ネット版 仮面ライダーハイセ ドント! アンダーカバー ~喰種だって出しゃばりたいッ!~ 作:黒兎可
<――大レースバトル!in A with A 後半戦――>
「大レースバトル、in アオギリ with あんていく~~~~!」
いえーい、だのひゅーひゅー、だのという声が、2つに分かれたチーム内部から叫ばれる。なおたまーに「まだやるの?」「トーカちゃんまぁまぁ」「茶番」「前回のアレどういうことだよカネキィ!」「トーカちゃんいけいけドンドンよ!」だの色々な呟きが漏れ聞こえていた。
そんな中、廃墟に臨時的に設置されたようなステージの端、司会者の女性はマイク片手に頭を下げた。
「このコーナーは私、高槻泉が司会を務めさせていただきます!
解説は芳村さんです!」
「どうぞよろしく。」
「さて! 今回の種目はこちら!」
ぱちん、と指を慣らすと廃墟の壁面に文字が映される。
――障害物二人三脚ー―
「また変化球で来ましたね」
「並の変化球ではありませんね。ん? ……なるほど。途中で私も抜けますので、その時はお願いします」
「あいさがってん。さて、今回の出場は各チーム三組ずつ! 助っ人は喰種に限り可、ということで、こちらのメンバーです!」
あんていく陣営からは、カネキとトーカ、古間と入見、そしてまさかの西尾と月山。
アオギリの樹側からは、ノロとタタラ、ナキとアヤト、そしてまさかのガギとグゲ。
「おやおや、瓶兄弟とか適任だと思ったんだけど出ないんですかね? 芳村さん」
「一応、本編で死亡扱いになっている人物は出せないシステムなのでしょう」
「なるほどなるほど。しかしそれでもガギとグゲというのは……。:reの時系列から引っ張ってこれなかったんでしょうか?」
「前半戦のミザくんの反応のせいでしょうね、おそらく」
「なるほどなるほお。さて、それでは各選手の意気込みをどうぞ!」
「吼え面かかせてやるよ、眼帯ィ」
「アニキィ、見ているかァ!」
「ふはははははは! まさにうってつけさ。掘ィ! 写真を頼むよ!
さて、足を引っ張らないでくれたまえ西尾くん!」
「あ゛? なんで俺がこんな奴と……。カネキ、行けそうか?」
「小学校の時、そこまで悪くはなかった、かな? ヒデが二回走ってくれたっけ。
トーカちゃん巻ける?」
「(カネキと二人三脚!? カネキと二人三脚!! 汗かいてんのに密着ってそれ――)
……まぁ、大丈夫なんじゃない?」
「どこで道を間違えたのかしらねぇ、あんなにお花咲かせちゃって」
「まぁまぁ、僕らと違って平和で良いじゃないか」
「ググ」「ガギ」
なお月山の台詞の後、会場から「おっけー任せてー」という気の抜けた声が聞こえるが、撮られる写真が必ずしも月山本人の意図したものである保障はどこにもなかった。
「さて、では各選手スタート位置に……? おっと!? ここでまさかの乱入者だ! 君達は一体誰だ!」
高槻泉の進行中に、突如ステージに飛びこんできた二人。黒と白のライダースーツに身を包んだ少女たち。髪まで色違いで、顔にはそれぞれ同じような顔をした男の子と女の子の仮面をつけている。
そして両者が、突然謎のポーズを決めた。黒は拳を握って構えて片方を腰に当て、白はそれに背中を合わせて。
「初代プ○キュアのごときポーズ、ありがとうございました。それで、お二人は……?
ふむふむ、なるほど。今回のレースに参加したい、と。それってひょっとして優勝商品目当てかな?」
選手達の中、カネキと肩をくっつけて少し顔を赤くしていたトーカが首を傾げる。
「そうそう。あれ、言ってなかったけ? 今回の後半戦、優勝者はなんと、ジェイル後の本編においてちょっと立場が優遇されるっていう――」
高槻の言葉に、カネキを覗いた一同に電流走る。
特に何か言葉を言ったりする訳ではないが、あきらかに全体の纏う雰囲気が変化した。より、刺々しいものに。
唯一さほど関係ないカネキが冷や汗をかくなか、謎の熱気を伴った一陣が位置につく。
「さ、それでは位置について、よぉい――ドン!」
ピストルの光、音と共にフラッグが振られ、選手たち各々が走りはじめる。息ぴったりのガギとグゲ、白と黒の乱入者コンビ。それらに続くのがタタラ、ノロコンビである。
それに遅れるはカネキ、トーカのペア。「大丈夫?」と気遣うカネキにトーカがひたすら無言で顔を逸らしているのが、微笑ましいと言えば微笑ましい。
「さてさて、この調子で進むは第一関門、喰種クイズだあああああ!」
「クイズですか?」
「そう! バラエティで同じみ、正解だと思うプレートに突っ込むアレです。正解なら普通に素通り、不正解なら……、フフッ」
高槻泉の含み笑いに、会場のギャラリーが震えた。
「問題は三問! 選択肢は三つ!
