ネット版 仮面ライダーハイセ ドント! アンダーカバー ~喰種だって出しゃばりたいッ!~   作:黒兎可

12 / 17
『7.シ料に隠れる真実』
<――亜門鋼太朗の喰種資料整理 ファイル1――>


 

 

 

「何? 鯱のような男がバーでカクテルを振舞っていた? ……一応監視を続けておけ」

 

 がちゃり、と電話を切り、俺は資料整理に戻る。

 アオギリの樹による進行により、23区のコクリアから大量の喰種が脱走した。ピエロマスクのグループや、元アオギリ所属の喰種など。

 

 20区に帰ってきた俺は、今一度、自分が何と戦うべきなのかを見つめなおすため、資料を再度確認していた。

 

「ここで目撃情報のあった喰種……、しかし何と言うべきか」

 

 俺は近くにあった一つを手に取り、確認した。

 

 片方はビッグイーター。Aレートの、通称「大喰い」と呼ばれる喰種だ。資料によれば外見は女性だが、クモのようなシルエットを捕食時に発現するという情報もある。

 

 記述によれば、どうもこの喰種は各地を多く転々としてきているらしい。赫子の判別により特定できるが、しかしここ数ヶ月は見事に音沙汰がない。

 

 篠原さん……俺の恩師いわく、もう既に死んでいるかもしれない、とのことだ。

 

「確かに動きが見られないのは不気味を通り越している。他の地区での情報も挙がってこない以上は、その可能性もあるのだろうか――」

 

 

 

「ばあぁん! 亜門さぁん!」

 

 

 と、突然資料室の扉を全開にした少年。鈴屋什造だ。

 

「どうした什造。あと、いきなり開けると埃が散るぞ」

「ぺっぺ! 汚いです!

 あ、それはそうとイットー、これからドーナツ食べに行くですが、一緒に行きます?」

「……言っておくが仕事中だぞ」

「でも、僕は食べないとやってけないですー。

 そうです、僕が見て回ってる間、イットーがドーナッツを買ってくださいです」

 

 かなり無茶苦茶なことを言う什造に、俺は軽く頭を抱えながら注意しようとして――。

 

 不意に、奴が持っているチラシが目に入った。

 

 

「……おい、何だそれは」

「何って、アレですよアレアレ。新作のやつですよー。

 ほら、この赤丸してあるやつ、僕のおすすめー」

 

 さっと差し出されたそれを、俺は反射的に受け取り、凝視してしまった。

 

 前々から気にはなっていた、つい先日CMの始まったトリプルチョコパウンド。異色の組み合わせながら映像の演出は美しく、カカオバターの光沢感がどこかエロティズムさえ放っている。だが惜しい、発売日まであと一週間とは。生殺しも良いところだ。

 逆にハニーワッフルは100円セールが始まり、クリーム、チョコと一つずつ購入でポイントが倍か……。

 

 はっ!?

 

「じゃ行くですよー」

 

 俺の興味津々な反応を受けて、什造は楽しそうに笑いながら資料室を出て行った。

 

 確かに俺は甘味には目がない。目がないが、しかしそれを職務中にするかどうかは別だ。休憩時間などならまだしもである。

 

 以前アカデミーで教鞭を一瞬振るった際、担当したクラスの少女から「先生って、結構食べますよね。甘いの。羨ましいです私身体弱いから……」という風に羨望のまなざしを受けたこともあるが、それだって不本意なところだ。

 

「おい待て什造、お前は……。いや、それ以前に走るな、激突するだろう!」

「わー!」「きゃっ!?」

「いわんこっちゃない」

 

 倒れた女性職員を抱き起こし、什造も手を貸して起こす。

 

「店に行くかどうかは別にしても、パトロールは必要だろう。もし買いたいというのなら、休憩時間でな」

「了解ですー」

 

 そんなやり取りを交わしながら、俺たちはエレベータに共に乗り込んだ。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。