もしも、あの男が残っていたら   作:パワプロ大好き男

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第32話 2回戦、始まる

神奈川県大会予選の2回戦が始まろうとしていた矢先、土屋貴教はトイレにいた。

 

貴教「こんな時に下痢かよ………」

 

その時だった、トイレに他の選手が入ってきたのであった。

貴教はそのまま耳を澄ました。

すると、その声は2回戦で対戦するパワフル高校の選手であった。

 

A「瞬鋭、大したことなかったな。」

 

B「ホントだよ、烏丸だっけ、口先だけ偉そうに喋ってたの?」

 

A「あぁ、アイツ独りよがりのプレーしてたからな、そりゃチームメイトも混乱するよな。」

 

B「あと、覇堂も天空中央も負けたらしいぜ。」

 

A「まぁ予想は出来てたよ、覇堂の木場なんかストレートしか投げてこないし、打ち込まれるのもムリないさ。」

 

B「それに天空中央なんか虹谷のヤツ、他の高校のマネージャーに手を出してるみたいだしな。」

 

A「バカだよなアイツ、女のケツばっかり追い掛け回すから天罰下るんだよ、ざまぁみろだ。」

 

B「あんなのストーカーに近いよな。」

 

A「ホントだよ、立派な犯罪だよ、何がレディがいないと気合いが入らないだバカ野郎、そんなんだから天空中央は強くなれないんだよ。」

 

B「女よりもチームを強くする方を優先した方が絶対いいよな。」

 

貴教がトイレでパワフル高校の2人の選手の話を真剣に聞いて思ったのであった。

 

貴教(なるほど、パワフル高校は昨年までは1回戦で負けるほど弱いはずなのに、ここ数ヵ月で実力をつけたみたいだな、ようし、絶対に勝つぞ。)

――――――――――――――――――――――

2回戦が始まった。

スタメンは1回戦と同じだった。

パワフル高校の先発はエースの星井スバルであった。

彼の父はアメリカ人で、元メジャーリーガーであった。

下の名前がカタカナなのはそのためである。

彼の持ち味は落差のあるフォークボールである。

海堂学園高校は彼の前に苦しめられているのであった。

 

茂野「くっ…なかなか打てないな……」

 

試合は8回の表に2年生の遊撃手、小田切巧がタイムリースリーベースで3点を取り、茂野がツーアウトを取った直後に4番で3年生の一塁手、宇渡幹久にツーランを浴び、この回だけでも一挙に5点も取られたのであった。

 

茂野「すまねぇな寿……」

 

佐藤「大丈夫だよ、次切り替えよう。」

 

佐藤が茂野をなだめた直後、8回の裏にキャプテン貴教がタイムリーツーベースで2点を取り、5-2と差を埋めた。

そして、9回の裏に満塁の場面で茂野に打席が回った。

茂野は疲れている星井の渾身のフォークボールが甘く真ん中に入ったのを見逃さなかった。

 

茂野「ここしかない!!」

 

カッキーン!!

 

快音を残し、レフトスタンドに吸い込まれ、海堂はサヨナラ満塁ホームランで2回戦を突破したのであった。

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