最近、仕事が忙しすぎて書く暇がありませんでした。
電車を降りて、改札をくぐれば外は真っ暗だ。
背伸びをして空を見上げれば、宝石をばら蒔いたかのように空一面に輝く星と、欠けることない二つの月。
街灯が等間隔で道を照らす並木道を、俺たちは歩いていく。
「デート、楽しかったですねお兄さん♪」
「ああ、悪くはなかった。」
前に踊り出てたキャロは満面の笑みで語る。
確かにな。
水族館に映画館にウインドショッピングセ。
十歳の女の子と遊ぶ事が「デート」になるかどうかは知らないが、一日でいい気分転換にはなったとは思う。
「えへへへっ」
と、キャロは両手を頬に当てながら笑う。
よほど嬉しらしいな。
踊るように回りながらも笑顔を崩さず歩くキャロは若干不気味だが。
「しかしなキャロ、土産の荷物もう少し少なく出来なかったのか?」
「???」
小鳥のように首を傾げるキャロの眼前に、両手にぶら下がった紙袋をつきだす。
映画館を出た後もキャロは道ある土産店屋に入り、小さな土産を山ほど買って出てきた。
大して重くはないのだが…….….…。
かさばって袋が膨らみ歩き難くて仕方ない。
溜息をつく俺に、キャロは指を突きつけてきた。
「ダメだよお兄さん、お買いものは女の子だけの特権なんですから。」
「…………….そんな特権を聞いたことないぞ俺は。」
「女の子だけが知っているんです。」
えっへんとない胸を張るキャロに、俺は呆れて肩をすくめる。まあ、買い物の付き合いは妹で慣れてはいるから問題はないが。
そんな何でもない会話をしながら、十分ぐらい歩いた頃
だろうか。
遠くに自然の光ではない、人工的な輝きご視界に映る。
「ん、なんだあれ?」
眼を凝らして視てみると。
光は隊舎の二階の蛍光灯のようだ。ついでに歩くなのはの姿も確認できた。
「大変そうだななのは奴。」
口に手を押さえて苦笑してしまう。
両手に山のような書類を抱えて歩いているなのはの姿は、とても魔導師のエースには見えない。
「お兄さんどうかしましたか?なにか見えますか。」
笑う俺にキャロが不思議そうに訊いてきた。
「ああ、山のように積み上がった書類を抱えているなのはが見えるよ。」
「本当ですか?」
キャロは「ん~~」と眼を凝らす。
だが、夜なうえに、目測で距離を測っても五キロ以上はある隊舎が見える筈がない。
「….…………全然見えません。」
キャロはガクッと肩を落とす。
「ははっ、一般人には少し遠すぎる距離だからな。仕方ない。」
「むー」と頬を膨らませるキャロの頭を、苦笑しながら撫でる。
….……………この辺でいいかな。
魔力で周囲を探り誰も確認した後、俺はキャロに訊く。
「なあ、キャロに教えてほしい事があるんだがいいか。」
「ん、何を教えてほしいのお兄さん♪」
キャロは無邪気に振り替える。
こんな彼女に状況で訊くのは若干の罪悪はあるが、知らなければ為らない。
「言いにくい、言いたくないなら言わなくていい。
だけど、もし、俺の事を少しでも信じているなら、教えてくれ。」
一旦言葉を切る。
仲間とは言え、人の事情を知りたい。そう思うってしまう自分に困惑しながら、俺はキャロに訊く。
「どうしてキャロは機動六課にいるんだ。」
「えっ」
キャロの表情が固まる。
まるで、仲間から背中を撃たれたかのような表情。
そんな彼女を無視して俺はさらに訊く。
「子供のキャロが戦う理由はなんなんだ。教えてくれ。」
「……………………。」
キャロはうつむき、俺から目を逸らす。
言いにくいことであるのはなんとなくわかる。
十歳の子が学校にも通わずに、軍隊じみた施設に通って戦闘訓練を受けている。
戦時中ならともかく、平時ではあり得ない。
無言なキャロにダメかと諦めそうになったが、
「フェイトさんが私を助けてくれたからです。」
キャロはうつむきながらもはっきりと答えた 。
「助けた?フェイトが。」
キャロはコクリと頷き。
困惑する俺にキャロは顔上げて説明してくれた。
その内容はだいたいこんな感じ。
キャロは元々は地方のとある部族の村に住んでいた。
しかし、もった生まれた竜召喚が強すぎた為に周囲から疎まれ、恐れられ、村を追放されてしまう。
一人での旅の途中で管理局に拾われたが、フリードのコントロールが上手く出来ないだけで、局でも疎まれた。
「…………….どこにでも有るもをだよな。クソみたいな話はっ。」
ギリッと強く歯軋りする。
こんな小さな女の子にそんな仕打ちをするのかよ!
