インフィニット・ストラトス ~迷い込んだイレギュラー~ 作:S-MIST
元IS強奪犯というのも昔の話。無罪放免を勝ち取った彼女達の今は――――――。
ハウンドチーム。
3人編成のこのチームは、カラード設立当初からいる初期メンバーだ。
ただし、真っ当な経歴ではない。全員が元IS強奪犯という犯罪者だ。
そんな彼女達が薙原晶の下で働くようになった切っ掛けは、約7年半程前にまで遡る*1。
IS学園襲撃に失敗してIS委員会に引き渡された後、更生目的の為の超法規的措置として、当時から
1人はエリザ・エクレール。クセの無い銀髪のセミロングと切れ長の瞳が、見る者にどこか冷たい印象を与えていた。
1人はユーリア・フランソワ。腰まである燃えるような赤髪と勝気な瞳が印象的で、外見通り高飛車な性格をしていた。
1人はネージュ・フリーウェイ。腰まであるストレートブロンドと蒼い瞳は、名家の清楚なお嬢様を連想させた。が、3人の中では一番の腹黒だった。
こんな3人を晶は、望んで引き受けた訳ではない。IS委員会との交渉で、言質を取られて仕方なくだ。勿論、彼女達が望んだ訳でもない。
つまり、お互いに望まない関係だったのだ。当初の関係が良くなかったのも当たり前である。しかし幾多の出来事と時間によって徐々に変わり、今では忠実な猟犬かつ愛犬を自任する程だ。
また昔と今の大きな違いとして、かつての罪は既に償い終えた事になっている、というのがあった*2。理由は2つ。1つは各国がどれほど追っても捕まえられなかった賞金首を次々と捕らえ、多くの被害者の無念を晴らしているから。1つはこれほどの働きを見せている者達に何ら減刑処置無しでは、今後の司法取引にも影響が出かねないから。
尤も彼女達は無罪放免となった後も、罪人を監視する為の各種機能が仕込まれた首輪を、頑なに外そうとしなかった。普通の感性なら、首輪という従属を表す記号は嫌がる筈だろう。ISの待機形態でもあったので外すと仕事に差し支える、という訳でも無い。他の者ならいざ知らず、晶のパートナーはISの生みの親である束博士なのだ。待機形態の形状変更など、簡単に行える。では何故か? 彼女達は
なお3人が身に着けている首輪は、犬や猫がつけているような形ではない。黒いチョーカーに深紅の宝石が1つ、というある程度のデザイン性があるものだった。
閑話休題。
カラード本社ビルの一角にあるハウンドチーム専用オフィス。
3人はそこで、次の獲物について調べていた。
「ねー。次はこいつなんてどう?」
デスクに形の良いお尻を乗せていたユーリアが、見つけたお手頃そうな獲物のデータをネージュとエリザに送る。
「あら。ならついでに、こいつもどう?」
デスクでコーヒーを飲んでいたネージュが同意しつつ、一緒に狩れそうな獲物のデータをユーリアとエリザに送る。
「良いわね。じゃあ、次の獲物はコイツらにしましょうか」
デスクでデータを見たエリザの言葉で、次の獲物が決まったのだった。
―――オフィスで話す3人―――
ユーリア
ネージュ
エリザ
―――オフィスで話す3人―――
◇
サクッと獲物を狩った後日のこと。
3人はフランスの都市リヨンにある、
因みに
むしろ実際の活動はその逆、地味な後方活動だ。
情報収集を行い、各国の警察に情報を伝え、国際犯罪に対して連携して当たれるようにしていく。
華やかさは無いが、大変重要な仕事だ。
しかし幾ら情報を伝えたところで、伝えた国の警察が犯人を捕らえられなくては意味が無い。
単純に捜査力が足りなかった、というなら(良くはないが)諦めもつく。だが本当の悪党というのは、捕まらない為なら何でもする。
買収、脅し、殺しetcetc。
刑事本人が幾ら優秀で才気に溢れていようと、家族や友人、周囲を狙われてはどうしようもない。
これのお陰で証拠を固めていながら、何人の悪党を逃した事か………。
このような苦渋の経験から、モノは試しとカラードに仕事を依頼した事が、ハウンドとICPOの関係の始まりだった。
建物に入ると、顔見知りの職員が教えてくれた。
「事務総長は執務室にいらっしゃいます」
「そう。ありがとう」
先頭を歩いていたエリザが答えると、職員は近くにあった電話で内線をかけていた。
聞こえてきた会話によれば、来たのを伝えてくれたようだ。
そうして進んで行くと、顔見知りの職員達が次々と挨拶してくる。
途中で、こんな会話が聞こえてきた。
