「それでねフェイトちゃんーーー」
「もー、なのはったらいくらなんでもーーー」
楽しそうな声。
俺は視線だけを動かし左右を見ると。
右側には終始笑顔で話すなのは。
左側にはやや困顔をしているフェイトがいる。
途切れることなく会話する二人。
本当に仲が良いんだろうな。
この二人友達というか、家族に近い雰囲気を感じるし。
だがそれ故にーーーー。
(いずれーーーーーー!!)
心の中で叫ぶ!
全然、会話に入れない!!
何を言ってるのかわからないし!!
例えをいうなら、修学旅行のグループ作り。
みんな仲良しグループを作っいくなか、ボッチが男子をあまり。
先生が無理矢理捩じ込んで組ませる時の感覚だ。
そんな事をしても誰も幸せになれないのに!
いや、これだけならまだいい。
俺が耐えれば済む話しな。
問題はーーー
「エリオとキャロ、大丈夫かな。」
「心配しすぎだよフェイトちゃん。ティアナやスバルも一緒なんだよ。」
「なのはは少し厳しいんだよ。」
「そうかな?」
???と疑問符を浮かべるなのは。
そのなのはがいきなりこちらを向き笑顔で、
「陸君はどうかな、私って厳しいかな?」
なんてキラーパスを渡してくる。
いやいやいや、知らんがな!!
子供と知り合いがいず、大した接触がない俺がそんな事わかるか!
エリオとキャロって誰だよ!!!
う~んと悩む俺に、横からフェイトが、
「陸君からもなのはに言って。厳しいって。」
むーっと少し不機嫌そうにいう。
どう答えても波がたつ状況。
何とか二人を立たせる答えをだすべく俺は問う。
心の中に存在しているドラゴンに。
(どうしたらいいと思いますかドライグ先生!!)
『………………知らん。』
(デスヨネーーー!!)
バッサリと冷たく言いきられ、慟哭する。
ここは明らかに俺が居ていい場所ではない。
選択を選べず、一時間ほど悩みたいが時間は待ってはくれない。
「「どっち?」」
真剣な表情で迫ってくるなのはとフェイト。
逃げ出したい衝動を必死で堪える。
なんで、どうして、こんな状況になってしまったんだ?
途方にくれながら、あの時の事を思い出す。
あの時は現れた彼女(なのは)。
ビリビリと空気が震え、互いに下手に動けば即攻撃。
一触即発の空気が漂う中。
フェイトが声を張り上げ、俺と彼女を止めた。
すぐに赤髪でハンマーを手にした少女も降りてきた。
自己紹介を済ませた俺達に、警戒する二人にフェイトは話し出す。
この場でなにがあったのか。
僅か三分間におきたその全てを。
その後勘違いと気づいた彼女達から謝罪を受けた俺。
結果、彼女達と一緒に機動六課に行くことになった。
ここまでならいい筈だ!
問題ない!問題はこれからだ!!
回想開始ーーー
「ごめんなさい。私の車はーーー」
「いや、言わなくていい。見れば分かるから。」
「うん。」
頭を下げて謝るフェイト。
俺達四人の前にあるフェイトの車。
黒くてシャープなデザインのカッコいいスポーツカー。
スポーツカーである。
つまり乗れる人数も制限される。
まあ、簡単に言うと二人乗りだ。
ここにいるのは、俺になのは、フェイト、シグナム、ヴィータの四人。
さあ、誰が乗っていくかという問題で。
「やっぱ陸が乗ればいいんじゃね―か?
はやても待ってると思うし。一応、保護対象なんだからさ。」
と赤髪の少女ヴィータが言う。
妥当ちゃあ妥当な意見だな。おもしろくはないが。
「そうだな、なら運転者はどうする?」
言いながらシグナムがみんなを見ていく。
「私とフェイトちゃん、シグナムさんの三人だよね。」
う~んと悩むなのは。
ハイハイ、俺も免許もってるよ!!
