魔法少女リリカルなのは ~現れた赤龍帝~   作:断崖

6 / 23
お待たせしました。
更新です。



思考と注意

ガラガラと窓ガラスを開ける。

涼しい風が頬を撫でて気持ちがいい。

太陽は地平線に沈み。

昼間は騒がしかった鳥は姿は見えない。

近くに建物がないのか、外は一面真っ暗やみだ。

昼間は美しかった海も、夜には不気味な塊にしか見えない。

逆に天上は輝いている。

 

「いい夜だな。星に手が届きそうだ。」

 

俺は空を見上げて腕を伸ばす。

目に飛び込んでくるのは輝かしい星空と二つの月。

この世界は空気が清んでいるのか、多くの星と月が綺麗に見える。

もといた世界では考えられない光景だ。

椅子に背を預け、

優雅に水を飲んでいるとドライグが話しかけてくる。

 

『…….…相棒、いいのか?もといた世界に戻らなくて。』

 

(いいよ別に。俺がいても大して変わらんだろ。

仲間は俺がいなくてもやっていけるだけの能力はあるはずだ。

そもそも、)

 

溜めをつくり、言う。

 

(無いんだろ俺が住んでいた地球は。)

 

(……………………)

 

押し黙るドライグに、気にするなと言葉をかける。

後にはやてが調べた結果、俺がいた星は存在しなかった。

いや、正確にいえば俺が住んでいた街は何処にもなく。

どうやら俺は、次元移動をしたのではなく。

「平行世界」の地球から来てしまったのだらしい。

 

(「神器」の存在を知らない時点で、

この程度の自体は覚悟はしていた事だ。問題はない。)

 

しかし、なのは達には想定外自体だったらしい。

時空管理局も平行世界にアクセスする方法は確立されていない。

だから帰る手段は存在しない。

故に俺は断言する。

 

(フェイトに誘われた通り、俺は機動六課に入る事にした。

ホームレスになりたくないし!!ここに居れば衣食住で困る事はないし。

給料でお金も貰える。至れり尽くせりじゃん。)

 

『………………相棒がいいならいいが。相手の思惑は違うと思うぞ。』

 

(いいんだよ、とりあえず今は。)

 

飲み終えたカップをテーブルに置く。

この部屋(食堂)に来てから一時間が経過した。

なのは達はいまだ部隊長室で話し合っているんだろうか?

与えた神器の情報によほど興味があったらしく、

聞いてから永遠に、あーだこーだと意見を言い合っているだろう。

退屈で欠伸をした俺にドライグが聞いてくる。

 

『だがいいのか?神器の情報を与えてしまって。』

 

(大丈夫だろ。与えた情報はあくまで、通常の「能力」だけだ。

「禁手」の能力までは、今のところは教えるつもりはない。)

 

当然だ。

俺はそこまで間抜けではない。

簡単にすべての情報を与えるきなんてサラサラない。

なのは、フェイト、はやてがいい人なのは理解できた。

説明の最中に脈拍、呼吸が乱れはなかから、嘘はついてはいない。。

まあだからといって、

「管理局」の組織そのものを信じたわけではない。

 

(信じられるかどうかは、これから少しずつ調べていくつもりだ。

何かあったら頼むぜ相棒。)

 

(当然だ。相棒とは一心同体だからな!!)

 

ドライグの力強い言葉に安心する。

答えに納得したのか沈黙するドライグ。

この話しはここまでらしい。

ふうーと深呼吸してから、改めて部屋を見る。

 

(デカイ食堂だよな。三十人ぐらいはいけるか?)

 

そこそこの広さのある食堂だ。

テーブルもたくさんあるし、外にはカフェテラスまである。

昼間は多くの人で賑わうことだろう。

 

(いいタイミングで来てくれたよなあの子。

運が良かったよ。)

 

定時連絡に来た女の子の局員。

いい加減、話し合いにも飽きてきていた俺は、

乗るしかない!このビックウェーブに!!

ーって感じで、すかさず手を上げて挙手。

トイレに行きたい事をなのは達に伝え、部屋から無事脱出。

女性局員にトイレまで連れていってもらい。

帰りは来た道を戻るだけだからと、やんわりと断った。

尿意を済ませ、手を洗い。

さてと何処で暇を潰そうかとフラフラと歩いていたら食堂にたどり着いた。

テーブルをトントンとたたきながら思う。

 

(にしても無用心だよなあいつら、俺を一人にするなんて。

スパイで逃げ出さないとも限らないっていうのに。)

 

『相棒がそれだけ信用されているのだろう。』

 

ドライグがアホな事を言いだした!!

出会って数時間で信頼するも糞もないだろう。

らしくないドライグの台詞に失笑で返してやりたいが、否定できない。

能天気そうな、なのは達の顔が脳裏に浮かぶ。

 

(………………あいつらならあり得るか? )

 

未だに誰かが探しにくる気配もないしな。

苦笑しながら、俺は気になっている事をドライグに聞く。

 

(ーでドライグはどう思うだ?)