「ほら、あれがハウンドだ。お前もお世話になるかもしれないからな。よく覚えとけ」
「映画の女優より美人っすね。誰もナンパとかしないんですか?」
「………お前。あの赤髪の人、ユーリアさんの逸話知ってるか?」
「知らないですけど、何かあったんですか? いや、元強奪犯なら何かやってるかもしれませんけど」
「詳しい状況は省くが、野郎の大事な玉々を膝蹴りしてブチッとしたんだ。小突いた、じゃなくて、ブチッ、な」*4
「え゛っ!?」
若い職員が、思わず自分のを押さえていた。
「俺も又聞きだからな。本当かどうかは知らん。強奪犯になる前の話らしいけど、多分本当だろうなぁ」
「じゃ、じゃあ。他の2人は?」
「金髪の方、ネージュさんはかつて自分を嵌めた奴らを企業ごと潰していたな」
「そういうのって、普通はやった相手にだけしません?」
「余程恨んでいたのか知らんけど、それこそぺんぺん草も生えないくらいにやったんだよ。もう何年も前だけど、IS系企業で盛大に潰れた会社あっただろ。アレ」*5
「アレって、もしかして関係者軒並み借金地獄になったアレですか?」
「ついでにヤバイ醜聞もセットな」
「うわぁ」
「で、銀髪のエリザさんだが、まぁハウンドの活動を見ていれば分かるだろ」
「………確かに」
ハウンドチームは賞金首を狩る。暴力を更なる暴力で上書きして、金という権力は暴力で踏み潰して。リーダーのエリザが、ヤバくない筈がないだろう。
こんな話がされている中で彼女達は歩いて行き、事務総長の執務室に着いた。
ノックをして返事があったので中に入ると、付き合いの長くなってきた初老の男性が出迎えてくれる。出会った頃から体形が変わっていないあたり、運動は欠かしていないのだろう。
因みにICPO事務総長の任期は5年で、最大でも2期10年まで。この人は2期目だ。
「よく来てくれた」
「こんにちは。また獲物を貰いに来たわ」
「これだ」
データ持ち運び用のUSBメモリが放り投げられる。
エリザが受け取って、
「なんか、また増えてるわね」
「お前らが熱心に仕事をしてくれるから、これ幸いと送ってくる奴らが多いんだ」
ユーリアが口を挟んだ。
「無能揃いねぇ。法の番人が私達を頼るなんて」
「こちら側の人間に仕事を頼んで何が悪い」
「お仲間になった覚えはないんだけど」
「お前達に情報が渡るイコール死刑宣告と思われているんだ。悪党からしたら変わらんだろう」
ネージュが突っ込む。
「あら、人聞きの悪い。私達は、ちゃーんと捕らえてるわよ」
「そうだったな。急に行方不明になる奴もいるが、まぁ悪党だ。用心深く潜伏しているだけかもしれん」
「ええ。悪党ってとても用心深いですから」
白々しい会話が一段落したところで、コピーが終わった。エリザがUSBメモリを投げ返して言う。
「どうでも良いわ。私達は狩るだけなんだから」
「そうだったな。では、いつも通りに頼む」
「ええ」
結果として起きる事の処理は、いつも通り事務総長が処理する。
何も違法な事はしていない。法で処罰し辛い悪党が、行方不明になったというだけの話だ。勿論、何かしらの企みがあって深く潜伏している可能性も、併せて各方面には伝えられる。極めて真っ当な手続きで、何もやましいところなど無い。
世の中は、こうして回っていくのだ。
◇
また別の日のこと。
ハウンドの面々は軍需企業主催のパーティ会場にいた。
以前、
元々3人が優遇されているのは知られていたが、こんな大口顧客を企業が逃す訳ないだろう。また、ちょっとしたメッセージでもあった。表側の人間は知らない事だが、有名な軍需企業の中には亡国機業のフロント企業も複数存在している。その大株主は亡国機業の元最高幹部12名なのだ。
つまりかつての上司が、「ちょっとウチの売り上げに貢献して」と言っている訳だ。
尤もハウンドの面々に聞いてやる義理も無ければ理由も無い。なんなら無視しても良い。属していた組織が同じというだけで、トップと末端程に離れていたのだ。
しかし、だ。別の見方をするなら、今は
仲間意識がある訳ではないが、
という訳で、ちょっと顔を出していた。どの程度いるかは気分次第で、つまらなければ即帰る。面白ければそれなりにいるだろう。
―――ドレス姿の3人―――
エリザ
ユーリア
ネージュ
―――ドレス姿の3人―――
そんな中で、ユーリアがコアネットワークで言った。
(ねー、エリザのドレス地味じゃない?)
