インフィニット・ストラトス ~迷い込んだイレギュラー~ 作:S-MIST
束と晶は自宅の居間で、揃って頭を抱えていた。
「なぁ束。どう考えても船が足りないんだが」
「だよねぇ」
ここで言う船は、先日配備された
話を一般レベルにまで広げると、もっともっと足りない。
2人は「うーん」と揃って腕組みして考え、同じ結論に至った。
「工場増やすか」
「工場増やそうか」
晶が空間ウインドウを開いてコンソールを操作すると、居間の明かりが消えて地球周辺の模式図が立体投影された。
地球と地球の静止衛星軌道にあるアンサラー1~3号機。衛星軌道で準備中の移民船クレイドル。月と月の北極と南極にあるアンサラー7号機と8号機。月の衛星軌道にある16個のスターゲートと7つの稼働している積み替え用ステーション。3つの建造中の積み替え用ステーション。L4宙域にある“首座の眷族”から貰った11基の
そして模式図の端に、太陽の情報も表示されていた。アンサラー4~6号機に加え、先月9号機が投入されているのだ。このお陰で、地球文明圏全体で使えるエネルギー量にはかなり余裕がある。スターゲート送電システムのお陰で、太陽で発電したエネルギーを地球で使えるからだ。
次いでL4宙域を拡大表示して、稼働中のコロニー一覧を表示させる。
畜産業用に4基、造船用に2基、宇宙の訓練施設兼レジャー用に1基、学園用に1基。これら8基は“首座の眷属”から貰ったものだ。
将来的に移民先に移動させる予定の食料生産用コロニー2基、企業に貸し出すレンタル用コロニーが1基。これは“首座の眷属”から購入したものだ。
晶が言った。
「置くならやっぱりL4宙域。コロニーも同型の方が、参加企業はやり易いだろう」
「そうだね。まぁ、向こうにとっては旧式だから、購入自体は大丈夫だと思う。ただ、どんな船を優先して造ろうか?」
「どのくらいコロニーを購入出来るかによるが、
「なるほど。理由は?」
束はこの時点で晶の考えが概ね分かっていたが、敢えて理由を尋ねた。凡人相手にこんな事なんてしない。大事なパートナーと意識の擦り合わせをしておくのは、当然だろう。
「心情として立派な大型艦を揃えた艦隊ってのは見栄えが良いけど、実際の運用を考えると、先に必要になるのはどう考えたって足の速い船だ。目と耳がなきゃ何も出来ない。あとここから先は予想だが、地球の造船技術がもう少し進んだら、多分沢山の人が冒険家みたいな事を始めると思うんだ。その時に必要になるのは、鈍重な大型艦じゃない。小型で快速な扱いやすい船だ」
束はニコッと笑った。同じ考えだったからだ。
「私もそう思うな」
晶は返答を聞いて、更に続けた。
「で、だ。この冒険家みたいな活動についても、少し考えている事がある」
「どんなこと?」
「ライセンス制にしようかと思ってる。無条件に行かせるんじゃなくて、一番初めにテストをして、合格した者にライセンスを与えて行って良いよって形さ。まぁ色々な事が予想出来るから――――――」
一度言葉を区切った晶は、ニヤリと笑って言った。
「――――――多分、レイヴンみたいな形になるんじゃないかなぁって思ってる」
“レイヴン”。
支配という名の権力が横行する世界において何にも与する事のない例外的な存在。
「具体的には?」
「個人で扱える小型快速の船。ライセンスを持った人間が扱うのはパワードスーツ。これに色々な事が出来る便利なツールとして、
設立当初はISやパワードスーツ部隊への依頼斡旋業務が主な仕事となっていたが、カラードが5つの紛争地域に介入した時に、在野に埋もれた人材の活用手段として依頼受付システムが拡張され、スキルを持った人間が仕事を受ける為の窓口にもなっていた*2。
束は“
「良いんじゃないかな。カラードだけじゃやり辛い事も、個人が行ってくれてその成果を買い取る形なら、色々な事をもっと早く進められるね」
「だろう。次に問題となるのが宇宙船のパイロットだが――――――」
晶は新しい空間ウインドウを展開して、幾つかのデータを呼び出した。
以前蒔いた種が、少しずつ芽吹いているのだ。
学園用コロニーには宇宙船パイロット科*3があり、約3年前*4からは“首座の眷属”と“獣の眷属”に、宇宙船パイロットの育成を協力して貰っている。
加えて“首座の眷属”や“獣の眷属”と行っている、中古宇宙船の修理事業は継続中なのだ。無論地球の技術力を考えれば最低限の修理というレベルだが、修理して動かす事は可能という意味でもある。
時間経過にして約3年。それなりに学んでくれただろうか?
