もしも、あの男が残っていたら   作:パワプロ大好き男

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第36話 立ち上がり

アナウンス「1回の表、海堂学園高校の攻撃は、1番センター草野君。」

 

ついに決勝戦が始まった。

先攻の海堂学園高校は草野が左打席に入った。

三塁側から大歓声が沸き起こったのであった。

 

球審「プレイボール!!」

 

球審が合図を送るとサイレンが鳴り響いたのであった。

 

草野(里中智君はアンダースローながらかなり速いからな、気をつけないと。)

 

草野は打席上で呟きながら、冷静に里中智を分析したのであった。

里中智はアンダースローながら150km/h近いストレートと複数の変化球が持ち味である。

スライダー、カーブ、フォーク、シンカー、シュートと5種類を持っている。

里中智は1球を投げた。

 

シュ、スパーン!!

 

球審「ストライク!」

 

草野(は、速い………)

 

草野は驚いたのであった。

ベンチも驚いたのであった。

 

茂野「何だアイツ!?」

 

佐藤「かなり速いね。」

 

貴教「電工掲示板見てみろ、145km/hだってよ。」

 

茂野「嘘だろ!?」

 

草野は2球目もストレートを見逃し、追い込まれたのであった。

里中智は3球目を投げた。

 

シュ、スパーン!!

 

球審「ストライク、バッターアウト!」

 

草野は空振り三振となってしまった。

ストレートがアウトローギリギリいっぱいに入っていたのであった。

 

茂野「草野が三振だなんて……」

 

アナウンス「2番セカンド渡嘉敷君。」

 

渡嘉敷が右打席に入った。

 

渡嘉敷(なんとしても打ち返さないと。)

 

渡嘉敷は気合を入れていたが、くしくも三振に倒れたのであった。

里中智はまだ6球しか投げていなかった。

 

アナウンス「3番ピッチャー茂野君。」

 

茂野が右打席に入った。

 

女子高生「茂野君~頑張って~」

 

女子高生から黄色い声援が聞こえたのであった。

貴教はムッとしていたのであった。

 

貴教「うるせぇな、野球なんかろくに知らなかったくせに、こんときだけは可愛い子ぶるんだよな、だから女なんて大嫌いなんだよ。」

 

佐藤「まぁまぁ………」

 

佐藤は貴教をなだめたのであった。

一方の茂野は追い込まれたのであった。

 

茂野(クソ……2球続けてインコースに投げやがって……)

 

里中智は9球目を投げた。

アウトローにストレートを投げたが、ギリギリ外れたのであった。

 

球審「ボール!」

 

茂野(あぶねー!!)

 

茂野はホッとしたのであった。

 

茂野(ここまで9球投げて全てストレートか、打席に立つとかなり速いぜ、やるな里中智。)

 

里中智は10球目を投げた。

 

シュ、スパーン!!

 

球審「ストライク、バッターアウト!」

 

茂野は空振り三振となってしまった。

 

茂野(ここで変化球かよ……)

 

茂野は里中智を見ながらベンチに入った。

 

佐藤「今の球は?」

 

茂野「フォークだよ、かなり落差があるぜ。」

 

貴教「マジかよ………」

 

すると三塁側のスタンドから女子高生が叫んだのであった。

 

女子高生「茂野君~次頑張って~!!」

 

貴教は不機嫌になった。

 

貴教「殺してぇー!!」

 

茂野「まぁまぁ落ち着け……」

 

茂野は笑いながら貴教をなだめたのであった。

一方、明訓高校のベンチでは盛り上がっていた。

 

山田「いいピッチングだね里中、この調子で行こう。」

 

里中「あぁ。」

 

岩鬼「やるじゃねぇか里中、あの海堂学園高校を相手に10球で片付けるなんて凄いやないかい!!」

 

殿馬「オイラも真似してみたいづら。」

 

微笑「この調子で行こう、絶対かつぞ!!」

 

盛り上がる一方で大平太平(おおひらたいへい)監督の代行、大平健一(おおひらけんいち)が言った。

 

大平「いいか、1回の表を10球で乗りきったからっていい気になるなよ、初回から点を取りに行け、いいな?」

 

全員「はい!!」

 

明訓高校ナインは大きく返事をしたのであった。

 

大平「ったく、太平は病気で入院するなんて情けないわい、ワシがコイツらを徹底的に鍛えてやる、元甲子園球児をなめるなよ。」

 

高齢になった大平監督は海堂学園高校のベンチを見た。

 

大平「大介のヤツ、28歳で海堂学園高校野球部の監督になりやがったか、地元・北海道から神奈川に転勤になるとは珍しいのう、しかも10歳年下の弟を海堂学園高校野球部に入部させるとは大したもんだ、あの頃はクソガキだったのが、今はすっかり別人じゃ、けど明訓高校野球部だって強いんじゃ、大介には負けん。」

 

大平監督は思い出に耽っていながらも、しっかり勝利を見据えていたのであった。

 

茂野「寿、頼むぜ。」

 

佐藤「了解、立ち上がり大事だからね。」

 

貴教「しっかり投げてこいよ。」

 

海堂学園高校ナインは守備についたのであった。

試合はまだ始まったばかりだ。




今までで一番長くなりました。
申し訳ありませんm(__)m
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