魔法少女リリカルなのは ~現れた赤龍帝~   作:断崖

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遅くなりました。



模擬戦 二

「まず一人。次は誰がくる?」

 

気絶したヴィータを右腕で抱え、背負う。

思っていた以上に軽い体に驚く。

中身が入っているのか?

心配しながら、俺は空に残った三人の様子を観察。

 

「フェイトちゃん、あれも魔法なのかな?」

 

「わからない。でも魔力は殆ど感じなかったから、

魔法ではないのかもしれない。」

 

「しかしなテスタロッサ、

魔法ではない攻撃でヴィータが倒されるとは思えん。」

 

空の上で悩む彼女達。

どうやら俺がどうやってヴィータを沈めたのか、

それがわからないらしい。

当然だな、彼女を一撃で沈めた技は魔法ではない。

「浸透剄」(しんとうけい)

中国武術の1つ。衝撃を突き透す技。

 

『武術に対する知識はないようだな。』

 

「ああ、こりゃあ案外すんなり終わっちまうかもな。」

 

一際の不安が頭をよぎった。

彼女達を買いかぶりっていたんじゃないかと。

左手でクイクイと手招きする。

襲(か)かってこいのジェスチャーだ。

 

「次だ次。さっさと襲(か)ってこい。」

 

「ーーーーーーーーーッ!!」

 

………………動いてこないな。

なのは達は空中に留り続けている。

さらに挑発してみるか。

 

「どうした、今の俺は片腕が使えないだぜ。

三人同時に魔法で攻撃すれば、

倒せなくても体勢を崩すぐらいはできるかもしれないぞ。

それとも魔導師って奴は腰抜け揃いか?」

 

「ーーーーーーーーーーーー。」

 

また黙りか。

これだけ言えば顔色ぐらい変えそいなもんなんだが………

随分と警戒されているようだ。

ヴィータを倒したモノがなんなのか、

どんな「技」なのか理解できないからだろうな。

警戒して動かないなのは達を横目で見ながら、

辺りを見渡し。

 

「あったあった。これならちょうどいい感じだ。」

 

比較的平らな瓦礫を発見。

俺は気絶したヴィータを、そっと瓦礫の上に寝かせる。

一応呼吸と心拍を確認。

手をヴィータの胸部におく。

 

「…………乱れはない、大丈夫だな。」

 

振り返って、なのは達を観る。

 

「どうした?さっきもそうだが、なぜ攻撃しないんだ。

隙を作って、

仕掛けるするチャンスをわざわざ作ってやったのにさ。」

 

「罠ってわかっていて攻撃する人なんていないと思うよ陸君。」

 

「いやいや、「罠」ってわかっているなら、

「罠」ごと叩き潰す。それが俺。」

 

にゃはははと笑うなのはだが、顔は笑ってはいない。

俺をどうやって倒すか。

真剣に考えているって感じだ、おもしろい。

 

『どうする?相手の出方を待つのか相棒。』

 

(何を言っているだよ。

実戦でそんな暇、敵が与えてくれるわけないだろう。)

 

『いや、模擬戦だぞ相棒。手加減を忘れるなよ。』

 

(了解了解。)

 

ドライグとの会話は終了させ、瓦礫を蹴り飛ばす。

豪速球でなのは達に向っていく瓦解に対して、

なのはとフェイト、シグナムはは動揺することなく対処した。

 

「そうくるか!!」

 

姿勢を後ろに下げる。

八割がた「回避」すると踏んでいた彼女たちの予想外の行動には、

若干ビックリした。

なのはとフェイトは互いの武器から薬莢が排出。

魔力をあげ。

杖と鎌を俺に向けて吼える!