「――――――教育はある程度進んでいるみたいだから、船を貸し与えて、本人達が思う事をさせてみるのも良いかもしれない。勿論良い事悪い事色々あるが、この段階で出るような事は遠からず必ず出る。なら先に出して、こういう事もあるって認識を浸透させた方が良いだろう」
「そうだね。今後を考えるなら、少しずつでも地球圏から人が出る事を考えた方が良いもんね」
こうして2人の間で、方針が決まっていったのだった。
◇
翌日。束と晶は、アラライルやスノーとオンラインで話していた。所謂いつもの会談と言われているもので、いつも通り地球全土に公開されている。そして最近は、“首座の眷属”や“獣の眷属”側でも公開されるようになっていた。
『―――という訳で船の増産を考えているので、以前買った
束の説明と要求に、アラライルは二つ返事だった。
『良いですよ。幾つ買われますか?』
『取り敢えず10基程度で』
『分かりました。
シールドブースターとは、束が約10ヶ月程前に設計したコロニー用の外部オプションパーツだ*5。
地球の設備では生産出来ないため、“首座の眷族”と“獣の眷族”に生産や販売が委託されている。
形状は縦長な八面体で、コロニーの外周に等間隔で6つ配置されるタイプが多い。配置ユニットを増やせばそれだけシールド強度を上げられるが、エネルギー効率とは完全にトレードオフの関係であった。そしてこの防御兵装は基本とされる6つ配置ですら、稼働に莫大なエネルギーを必要とする。常時稼働させるなら軍用施設レベルの主機関か、スターゲート送電が必要な程だ。このため他文明の一般的なコロニーでは、購入しても稼働させるのは緊急時のみ、という運用が多くなっていた。
防御能力はシールドとステイシスフィールドを多積層展開して、攻撃の威力を段階的に減じていくという仕様上、エネルギー兵器よりも対物理に強くなっている。
尤も基本出力が通常の艦艇とは桁違いなので、一般的な兵器を相手にしている限りは、エネルギー兵器に対しても強くなっている、という認識で問題ない。
以前行われたデモンストレーションでは、
しかし束博士が設計した物は違う。シールド技術とステイシス技術。多積層展開という少々面倒な制御が行われているが、
簡単に言ってしまえば、使いやすい品なのだ。
―――閑話休題。
アラライルの言葉に、束もまた二つ返事だった。
『全基分つけて下さい。いえ、更に追加で20基送って下さい』
どうせなら、今稼働しているコロニー群や宇宙農園にも付けてしまおうと考えたのだ。地球文明圏で使う限り、エネルギーの心配はしなくて良いのだから。
支払いは相応の額になるが、スターゲートハイウェイの収入が積み上がっているから問題ない。
『分かりました。それも含めて、
『お願いしますね』
こうして商談が一段落したところで、束はこれまで聞き役に徹していたスノーに話し掛けた。
『そういえばスノーさん。この前ウチの艦隊をボッコボコにしてくれた軍人さん達に、「ありがとう」って言っておいて下さい』
少し前のことだ。
“翼の眷属”の領域で少々遊んだ後に、スノーから思わぬ申し出があった*6。
カラード宇宙艦隊の練習相手として、“獣の眷属”の艦隊を動かしてくれるというのだ。地球で言うところのJIVESと類似したシステムを使ったシミュレーション上での話だが、これがどれほど好意的な申し出かは言うまでも無いだろう。
何せ
今のカラード宇宙艦隊が行える筈も無い事で、控え目に言ってボッコボコ。大人と子供。ワンサイドゲーム。そんな言葉が生温く感じる程に粉砕されたのだ。
しかし、ある意味で幸運とも言えた。
何故なら今のカラード宇宙艦隊に配備されているのは、
これに加えて隊員達が、
束の言葉はこのような背景があってのもので、スノーもそれは分かっていたので素直な返答だった。
『分かりました。伝えておきたいと思います。そちらの人達は大丈夫でしたか?』
『元々差があるって言うのは伝えていましたから。多少夢をみていた人達もいたみたいですけど、しっかりと目が覚めたみたいでしたね』
『そうですか。では、また練習相手が欲しくなったら言って下さい』
『良いのですか?』
『勿論です』
スノーがニッコリと笑いながら答える。
誰が見ても友好的な態度だろう。しかも今回だけ、という訳ではない。いつもの会談がこれまで継続的にリアルタイム配信され、更に映像記録として公開されているお陰で、カラードのこれまでの対応が育んだ下地あってのものと、地球人の誰もが分かる形になっていたのだ。
無論政治の場の笑顔ほど疑わしいものはないのだが、裏を疑う地球人は別の意味で納得せざるを得なかった。
カラードは地球に入ってくる情報をある程度コントロールしているが、会談がリアルタイム配信されている以上、それなりに鮮度の高い情報が入っている。