「でも、フェイトさんが来てくれました。」
顔を輝かせたキャロがいきよいよく顔上げる。
「フェイトさんは私に優しくしてくれました。忙しい仕事の合間を縫って、色々な場所に私を連れて行ってくれました。だから、」
胸元に置いた手を握りしめながら、キャロは宣言する。
「今度は、私が、フェイトさんを助ける。」
真っ直ぐで、揺るがない決意を秘めた瞳。
なるほど、助けてくれたフェイトへの「恩返し」。
それがキャロが戦う理由か。
「…………….心配無用だったな。」
俺は苦笑いしながら、ポツリと呟く。
万が一、管理局がキャロを無理矢理に戦わせているのなら、はやてを説得してキャロを戦前から外すつもりもりだったんだが。
野暮な事を聞いてしまったと、頭を掻く俺にキャロが微笑む。
「お兄さん、私の事心配してくれたんですよね。」
「え、いや、そのな」
「私が、無理矢理戦わせているって思ったんですよね。」
上目遣いでニコニコ顔のキャロから顔を逸らし、頭を掻きながら答える。
「当然だ。俺たちは「仲間」であると同時に「家族」でもあるんだ。家族を心配するのは当たり前だろ。」
キャロが俺の服をギュッと掴む。
「……………………家族なんでしょうか私たち。」
キャロが花が萎れるかのようにうつむく。
触れた肩は細かく震え、眼を伏せた表情から「不安」の感情が読み取れる。心から信じられないのだろう。
「キャロ………………。」
「えっ?ーーーーキャ!」
膝を曲げてかがみこんで、目線の高さをあわせた俺はキャロの柔らかな体を抱きしめた。
強く、強く、優しく、優しく、抱きしめる。
最初は戸惑いに身動ぎしたキャロだが、次第に大人しくなり俺に体を預けてきた。
「大丈夫だ。」
優しく語りかける。
「キャロ。俺たちはもう家族なんだ。俺は家族を絶対に裏切らない。だからなにも不安になることなんてない。」
「お兄さん。 」
耳元で呟く。
村から追放され、「家族」というのがどんな分からないのだろう。俺も同じような「経験」をして、師匠たちから言われた言葉をキャロに伝える。
「一緒の建物に住んで、「守りたい」と思えば、それはもう家族なんだよ。だから、俺たちはもう家族だ。」
「お兄さん……….……グズッ。」
嗚咽をもらし涙ぐむキャロに俺は慌てる。
ヤベェ、変なこと言ったか俺!!
どうしていいか分からず、取り合えずキャロの頭を後ろ髪を優しく撫でていく。
よしよし、と撫でていると「うう~~っ」と嗚咽が漏れ、涙で服が濡れる。
声を圧し殺して泣くキャロを、俺はきがすむまで泣かせた。
「….……………もう大丈夫です。」
五分ほどでキャロが俺から離れてた。
「本当に大丈夫か。人間、泣きたい時は我慢せずに泣いた方がスッキリするぞ。」
「もう、十分に泣きましたよお兄さん。」
ごしごしと、キャロは目元を服の袖で拭う。
「ありがとうございます。心が少しスッキリしました。」
お辞儀をして、キャロは顔をあげる。
まだ。瞳は赤いが、いい表情をしている。
「なら、よかったよ。」
「はい。それで、です、ね……………」
もじもじと体を揺らすキャロ。
どうかしたのかと、顔を近づけて覗きこむ。
と、キャロは素早き俺の首に手を回して、頬に軟らか感触をを押しつける。
なーーーに!!
「キ、キャ、キャロさん」
強張る体を無理矢理に動かすが、キャロはぱっと離れて、両手を後ろに組んで真っ赤な顔ではにかむ。
「お礼です。今日一日の楽しいデートと、本当の「お兄さん」に成ってくれたお礼。」
「お礼ってお前な。」
「あっ、頬っぺたより唇にした方が嬉しかったですか?」
「なっ!!」
俺は頬が熱くなるのを感じる。
動揺する俺を、クスクスと笑うキャロ。
クソッ、子供に遊ばれてどうすんだ!!
「いい加減にしろよ。大人をからかうとどうなるか教えてやろうか?」
拳をポキッポキッと鳴らしてキャロを威嚇する。
「キャーー」とわざとらしいく笑い、キャロが並木道の奥に逃げていく。
「あれなら大丈夫そうだな。」
安心して呟く。
走っていくキャロの背を追いかけるようと歩きだそうとした。その瞬間ーーーー
「いい趣味してるんてすね陸君って。 」
聴こえてはならない声がした。
空耳かも知れないと無視ししていると。
「言葉巧みに十歳のキャロに操ってキスさせるなんて、サイテーです。見損ないました。」
絶対零度のような冷めた声。
操ってねーよ!と反論したいが、悪寒で額から脂汗がぶわっと噴き出して、舌がうまく動かない。まさか、キスを観られていたとは。
「……………..………。」
「どうしたんですか陸君?声は聞こえていますよね。私はこちらですよ。」
優しい声で「振り返れ」と促してきた。
と、いうか、優しい方が逆に怖い。
ギギギギッと壊れたロボットのようにぎこちなく振り返った先には。
「ヒッ!」
情けなく悲鳴を上げてしまう。
モニターに映るフェイトの顔は一見笑顔。
だが、内面は怒りに満ちているのがわかっる。
口角はひくひくとひきつっているし、額には青筋が漫画のように浮かび上がっている。
なにより「目」が笑っていない!!
「陸君」
地獄の底から響いてくるような声。
フェイトは手錠のような物とバルデッシュを手にもち。
「今からそちらに向かいます。少しだけ待っていてくださいね♪」
「い、いや、それには及ばねーよ。もう少しでつくし、隊舎で待っていてくれればーーー」
「待っていてく・だ・た・い。いいですよね。」
「.….………………はい。」
頷く俺に納得したのか、モニターが消えると。
俺は頭抱えて座りこむ。
「なんなんだよ。今日は一体。」
朝は覗きでティアナに撃たれ、夜はキャロのイタズラでフェイトの説教。
どうしてこうなるんだ、厄日かと溜息をついた。
「お兄さーーん!!何してるんですかーー。」
呼ばれて顔をあげた。
そこには、太陽より眩しいんじゃないと思わせるほどの満面の笑みを浮かべ、ぶんぶんと元気よく手を振るキャロが立っている。
「…….….………ま、よしとするか。」
今日一日、悪い事もあったが、良いことあった。
プラマイゼロだよな。
そう自分を納得させて、フェイトが到着するのを待った。
次は「日常」です。
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ただし、作者の心は豆腐メンタルです。
誹謗中傷は勘弁してください。本当に勘弁してください。大事なので、二回言いました。