この世界で通用するかはわからんが。
「……………ねぇ、陸君は誰といきたいかな?」
なんて聞いてくるフェイト。
えっ?なんで俺に聞くの?
そっちで勝手に決めてくれていいのに。
「それもそうだな。で陸、誰と一緒に行きてーんだ決めろ!」
「主はやてを待たせている。早い決断を。」
「にゃはは。陸君、適当でいいから選んで。」
「お願い陸君。」
ヴィータ、シグナム、なのは、フェイト。
全員の視線が俺に突き刺さる。
あーーーー、実際のところ誰でもいいんだが。
勝手に選択肢を決めつけられるのはきにくわない。
だから、聞いてみる。
「なあフェイト、」
「?なにかな陸君。」
「機動六課まで歩いてどれぐらいかかる?」
「歩いて?えっと、三十分ぐらいだと思うけど…………。」
なんでそんな事を聞くのかがわからず、困惑するフェイト。
三十分か、意外と近いな。
二時間も三時間もかかる距離なら考えたが、
この程度ならいいか。
俺は選択肢を決め、みんなを見渡す。
「俺は歩いて行くよ。
歩いていける距離なら、この世界を見ながらいきたいし。
だから、違う奴が先に行ってくれ。」
そう言う。
「「「「えっ??」」」」
間抜けな声をだす四人。
えっ?なにかおかしいこと言ったか俺?
「えっとね、陸君。
確かにここからなら歩いて三十分ほどだけど…………」
一番早く回復したフェイトが答え。
なのはが聞いてくる。
「陸君で、車行こう。早くはやてに報告しないといけないの。
ね、だからワガママ言わないで車で行こ?」
微笑み手を差し出してくるなのは。
フェイト達も揃って頷いている。
おいおい、人を子供みたいに扱うな!
そんな可哀想な子を見る眼で俺をみんな!!
流石の俺でもキレるよ。
「今更三十分ぐらい構わんだろ?
なんならなのは達だけ先に行ってで報告すればいいだろ。
俺は後からいくから。」
手を掴まず、歩きだす。
しかし、
「ダメだよ!!一人でなんて危ないよ!!」
服の袖をひっぱられて、停止する。
グイグイひっぱるなのは。
あのさ、脱げちゃうからひっぱるの止めてくれる。マジで。
俺の事を按じてくれるのは嬉しいだが、少々過保護ではないかね?
どうしたもんかと悩んでいると、
「…………...うん。私、陸君と一緒に行くよ。」
フェイトが手をかるく上げて主張する。
みんな驚くが、俺が一番驚いた。
「フェイトちゃん!」
「なのは、一度言い出したら聞かないよ陸君は。」
「………………………そうだね。」
ため息を洩らすなのは。
なのははシグナムとヴィータと向き合い。
「ごめんね。私とフェイトちゃんが陸君についていくから、
シグナムさんとヴィータちゃんははやてちゃんに報告してあげて。」
「了解した。」
「わーったよ。」
返事をした二人は車に乗り込む。
低重音が唸り、エンジンがかかり、走り出す。
へー、結構速度出るんだなあの車。
流石スポーツカーと関心して、頷きながら振り返る。
「俺達も行くか。あんまり遅くなっても悪いし。」
「そうだね。私もはやてちゃんに怒られたくないしね。」
「陸君行こう。」
機動六課の隊舍に続く道を歩くだす三人。
俺が先頭を歩き。
なのは、フェイトが後ろを歩く。
始めて訪れた魔法世界ーーー
どんな世界か期待に胸を膨らますーーー
わけではないが、興味は多少ある。
周囲に視線を向ける。
(ーーにしても、あんまり魔法世界って感覚しないよなドライグ。)
『ああ、確かにな。元いた世界と大きな差はない感じを受けるな。』
(だろう。)
俺の感想に相づちをするドライグ。
道の両側には穏やかな海(?)。
人口の木々が等間隔で植えられた並木通り。
鳥が気持ち良さそうに飛び交っている。
リゾート地と間違えそうなほど美しい景色だ。
グーッと背を伸ばす。
「久々だな。こんなゆったりしたのは。」
さざ波と鳥の声をBGM替わりに。
ゆっくりと歩いていると、
「陸君少しいいかな?」
小さな声でなのはに呼ばれる。
なんだ~~と振り返ると。
「ごめんなさい!!」
いきなり頭を下げて謝るなのは。
ビックリする俺。
えっ?えっ?ごめんなさい?
