果てなき愛ゆえに…   作:かなで☆

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第二話  ~真相~

 疾風のごとく二人が火影室を飛び出してからしばらく後、ナルトの影分身から事情を聞いたシカマルは、里の精鋭たちを火影室へと集めていた。

 [ナルト]は真剣なまなざしで、集まった面々を見回す。

 そこには数々の困難をともに乗り越えてきた同期のメンバーと、第七班で共に戦ったサイ。

 そして、今や上忍となった木の葉丸もいる。

 神妙な面持ちの[ナルト]に、皆が一瞬顔を見合わせる。

 そして、[ナルト]が隣に立つシカマルに

 「暗部にはすでに情報収集と里の警備にあたらせてるってばよ」

 そう言うのを聞き、さらに顔をしかめる。

 「暗部とは、穏やかじゃありませんね」

 相変わらず緑の全身タイツに身を包んだ、ロック・リーが表情を硬くした。

 「ま、このメンバーがそろって呼ばれること自体、穏やかじゃないけどね」

 集まった顔ぶれを見回しながら言ったのはテンテンだ。

 「その通りだ…なぜなら…」

 「あれ?」

 シノの言葉を(さえぎ)り、キバが声を上げた。

 「サスケとサクラがいねぇけど…。

 それに、影分身だな…」

 かすかなにおいの違いに気付くキバ。

 「一体…何があったんだなこれ…」

 ただならぬ空気に、木の葉丸が緊張する。

 (みな)の視線をその身に感じながら、[ナルト]は事を告げた。

 「どうやらサクラちゃんとサラダが里から姿を消したようなんだ。

 九喇嘛モードでチャクラを感知はしたが、かすかに感じられる程度のもので、はっきりとした場所は特定できなかった…」

 それを聞き、ヒナタがハッと息をのんだ。

 「かなり遠いか…強力な結界の中…」

 [ナルト]が頷く。

 「それって…サクラとサラダが連れ去られたってこと?」

 声をあげたのはサクラの親友、いのだ。

 「かもしれねぇってことだってばよ。

 今サスケと俺のオリジナルが二人のチャクラを追っているところだ。」

 「まだはっきりしないが」と、シカマルが言葉をはさむ。

 「里の中でも優れた医療忍術を使うサクラと、写輪眼を持つサラダが、さらわれたのだとしたら…。

 そしてそれが…もし…」

 一瞬途切れたシカマルの言葉をチョウジが繋ぐ。

 「ナルトとサスケを里から引き離すためなら…」

 「考えられるのは…。

 何者かによる里への襲撃…だね」

 表情を変えぬまま言ったサイの言葉に、場の緊張は最高潮に達した。

 皆一様に思い出していたのだ。

 かつて二人が不在の時にペインの襲撃を受けた時のことを…。

 あんな悲劇は2度と起こってほしくない…

 呼吸さえ忘れたように静まり返る。

 皆、ナルトの…七代目火影の言葉を待っているのだ。

 [ナルト]は一つ息を吸い込み、顔を上げた。

 「それぞれ隊を編成し、里の人々の避難と、襲撃に備えて各箇所に待機。

 何者かによる攻撃があれば、ただちに反撃。

 何人たりとも里に入れるな!以上!」

 『はっ!』

 声をそろえて、各々役目を果たすために飛散する。

 ふぅ…と長い息を吐き出し、[ナルト]は火影室から里を見渡す。

 そこにはまだ何も状況を知らぬ子供たちが無邪気に笑いあっている。

 …何事も起こらなければいい…

 「サクラちゃん…サラダ…。無事でいてくれ」

 ……かくして、里は厳戒態勢に入ったのだった……

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 その頃、木の葉の里からやや離れたところにある洞窟の中…、薄暗い道を静かに歩く三つの影があった。

