インフィニット・ストラトス ~迷い込んだイレギュラー~ 作:S-MIST
とある日の休日、織斑一夏は悪友である五反田弾の自宅を訪れていた。
「――――――しっかし何だよそれ。お前の話聞いてると、まるで天国じゃねぇか。何人か俺にも寄越せよ」
「何言ってるんだよ。色々大変なんだからな」
「どんな風に?」
「例えば体育の時間、準備運動だったら二人一組でやるんだけどさ――――――」
それから暫しの間、自分がどれほど苦労しているかを切々と語る一夏だったが、その思いは1%も届かなかった。
彼の話を単純に要約すると、次のようなものだ。
体育の準備運動では、毎時間別の女の子と組む事になっている。勿論二人一組なので、ブルマーや水着姿の女の子と密着する機会もある訳で、柔らかい感触が色々と………。
家庭科の授業では家事スキルの高さに黄色い歓声が上がり、最後は「あーん」をして欲しいと迫られて………。
健康診断では3サイズの測定係をやらされ、あんなところやこんなところに触れてしまい………。
晶×一夏の薄い本が出回っていたり………。
「なぁ一夏、殴って良いか? いや、今すぐ殴らせろ」
「お前!! 自分の薄い本が出回ってるのに我慢しろって言うのか!?」
「うるせぇ。そんな美味しい思いしてるなら少しは我慢しろよ。なんだそのハーレム。やりたい放題じゃねぇか!!」
「お前の考えてるような事したら、大変な事になるよ!!」
「そんな事言って。どうせドサクサに紛れて、じゃない。正々堂々触れるなんて羨まし過ぎるだろうが!!」
「正々堂々なんて触ってねぇ!!」
「ほぉぉぉぉ、本当に、無いんだな?」
「も、勿論じゃないか」
悪友の視線に一瞬たじろぐ一夏。
ここ最近では、幼馴染の2人とだった。
箒とは、道場で厳しい打ち合いをした後の事だ。お互い防具を外したところで脚がもつれ、押し倒してしまったのだ。
そしてどういう倒れ方をしたのか分からないが、片手が胴着の隙間から胸元に入ってしまい、布越しではない暖かで柔らかい感触が直接伝わってきたのだ。しかもお互い見詰め合ってしまい、恥ずかしそうにしながらも抵抗しなかった箒の顔は――――――所用で山田先生が道場に来なければ、どうなっていただろうか?
鈴とは休日の、自主訓練の後の事だった。
訓練に付き合ってもらった礼をすると言ったら、「マッサージして欲しい」と言われたのだ。肩揉み程度だろうと2つ返事でオーケーしたら、彼女の希望は足の先から指の先までの全身マッサージ。年頃の女の子の全身を、だ。
流石に男がするのは拙いだろうと思ったが、「お礼、してくれるんでしょ」と相手から言われてしまえばどうしようもない。
年頃の女の子の柔らかい感触に戸惑いつつ、何とか平常心を保ちつつマッサージを始めた。
だが脚の上の方に差し掛かってくると、何かを我慢するようなくぐもった声が聞こえてきた。力加減を間違えたかと思い手を止めると、うっすらと紅潮した顔で振り向かれ、「つ、続けてよ」等と言われたのだ。
あの時の鈴の表情は痛みではなく、どこか蕩けた………。
そこまで思った所で、弾の声が聞こえてきた。
「怪しいなぁ~」
「な、何だよ」
「いいや。お前が無いって言うなら、そうなんだろうよ。――――――ところでさ、
弾はもう少し一夏を弄ろうと思っていたが、滅多に聞けない話があるのを思い出し、そちらを優先する事にした。
巷ではヒーローのように言われている薙原晶は、IS学園ではどうなのだろうか?