 

『唐突になにを言うんだ相棒?なにがどう思うんだ?』

 

(とぼけるな、決まっているだろ。

事件に神器が関わっているかどうかって話しだよ。)

 

『その話しか。』

 

はやて達の説明で、

この世界でなにが起こっているのかは把握した。

魔法世界で禁止されている「質量兵器」による局員の殺害。

同時に『次元漂流者』の誘拐が何百件も発生している。

普通ならあり得ない事件数とのことだ。

ならーーーーーー。

俺の問にドライグが答える。

 

『結論を言えば、間違いなく「神器」が関わっている。

それも、『神滅具』がな。」

 

(ドライグもそう思うか。)

 

『ああ、偶然か必然かはわからないが、

相棒だけが召喚されたとは思い難い。おそらくはーーーあの白い龍も。』

 

やっぱりかーーー。

薄々わかってはいたことを、

ドライグに言われ改めて実感した。

 

(やっぱ彼奴(アイツラ)かな?)

 

『当然だな。相棒も気づいているのだろう。

連中の共通の殺し方は。』

 

(まーね、知らない仲じゃないし。

嫌ってほど見せられたし。)

 

ドライグの答えに、俺も頷き同意する。

はやて達に見せてもらった映像。

映像には、ここ数年で殺害された人達が写っていた。

剣で串刺しにされて絶命している人間。

頭が無くなっている人間。

胸をくり貫かれている人間。

体中に裂傷がある人間と殺害方法は多種多様だ。

一見、共通点が無さそうに見えるが、一つだけ共通点がある。

俺はその言葉を口にする。

 

(全員が魔法ではなく『武器』。

神器で殺されている事だろ。)

 

『そうだ。連中は神器でしか人を殺さない。』

 

(しかもご丁寧に誰が殺したのかわかるように殺(や)るからな。

性格が悪いよ。)

 

独特の殺し方だ。

知っている奴等の犯行だ。

剣で串刺しに殺したのはルイオス・サーガ 。

所持している神器は、

一定時間持ち主の力を倍にする『龍の手』。(トゥワイス・クリティカル)

「禁手」は亜種の『阿修羅と魔龍の宴』(カオスエッジ・アスラ・レヴイツジ)

四本の腕生えて力を四倍にする神器

何度か戦い、逃げられた男だ。

体に無数の裂傷での犯人は、

『ジーネ』と呼ばな女性。本名は知らない。

所持している神器は、どんな属性の聖剣でも造れる

『聖剣創製』。(ブレード・ブラックスミス)

「禁手」は『聖輝の騎士団』(ブレード・ナイトマス)

聖剣を手にした無数の甲冑を使役する神器。

俺はため息をこぼしながら椅子にもたれかかり、呟く。

 

(もしも彼奴全員が神滅具、

神器を所持していたら厄介なことこの上ないぞ。

胸に風穴空けた奴は特にな。)

 

『確かに、他の奴も大した腕だが。

それでも、その技をやった人物は並の腕ではあるまい。』

 

「だろう。ホント嫌になるぜ。」

 

殺害された人の中には胸をくり貫かれて死んでいる映像。

綺麗に三十センチほど、穴が空いていた。

フェイトは貫通力があるライフルかなにかで、

殺害されたと言ってたが。

俺はフェイトの考えを否定する。

 

(あの殺され方は違う。全然違うぞフェイト。

銃であんな風には死なない。

あんな風に殺されることはないんだ。

あれは『槍』でくり貫かれたのだ。綺麗にな。)

 

常識ではありえないが現象。

魔法では無理だが、武術の達人なら可能だ。

傷口からAランクの達人級だとわかる。

俺もAランクだから技量的には互角の筈だが、

なのは達では勝つのは困難だろう。

腕を組合わせ、どうしたもんかと悩んでいると。

微かな気配に気づく。

外に誰かがいる。

 

『相棒気づいているか。』

 

(ああ、誰か外にいるな?

こんな時間帯に一人で何をしているんだ?。)

 

壁にかけてある時計で確認すると、午後九時だ。

いうほど遅い時間ではないが、何か気になる。

俺に「虫のしらせ」のスキルはないんだがな。

 

(敵ではないとは思うが、一応確かめてみるか。)

 

『それがいい。』

 

俺は呼吸を整え、意識を集中。

探査領域を二十メートルぐらいまで広げる。

光が走る。

 

(………………いた。)

 

すぐそばだ。

草と木で囲まれた小さな広場場にいる。

 

『見つけたのか相棒。』

 

(ああ、近くに他には足音と気配、

魔力の反応は見当たらない一人だ。)

 

椅子から立ち上がり歩きだす。

力量からして敵とは思いずらい。

が、油断してはいけない。

 

(弱い振りをしつつターゲットに近づき殺す。

アサシンの常套手段だ。)

 

俺は、一応気配を消して、足音も極力無くす。

静かにカフェテラスから外。

相手の位置は掴んでいる。

隠れながら歩き近づくと。

 

(あの娘だな。)

 

木々の囲まれた女の子を発見した。

声を潜め呟く。

 

(練習中か?随分と疲れているようだが?)

 

オレンジ色の髪を短いツインテールにした女の子。

年齢は15~6ほどだろうか?

