロッドをまたしても止めたのは、ナスカブレードだ。

 

「やらせませんよ!ハッ!」

 

ロッドとブレードがぶつかり火花が踊る。だがナスカの力でもメタル・ドーパントには太刀打ちが出来ない。ナスカも突き飛ばされて壁へと激突する。ブロックをはね除けナスカは立ち上がる。ここで負けるわけには行かないのだ。霧彦はブレードを拾い上げて両腕で握りしめる。今度は放さない。今度は外さない。必ずこの刃を届かせてみせる。

 

「どんなに力が強かろうとも、当たらなければどうと言うことはないんだ!」

 

ナスカの背中に橙の翼が生える。超高速の証。メタル・ドーパントは付いては来られないそのスピード。

攻撃が当たればいい。ロッドを振り回すも、霧彦からすれば止まって居るも同然なのだ。

外したロッドが柱に深々と刺さる。引き抜こうとしたその隙を翔太郎は見逃さない。一気に詰め寄り、その腕に拳を当て、ロッドとメタル・ドーパントを引き放した。

 

武器を失ったメタル・ドーパント。今だ、決めるなら今しかない。霧彦と翔太郎、二人の狙いは合致した。

 

「勝負だ。」

 

ジョーカーはバックルからメモリを引き抜きマキシマムスロットへと差し込み、右腰を叩く。電撃が走った様に身体に力が満ちる。

 

『JOKER MAXIMUM DRIVE』

右拳に紫の炎が宿る。

「ライダーパンチ。」

 

武器を失ったメタル・ドーパントは拳をジョーカーに向けて立ち向かう。だがそれは敵わなかった。

ジョーカーの後ろから飛来する青い影、ナスカはそのブレードでメタル・ドーパントの右拳を弾いて隙を作り出す。大きく開いたその顔面へジョーカーの拳が迫る。

 

とどめは刺した。動きを止めたドーパントは爆散し、本体を元の姿へと戻した。

 

「霧彦。ナイスコンビネーションだ。お前となら一時的に相棒になって貰えるぜ。」

霧彦は笑うかのように首をひねって返す。

「何を言うんだい。君の相棒はフィリップ君、ただ一人だろう?」

「そうだな・・・。すぐに行くからな、相棒。」

 

そう言い、ナスカとジョーカーは走り出した。

 

 

 

そのドアを突き破る。露わになった二人の仮面ライダー。

「助けに来たぜ。」

 

それを見たフィリップは叫ぶ。

「翔太郎!まさか、姉さん・・・・?」

 

「残念ながら私は冴子ではなく、園崎霧彦さ。君を救うために、この街を救うために、私は帰ってきた!」

 

フィリップは驚愕の顔を浮かべる。死んだ筈の人間だ。無理もない。

それを見た大道克己は立ち上がる。ロストドライバーを手にゆっくりと歩み寄る。

 

「なぜエターナルの効果が効いていない?まぁ、どうでもいいことだ。その最後の一本でこの街を変えるからな。」

 

その言葉に翔太郎は応える。

 

「ふざけるな。貴様フィリップに何を!」

 

克己はロストドライバーを巻いてそのバックルにメモリを刺す。

 

『ETERNAL』

 

変身音が流れ、大道克己は仮面ライダーエターナルへと変身する。

ナスカとジョーカーが先制攻撃。拳とブレードをぶつけるが、両腕でエターナルは受け止める。

 

「俺は仮面ライダーエターナル。ドーパントごときが敵うか!」

 

ブレードを弾いてその身体に数発のパンチが刻まれる。ナスカは吹き飛ばされて、壁に激突する。ジョーカーも負けじと拳を振るうがエターナルにダメージは入らない。

睨み合うジョーカーとエターナル。その間に割ってはいるのはナスカ。例えブレードが無くともその拳で果敢に立ち向かった。

 

「私はこの街を傷つけるお前を許さない。この身体がドーパントであったとしても!」

 

霧彦は信じていた。ガイアメモリが人間を進化させる物だと。だがそのガイアメモリはこうして街の悪の手に渡り、今この街を泣かそうとしてる。そんなことは許さない。自分が相手と同じ位置に堕ちたとしても、その下にさら堕ちるとしても。霧彦はもう迷わない。悪に立ち向かう勇気を貰ったから、この街の希望・仮面ライダーに貰ったから。

 

「はぁああああああッ!!」

 

ぶつかり合う、正義の怪人と悪の仮面ライダー。

 

ナスカの拳がエターナルへとダメージを与えた。怯んだエターナルは少し後ずさった。さらに一撃に二撃三撃四撃。次々に決まる攻撃。最後の攻撃がエターナルを大きく引き離した。ここがチャンスだ。

 

「霧彦ッ、受け取れぇぇぇえ!!」

 

ジョーカーが背後からナスカにブレードを投げる。ジャンプし、空中でそれをキャッチ。そのまま流れるように両の翼を開く。

 

「超高速ッ!!」

 

地面に水平に空を跳び、一直線に向けた剣をエターナルへと刺し込む。ナスカは超高速。そもそも同じ壇上にエターナルは建っていない。決まる筈だった。だがエターナルは負けなかった。自らの身体を強制的に壇上へと押し上げる術がエターナルにはあった。

 

『NASCA MAXIMUM DRIVE』

 

ロストドライバーのマキシマムスロット。そこに差し込まれていたのはナスカのT2ガイアメモリ。エターナルの背中にナスカと同じ橙の翼が生える。予想外の動きに驚き、止まってしまったナスカ。その隙にエターナルはその距離を詰めて、さらに一本、マキシマムスロットへと差し込んだ。

