ネット版 仮面ライダーハイセ ドント! アンダーカバー ~喰種だって出しゃばりたいッ!~ 作:黒兎可
<――大レースバトル!in A with A 前半戦――>
「大レースバトル、in アオギリ with あんていく~~~~!」
いえーい、だのひゅーひゅー、だのという声が、2つに分かれたチーム内部から叫ばれる。なおたまーに「何なの?」「知らねぇ」「アニキー!」「ついにこの魔猿がベールを脱ぐ時が」「カネキがんばれよー」だの色々な呟きが漏れ聞こえていた。
そんな中、廃墟に臨時的に設置されたようなステージの端、司会者の女性はマイク片手に頭を下げた。
「このコーナーは、東京喰種界の事情通! メタ発言? お前まだここに居ちゃまずいだろ? 細けぇこた良いんだよ! 比類なき女流ミステリー作家、高槻泉が司会を務めさせていただきます!
ルールとしては超簡単! 提示されたレース競技に『あんていく』『アオギリの樹』からそれぞれ指定数ずつ出場し、1位を決める! 1位以外は、競技にまつわる(人間基準で)美味しい食べ物を頂けちゃう! むしろ頂けって感じです!
解説は皆選手ご存知このお方! 東京喰種界トップのジェントル、あんていくオーナーの芳村さんです! きゃー、かっこいー! お父さまになってー!」
「解説の芳村です。……? 高槻さんだったかね、どうぞよろしく。
ところで何故か私は、君の顔立ちに少し妙なデジャブを感じるのだが――」
「さて! 今回の種目はこちら!」
ぱちん、と指を慣らすと廃墟の壁面に文字が映される。
――借り物競争ー―
「借り物競争でございます。お題は三つ、それぞれを借りてチェックポイントに行き、認められれば通過! これを三回繰り返して、一番最初にゴールできたヒトの優勝です。
なお細かいルールですが、お題一つにつき持ってこられたものや相手は、他の選手は使えないことになります。
ではでは出場者、各陣営から2人ずつの皆様はこちら!」
あんていく側からニシキ、トーカが立ち上がりステージへ。
アオギリの側からは鯱、ミザが立ち上がりステージへ。
ニシキは隣の巨大な鯱の立ち姿に唖然とし、ミザは酷く不服そうに首を傾げていた。
「……なんで私は今ここに居るんだろう。何? :reの時点で併合されているから関係ないだろってこと?」
「よし、勝ったなぁ。悪いがコミュニケーション系の授業じゃ俺、成績トップだぜ」
「小童、驕るべから
鯱の妙に気合の入った台詞にびくり、と肩を震わせるニシキ。なおトーカは、何故か体操着(ブルマ姿)にジャージで暗い表情を浮かべていた。隣のニシキが全身ジャージのみの運動着であることを考えても、なかなかに対比としては酷い。
「なお実際に学校指定の運動着がある方は、それっぽい格好をしてもらってます」
「私以外該当者居ないじゃねーかッ! てかブルマじゃないっつーの司会者ァ!」魂の叫びである。
「まあまあ。霧嶋選手はどうなの? 自信ある?」
「去年、見てはいたけど面倒そうってくらい……?」
トーカちゃんファイトー! という少女の声に、少しだけ照れてため息をついた。
なおミザはミザで司会者に話題を振られると「走るくらいなら、一応」とだけ。
「さ、では皆トラックに付いてー? ちなみに各チェックポイントは、それぞれイトリさん、ウタさん、四方さんに付いてもらって居ます」
「よろぴくー!」「うん」「……」
「はいはい、ではでは並びましたね? では位置について、よーい……、ドン!」
ぱん! という音と共にトラックを走り出す四人。身体能力のみで最も素早い鯱と、ルール上指定がなかったためか赫子を出してそれに迫るトーカ。ニシキの「あ、それ汚ねぇ!」という反応にも、特に気にした様子はなかった。
「わーって借りてらっしゃい!」と言うイトリから受け渡された
「さて、第一チェックポイントのお題ですが、芳村さん。状況をどう見ますか?」