 「ママ…。パパ、来るよね…」

 黒縁の眼鏡をかけ直し、不安そうにつぶやいたのは、サスケの娘『サラダ』だ。

 「大丈夫。きっと来るわよ。」

 娘の気持ちを支えようと、サクラは笑顔で返すものの、一抹の不安を感じずぬはいられなかった。

 しかし、

 …大丈夫…きっと来てくれる…あの人は、不器用だけど優しい人だから……

 そう言い聞かせて不安を払いのける。

 見つめたその先には、マントを羽織った男が一人。

 鍛え上げた肉体がマントの上からでもわかり…かなりの強者であろうことが見て取れる。

たとえサクラといえども、戦えば無傷では済まないだろう…

 「この部屋だ」

 男はそう言ってとある部屋の扉を開け、二人を中に誘い入れた…

 その中で二人を待っていたのは、細身の男が一人、眼鏡をかけた女が一人。

 そして、男か女か…どちらともつかない雰囲気をまとった人物が一人…

 その人物が二人に歩み寄り

 「よく来たわね」

 にやりと不気味な笑みをこぼした…。

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 ザザザッ…ザッ…

 木から木へと移動するナルトとサスケのすさまじいスピードに、枝がしなり、葉が音を立てて揺れる。

 「一体何があったんだってばよ…」

 移動のスピードを緩めず、ナルトが問う。

 「今朝…」

 サスケはそう口を開き、苦しそうな表情で言葉を続ける。

 「俺が目を覚ました時、すでに二人の姿はなかった…。

 そして、部屋の中には色々な物が散らばっていて…ドアの鍵も開いたまま…。」

 サスケは拳を握りしめる。

 「…サクラはそんなことをしない。サラダもだ。

 何より、あいつが俺に何も言わず家を空けたことは…ない…

 …すなわち、二人は何者かに…」

 ギリッ…と唇をかむサスケ…

2人が姿を消した時…一体どのような状況だったのだろうかと、ナルトはサスケの話に照らし合わせて想像を巡らせる…

 しかし、いくパターンかシュミレーションする中で、ナルトは何か違和感を感じていた。

 そして一つ質問してみる。

 「…何か…壊れてた物は…?」

 「ない」

 即答され、さらに違和感を深める…

 サクラは医療忍者とはいえ、優れたチャクラコントロールで強力な体術を使う。

 その破壊力は桁違いで、以前庭に大きな亀裂を入れ、自分の家を倒壊させた事があるほどだ。

 サラダも幼いがすでに写輪眼を開眼しており、その上サクラ譲りの怪力もある。

 何者かの侵入があれば、必ず迎え撃ち、多少なりともその攻撃の跡が残るだろう…

二人とも何もできぬまま捕まるような人物ではない。

 それに…『色々な物が散らばっていた』…とサスケは言ったが、サクラが物を投げて抵抗したとは考えにくい…。

 そして、ドアの鍵が開いたまま…

 その状況に、ナルトは覚えがあった。

 以前、珍しく寝坊したヒナタがあわただしくボルトたちのお弁当を作り、持ち物やら何やらをバタバタと準備し、鍵を閉め忘れて慌てて飛び出したことがあったのだ…。

 …確かあの時、今までに見たことがないくらい部屋が散らかってて…

 と、その時の様子を追って思い出すナルト…

 二人を送って部屋に戻ってきたヒナタは、ちょっと髪がぼさぼさになってて、あまりの散らかり具合に『ごめんなさい…』って泣きそうな顔で…あれは…めちゃめちゃ可愛かったってばよ…

