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朝と夜の狭間と呼ばれる空間に広がる薄暗い森に佇むパレス、
そのテラスから青系のコートを着た銀髪の青年が青い空と紫の夜が半分に割れ真ん中に白い空間が浮かぶ空を眺めていた。
すると彼はある一点の光を見つけるとどことなく寂しそうな目から真剣なまなざしにを変えた。
イヴェール「現実…幻想…幸せのRoman<物語>を抱きしめる者…過酷なRomanを背負う者…そして。」
イヴェールが空に両手をかざすと、空からひとつの光がイヴェールの手に静かに落ちて来くる。
イヴェールはその白い光に映るとある世界の情景をじっと見つめる。
光に映る世界の歴史とその様子が見えた。
少年少女達が見たこともない電子のモンスター達と一緒に戦っている過去の物語…
人類が宇宙に進出した情景、その中で不気味な怪人と戦う銀の鎧と仮面を纏った剣士の姿が映る…
時は流れ、宇宙と大地で巨大人型兵器達が戦い殺しあう泥沼の時代…
そして現代、世界中に邪悪な影が所せましと人類に襲い来る光景の中、必死に立ち向かう勇者達の姿、やがて一つに集結し迫りくる邪悪を打倒していく情景が見える。
さらに続く未来…薄暗い空に奇声を上げながら巨大な魔女が襲い来る。
その魔女に挑む勇者達…そして次々と倒れて散っていく姿が見えた。
イヴェール「…」
イヴェールは険しい表情で光に映るその光景を見続ける。
やがて勇者達は全て倒れ、世界は砕け散る光景が見えた。
ただその中の長い黒髪の少女を残し世界が消滅する寸前、
邪悪な存在と戦う勇者達の姿を映した時代にまで巻き戻された。
そこからまた魔女が現れる時間に流れ、一人の少女を残し世界が崩壊寸前でまたその前の時間に戻っていく。
それの繰り返しである。
イヴェール「…崩壊寸前…そこからまた繰り返される物語…」
オルタンス「…ムシュー、これは一体?」
ヴィオレット「この様な世界があるというのでしょうか、まるである一定の法則で歴史が巻き戻っている様な…」
イヴェールの後ろにいる長い金髪の双子人形の少女、オルタンスとヴィオレットは一緒に見ていて違和感を感じとった。
イヴェール「分からない、この世界には巨大な魔女が現れる後の物語が見えて来ない。そう、それが正史であるかを否定する様に…世界の滅亡を防いでいるのかも知れない。」
クロニカ「もしくはその先に見える取り返しのつかない物語の幕が開くのを、その少女が防いでいる可能性にもつながります。」
三人の後ろから長い黒髪、そしてゾッとする程白い肌を持った女性が現れる。
黒の預言書と呼ばれる書の意思の総体と呼ばれているクロニカだ。
ヴィオレット「クロニカ様、いらしてらしたのですか!?」
クロニカ「突然ごめんなさいね、少しイヴェールとその世界についてお話がしたくて。」
オルタンス「何か知っておっしゃられるのですか?」
イヴェール「貴方の意見、聞かせてもらえないか?」
クロニカ「彼女はある一点の存在を守る為に魔女によって世界が崩壊する寸前に自分の視点に時間を巻き戻す力を持っていると考えられます、そしてそれはやがてくるさらに邪悪な存在と最取り返しのつかない未来の到来を彼女が阻止してる事になります。」
ヴィオレット「やがてくる取り返しの付かない未来…!?」
オルタンス「それは一体どのような事なのですか…!?」
2人が不安そうにクロニカの返事を待つ。
クロニカ「この先は私にも分かりません、少なくともその少女自身はその未来の事は知らないようですが…その未来の到来は私達にも危険をなす存在と言う事は分かっています。」
イヴェール「やはりそうか…」
イヴェールには何か心あたりがあるようだ。
オルタンス「私達にも…ムシューそれは!?」