俺、なのはに謝られるようなことされたっけ?
チラリとフェイトを見る。
フェイトもわからないのか、首を振るだけだ。
なら、聞くしかないな。
「あのさ、なにが「ごめん」なんだ。
俺には思い当たる節がないんだが。」
「私の勘違いで、陸君にいきなり攻撃しちゃって。」
「ああ、あれね。」
逃げようとしていた時に撃たれた魔力弾。
あれが万が一あたっていたら、戦闘になっていたかもしれない。
その事をなのはは後悔しているのだろう。
あんな些細な事、気にしなくていいのに。
ポンとなのはの髪に手を置く。
「気にすんな。親友が誘拐されそうになっていたんだ。
誰だって、冷静ではいられない。」
「でもーーー」
反論しようとするなのは。
いや、そんな事はさせない!!
なのはの髪を乱暴に撫でまくる!!
「ちょ、ちょっと陸君!」
離れるなのはに俺は指をさす。
「反論、異論、異議は認めない。
いいんだよ。別に気にしなくても。
みんな怪我なく無事で、仲良くなれたんだからさ。」
笑いかける。
すると、
「………………ありがとう。」
やさしく微笑みむなのは。
うむ。女の子は笑っていたほうが魅力的だな。
可愛さも三割増しになるし!!
「でも、もうひとつ。言いたいの事があるの。ね、フェイトちゃん♪」
「うんなのは。」
フェイトとなのはが俺の手を両手で握る。
フェイトが右手、なのはが左手と具合にだ。
一体なにがしたいのか、困惑する俺に二人は。
「ありがとう陸君。フェイトちゃんを助けてくれて、本当にありがとうね。」
「陸君が助けてくれなかったら私は死んでいた。
ありがとう。私を守ってくれて。」
感謝の言葉を口にする。
天使のようなまぶしい笑顔。
実際に天使を見たことのある俺が言うのだから間違いない!
嘘、偽りのない、素直な言葉が嬉しく。
頬が熱くなるのを感じ、二人に背を向けて歩きだす。
「お、俺は当然の事をしたまでだ。礼を言われる謂れはない!
それよりもいくぞ。はやてが待っているんだろう?」
早口になってしまった。ハズッ!!
クスッと二人の笑い声が聞こえ。
小走りで俺に追いつく、なのはとフェイト。
俺は顔を見られないように、上を向く。
「にゃはは、どうしたの陸君?照れてるの?顔が赤いよ。」
「クスクスッ、陸君もまだまだ子供のなんだね。カワイイ。」
なんなんだこのユニゾン攻撃は!
某アニメのシンジとアスカより息が合ってるぞ!
さりげない仕草も可愛いし。
俺と同じ人間なのか疑いたくなるレベルだよ。
無言で歩く俺とハシャグ女の子。
こんな感じで歩いて行った。
回想終了ーーー
時は戻る。
って全部俺のせいかーーーーー!!!
俺が子供みたいな態度をとるから、からかわれているのかーーー!!
自身の軽率な行動を悔しい。
頭を抱える俺に、迫りくる女の子。
「陸君、いい加減答えもらっていいかな?」
「なのはと私、どっちの意見に賛成してくれるの。」
冷や汗が流れる。
バレないように視線を周囲に向ける。
なにか、なにかないか!!