だから、一般人でも分かるのだ。
“首座の眷属”や“獣の眷属”との絶望的な国力差が。
極々単純な事実を並べれば、“首座の眷属”が保有している恒星系は2600。“獣の眷属”で400。
規模が大きすぎて実感の湧かない者もいるだろう。なので規模を小さくした例を挙げるなら、アメリカと日本の国力差が分かり易いだろうか。経済規模の比較で7倍である*7。たった1つの惑星の中ですら、1位と4位でこれほどの開きがあるのだ。ならば単位が惑星規模となった時、どれほどの差となるだろうか? 加えて言えば両文明ともテラフォーミング技術を持っており、一般人が日常生活を問題無く送れる程のコロニー群を無数に所有している。アステロイドマイニングなど、只の企業活動でしかない。となれば規模は、100倍? 200倍? 晶はかつて行った会見で「1000倍」と口にした事があるが、これでも相当に甘い数字だろう*8。
だからこそ裏を疑う者達も、カラードを押すようになっていた。他の者が舵取りをして、上手くいく未来が全く見えないからだ。
そのような背景もあり、今カラードは急速に支配体制を固めつつあった。
とは言っても、重税を搾り取るという意味ではない。
これまで通り各国の事は各国に行わせている。電力を供給して、個々の国々に合いそうな政策を提示して、サービスを提供して欲しいというなら、契約に従って提供する。それだけのことだ。結果としてカラードが台頭する前より、国家間の争いは減っていた。全く無い訳ではないが、大規模戦争一歩手前の緊迫状態というのは無い。上からとやかく言わなくても、環境を整えれば人は勝手に生きていくのだ。
そして国家間の争いという無駄に消費されるリソースが大きく減った事で、多くの国や企業が
◇
一方その頃。月の衛星軌道にある整備艦。
全長10キロメートル級の巨大な双胴艦の中で、シャルロットの最側近であるキャロン・ユリニルは「うーーーーーーーん」と腕組みして考えていた。
容姿の第一印象はギャルだろうか。小生意気さとあどけなさが同居した艶のある表情。真紅の瞳に豊かな金髪のツインテール。スラリと伸びた四肢に高い腰の位置。起伏に富んだボディラインは、街を歩けば多くの者が振り返るだろう。
些か以上に挑発的なISスーツを着用しているが、中身は真面目で良い子である。因みにギャルっぽい外見にしているのは、外見で舐めてくれると色々楽という本人なりの擬態らしい*9。
そして彼女はISパイロットであると同時に、今のカラードを裏側から支える重要人物の1人でもあった。
何故なら彼女とその直轄チームは“首座の眷族”から直接、宇宙建築技術や造船・メンテナンス技術を学んでいるのだ。束がアラライルと直接交渉して教師役を派遣して貰っているという事実だけで、その重要度が分かるだろう*10。
―――腕組みして考えるキャロン・ユリニル―――
―――腕組みして考えるキャロン・ユリニル―――
暫くして、「はぁ」と溜息をつく。
社長の無茶振りはいつものことだが、今回も無理難題を言ってくれる。
“翼の眷属”の領域で一目惚れして買ってきた戦闘艦、ゴースロスを使えるようにして欲しいというのだ。
眼下のドックを改めて見てみる。係留されているゴースロスの全長は1282メートル。
後部にある4つのジェネレーターブロック。中央にある球体状の中央ブロック。そこから伸びる円柱状の前部ブロック。武装は電磁投射砲が6門。前方に向けて4。後方に向けて2。搭載機雷数10。CIWSに相当するレーザー可動砲が各所に。船体色はグレー。
全長は後方に突き出た2門の電磁投射砲の長さを含んでいるため、本体の全長は実質的に900メートル程度だろうか。
続いて、空間ウインドウを展開して兵装データを呼び出す。
6門ある電磁投射砲に使われている弾頭は純水水爆の核融合弾。弾速は光速の1%。搭載されている機雷は反物質兵器。レーザー可動砲のリロード間隔も悪くない。船体の慣性制御は甘いが、各所に配置された大推力スラスターを使っての旋回性能は悪くない。乗っている人間は相当に大変だと思うが、船体サイズを考えれば悪くない。
結論として、一昔前の地球であれば決戦兵器として十分な存在感を示しただろう。一昔前なら。
しかし
ワープ妨害が無ければ位置取りの自由を相手に与える事になり、ステイシス装置が無ければ単純な速力差でこちらのロックオンを振り切られる。
社長のオーダーを満たすなら、これら装置の搭載は絶対条件であった。
もう少し踏み込んで考えてみる。
ワープ妨害装置を搭載するとして、船体を中心にワープ妨害フィールドを展開するタイプが良いだろうか? それともワープ妨害フィールドを展開する弾頭を搭載するべきだろうか?