それでは行きましょうまず第一問! 原作『東京喰種』において、主人公である金木研は自身の変化をある有名な小説に例えましたが、その例えに使われた小説のタイトルは?
1.変態。
2.変身。
3.変幻。
正解は一つ! さあどれだ!?」
それぞれの回答が描かれたポップ。まず黒と白の二人は一時的に留まり、考える。
ガギとグゲはそんなことお構いナシに1に突っ込み、そして落とし穴のようなそれの中に落ちて――。
「ちなみに中は、アオギリの死神ドクター特性の赫子蟻地獄になってるから、充分注意してねー」
「「「「「!?」」」」」
蠢く赤黒い何か、口のついたそれの正体が赫子だと分かり、そしてその異様な姿のものにがんじがらめにされ動けなくなっているガギとグゲに、一同騒然。ガギグゲー! というナキの叫びもむなしく、あっという間に二人は底に飲まれていった。
もっともその二人の失敗を見て、黒と白のライダースーツのコンビは2に激突した。
「――飛び入りのお二人、大正解! 正解はフランツ・カフカの『変身』! ベルトも何もなく突然巨大な虫となってしまった青年と家族との軋轢と哀愁が、未だにどこか突き刺さるものがありますね~。個人的に安部公房とかもすきだけど。
さてでは第二問! 『東京喰種』~『東京喰種:re』までの主要人物の中で、喰種とある意味深い接点を持ちロクな目に遭ってない人物の名前には、ちょっとした共通点があります。それは次のうちどれ!
1.花。
2.悪魔。
3.金属。
正解は三つに一つ! さあどれだ!?」
再び足を止める黒と白のペア。後から追いついたタタラ、ノロの二人もまた足を止めて観察する。
と、遅れてやって来たカネキとトーカのペア。問題を見てカネキは、一瞬その表情(というか髪型や容姿)を本編未登場の佐々木のそれに変化させ、3番の扉を突き破った。
「――カネキくん、大正解! 流石主人公! ちなみにこれは本作作者の見たてた範囲では金木研、亜門鋼太朗、鈴屋什造、瀧澤政道、不知吟士に該当します。それぞれ金、鋼、鈴、青銅、銀にちなんでるって感じかな?」
「カネキくんは金木犀、捜査官の彼は悪魔アモンと全く外れている訳でないところもあるみだね」
「それでは第三問! 霧嶋トーカ選手も赤くなっている場合じゃないよ!」
「あ、赤くなってねーし!」と絶叫に驚いた表情を浮かべるトーカ。バランスを崩してよろけ、カネキの半身に抱き付くようにバランスを取りながら、なおのこと顔は照れる。
そしてそれを無視して、司会者は問題文を読み上げる。
「原作『東京喰種』と本作『仮面ライダーハイセ』において、書いた後に一番作者が後悔した変更点は次のうちどれ!
1.ヤモリのキャラ付け。
2.リゼの過去。
3.
「「「「「わかるかっ!?」」」」」
一斉に突っ込まれようとも、高槻泉は余裕の表情。月山あたりは露骨に「
そして3番を読み上げた瞬間、トーカがぐらりとその場で倒れかかった。
「おやおやどうしたんですかねぇ霧嶋トーカ選手? 選択肢のどこかに反応しちゃいましたかぁ?
