ダンジョンに生きる目的を求めるのは間違っているだろうか 作:ユキシア
レフィーヤ・ウィリディスが最初に思ったのはどうしてこうなったという疑問だった。
『遠征』に出発する前に
アイズに強い憧れを抱いているレフィーヤは突然現れた桜にアイズを奪われたと思い違いをしいた。
そんな桜を問い詰めようと、可能であるならアイズの妹の権利を貰おうと考えていたレフィーヤと桜は突然の地震と轟音に外に出ると見覚えのある植物のモンスター、
レフィーヤは
だけど、目の前にいるのは紛れもない
レフィーヤはどうすればいいのか焦っていた。
自分のファミリアである【ロキ・ファミリア】の精鋭はすでにダンジョンに潜り始めているだろう。助けを呼ぶこともできない。
そんな時。
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!』
まずは一撃。という勢いで斬りかかる桜だが、予想以上に硬い
その行動にレフィーヤは唖然とした。
「な、なにしているんですか!?」
「倒そうとしているだけだけど?」
叫ぶレフィーヤに首を傾げる桜を見て首を傾げる姿がアイズさんに似ているのですねと思ったが首を振ってそんな考えを飛ばす。
「あれは貴女だけで手に負えるモンスターではありません!下がっていてください!」
例え気に入らない相手でも自分よりLvの低い者を見殺しには出来ない。
相手は魔力に機敏に反応するモンスターだとしても他のファミリアが来るまでの時間稼ぎぐらいは出来ると踏んだレフィーヤは桜を下げさせようとしたが。
「勝手に決めるな、あれは私が倒す。そっちこそ手を出すな」
「なっ!?ば、馬鹿なのですか!?Lv.1の貴女が相手になるわけないじゃないですか!?」
無茶苦茶をことを言う桜にレフィーヤは思わず叫んだ。
少なくともLv.1の桜が倒せる相手ではない。
それでも桜は
「ああもう!」
自分勝手な行動をする桜にレフィーヤはイラつきながら桜に叫んだ。
「三分!私を守ってください!私の魔法で倒します!」
自身の魔法で倒したことあるモンスターだけど、魔力に機敏に反応する
その為に一か八かで桜に前衛を任せて何としてでも倒そうと考えたレフィーヤだが桜はそれを一蹴した。
「こいつは私が倒すって言ったはずだ!手を出すな!」
「はいぃ!?」
あまりの言葉に驚きを隠せなかったレフィーヤ。
桜は両手に持っている夜桜と紅桜で斬りかかってはいるが大した傷を負わせれていなかった。
「無謀すぎます!そのモンスターは魔法による攻撃が弱点です!私の魔法でなら倒せます!ここは協力しなければそのモンスターを倒すことはできません!」
桜に協力を要請するレフィーヤ。
桜は跳んで
「私が倒すって言っているんだ。邪魔をするな」
苛立ちを滲み出しながら胸ぐらを掴む桜。
一瞬怯むレフィーヤだが桜を睨む。
「無理です。あのモンスターは貴女が思っている以上に強いんです」
「そんなもん百も承知だ。あのモンスターは私一人じゃ倒すことができない」
「なら!」
「だけどそれでいい」
一人では倒すことができないと分かっているのなら協力しようと思ったレフィーヤだけど、桜はそれでいいと言い放った。
「あいつを倒すことができれば私は【ランクアップ】出来るだろう。その為に私はあいつを倒そうとしているんだ」
その言葉にレフィーヤは言葉を失った。
桜の言う通り、
本来、偉業の達成は一人で成すものではなくパーティを組んで協力し工夫を凝らして初めて実現できる。
その分の偉業の質は下がるけどそれを繰り返せば時間をかけて【ランクアップ】できる。
少なくともレフィーヤがいる【ロキ・ファミリア】はそうだ。
一人で偉業を達成したら【ランクアップ】もすぐに出来るだろうけどその反面に失敗した冒険者に待ち受けるのは死である。
今、レフィーヤの目の前にいる桜は一人で偉業を達成しようとしている。
無茶であり、無謀であり、命知らずという言葉がレフィーヤの脳裏に過ぎる。
「わかったら手を出すな。それに今は【ロキ・ファミリア】は遠征じゃなかったか?今からでもダンジョンに向かった方がいいんじゃないか?」
そう、レフィーヤは本来、
だけど、今のこの状況を放っておくわけにはいかない。
「私よりLvの低い貴女を放って行けるわけないでしょう!」
ここで桜を放って自分勝手にダンジョンに行くのはレフィーヤ自身が許せなかった。
せめて援護だけでも協力しようと桜に申し出ようと思った時、桜の説得に意識を向けていたレフィーヤに回避不可能なぐらい接近していた
「きゃ!?」
だけど、突き飛ばされたおかげで
「桜さん!?」
自分を助ける為に犠牲になった桜にレフィーヤは悲痛の声を上げるが血まみれになっている桜は何事もなかったかのように
「え?」