「ふむ。詳細についてはチェックポイント突破者が現れないと出ませんが、これは中々トーカちゃんが有利ではないですかね」
「ほうほう? ――おっと、芳村さんの解説通り、今、霧嶋トーカ選手が第一チェックポイントを突破ァ! 鯱選手は逃げ惑うカネキくんを必死の形相で追跡中!」
トーカが突破した時点で、ステージのスクリーンには「お題1:家族」と表示された。
アヤトが面倒そうにギャラリーに帰って行く中、ミザが「こんなの公式で対応してないでしょーが!」と憤怒の表情である。
「さて単独トップに躍り出た霧嶋トーカ選手ですが! お? おっと、西尾ニシキ選手が連れてきたのは? 女性? おっと、イトリ選手からおっけーが出ました! 将来の家族というのもおっけー扱いな模様ですノロケやがって! チョコ食わせられて吐き出しやがれ!」
「高槻さん、落ち着いて……。
さてしかし、第二関門もまたトーカちゃんは有利かもしれませんねぇ」
月山習を連れて行ったトーカに、ウタが無言でサムズアップ。画面に出力された「お題その2:嫌いな相手」という文字に「Why!?」と何故かショックを受けたらしい月山。
「さーてレースもラストスパート? 現在の選手の状況は、ついに鯱選手が第二チェックポイントに突入! ミザ選手は『私、聞いてない!?』と第一から動けず、西尾ニシキ選手と霧嶋トーカ選手の一騎打ちか? あーっと、そして古間円児選手がすごく微妙な顔をして西尾ニシキ選手に連れられてきてるぞ!」
「嫌いと言っても100%の嫌いという訳ではないんでしょうが、これは後で色々響いてきそうですねぇ」
「おっと? しかしなにやら彼独自の理論で納得したようで、訳知り顔で頷いてます。わかってる、わかってるよニシキ君、と口が動いてますね」
「私としては後、バックブリーガーされて連行されたカネキくんの事がひたすらに気になりますが……」
「さて、しかし最終ラウンド。固まって動けなくなってる霧嶋トーカ選手! おっと、西尾ニシキ選手がお題を見て爆笑! 霧嶋トーカ選手の肩をぽんぽんと叩きます! あれは何だ、勝者の余裕か!?」
「下手をするととんでもないカミングアウトになりかねないお題ですからね。いい加減腹をくくるしかないでしょう」
「随分コメントが手厳しいですねぇ……。というより、今回のお題は芳村さん指定でしょう?」
「煮え切らないのは構わないですが、早い所決着を付けないと後悔先に立たないかもしれませんからね。早いうちに、というところでしょうか」
「おっと! そして再び西尾ニシキ選手、自分の彼女選手の手を引いた! ということは今回のお題は? お題は? あーっと、そして霧嶋トーカ選手、意を決したように伸びている金木研選手に走る! 覚悟を決めた乙女の顔だ、が間に合わない、良いのかそれで! 本人気絶してるのが幸か不幸か!?
あーっと、そしてゴオオオオオオオルッ! 優勝者は、西尾ニシキ選手です!」
会場から上がる拍手。倒れたカネキを抱き起こしはしたものの、意識を取り戻させるかさせまいか迷いに迷っているトーカ。
スクリーンには「お題その3:好きなヒト」と表示されてたりもするので、察するに余りある。
「さて、では罰ゲームのコーナーです」
「罰ゲームって言ったよこの司会者!?」
ミザの言葉を、高槻泉は軽く流した。
「本日のご馳走はこちら! 栄養士を目指す花の女子高生、小坂依子作の特性からあげ! カネキメシを踏まえたバージョンアップ使用のそれをとくご賞味あれ!」
トーカは「まあ慣れてるし」と(表面上は)平然と口に運ぶ。
鯱は「
この二人はまだまともな反応だったが、ミザの反応が圧倒的に悪かった。口に含んだ瞬間、カメラが回っているためか意識して笑顔を作ろうとしていたが、十秒も立たず「アッー!」と叫び失踪。
ナキがなんとなくそれを見て「ざまぁねーな!」みたいな表情をしていた。