(貴女のは派手過ぎ)
(じゃあネージュのは?)
(あざとすぎ)
確かにユーリアやネージュのドレスは、エリザのと比べれば多少派手かもしれない。しかし、誤差の範囲だろう。何せ3人とも美しく整った容姿に加え、起伏に富んだ素晴らしいボディラインをしている。いずれ劣らぬ魅力で、ドレスを見事に着こなしていた。
尤もこの場に、鼻の下を伸ばして近づいてくる者などいない。多くの者が目を奪われていたが、ハウンドが薙原晶の猟犬にして狂犬で愛犬というのは、既に周知の事実なのだ。
そんな中で名だたる巨大軍需企業のトップ層達は、商品の売り込みをしていた。彼女達に使って貰えれば、「ハウンドが使っている商品」という強力な謳い文句を使えるからだ。下手なロビー活動よりも、こちらの方が遥かに宣伝効果があるのは間違いない。だがハウンドの審査は、非常に厳しい事でも知られていた。
「エリザ様。こちらの商品などは如何でしょうか」
差し出されたタブレットには、初めて見る機体が映し出されていた。
アーマードコア規格で作られた人間サイズの無人機。つまり
型式番号はUCR-10/L AGNI(アグニ)*7。
直線的で左右非対称の少々無骨なデザインだが、スペックデータを見る限り本体性能は悪くない。また特徴的なのが肩と膝で、左肩は装甲と多目的コンテナが一体化していて、左膝には展開型の物理シールドが付いている。一見すると重量バランスが悪そうに見えるが、企業もそれは突っ込まれるところと分かっていたのだろう。本体映像のすぐ近くに重量配分データが記載されていて、カウンターウェイトで整えられているとあった。
更に読み進めていくと肩の多目的コンテナには、CIWS、弾倉、サブコンピューターなど、様々なオプションを装備可能となっている。
武装は右手にスナイパーキャノン。右肩にノーマルな実弾ライフルを懸架。左手にHEAT弾装填のライフル。左肩に大型レーザーブレードを懸架。
実弾構成中心なのは、機動戦に多くのエネルギーを割く為だろう。重量のあるスナイパーキャノンは、パージ前提の先制攻撃用か。
「なるほど。機体構成の意図は分かったわ。ありじゃないかしら」
「ありがとうございます。是非、お仕事で使って頂ければと思いまして」
エリザが答える前に、別の者がセールスを仕掛けてきた。
「お待ちください。何事も比較対象が必要でしょう」
そんな言葉と共に差し出されたタブレットには、また別の
型式番号はVP-40S*8。曲線的なラインを持つ中量二脚だ。武装は右手にレーザーハンドガンのみだが、積載量にもエネルギー出力にも十分な余力が持たせられている。
「ハンドガンのみの武装で紹介した意図は何かしら?」
「猟犬の方々が行うミッションは多種多様でしょう。当然、武装もそれに併せて組み替えられる筈です。ならばこちらから提示するよりも、基本性能の高い素体を提示した方が、お役に立てるのではないかと思いまして」
確かに悪くない。この出力ならエネルギー兵器メインでも組めるし、実弾兵器メインにして余剰エネルギーを機動力に回しても良い。余程重量のある武装を選ばない限り、大体のミッションで使えるだろう。
そんな事を思いながら読み進めていくと、後半にオススメ武装セットが掲載されていた。
高い技術力を必要とするエネルギー兵器がメインで、一般的な武装よりもお高い。流石企業。こういうところは抜け目ない。素体で売ると言っておきながら、しっかり武装も売る気なのだ。
一通り目を通すと、また別の者がタブレットを差し出してきた。
「
映し出されている
型式番号はVE-40A*9。
機動力は最低限で良いとばかりに鈍足だが、代わりに装甲と積載を盛りに盛っている。また直線移動に関してはオーバードブーストが使えるため、位置取り性能が劣悪という訳でもない。閉所や正面きっての撃ち合いなら、中々使えるだろう。
こうして始めは
アメリカでは高性能高コストな
この他にも、ある意味で必然と言える動きがあった。