「晶か? うーん、そうだな………訓練とか戦闘が関わら無ければ、割と普通の奴だよ」
あいつの訓練は確かに厳しい。だけど考えても分からない時や出来ない時は、分かりやすく教えてくれる。
昔言った「鍛えて欲しい」という言葉を、ちゃんと受け止めてくれていた。
だが弾が聞きたいのは、こういう事では無いだろう。
「――――――後、近くにはシャルロットとかセシリアがよくいるかな。あとラウラ」
「シャルロットって、あのシャルロットか? フランス代表候補生にしてデュノア社御令嬢の?」
月刊『ISファン』今月号、その表紙に写る彼女を指差しながら詰め寄る弾。
物凄い食いつきだった。
「お、おう」
「うわっ、羨ましいなぁ。こんな美人で大企業のお令嬢で、しかも優しくて家庭的って言うじゃないか。羨ましいにもほどがある」
「そうか? 普通に話してるだけだぞ」
「何言ってるんだよ。こんな可愛い子と毎日一緒にいるんだぞ。それだけで勝ち組じゃねぇか」
実際には一緒にいるどころか、お昼ご飯を食べさせあう「あーん」をしている事もあるのだが、一夏自身も箒や鈴にして貰っている手前、何も言わなかった。
「クッソ、良いなぁ。――――――でさ、セシリアって、このセシリア・オルコットだよな?」
次いで弾が指差したのは、ISファン先月号。表紙に映るのは、クラスメイトのセシリアだ。
普段のお転婆な態度を完璧に取り繕った、貴族のお姫様の姿があった。
(………化けたな)
本人に聞かれたら、レーザーで狙い撃ちにされそうな感想を抱く一夏。
クラスでの彼女は、割と気さくなのだ。
ちなみに家庭科の調理実習において、彼女の料理を食べた晶が、無言で水を飲みに行ったのはクラスで語り草になっている。
「ああ。そのセシリアだな」
「良いよなぁ。こんな美人で名門貴族の当主様で、揚句モデルだぜ。そんな人がいつも一緒にいるなんて羨まし過ぎる」
セシリアの特集ページをパラパラと開ながら、心底羨ましがる弾。
そんな時だった。部屋のドアがバタンッ、と勢いよく開かれる。
「ねぇお兄、お昼できたよ。さっさと食べに来なさ――――――い、一夏さん?」
「あ、蘭。久しぶり。邪魔してるよ」
ドアを蹴り開け、用件だけ言って去ろうとした
思わぬ来客に一瞬固まり、自分の服装を見下ろしてしまう蘭。
ボタンの外れたホットパンツに、ウェストラインが丸見えの丈の短いキャミソール。そしてずり落ちた肩ヒモ。
異性に見せるには、少々はしたない格好だ。思い人に見せるなら、尚更だろう。
大慌てで壁に隠れた彼女は、ホットパンツのボタンを閉め、ずり落ちていた肩ヒモを掛け直しながら尋ねた。
「き、来てたんですか」
「今日はちょっと外出。家の様子を見に来たついでに寄ってみた」
「そうですか」
嬉しそうな蘭だが、続いた兄の言葉に、眉が急角度で釣りあがった。
「蘭、お前なぁ。ノックくらいしろよ。恥知らずな女だと思われ――――――」
「何で言わないのよ」
妹の迫力に、続く言葉を止められる兄。冷汗を流しながら、謝罪の言葉を口にする。
「ああ、言って無かったか? そうか。そりゃ悪かった」
「もう!! お兄ったら」
そんな微笑ましい(?)やり取りの後、蘭は一夏に向き直った。
「そうだ一夏さん」
「改まってどうしたの?」
「私ね、来年IS学園受けますから、受かったら色々教えて下さいね」
「えっ!? 確か蘭の学校ってエスカレーター式の、有名な進学校だろ。それを蹴ってまで?」
蘭は平均以上の胸を張って答えた。
「大丈夫です。この前の簡易適性検査でA判定が出ていますから。テストだって私の成績なら大丈夫です」
自宅で兄に対する態度からは想像出来ないかもしれないが、彼女は有名私立校「マリアンヌ女学院」で生徒会長を勤める優等生なのだ。