 

「エクセリオン・バスターーーーーーー!!」

 

「トライデント・スマッシャーーーーーー!!」

 

魔力陣から

ピンクと黄色の魔力砲撃が撃ち出され、

瓦解を粉砕しながらこちらにくる。

砲撃自体の速度は多少は速い。

瓦解を難なく破壊したようすから、

威力もそこそこあるようだが生憎距離が開きすぎだ。

ため息をつきながら頭をかく。

 

「相手との距離を遠く、

相手の体勢も崩しているわけどもない。

ーーんな雑な攻撃して当たるわけないだろうが。」

 

バッグステップで後ろに下がる。

砲撃は俺がいた大地を穿つ。

ドン!と爆発が発生して砂煙が巻き上がる。

 

「チッ!!」

 

さらにバックステップ。

爆煙に巻き込まれれば視界が著しく悪くなり。

そうなれば、

さっきから周りいるなのはとフェイトに集中砲火を浴びる羽目になる。

鎧を装着していない状態では多少危険な状況だ。

危機を避ける為にさらに後ろに下がる最中、

何者かが爆煙をならから飛び出してきた。

砂煙の中、剣を構える姿は、

 

「シグナムか!」

 

「はあぁぁぁぁーーーーーー」

 

姿を表したシグナム。

叫びシグナムは高速で剣をふる。

袈裟斬り、逆袈裟斬り、突き、横一文字。

中々の斬速で何回も斬りつけてくる。

ぎりぎりで回避していくが、

前髪が舞い、服とズボンに切り傷が増えていく。

 

「中々いいなシグナム。

相当実践で鍛え上げてきたのがわかるぞ。」

 

「お誉めに与り光栄だ!!」

 

いい太刀筋だ。

かわしきれない斬撃が、衣服を切り裂いていく中、

素直に感心した。

正直な話、

魔導師は「魔法」を使った遠近戦しか出来ないと思っていた。

なのはの接近戦技術なんて素人と変わらないレベルだと、

勝手に思っていたからな俺は。

 

「思い込みはダメだよな、やっぱり。」

 

ヴィータもシグナムも鍛え上げれば、

「神滅具」に抵抗するぐらいはできるようになるだろう。

だからこそ忠告する。

振りきられた刃を右にかわし、シグナム言う。

 

「駄目だぜ、そんな大振りに剣を振ったら。

折角の剣のスピードが台無しだ。」

 

「ーーーッ!!黙れ!!」

 

顔を赤く染め怒鳴るシグナムは、

何を思ったのか後ろに下がり。

 

「これならばどうだ!!」

 

離れた距離で剣に振るう。

何だと疑問に思った時、

剣に亀裂が生まれ、飛んできた。

 

「へえっ。」

 

俺は顔を逸らして刺突をかわす。

 

「連結剣か?初めて見たよ。」

 

物珍しそうな声で言った。

「蛇咬剣(スネークブレイド)」、

連結剣(レンケツケン)とも言われている武器。

戦いの中で現物を見たのは初めてだ。

そもそもあまり実戦で見かける武器の物ではない。

使いこなすのがやたら難しく、ある種の才能がほしい。

加えて手入れが恐ろしく面倒。

しかも、斬り合いになれば、

通常の剣より脆く中途半端な武器という印象だ。

しかし、これがーーー持ち手が優秀だった場合、

途端に連結剣は凶悪な武器になる

シグナムが連結剣を振るう。

 

「はあぁぁぁーーーーーー!!」

 

身を沈めて薙ぎ払われる横からの斬撃をかわす。

ガガガガガガと後ろに建っていたビルを両断。

崩壊して崩れ墜ちる。

こんな感じで、音より速く、並みの斬撃より鋭い。

魔法の力も加わっているらしく、

威力も倍増だな。

何度も振られる連結剣の斬撃を回避しているとーーー

 

「アクセルシューターーー!!」

 

「プラズマランサーーーー!!」

 

左右から声が響き。

ちらりと見ればなのはとフェイトの無数の魔力弾を、

俺を囲むように展開させ、殺到させてくる。

直接上と左右間の攻撃で逃る隙間がない。

なら防御するまでだ。

 

「ふう~~~~」

 

呼吸を整える。

自身の間合いに気を張り「制空圏」を 造り出す。

「制空圏」は手が届く範囲の球状結界。

故に手の届く範囲に異物の進入は許さない。

 

「フッ!」

 

「制空圏」の間合いの中に入ってきた魔力弾と刃。

上下左右、死角から来ようと関係はない。

すべてを拳と蹴りで撃ち砕いていき、刃の方は外に逸らす。

多少堅いが問題はない。

数秒でみるみる内に魔力弾の数が少なくなると。

 

「フェイトちゃん!まだだよ!まだ!がんばって!」

 

「うん!がんばろなのは!」

 

気合をいれるなのはとフェイト。

再びたくさんの魔力弾を構築する彼女たちは、

俺に向けて撃ち込んできた。

美しすぎる友情に、こっちは涙が出そうだよ!