現在多く使われている腰部に跳躍ユニットがあるタイプ*10は、室内や森林地帯など、閉所や障害物が多く機動力を活かせない地形を苦手としている。そこを狙った新商品だ。
一番印象的だったのはX-4シリーズだろうか*11。
まず大きな違いは、ジェネレーターの数だ。腰部に跳躍ユニットがあるタイプは、跳躍ユニットと一体化した小型が2基、背部に薄型の超小型が1基の計3基だが、X-4シリーズは背部の超小型1基のみ。
当然その分出力は低いが、エネルギーを大量消費するブースターを廃して、人の動きの強化に主眼が置かれていた。分かり易く言えば、パワーアシストや耐荷重性能だ。このため基本的に、人間が走る以上の速度では移動できない。しかしこの欠点は同時開発された大型バイクを使用する事で、ある程度の改善が図られていた。また高低差のある移動に関しては“エンジェルウイング”というオプション装備を用いる事で、数十メートル程度の跳躍が可能となっていた*12。跳躍ユニットほどの出力は無いし連続稼働時間も短いが、始めからそういう装備だと分かっていれば、後は運用でカバー出来るだろう。
では、生存率に直結する防御力はどうだろうか? 現在の主力である
次に、火力はどうだろうか? 超小型ジェネレーター1基ではエネルギー兵器など使えない。しかし歩兵に求められる程度の火力なら、実弾でも十分と言える。普通の歩兵1人でビル1つを倒壊させるとか、どう考えても過剰火力だろう。
ネージュがコアネットワークで話す。
(このX-4シリーズ。結構お手頃価格よね)
消耗度合の激しいブースターを廃して、ジェネレーターも減らしているのだ。安くなるのは必然と言える。
ユーリアが続いた。
(メンテナンスも簡単そうだし、社長が好きそうね)
構造の簡易化はメンテナンス性や耐久性に直結する。どんな時でも確実に動いてくれる、というのは最も大事な事の1つだ。
エリザが言った。
(そうね。でも私達が目をつけるくらいなら、社長も、ラウラ部門長あたりも、もう目を付けてそうな気がするわ。でも、そうね。私達のターゲットが使う可能性もあるし、検証用に数機買っていきましょうか)
ネージュが尋ねた。
(
(AGNI、VP-40S、VE-40Aを買っていくわ)
(AGNIとVP-40Sってどちらも運用としては中量級よね。どう使い分けるのかしら?)
(AGNIの脚部って構え撃ちが考慮されてるじゃない。そこそこ動けて狙撃も出来るって、割と使い道があると思うの)
VP-40Sの脚部が悪いという訳ではない。同じように膝立ちをして、構えて撃つ事は出来るだろう。しかしAGNIの脚部は膝立ちで構えた時に安定性が増すように、接地面が考慮された形状をしている。この違いは命中率に現れる筈だ。
(なるほどね)
こうして3人は、適当にパーティを楽しんだのだった。
◇
更に別の日のこと。
3人はカラード専用の保養地に来ていた。本社近郊の海上4000メートルにある浮遊島で、直径2キロメートルの半球状の大地だ。
綺麗な砂浜と穏やかで透き通った海が、南国の楽園といった雰囲気を生み出している。
因みに浮遊島で海を再現する為の莫大な量の海水は、浮遊島と海を繋ぐ1本の巨大な水柱を通じて供給されていた。このため遠くから見れば、巨大な水柱の上に浮遊島が乗っているように見えなくもない。
そして2年程前*14に造られた場所だが、使っている社員は多かった。何せ本社から近い。一般人もメディアもいない。覗かれる心配も無い。コテージという宿泊施設もある。レジャー施設ではないので自分で使う物は自分で持ち込まなければならないが、それを差し引いても非常に快適に過ごせる場所なのだ。
このため3人も時折、羽を伸ばすのに使うようになっていた。
―――浮遊島の浜辺にいる3人―――
エリザ
ユーリア
ネージュ
―――浮遊島の浜辺にいる3人―――