「A判定か。凄いじゃないか。入試だって難しいっていうのに凄い自信だな」
座学でも苦労している一夏にしてみれば、蘭のこの自信は羨ましかった。
ただ本人の為に言っておくなら、彼は決して出来の悪い生徒では無い。普通の学校でなら、成績優秀・スポーツ万能、揚句イケメンという大多数の男子にとって「リア充死ね!!」というような生徒になっていただろう。だが今彼の周囲にいるのは、1万倍とも言われる入試倍率を突破してきた猛者達だ。そんな中に入ってしまえば(座学に限って言えば)、平均的な生徒でしかなかった。
「必ず一夏さんの後輩になってみせますからね」
「ああ、楽しみにしてるよ」
こうして一夏が旧交を暖めている頃、IS学園に通うもう1人の男は――――――。
◇
――――――忙しい1日を送っていた。
まず朝は束と、
遅めの朝食を食べた後、IS学園へ。
次は生徒会長室で楯無のお手伝いをした後、
良い汗を流した後は、一緒にシャワーを浴びてお互いの汗を流していた。
そうして時間は瞬く間に過ぎて行き、午後の4時。晶は1人で街中を歩いていた。
特に用事がある訳では無かったが、たまにはフラッと出歩くのも良いだろう。
そうして街中を歩いていると、少し先の車道で、黒塗りのリムジンがウインカーを上げ路肩に止まった。
何かと思い見ていると、中から意外な人間が出てきた。
更識簪だ。
服装も制服ではなく、ワンピースタイプのドレスとボレロ。ワンピースは黒をベースとして所々に白いラインが入っていて、ボレロは白をベースとしてフリルで飾られていた。
普段の彼女よりも、随分と大人っぽい雰囲気だった。
身を飾るアクセサリーは、ネックレス・ブレスレット・イヤリングの3点セット。煌びやかな自己主張をするタイプではなく、あくまで本人を引き立てる為の控え目なものだ。
勿論右手の中指には、アクセサリーとしても使える
(何かのパーティにでも出るのかな?)
そう思っていると、彼女が近付いてきた。
「晶さん。こんなところでどうしたんですか?」
「たまにはフラッと出歩くのも良いと思ってね。そっちは?」
「家の用事の帰りです」
「パーティーか何か?」
「はい。家の付き合い、というやつです。更識って、色々な方面に顔が利く分、そういうのも多くて」
「家の付き合いか。大変だな」
「そうでもありませんよ。みんな私の前だと、どういう訳か大人しくなってしまって。多分皆、お姉ちゃんが怖いんでしょうね」
この言葉は正解半分間違い半分であった。
更識やそれに関わる人達にとって、
だがそれとは別に、最近は彼女自身も恐れられているのだ。
その理由は、観察能力。
今でこそ姉との仲は良好だが、偉大過ぎる姉と比較され続けてきた簪にとって、“嫌な感じのする人には近付かない”という技能は、自身の心の安定を保つ為に必須であった。その結果、知らず知らずのうちに磨かれたのが観察能力。戦闘に応用出来るほどのものでは無いが、“嫌な感じのする人”や“違和感”を感じ取る能力は、更識の選び抜かれた護衛達ですら一定の信用を置いていた。
そしてある程度本家の事情に通じている者なら、更識の護衛部門が、彼女の感覚に引っ掛かった人間を優先的に
つまり彼女に目を付けられるという事は、本家の調査対象になるという事だ。
恐れられないはずが無かった。
尤もそんな裏事情を知らない晶は、気楽なものだ。
「楯無がねぇ………。案外、本当に簪が怖かったりして。家で傍若無人に振舞ってるとかない?」
「そんな事してません!! みんなお姉ちゃんに遠慮しているだけです」
「怒るって事は怪しいなぁ。お茶を出したメイドに、『入れ直しなさい』とか言ってティーカップ投げつけたりしてるんじゃないの?」
プリプリと怒る姿が可愛くて、つい意地悪をしてしまう。
すると彼女も意地悪な反撃をしてきた。