激しさを増す魔力弾を防いでいると、

ドライグが忠告してくる。

 

『相棒、この娘たちの目的は「撃破」ではない。』

 

「言わなくてもわかってるさ、「足止め」だろ。」

 

仕留める気のないぬるい攻撃だ、

嫌でも気がついてしまう。

数の多い魔法で足止めしているのは二人だけ。

いつの間にか連結剣の攻撃がやみ、

シグナムの姿が見えなくなった

 

「…….…….…何処からくるつもりだ?」

 

ビルやデカイ瓦礫等で隠れる場所には困らない。

目線だけで周囲を警戒している中

……………足が動かない事に気づく。

 

「何だ?」

 

疑問に思い視線を下げると、

両靴が地面に縫い付けかのように、

魔法の紐で見た目はガチガチに拘束してあった。

視たことのない魔法だな。

この世界の拘束系統の魔法か?

だがな!!

 

「無駄なことを!」

 

弛すぎる拘束だ!

こんな拘束、数秒で引きちぎってやるよ!!

脚に力をいれて紐をブチブチと引きちぎっていく中、

離れた位置でなのはとフェイトが声をあげる

 

「させない!レイジングハート!!」

 

「バルデッシュ!お願い!」

 

リングが出現。

ピンクのリングが胴体に、

黄色のリングが太股を締め上げてくる。

 

「グッ!!」

 

三重での拘束で動きを制限するか。

ちったあ頭を使ったな。

苦痛の声をだす俺にドライグが警戒する。

 

『相棒!!上だ!!!』

 

「わかってるよ!!」

 

魔力の流れを肌で感知して顔を上げた先には。

 

「やっぱりお前かっ!!」

 

「紫電………………」

 

剣を大上段に構えたシグナム。刀身に炎が宿る。

くるな。部屋で俺を殺ろとした必殺の一撃が。

 

「一閃ーーーーーー!!!」

 

降り下ろされた刃。

並みの奴ならこの連係攻撃で殺られるだろう。

だが、今回は相手が悪い。

俺は魔力を身体中に循環させて、

 

「ほっと。」

 

すべてのリングを一瞬で引きちぎる。

 

「なにっ!!」

 

シグナムの顔が驚愕の色に染まり、

僅かに剣先と速度が鈍った。

未熟だな!!

俺は右手を内側にねじる。

真剣相手に「払って」「突いて」じゃあ間に合わない。

だから、腕一本で「攻撃」と「防御」を同時に行うんだ!

 

「見せてやるぜ、俺の武術を!!」

 

迫りくる刃。

その刃の内側にねじりきった拳の側面にいれ、

一気にねじり上げ筋肉のパンプと螺旋の力で最小にして

最速の払いを瞬時に行う。

 

「白刃流し!!!」

 

拳が剣を素通し、

シグナムの鎧を破壊。

胸部に深々と突き刺さった。

 

「ガバッ!!!」

 

血を吐きながら、

後方に吹き飛んだシグナムはビルに派手に激突。

衝撃でビルの一部が崩れ、

大小様々な石がシグナムに降りかかった。

 

「あらら、大丈夫かねアイツ?」

 

多少心配になる。

窓から脚だけつき出したまま動かず、

変なオブジェと化したシグナム。

感じた手応えから死んではいないはずだが…………

………………おそらくは。

さて次はと思い振り向く俺に耳に音が聞えた。

風を切り裂く音と、疾風を思わせる音だけが耳に入る。

高速移動系の魔法か?

目にも止まらないスピードで、俺の死角に回ったフェイトが

黄金の鎌を薙ぎ払う。

 

「だから甘いって。」

 

「!!!」

 

黄金の刃を右手で掴みとる。

「制空圏」を展開してあるんだ。

んな、教科書に書いてあるようなやり方じゃあ俺は倒せない。

前を見たまま俺はフェイトに提案する。

 

「もう、やめにしないか?」

 

「えっ?」

 

驚くフェイトに言葉を続る。

 

「だいたいだけどわかった。

この世界の魔導師の「実力」は、

だからこそこれ以上は無駄だと思う。

フェイトも俺の「実力」を理解できただろう。」

 

「それは…………うん。理解できたよ。

私達が陸君よりずっと弱いのは。」

 

フェイトの悔しそう言葉を紡ぐ。

なのはの方を見ると、声が聞こえていたのか。

コクリ、と頷くなのはがいた。

「鎧」のない状態でも圧倒的に劣勢で状況だ。

これで俺が「禁手」をすれば戦いにすらならない。

バリヤジャケットを解いて、フェイトは武装を解除する。

悔し気持ちと悲しい気持ちが、

混じりあった感情しながら上目っがいで聞いてきた。

 

「陸君、私達強くなれるかな?