もしこの場に健全な紳士諸君がいたら、大胆な姿に視線が釘付けになっただろう。だが、ここに第三者はいない。なので何も問題無い。
ビーチチェアに横たわるユーリアが、伸びをしながら言った。
「んん~、やっぱりココ良いわぁ。のんびりできて」
すると右隣のビーチチェアで、同じように寛いでいたネージュが言った。
「サーフィンはしないの? ボード、持ってきてるんでしょ」
「その気だったけど、今日はいいわ。このままのんびりしたい気分。――――――あ、そうだ。この前なにしてたの?」
「なにって、なんのこと?」
「この前買った
「ああ、あれ。スナイパーキャノンの曲射弾道データを取ってたの。普通の使い方なら、まぁ概ねカタログスペック通りなんだけど、もうちょっと射程が欲しい場合ってあるでしょ」
「あぁ。なるほど。どれくらいだった?」
「ダメダメね。やっぱり専用の射撃管制プログラムを組まないと、まともに当たらないもの」
「
正確に言えば元々曲射する兵器ならオペレーション用のソフトウェアが付属しているが、スナイパーキャノンは基本的に直接ブチ当てるものだ。
「でも次か、その次くらいまでには使えるようにしておくわ」
左隣のビーチチェアで、同じように寛いでいたエリザが話に加わってきた。
「なら次のミッションは、射的ゲームにしましょうか。隠れ家に潜んで見つかってないと思っているヤツを、遠くからピンッて弾いてやるの」
ユーリアが尋ねた。
「調整中だし、外した場合は? そういう奴って逃げ足も速いだろ」
「近くに重武装させたVE-40A(ホバータンク)を潜ませて、更地にしちゃいましょう」
「住宅地が近かったら?」
「VP-40Sを後詰に配置して、それからも逃げられるくらいなら、私達で丁寧に確保してあげましょうか」
彼女達の丁寧が、言葉通りな筈もない。もし生きていたら警察に突き出して、賞金を貰っても良いかな、程度の話だ。法から外れた者が人知れず消えたところで、誰も困らないのだから。
猟犬らしい少々物騒な会話をしていると、遠くに人影が見えた。2人だ。
相手もこちらに気付いて会釈をしてきたが、近づいてくる様子はない。
付き合いがある相手ではないが、3人とも顔と働きぶりは知っていた。
赤髪の方がベルベット・ヘル。銀髪の方がセレーナ・エイレネ。
1年程前*15に社長と近しい関係になった者達で、ハウンドから見ても実に献身的な連中だ。
ユーリアが、ふと思い出したように言った。
「今、ギリシャってどうなってたっけ?」
2人に関わる事件で社長が大激怒して、更識まで動かして大掃除していたのだ。
エリザが空間ウインドウを開いて、幾つか確認してから答えた。
「実質的に属国ね」
政策提案サービスや戸籍管理サービスの全面導入に留まらない。老朽化したインフラの作り直しという名目で、上下水道や通信回線、街中の送電網に至るまで、国家が国家としてある為の土台を全て息のかかった企業側で握っている。政治? 当然カラードの意向を100%汲み取ってくれる者がトップだ。
そしてカラードから何か特別な発表があった訳ではないが、聡い者達は気付いているようだった。
時折2人のところに、ギリシャからお客さんが来ている。
「わぁお。流石社長。随分派手にやったのね」
「確かにここまでされたら、惚れ込むわよねぇ」
ユーリアの言葉にネージュが続いた。2人して納得という表情だ。
こうして3人は、のんびりとした1日を過ごしたのだった。
ちゃんちゃん。
―――オマケ:ベルベットとセレーナの水着姿―――
ベルベット・ヘル
セレーナ・エイレネ
―――オマケ:ベルベットとセレーナの水着姿―――
しばらーく出番の無かったハウンドチームの日常回でした。
お楽しみ頂けたなら幸いです。
後は少しばかり(?)変わったギリシャと、何故か猛烈に2人の水着イラストを出したくなったので煩悩のままに。
因みにセレーナさんは誰かさんに沢山愛されたお陰で、胸部が大変に成長しています。ブラを全部買い替えないといけないくらいに。