 そこまで考えて、ナルトはハッとする。

 …いや違う違う。

 今そこは思い出さなくていいだろ…俺…

 知らぬ間ににやけていた表情をひきしめ、ナルトは枝の上に立ち止まる。

 「どうした、敵か?」

 構えて辺りを警戒するサスケ。

 すでに万華鏡写輪眼だ。

 「いや…あの、そうじゃなくてよ…」

 サスケに限って、しかも、あの慌てように…この警戒心だ。

 …まさか…な…と思いながらも、念のため確認しようとサスケに向き直る。

 「本当に二人から何も聞いてないのか?」

 「無論だ。」

 「んー、でもよぉ、いくら寝てたとはいえ、お前なら気づくだろ…誰かが侵入してきたら…」

 いきなり先ほどの考えを口にすることは控え、探りを入れる。

 「だからだ…。

 任務明けで疲れていたとはいえ、俺に気付かれず二人を連れ去る…。

 並のことではない…」

 変わらずサスケは真剣だ…

 だがこの時、ナルトは二人に近づいてきた事で、彼女たちのチャクラをより強く感知していた。

 そして、二人がいるであろうその場所に関連して、数日前サクラが言っていた事をふいに思い出した…

 『それにしても、驚きよね。

 あの大蛇丸が香燐(かりん)のために誕生日パーティを開くなんて』

 そして、サクラは自分たち家族も招かれていると言っていた。

 ……それが確か………………今日だ………………

 おそらく、サスケはそのことをすっかり忘れており、彼の不安の元凶となった『部屋の散らかり』と、『鍵の閉め忘れ』は、ナルトの想像通りなのだろう…

 顔をひきつらせながら 、そのことをサスケに伝えようとした時、

 『おいナルト』

 九喇嘛が語りかけてきた。

 『あの二人がいるのはどうやら……それに…』

 『ああ…分かってるってばよ…』

 答えて、ナルトはサスケに告げる。

 「サクラちゃん達の居場所を完全に感知したんだけどもよぉ。」

 「どこだ!」

 詰め寄り肩に掴みかかってくるサスケ。

 「この距離なら、お前にもわかるんじゃねぇか?」

 サスケは慌てて集中する。

 そして二人のチャクラをとらえ

 「まさか!」

 鋭い声を上げた。

 「ああ…」

 ナルトは頬をポリポリかきながら西の方角を指さし、

 「二人はこの先にある大蛇丸のアジトにいるってばよ…」

 サスケが目を見開いた。

 「大蛇丸……」

 わなわなと、ナルトの肩をつかむその手に力がこもる。

 「サ…サスケェ…。ちょっち、痛いんだけども…よ…」

 その言葉は全くサスケの耳には入っていない。

 …大蛇丸の関係者で、二人を俺に気付かれず連れ去る…

 「重吾(じゅうご)か!」

 サスケはさらに思案を巡らせる。

 大蛇丸のやつ…まさか二人を何かの実験に使うつもりじゃ…

 その瞳はかつてイタチを恨み、復習に染まっていた時の恐ろしさをにじませている。

 「あ、あの…サスケ…ちゃん…?」

 まったく真相を思い出せず、何やらよからぬ方向に思考を巡らせていることに気付き、ナルトはサクラから聞いていた話を言おうとしたが、

 「許さん!」

 そう言い残してサスケは木の枝を蹴り、駆けだした。

 「あ!待て!

 サスケ…違う…ってば…よぉ…」

 言葉の終わりには、すでにサスケの姿は消えていた。

 『ククク…』

 この事態を面白がっているような九喇嘛の声。

 『ナルト、どうするんだ?』

 『と、とりあえず、俺らも行くってばよ…』

 『面白いことになりそうだな』

 「笑い事じゃねぇよ…」

 はぁ…と肩を落とし、ナルトはサスケを追う。

  ………サスケ……恐ろしいほどの勘違いだってばよ……

 火影室に慌てて入ってきてから今までのサスケの言動を思い出し、ナルトは呆れながらも、家族を思うサスケの心を嬉しく思い、口元に笑みを浮かべた。

 「でも…」

 このままではアジトを破壊しかねない勢いだ。

 チャクラを練り、九喇嘛モードでスピードを上げる。

 「ちょっと度が過ぎるってばよ」

 つぶやいたナルトに、九喇嘛が呆れた様子で言う。

 『こんなことに俺の力を使うお前もな』

 『うるせ~』

 こうして大蛇丸のアジトへと向かう事になったナルトたち。

 この時、里が大騒ぎになっていたことを彼らは知る(よし)もなかった…

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