神器と戦えるぐらい。」

 

「ああ、大丈夫だよフェイト。

自身の「弱さ」を認めることが「強く」なる為の一歩だ。

「強く」なりたいと「思い」があればで強くなれる。」

 

フェイトの不安な気持ちに吹き飛ばせるように、

笑顔をつくり励ます。

 

「だから大丈夫、安心しろよフェイト。」

 

うん!と頷くフェイト

反則的に可愛い笑顔に、思わず髪を撫でしまう俺。

 

「り!陸君!!」

 

「あっ、す、すまない。昔の癖でな。

不愉快だったか?」

 

「ううん、嫌じゃない、嫌じゃないけど……….」

 

顔を赤く染めてうつむき黙るフェイト。

これにて模擬戦は終了だなと思った瞬時、

 

「でも、勝敗とは話が別だよ。」

 

なんてなのはが言い出した。

あれ?と思っていると俺がなのはの方を見ると、

なのはは大空に浮かび杖を構えている。

俺はフェイトを横に逃がしてから質問する。

 

「どういうつもりだなのは?

まだやるつもりなのか模擬戦を。」

 

「にゃははは、冗談が厳しいよ陸君。

私一人じゃあ何をやっても負けちゃうよ。

四人で戦ってもダメなんだから。」

 

「じゃあなんのつもりで、周囲から魔力を集めているんだ?」

 

模擬戦は終わったんだ。

戦闘体勢は解除するもんだろ。

疑問を問う俺に、なのはは少し悩み答える。

 

「う~~~~ん、最後の勝負をするためかな。」

 

「最後の勝負?」

 

「今から放つ私の全力の魔法。

貴方が受けとめきれたら貴方の勝ち。

止められなかったら私の勝ちって勝負。」

 

「?頭が壊れたのか?なんの意味があって、

んな事をしなくちゃならないんだ。

勝負はもう俺の勝ちだろうが。」

 

ヴィータとシグナムは気絶し、

フェイトは武装を解除して敗けを認めたんだ。

誰がどう見ても俺の勝ちだろ。

俺の表情から考えを察したのか、

なのはは肯定する。

 

「うん、そうだね。勝負は陸君の勝ちだよ。

でも確めたいから。」

 

「確めたい?何を?」

 

「自分の力が貴方に通じるのかどうかを。」

 

杖に膨大な魔力が収束されていく。

本気ってことか…………………

 

「ったく、しょうがねぇーな。」

 

右腕に神器、「赤龍帝の籠手」を装着。

女の子のワガママを聞くのも、男のかいしょうだしな。

 

「こいよ。お前の全力、俺が受けとめてやらあ。」

 

「うん、ありがとうね。」

 

魔法陣が造られていき

 

「いくよ陸君。

これが今の私の全力全開!!

スターライト……」

 

完成した。

 

「ブレイカーーーーーーーーーーーー!!!」

 

撃ちだされたピンク色のごんぶと魔力砲撃が、

壁のように迫ってくる。

感じるプレッシャーは思っていた以上だ。

予想以上の魔力だな!!

 

「くっ!!」

 

右手を前にだす。

男を撃ち抜かんとするピンク色の壁に止める。

がーーーー

 

「なにっ!!」

 

止まらない!

右手は徐々に押し込まれ、

足も地面を削りながら後ろに押され初める。

驚いた俺は左手だけを「禁手」させ、両手でおさえこむ。

だが、それでも砲撃は止まらない!!

 

「.……….….……ばかなっ!!!」

 

大爆発が俺は包んだ。

 

 

 

 

 

 




次回は「決着」です。
感想がありましたらガンガンください。
心が折れない程度で、お願いします。
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