 

「二人になったところで俺との差は埋まらん。」

 

『WEATHER MAXIMUM DRIVE』

 

ナスカとジョーカーを包んだ黒雲。その黒雲から生み出された赤い稲妻が二人を一斉に襲う。それはとてつもないダメージだった。それは二人の変身を解除させるには十分だった。

 

二人の身体からはじき飛ばされる二本のメモリ。そのうちの一本、ジョーカーメモリをエターナルは拾い上げて言った。

「AtoZ。26本全てのメモリが揃った。」

 

ゾーンメモリをエクスビッカーへと差し込み、押し込む。それが合図だった。26本全てがエクスビッカーへと吸い込まれている。

 

その時、一斉にガイダンスボイスがその場へと流れる。

 

 

『ACCELBIRDCYCLONEDUMMYETERNALFANGGENEHEATICEAGEJOKERKEYLUNAMETALOCEANPUPPETEERQUEENROCKETSKULLTRIGGERUNICORNVIOLENCEWEATHERXTREMEYESTERDAY』

 

『MAXIMUM DRIVE』

 

「うああああぁぁあああ!!」

 

フィリップの絶叫が響き渡る。エクスビッカーの補助回路、フィリップへの身体の負担は計り知れる物ではない。だが成功してしまう。26のマキシマムドライブのエネルギーは注ぎ込まれた。

 

大道克己はテレビカメラの前へと座り、言い放った。

「風都の諸君、朗報だ。これから街に光が降り注ぐ。諸君らは死ぬ。エクスビッカーの光が諸君らの肉体を変貌させ、俺達と同じ、不死身の怪物に変えてくれるだろう。さぁ、市民諸君。」

 

 

「地獄を楽しみな。」

 

戦慄が走る。その言葉に心の底から恐怖を覚える人々。この街は今、恐怖で染め上がって居た。

 

 

テレビの画面に一人の男が映る。

 

「させない・・・。私の愛するこの街を、風都をそんな街にはさせない!」

 

「はっ、ナスカの本体か。そんな傷だらけで何ができる?」

 

繰り出す霧彦の拳。あっけなく克己に止められ、逆に殴り飛ばされる。

 

「できなくても・・・・・やってみせるさ。私もこの街を守る仮面ライダーだから!」

 

その言葉が街の全ての人々に染み渡る。仮面ライダー、この街を守る希望の象徴。

 

そして霧彦は立ち上がらなければならない。この街には愛する人たちが居る。そしてその人達との記憶(メモリ)がある。雪絵、冴子、沢山の人々を霧彦は守りたかった。だから霧彦はこの街を愛していた。

そしてその思いはこの街に住む人々とへと送られた。

霧彦は地面に這いつくばったまま、克己を睨む。

 

 

 

その部屋に一人の女性が入って来る。羽原レイカ、ヒート・ドーパントの本体。その身体は酷く脱力している様だった。レイカは克己に歩み寄る。

「克己・・・・。助けて・・・・。おかしいんだ、身体が維持出来ない・・・・。」

 

そんなレイカの肩を克己は抱き上げる。

「当然さ。お前は負け犬だ。」

 

優しく、厳しく、事実を告げる。そして何も言わずにレイカの腹を殴る。その様をみたレイカは信じられないように克己を見上げる。

 

「うっ!」

 

まるで細胞が悲鳴を上げているかのように肌が蠢く。倒れたレイカを翔太郎が支えるも、もう助かる見込みは無かった。

 

「NEVERと言えども、マキシマムにやられれば塵に返るさ。お前の代わりはいくらでも作れる。」

 

消えるその瞬間にレイカは言った。

「酷いよ・・・・・。」

そのまま力尽きるように消えて行った。

 

「おい!」

翔太郎は叫ぶが助ける方法はない。翔太郎はさらに決意を固める。フィリップを苦しめた。仲間をこんな風に扱いやがった。霧彦をぶっ飛ばしやっがた。そして今からこの街を汚そうとしている。コイツは必ず倒す。頭に被せた帽子はその意味だった。

 

「良い気分だ!もう実験台の化け物は俺一人じゃない!みんな俺と同じ、生ける死者になれ!」

笑いながら克己はエクスビッカーのスイッチを入れる。充填されたエネルギーは光となって発光している。

 

霧彦は最後の力で立ち上がる。そして目の前で苦しむ少年へと話しかけた。

「フィリップ君、戦うんだ!こんな奴等の道具にされたままじゃないけない、君は人間だ。そして君も風都を愛する一人のはずだ!」

 

「義兄さん・・・・・?」

薄れた意識の中でフィリップに届く霧彦の声。それは確かに彼の意識を、心の強さを、呼び覚ました。

 

「発射だ。」

 

「やめろぉおおおおおおおお!!!!!」

 

克己が発射ボタンを押した瞬間にエクスビッカーの光が急速に失われる。予想外の事態だ。克己は驚きの声を上げた。

 

「何?」

 

 

翔太郎は見上げた。目の前に居る自らの相棒が今、必死に抵抗している様を。

「そうだ、こんな奴に風都を滅ぼさせはしない!」

 

 

 




読んで頂きありがとうございます。

前回に引き続き、お気に入り・感想・評価等お願いします。

特に感想は悪いところが見つかるので是非是非。



今さらながらZを継ぐ者読みました。単純に面白かったですし、この小説を書く上でもかなり参考になりました。あの小説のキャラクターも出したいけどちょっときつそう。その分オーズ組は出番大幅アップです。
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