「ドラマに出て来る意地悪な悪女みたいにですか?」
「そうそう」
「ならここで抱きついて、『酷い!! 私を捨てるんですか!!』とか言えば、晶さん困っちゃいますね」
「色々と大変な事になるから止めてくれ」
「人に駄目って言われると、やりたくなりません?」
言葉とは裏腹に、簪は朗らかな微笑みを浮かべながら、そんな冗談を口にした。
他愛の無いやり取りだが、楽しくなってきた晶は、つい悪乗りしてしまう。
「こんな可愛い子にそこまで思われて、嫌な男はいないさ。そんな事言われたら、お持ち帰りしちゃうよ」
しかしそれは、言ってはいけない台詞だった。
彼女にとって彼は命の恩人だが、助けた本人はその事を隠し(バレてないと思っている)、お礼の1つもさせてくれない。その他にも、打鉄弐式の開発を手伝ってくれたり等、返しきれない恩があった。
だから彼女は、彼の言葉を使わせてもらう事にした。
「あら、ならまずは雰囲気からですね」
「ん?」
彼女の表情から、冗談ではないと悟ったがもう遅い。
「晶さん。これからディナーにご招待したいのですが、受けて頂けますか?」
真っ直ぐな視線が晶を射抜く。
冗談として受け流すには、真っ直ぐ過ぎる視線だ。そして何より、適当に受け流すには、対人経験が足りていなかった。
「いや、でもパーティーの帰りで疲れてるんじゃないか?」
「こう見えてもパイロットです。人並み以上の体力はありますよ」
「ディナーって事は正装だろ。俺、いま私服だし」
「貸し衣装なら5分で用意させます」
「なら――――――」
なおも抵抗しようとする晶に、簪は古今東西、古くから使われている伝家の宝刀を抜いた。
「私と一緒は、嫌ですか?」
しかもいつの間にか間合いを詰めており、下から潤んだ瞳で見上げるというオプション付きだ。
「………分かった。付き合おう」
結果簪は、見事
そしてこの時、彼女の部下達の行動は、実にプロらしかった。
2人が話している間に、雰囲気が良い店をリストアップ。
同時進行でスタイリストが、晶に似合いそうな貸衣装を準備。本人の性格を考慮して、比較的大人しいデザインが幾つか選ばれていた。
部下達の行動に淀みはなく、余計な言葉も無い。
ただ主の望みを適える為に、自分の仕事(?)を忠実にこなしていく。
そうして2人の会話が終わった時には、簪の携帯端末に、オススメのお店情報一覧が送信されていたのだった――――――。
◇
時は進み、その日の夜。束宅。
帰ってきた晶を、束は玄関で出迎えていた。
「お帰り。随分遅かったね」
「悪い。少し人に捕まった」
「
「もしかして見てた?」
「勿論。一部始終をじっくりとね」
ある意味ストーカーだが、そんなのは今更の事なので、晶は全く気にしていなかった。
そして世間一般的に見れば、彼の今日の行為は浮気だろう。
だが正妻の余裕とでも言うべきか、束は簪とのディナーなど歯牙にもかけていなかった。
自分が1番という自信と、幾度と無く肌を重ねてきた温もりが、彼女を落ち着かせていたのだ。
「それは恥ずかしいな」
「恥ずかしいならしないの」
「ヤダ」
子供のような返答に、思わず笑ってしまう。
言ってる内容は「浮気する」と宣言しているに等しいのだが、既に
なら多少の浮気は笑って許してやるのが、正妻の器量だろう。
勿論、彼に相応しくない人間を近づける気は毛頭無かったが。
「はいはい。大目に見てあげるから。代わりに――――――」
束の細く綺麗な腕が晶の腕に絡められ、身体が密着する。
そして逃げられなくなった
「ちゃーんと、愛してね。今日はとっっっってもお楽しみが多かったみたいだけど、疲れたなんて無しだからね」
「も、勿論じゃないか」
答えながらも焦る晶。
もしかして………。