あ、もしかして3番ですか? 3番。だってねぇそりゃ――」
「何言ってるんだ司会者! っていうか、違うし!」
「へ? ああ、つまりキッスは作者的にはおっけーだったと? 自分の恥を忍んでよく言えますねぇ。まぁ確かにここの作者もニマニマ笑ったり悶絶したり時に絶望にゴールしたりしながら書いたりしてるみたいですけどぉ」
「だから違う! い、行けばいいんだろ行けば!」
「と、トーカちゃん!?」
カネキの静止を振り切って、3番に走るトーカ。もっとも走る途中でバランスを崩して倒れ、一緒に壁の向こうにダイブする形になった。
そしてその向こうには――。
「あ、言い忘れていたけど最後の扉だけ、不正解はトリモチ式だから」
「な!?」
赫子よりははるかにマシではあるが、どちらにせよ動けないカネキたち。特にトーカはカネキにダイブするような体勢で絡まっており、動こうにも動けずもう軽く(色々な意味で)死にそうである。
対するカネキはといえば、すぐに戻ろうともがいているもののやはり餅に苦戦。赫子を出せば良いだろうが、しかし――。
「高槻先生、ひょっとしてこれ抑制剤とか入ってませんか!」
「ビンゴ!」
そんな訳で、自力、腕力により脱出せざるをえない状況だった。
対して飛び入りコンビも躊躇する。無論、Rc抑制剤が混入されているという情報からだ。
だが、そういう場に躊躇なく突撃する 者が二人。
「アニキイイイイイイイイ!」
「ば、バカナキ、ちょっと待て――」
アヤトをやや引きずりながら走るナキ。そのままヤモリと書かれた扉に激突!
「ー―正解! ナキ選手お見事!」
しかも、なんとこれが正解であった。
はっとしたように再び走りはじめる黒白コンビ。タタラとノロは、特にタタラがなんだかもう面倒そうだ。
それから離れた距離で、突如、爆発音が鳴る。
「――ああっと! 入見カヤ選手、ついに赫子を使ったぁ! 背中に展開される四つの羽赫! 前傾姿勢で走る姿はまさに死神の狼! すでに愚らんぐらんとなりかけながらも、尾赫できっちり掴まっている古間選手に付き合いの長さを感じます」
「仲の良さ悪さはともかく、息だけは合ってますからね」
「さーさーいよいよラストスパート! 勝利の栄冠を手にするのは、果たして、果たして――!
あーっと! 今、古間&入見ペアがゴオオオオオオオオオオル! 優勝はまさかの、序盤スローテンポだったこの二人に決定だ!」
一気に追い上げた二人がゴールを飾る。さり気に古間がカメラに向かってウィンクしているのが鬱陶しい。
続いて黒白のペア。ずっと目立たずいがみ合いながら走っていた西尾&月山ペア。遅れる形でナキ&アヤトペアという順番になった。
多少時間が経ち閉会式。
関係のないメンバーや乱入者二人、タタラなど「アホくさ」と肩をすくめてこの場を去った面々以外が残る。
「さーて、今回はちょっと意外な結果になりましたが、解説の芳村さん、どう見ますか?」
「カネキくんを有効活用できなかったのが問題でしょう。この手の企画のクイズ勝負で負けナシだったカネキくんですからね。たぶんトーカちゃんが本調子じゃなかったのも大きいかと。
ともあれ二人とも、優勝おめでとう」
芳村の言葉に、古間と入見は軽く手を挙げた。片方は「ふふん、当然さ」と。もう片方は「疲れました」と。
優勝コンビ二人を前に、何故か古間の方を見て舌打ちをする高槻。「何か?」と言われても、すぐさま営業スマイルを浮かべる。
そして前に出て表彰しようとして――ちらりと二人の足首を見た。
「あれ、千切れてますね」
「おや?」「あら?」
「んー、と、ちょっと待ってください。確かルルブが……、あー! えっと、ルール上本競技は『二人三脚』なので、足が四本になった時点で失格、とのことです」
彼女の言葉に対する驚き方の小ささが、年齢を感じさせる。
しかし、これには会場に残ったメンバーがざわざわとした。優勝商品どうなるんだ、とか、じゃあ誰が勝ったことになるんだ、とか。
「えー、えー、審議の結果、優勝は第二位ということになるそうです。さて……? あれ、居ませんねぇ」
既に立ち去ってしまった二人組の乱入者たちである。「仕方ないので、後日お渡しします」と言って、軽い感じでその場を締めた高槻泉だったが――。
※
『おめでとう。√Bでは君たちが大出世だ』
「「えっ?」」
首を傾げるクロとシロに、エトは「あ、こっちはこの手の発言禁句だっけ」と肩をすくめた。
次は00:30予定