もしも、あの男が残っていたら 作:パワプロ大好き男
8月に入り、3年生がいない中、俺達2年生と1年生のみで本格的な練習が始まった。
秋季大会に向けて新体制のチーム作りをしながら勝ちに行くわけだから、皆の気合いは十分だった。
キャプテンに指名された俺は、投手陣と野手陣の両方の面倒を見ながら練習に取り組んでいったのである。
結構大変だが、かなりやりがいがあって楽しいのである。
そんな中、ある部員が、こんな話をするのを俺は耳にした。
「なぁ、茂野のヤツ、あんだけ海堂を倒すとか言っときながら、結局戻りやがったぞ。」
「ほっとけよ、どうせ1人じゃ倒せないと分かって戻ってきたんじゃねぇの?」
一見すると、悪口のように聞こえるかもしれないが、実際はその通りだなと思った。
なぜ茂野は海堂に戻ったのか分からなかった。
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練習が終わり、部室に戻ると、茂野がいた。
茂野「おう、土屋、お疲れ~。」
土屋「あぁ、ご苦労。」
他愛のない会話をしながら俺は茂野に聞いてみた。
土屋「なぁ、茂野、どうして海堂に戻ったんだ?」
茂野「あぁ、実はな、海堂を倒そうと思ったんだが、俺1人じゃどうしても倒せないヤツがいてな、そいつを倒すには、海堂の力が必要だと思ってさ。」
土屋「なるほど~、それで茂野がどうしても倒したい人って誰なんだい?」
茂野「ジョー・ギブソンJrだよ。」
茂野の答えに俺は驚いた。
土屋「ジョー・ギブソンJrって、あの有名なジョー・ギブソン投手の息子!?」
茂野「あぁ、父も凄いが、息子も凄いんだ、俺はどうしてもそいつを倒したいんだ、けど俺1人じゃ叶わないくらいスゲェ打者なんだよ、だから海堂に残ったんだよ。」
土屋「なるほど~、そういうことだったのか~、やっと解決したよ。」
俺は安堵した、そして茂野と一緒に食堂に行ったのであった。
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食堂に行くと、佐藤寿也たちがいた。
しかし、メンバーの大半は茂野の顔を見るやいなや、せっせと帰っていってしまった。
茂野「なんだよ、アイツら、俺のこと嫌ってんじゃねぇか。」
佐藤「まぁ、多分、吾郎君が突然、海堂に戻ってきたから、どう接していいか分からないんだと思う。」
茂野「ちぇ、面倒くせぇな。」
佐藤「吾郎君、どうして海堂に戻ってきたの?」
茂野「ジョー・ギブソンJrのいるワールド高校を倒すためさ。」
土屋「ワールド高校?」
俺はさっぱり分からなかった、ワールド高校なんて聞いたことがなかった。
すると寿也が突然、声が大きくなった。
佐藤「ジョー・ギブソン投手の息子がワールド高校にいるの?」
茂野「あぁ、留学生がたくさんいる高校だが、高野連に認定されている高校だから甲子園には出場できるさ、まぁもちろん日本人もいるけどな、その高校は昔だけど甲子園に毎年と言っていいほどかなり強い強豪校らしいぜ、ちなみに父もそこの高校出身さ。」
土屋「へぇ、凄いな、ワールド高校って。」
佐藤「それで吾郎君は海堂に戻ってきたんだ、嬉しいよ、またバッテリー組めるね。」
茂野「あぁ、あとはアイツらと仲良くして、チームを選抜に行くことを優先しないとな。」
俺は茂野が頼もしく見えた。
その後、茂野は他の部員にこの事を伝え、全員理解したのであった。
この練習を乗り越えれば、もうすぐ秋季大会が始まる。
俺達の野球生活は、これから始まったばかりであった。