「朝は私と運動して、お昼は格闘、特に寝技の訓練をじっくりしてたみたいだね。夕方も、食後の腹ごなしに運動。獣のように本能に忠実で、健康的な生活だね」
「た、束?」
「言ったでしょ。一部始終を見ていたって。私も大変だったんだよ。疼いて。でもね、我慢してたの」
束が耳元で囁く。
男の理性を蕩けさせるような、甘い声だ。
この後2人は、心ゆくまでお互いの事を確め合うのだった――――――。
◇
時は進み、翌日の更識邸。
柔らかな日差しと穏やかな風が気持ちの良い朝だ。
そんな中、楯無は簪の部屋を訪れていた。
「ねぇ、かんちゃん。昨日はどうだったの?」
「どうって? お姉ちゃん」
「またまた惚けちゃって。昨日、晶をディナーに誘ったんでしょう」
「え!? お、お姉ちゃん、何で知ってるの?」
「使用人の皆、その噂で持ち切りよ。只のディナーにしては、帰りが随分遅かった事もね」
昨夜を思い出し、簪の顔が紅くなっていく。
「んん~。その顔は、中々良いところまでイッたようね。もしかして、最後まで?」
「えっと、その、お、お姉ちゃん。ご、ゴメンなさい」
昨日は一生懸命で気にする余裕すら無かったが、姉と晶との関係を知る簪に、罪悪感が込み上げてくる。
世間一般的に見れば、姉の男に手を出した悪食な妹だ。
だが楯無は全く気にしていなかった。それどころか――――――。
「かんちゃん。良くやったわ!!」
「えっ?」
褒められる意味が分からず、思わず首を傾げてしまう。
そんな妹を後ろから抱き抱えながら、楯無は口を開いた。
「だって、晶が相手なのよ。彼ならちゃんと貴女を見てくれる。家にしか興味の無い低能でゲスな男より、よっぽど良いわ。かんちゃんだって、権力自慢しか出来ないような男より、よっぽど良いでしょ」
「お姉ちゃんは、良いの?」
「今更よ。ライバル多いから」
また言葉にはしなかったが、楯無が喜ぶ理由はもう1つあった。
更識家の人間は、自由恋愛など望めないのだ。
本家直系の伴侶ともなれば、最優先で求められるのは裏社会を生き抜く強さ。性格など二の次だ。
そんな人間を伴侶にしたら、人並みに幸福で暖かい家庭など、望めるはずもない。
だが相手が薙原晶という男なら、話は別だった。
まず戦闘力という点では、文句のつけようが無い。
何せ
権力にだって興味が無い訳では無いだろうが、必要な時に必要な事が出来れば良いというスタンスで、普段は全く使おうとしない。むしろ面倒臭いと思っている節があった。
そして更識姉妹にとって、彼の性格はとても好ましかった。
家の権力を見るのではなく、常に1人の人間として見てくれる。
多くの女性を愛せてしまうという欠点はあるが、そのおかげで姉妹共々幸せになれるなら、少しくらい大目にみてあげるのが良い女の器量だろう。
そんな事を思っていると、簪が口を開いた。
「私も、お姉ちゃんのライバルなの?」
「違うわ。仲間よ。2人であの男をメロメロにしてあげるの」
「ふ、2人で!?」
どんな光景を想像したのか、簪の顔が更に紅くなっていく。
それを見た楯無は、この可愛い妹を少しばかり弄りたくなってしまった。
「ねぇ簪。晶はどんな風に、貴女を可愛がってくれたの?」
後ろから抱き抱えたまま、耳元で囁くように問い掛ける。
ただ一方的に聞いたところで、恥ずかしがり屋な妹は何も言わないだろう。
なのでまずは、自分から言う事にした。
「お姉ちゃんの時はね――――――」
その後の会話は、2人だけの秘密だった。
ただこの日を境に、更識姉妹の仲はいっそう深まっていったという。
そして姉妹仲が良好になった更識家は、本家の態勢を盤石な物とし、永きに渡る繁栄の礎を築き上げていくのだった――――――。
第91話に続く
「リア充爆発しろ!!」と思って頂ければ、作者的には嬉しいところです。
ちなみに欧州3人娘は後で出番があるので、今回はお休み。