数舜考え、2つとも必要という結論に至る。
近づいてきた敵は、本体を中心に発生するワープ妨害フィールドで捕らえてワープによる逃走を阻止。更にステイシス装置で足を強制的に止めさせて、大型艦の火力で叩き潰す。
弾頭型の方は使い方を考える必要があるが、仮に数秒で効果圏内を抜けられるとしても、数秒間は確実に逃走を阻止できる。奇襲や強襲といった局面なら、かなり有効な一手になるだろう。
機雷についてはどうしようか?
反物質兵器なら、威力は問題ない。というか、惑星圏内で下手に使うと大気層が吹っ飛んでしまう可能性があるので、デチューンを考えないといけない。まぁ、威力については後で考えれば良いだろう。問題は使い方だ。
何か良い方法は無いだろうか?
悩み、考え、アイデアを求めて、ゴースロスが元々搭載していたという機雷の設計データを見てみる。
動力源である対消滅機関。その燃料槽。推進機関。敵の迎撃に対抗する為のシールド発生器や装甲。それら機能の制御系。構造的に言えば「居住機能を排除した艦艇」に近い。
ここで、キャロンはピコンと閃いた。
社長が言っていたではないか。戦闘とは極論的に、相手の嫌がる事をやった方が勝つと。
元々の搭載していたという機雷の設計データを見るに、新しい機能を搭載する余裕がある。光学迷彩とワープ妨害フィールド発生装置を搭載したタイプと、光学迷彩とステイシス装置を搭載したタイプを作ろう。
本当なら1つに纏めたいが、簡単に考えただけでもキャパシティオーバーしてしまう。これを5機ずつ搭載したら、戦術オプションが広がるのではないだろうか? いや、3機ずつにして、残り4機は反物質機雷の方がバランスが良いだろうか?
総合的な打撃力は低下するが、艦艇数が少ない今は使い勝手優先の方が良いだろう。
こうして考えを纏めたキャロンは、晶にコアネットワークを繋げた。
(社長。お願いがあります)
(どうしたんだ?)
(束博士から、広域型ワープ妨害フィールド発生装置の基礎理論を頂きたく思います)
(理由は?)
キャロンが今の考えを説明すると、晶は2つ返事だった。
(分かった。後日俺が直接届ける。その時、艦の構想についてもう少し煮詰めよう)
声が少し弾んでいるのは気のせいだろうか?
いや、多分気のせいではないだろう。
何せ社長は自他共に認める趣味人。本社ではメカニックと量産機について熱く熱く語り合って秘書さんに連れ戻されたりしている。現地改修と使い易さの両立。
そんな人が一目惚れして購入した船が実際に使えるレベルにまで改修されるとなれば、色々テンションが上がっていてもおかしくはない。なので、キャロンは思った。
(社長が来た日、私残業確定かしら?)