イヴェール「以前ここに来た男が言っていた、いずれあらゆる世界にとてつもない事態が起こりうる事…さらに邪悪な存在が暗躍している事を。」
ヴィオレット「さらに邪悪な…と言いますと?」
イヴェールに続くようにクロニカが次に口を開いた。
クロニカ「邪悪な存在は世界を巡り巡ってそれぞれの世界にある秩序とバランスを次々と壊していく行動をとっています。やがてそれが今はなしている世界…いえ、他の世界をも巻き混む事態につながっていくと思われます。」
イヴェール「これまでその少女の力によってその事態は防がれて続けて来た、邪悪な存在はその力に寄ってそれ以上の手出しができなくなっている。しかし…それもいつまで続くかは分からない。」
クロニカ「歴史は改竄を赦さない…先の未来が来てほしくなければ同じ時間を繰り返す…それも懸命なのかもしれませんね、ですがその少女とは別にその世界にはもう一つの特異点がある事が分かりました。」
オルタンス「もう一つの特異点?」
イヴェール「…」
[newpage]
イヴェールはその世界の情景が映った光をクロニカの手に差し出す。
クロニカは指をひと突きし別の情景を映し出した。
そこには一人の少年が自転車をこぎながら必死に走ってる光景が映った。
ヴィオレット「この方は?」
イヴェール「もう一つの特異点…彼にはこれからとても過酷な未来が待ち受ける、そしてある事をきっかけに…彼の中にある存在が覚醒していくだろう。」
オルタンス「その方にはその様なお力が?」
クロニカ「彼に関する詳しい記述はよく見えて来ませんでした、ですがこれを見ていただけますか?」
クロニカはさらにもう一つ小さな黒い光の玉に映る情景をオルタンスとヴィオレット、イヴェールに見せた。
そしてそれを見た三人の表情は驚きを隠せなかった。
イヴェール「…」
オルタンス「この様な事が…」
ヴィオレット「これが…全ての…」
クロニカ「すべての始まりはここからなのかも知れません。」
イヴェールは顔を下げて目を閉じた、そしてすぐに開き顔を上げ再びテラスから周囲の木々を見つめた。
イヴェール「けれどまだ手はある、この事態をいち早く知った僕達がとるべき行動。それは来たるべき未来に備え最前を尽くす事にある。」
クロニカ「既にエレフ、オリオン、シャイターン、ライラ、ルキアの5人がその世界に向かって行動しています。賢者サヴァン、死揮者メルヒェン、そして航海士イドルフリートは別で行動をとっているようです。」
オルタンス「皆様はもう…そうですね、ヴィオレット。」
ヴィオレット「分かりましたわオルタンス。ムシュー、私達にも行かせてもらえませんか?」
2人がイヴェールにその世界へ自分達も送り出して欲しいと申し出た。
イヴェールは少し驚いていたが、すぐに微笑み2人の頬にやさしく手を置いた。
イヴェール「気を付けて…行っておいで…」
するとオルタンスとヴィオレットはテラスから宙に浮かんだ。
オルタンス・ヴィオレット「ウィ・ムシュー…巡り行く生のざわめき、太陽の風車…巡り行く死の安らぎ、月の揺り籠…」
そして2人はそのまま飛び立ち消えて行った。
イヴェール「…クロニカ、あなたは…」
クロニカ「私はあくまで歴史を読み紡ぐ存在、介入する事はありません。ですが、できる事があるとすれば…ただそれを見守る事ぐらいです。」
やがて来る未来、つかめない未来、そしてこれから新たしい物語が始まろうとしている。
その世界に生きる彼らにはどのような生と死、どのようなRoman<物語>が待っているのだろうか?
その世界に広がる近未来の現代社会、
住宅地の片隅に立つ家のベランダから夜空を眺めにっこり笑う一人の少年の姿があった。
「今日も星綺麗だな~、ふぁ~眠くなって来た…」
少年はそのまま家に入っていった。
彼はまだ知らなかった、やがて自分がとても大きな渦に巻き込まれて行く運命を…
‐其処にRoman<物語>はあるのだろうか?‐