二人の気を逸らせそうな物はないか!!
海、木、鳥駄目だ。もっとなにかない…….…………あっ!!
「なあ、あれだろ機動六課って!!」
道の先にある建物を指さす。
そこにあるのは白い建物が建っていた。
「ほらほら行こうぜ!」
二人の隙間を抜けて駆け出す。
「逸らされた。」
「優柔不断。」
なんて声が聞こえたが無視。
機動六課の隊舍に到着。
にしてもデカイ敷地だな。四方なんキロぐらいあんだろ?
だが、これはーーーダメだろ。
四方を海で覆われた場所では、すぐに逃げられない。
移動にも時間がかかるし、大人数を一気に待避も難しい。
攻めこまれない自信の現れか?
違う奴がなら相当の馬鹿だ。この場所に決めた奴は。
「どうかな?私達自慢の機動六課は。」
後ろから感想を問いかけてくるなのは。
どうかなって言われてもな。
「いや、これは、ウーン?」
「??どうかしたかな陸君?」
どうやって伝えればいいか。
額に手をあてる俺を、不思議そうに首をかしげて覗きこんでくるなのは。
すると、自然に胸が強調される格好になる。
「!??!」
デカイ!!
制服越しでも判る大きさ。
フェイトには負けるが、美しいバストだ!
それともバスツと呼んだほうがいいか?
下がりそうになる視線を右にずらすと、
「陸?気分でも悪いのかな。
先に医務室にいく?」
至近距離にあるフェイトの顔。
心配そうに俺を見てくる。
近い近い!距離が近すぎる!!
二十センチもないお互いにの間。
のけ反りそうになるが、踏ん張りなんとは堪える。
「!い、いや、大丈夫だ。問題ない」
「そう。でも気分が悪くなったら何時でもいってね。」
頷く俺に、微笑むフェイト。
十分前とは違い過ぎる対応に動揺を覚える。
変わり過ぎだろアンタ!二重人格かよ!
それとも女の子はみんなこうなのかと思っちゃうよ!
「それで、どうかな?」
改めて感想を聞きにくる彼女に、
「なかなか立派なもんだと思うぞ。」
極めて冷静に返す。
二重の意味を込めてはいるが。
笑顔になるなのはとフェイトに安堵する。
まだまだ子供だな。まあ、それに救われたんだが。
改めて目の前を見る。
白い建物建ち並んでいるが、ビルのような高層風ではない。
見た感じは大学に近いイメージを受ける。
俺がいた世界よりも進んだ科学力があるのだから、
もっと未来的な建物なものを想像していたんだがな。
欠点はまた今後伝えてればいいだろう。
視線を隣に戻すと、
「にゃはは、ありがとう陸君。次は中を案内するね。」
「なのは、はやてのところにも案内しなきゃだめだよ。」
「わかってるよフェイトちゃん。」
絶体領域を造り上げている百合ども
だがら二人だけの世界を造るなよ!
マジで居づらいだろうが!
手を繋いで建物の中を入っていくなのはとフェイト。
俺はそんな二人の邪魔にならず。
気にならないギリギリのラインでついていこう。
心に決心を固め、歩きだす。
が、何を思ったのか、なのはとフェイトが戻って来る。
「何してるの陸君?ほら、早く行こう!」
「私達、しっかり案内するね♪」
ガシッと俺の両手が握られる。
なのはは右手を、フェイトは左手といった具合で。
「おい、いきなり何ーーー」
「いいから、行こう♪」
説明を聞くより早く走り出す二人。
俺も引きずられないよいに走り出す。
なのはとフェイトが玄関を越えて、俺の体も越えた。
その瞬間ーーーー
「「ようこそ!!機動六課へ!!!」」
二人は振り向き、同時に歓迎してくれた。
次は、『神器』です。
遅くなるとは思いますが、なるべく早く更新します。
感想がありましたら、ガンガンください!
心が折れない程度で。