社長とベッドの中であつーーーい夜を過ごした事はある。でも今度来た時は、別の意味であつーーーーーーい日になりそうな気がしてならなかった。
社長がメカニック達と話していた光景を思い出す。本社に行った時に偶々その場面に遭遇して、話を聞いていた事があるのだ。
本当に、現場で起こりえるあらゆるが話題になっていた。
意見が対立するとその場でシミュレーターを持ち出して物理演算まで行っていた。
これがまた楽しそうにやっているのだ。そして社長は自分の仮定が間違っていたとしても、それはそういうものとして考えを進めていく。良い物を、扱い易い物をつくるのに立場など関係ないと言わんばかりに。
以前、これについて聞いてみた事がある。
返ってきた答えは、如何にも社長らしかった。
「え? トライ&エラーが良い物をつくるんだろ」
何を当たり前のことを、という感じだった。
そういう人が一目惚れした船について話に来る。熱い話し合いになるのは間違いない。
キャロンは入念に準備しておこうと思ったのだった。
◇
後日のこと。
数回のあつーーーーーーい話し合いの末に、ゴースロスの仕様が固まった。
――――――ゴースロスVer1.0 諸元性能値――――――
全長
1282メートル
対応領域
空・海・
動力源
主機関4
ステルス性能
なし
機動性能
ブースターと重力・慣性制御の併用による大気圏離脱能力
ワープドライブ
防御性能
エネルギーシールド
攻撃性能
電磁投射砲×6(前方4門、後方2門)
ワープ妨害フィールド発生型爆雷×4
ステイシスフィールド発生型爆雷×4
純粋水爆核融合型爆雷×2
レーザー稼働砲×30
ワープ妨害フィールド発生装置
ステイシス装置
備考1:電磁投射砲について
初速は光速の1%。つまり秒速約3000km。
使用弾頭は純粋水爆核融合弾。
備考2:爆雷について
キャロンが開発したアタッチメント方式で機能を変更可能な爆雷。
ワープ妨害フィールド発生型、ステイシスフィールド発生型、純粋水爆核融合型はそれぞれ機能がパーツ化されているため、戦闘前であれば機能の入れ換えが可能。セッティングの手間があるため、戦闘中に行うのは非常に難しい。
備考3:ワープ妨害フィールド発生機について
束博士より基礎理論の提供を受けて実装の目途が立ったものだが、範囲は広くない。
キャロンの技術力では、精々が艦を中心として半径10キロメートル程度。
束博士の乗艦イクリプスなら半径100キロメートルだが、アレと比べてはいけない。
その他雑記
全長は後方に突き出た2門の電磁投射砲の長さを含んでいるため、本体の全長は実質的に900メートル程度。
主機関は4つ搭載と豪華に見えるが、地球製であるため1つ1つの出力が
物理装甲の耐久性は戦艦級としては並み。
――――――ゴースロスVer1.0 諸元性能値――――――
晶は社長室で、完成予想図を見てニタニタしてしまっていた。
好きだったアニメの船を現実に再現するなんて、ヲタク冥利(?)に尽きるというものだろう。
そしてこれはVer1.0なのだ。実際に運用して、何か問題あればアップデートしていけば良い。
原作アニメでは爆散してしまったが、大好きな船なのだ。それが、この世界では末永く使える。正式配備にして、息の長い運用が出来る。思わず小躍りしちゃうくらいに嬉しい。
そしてミリヲタ的な思考で考えてしまう。ゴースロス級が1隻に
演習で“獣の眷属”にボッコボコされた状況に当て嵌めて考えてみる。
(………………)
多少抵抗出来るようになるかもしれないが、基本的に変わらない。ワープ妨害フィールドやステイシス装置で攻撃のチャンスはあるかもしれないが、小回りの利く小型~中型艦がいないので、乱戦になった時点で相当に苦しい。なので普通であれば、小回りの利く小型~中型艦を準備して随伴させるのが王道だろう。しかし、晶の思考は別方面に飛んだ。
面白い事を思いついたのだ。
つまり極論的に言ってしまえば、これらを満たせるなら小回りの利く随伴艦は造らなくて良いのだ。色々な艦を造りたい今、艦の建造ラインを他に割けるメリットは大きい。
ニヤッ、というわるーーーーい笑みが浮かぶ。
この世界に、ゲームのようなルールがある訳ではない。なら、艦にオプション兵装があったって良いじゃないか。
例えば、例えばだ。アーマードコア3に登場したD-C001、通称“大仏”の通常武装を取っ払って、ワープ妨害装置やステイシス装置をガン積みして、近寄って来た敵艦はそれで雁字搦めにして、動けなくなったところに電磁投射砲をブチ込んでやれば良い。
D-C001の大きさはどれ位だっただろうか? 確か公式設定は無かったはず。アーマードコアとの目測比較になるが、おおよそ40~50メートル程度だろうか? この大きさなら、地球文明でも造れる。まぁサイズまで再現する必要は無い。なんなら多少大型化しても良い。
運用方法も簡単にしよう。普段はゴースロスの左右に接続しておいてで、戦闘時は切り離して艦の左右に位置するようにする。所謂移動砲台のような扱いだ。
これなら艦の性能を落とす事無く、ワープ妨害とステイシス機能を強化できる。
考えを纏めた晶は仲間達にも意見を求め、この案をより練り込んでいくのだった。
第247話に続く
この世界の宇宙に、レイヴンという存在が羽ばたく為の下地が出来ました。
そしてゴースロスは好きな船なので、実戦に参加出来るように調整。アーンドAC3からD-C001、通称“大仏”くん参戦。
大仏くんはこの世界では戦闘艦のオプション装備となりました。