驚くレフィーヤ。だけど、思い出せばベートとの決闘の際に首が飛んだにも関わらず生きていたことを思い出して少し安堵した。
桜は壁を蹴って宙に跳んで魔法の詠唱に入る。
「【凍てつく白き厳冬 顕現するは氷の世界】」
魔力に反応した
しかし、桜は冷静に氷の魔法を夜桜と紅桜に纏わせて氷の斬撃を放って
それでも残っている首で桜を食おうという口を大きく開けて
「チッ!」
舌打ちする桜は最初に襲いかかって来た
地面に転がりながら何とか着地した桜。
「もうわかったはずです!貴女だけではあのモンスターは倒せれないということが!」
レフィーヤの言う通り桜だけではあのモンスターを倒すことはできない。
「【ランクアップ】したい気持ちはわからなくもないですが、こんな無謀なことに挑戦しなくても少しずつ偉業を達成していけば【ランクアップ】できます!貴女はまだLv.1なのでしょう!?協力しても逃げても恥ずかしいことではありません!こんな無謀なことで命を捨てる気ですか!?」
桜はLv.1。
そのこと自体桜は重々承知している。
桜もレフィーヤの言葉は正しいと思っている。
そこまで急いで無茶をしてまで【ランクアップ】しなくてもすでに【ステイタス】がオールSの桜ならここで諦めてもいずれかは【ランクアップ】は出来る。
死んだらオッタルを倒すこともベルやヘスティアを悲しませることも私自身が心から探している生きる目的を探すこともできない。
ここで諦めて身を引くのも一つの手だろう。
「レフィーヤ・ウィリディス。お前は勘違いをしている」
だけど、諦める、逃げるという選択肢は桜の中にはなかった。
「無茶で無謀なことをしているのは理解している」
ここで後ろに下がったらもうそれは柳田桜ではない。
「だけど、死ぬつもりはない」
例え、目の前にどんな強敵が立ちはだかろうともそれを倒してでも前に進む。
「私が私自身であるがために私は前へ進む。ただ、それだけだ」
その言葉にレフィーヤは何も言えなかった。
レフィーヤがアイズに憧憬して追い続けるように桜にも譲れない何かの為に戦っていることに気付いた。
そして、桜の姿がその瞳が自分が憧憬しているアイズ・ヴァレンシュタインに似ていた。
「【瞬く間に散り舞う美しき華】」
魔力に反応した
「っ!?」
魔法を発動しようとしている桜を守ろうとレフィーヤも速度重視の短文詠唱を発動しようとした時、レフィーヤは目を見開いた。
「【夜空の下で幻想にて妖艶に舞う】」
桜は襲いかかってくる
「並行詠唱・・・・」
高速移動を実現しながら展開する離れ技。
『魔力』という難物を扱うこの技術を扱えるのは上級冒険者の中でも圧倒的に少ない。
レフィーヤが未だ辿り着けていない領域をこの土壇場で桜は行った。
「【暖かい光の下で可憐に穏やかに舞う】」
次々襲いかかってくる
「【一刻の時間の中で汝は我に魅了する】」
レフィーヤは目を疑った。
何者なのかさえ疑った。
「【散り舞う華に我は身も心も委ねる】」
「駄目!」
レフィーヤは叫んだ。それは悪手だと。
宙では身動きが取れない。今、襲いかかられたら間違いなくやられる。
だけど、無情にも
「【舞う。華の名は桜】」
襲いかかられる寸前に詠唱が終えた。
「【舞闘桜】!!」
発動と同時にいくつかの
それでも懲りずに襲いかかる
だけど、桜は襲いかかる
「綺麗・・・」
戦っている桜を見たレフィーヤの口からそう出てきた。
いや、レフィーヤだけではなかった。
舞って踊りながら戦うその姿、その光景にその場にいる全ての種族を神々も目を奪られた。
美しく舞う桜に神々までも魅了した。
『オオオオオオオオオオオッ!!』
残った
だけど、桜は不思議と冷静だった。
そして、負ける気が全くしなかった。
静かにただ詠唱した。
「【凍てつく白き厳冬 顕現するは氷の世界】」
【舞闘桜】の発動中に桜はもう一つの魔法を発動させる。
【舞闘桜】は自身の武器までも強化することができる。その中に魔法も例外ではなかった。強化された氷の魔法はブリザードとなって
「ハァァァアアアアッ!!」
氷像となった
砕け散り、細氷が舞い落ちる中心に舞い降りたその姿はまるで演劇でも見ているかのように堂々と凛々しく立っていた。
その場にいる者を最後の最後まで魅了し続けた桜に
『―――――――――ッッ!!』
歓喜の声が、迸った。
「桜さん・・・」
歓喜の声が迸るなかでレフィーヤは桜に駆け寄った。
勝手に妬み、Lv.1だのと失礼なことを言ったことを謝ろうと駆け寄るレフィーヤ。
だけど、唐突に桜は倒れた。
「桜さん!?」
走って駆け寄ったレフィーヤはすぐに桜を抱きかかえるが桜はピクリとも動かなかった。
「桜さん!桜さん!目を開けてください!桜さん!」
何度も呼びかけるレフィーヤに桜は全くの無反応だった。