強気な瞳が印象的だ。

女の子は疲労困憊な顔で練習している。

周囲には点滅する球体が展開され、

光るところに手にしている小型の銃を向ける。

その動きを何度も繰り返している。

 

(随分と熱心にやっているようだが…………。

あれでは駄目だ。逆効果だよ。)

 

師匠、もしくは指導官もいなでやる戦闘練習。

自主練と言えば聞こえはいいが、あまりよくはない。

悪い癖がつくかもしれないし。

癖を無くすのは一苦労だ。

疲れてすぎるのもよろしくない。

疲れているのを無理してやっても大して身につくことはないからだ。

体を壊しては本末転倒だ。

だからこそ、体を休め癒すのも練習のうちなんだ。

木の影で悩む。

 

(どうしたもんか。注意すべきか?

でもな~~、突然現れた見知らぬ男が注意していいもんか?)

 

無理だな~~と自覚する。

男性なら「余計なお世話だ!」の怒り一言。

女性なら警戒して逃げ出すのが目に見えている。

人間は自分が間違っていること認めたく生物だ。

間違っていること認めてしまえば、今までの全てが否定されてしまうから。

どうすればいいのか悩み。

背を向ける。

 

(お節介はやめとくか。

こういうことは、自分で体験してみないとわからないこともあるしな。)

 

自分の体験を思いだしながら、食堂に帰ろとした。

その瞬間ーーーー

 

「キャッ!!」

 

女の子が悲鳴をあげる。

振り返るとバランスを崩し、倒れこむ女の子の姿。

地面を見てチッと舌打ち。

走り、倒れるより早く女の子を抱え込む。

ふーーっと、安堵しながら話しかける。

 

「大丈夫か?怪我はないか?」

 

「あ、はい。ありがとうございます。」

 

女の子を立たせる。

驚く女の子だが、ハッと気づきいて俺から距離をとった。

 

「貴方は誰ですか?」

 

銃口を俺に向けて警戒する。

予想通りの反応にかるく傷つくぜ。

傷心の俺に、女の子が命令口調で問いかけてくる。

 

「もう一度聞きます。

貴方は何者ですか。ここの局員ではありませんよね。」

 

「そうだな、局員ではないな。民間人だし。」

 

俺の言葉に、緊張感をます女の子。

銃口にオレンジ色の魔力が集中していき、

引き金を引く指に力がこもるのがわかる。

下手な事をすれば、即座に俺を撃つきマンマンだ。

だが、俺はそんな事に付き合う義理はない。

背を向けて歩きだす。

 

「じゃあな、俺はもう行くから邪魔したな。」

 

「ちょっと!止まりない!!止まらないと撃つわよ!!」

 

「またな~~~~。」

 

手を振って返す。

魔力は高まるが、撃ってくる気配はない。

なのはに聞いたが、局員は許可なく魔法を使用できない。

 

「~~~~~~~~~~!!」

 

悔しそうに声を背に受け、歩き去る俺。

先程の練習で思った事だけでも伝えようと立ち止まる。

顔だけ怒鳴る女の子に向けて忠告する。

 

「意味がないから止めたほうがいいぞ。」

 

「??なにがよ。」

 

わからないって顔をする女の子。

あれ?上手く伝わらなかったか。

なら、ハッキリ言っておくか。

本人もそのほうがいいと思うし。

足を止めて半身で女の子に、指差し宣言した。

 

「君がやっていた練習だよ。

今の君がやっても意味なんてない。

何を焦っているかは知らないが、自棄になって練習しても身につかないし。」

 

「!!!」

 

驚く女の子。自覚があったのは救いだな。

だから、少しだけおしえてやる。

 

「何をするべきなのかを考えろ。

闇雲に練習したって駄目なんだからさ。

身につかないのに、ただ反復練習するのに時間だけかけて、

身につけた「つもり」になるのは戦闘では危険なことだ。」

 

「……..………………」

 

沈黙する女の子。

銃口が震えているのは動揺しているからだろう。

言いたいことは言った。

もう用はないーーー、いや、あとひとつあったな。

俺は女の子の足場を指さす。

 

「練習する場所の安全ぐらいは確認しておいたほうがいいぞ。

怪我したら危ないからな。」

 

「えっーーーー。」

 

指さしたところには石があった。

鋭利に尖った部分が上を向いている。

あのまま女の子が倒れたら、臀部に突き刺さっただろう。

ゾッとしている女の子。

忠告はした。

 

「また会おう。気の強いよいお嬢さん。」

 

今度こそ、今度こそ、

三度目の正直で立ち去ろとする俺の前に。

 

「ハアッ、ハアッ…ようやく見つけました~~~~。」

 

空に浮いた、妖精サイズの女の子が遮る。

トイレに案内してくれた娘だ。

随分急いでいるのか、可哀想なぐらい息切れしている。

 

「大丈夫か?えっと、妖精さん?水持ってこようか?」

 

キッと顔を上げる妖精。

 

「リィンは妖精じゃないです。

れっきとしたユニゾンデバイスなのです!!」

 

怒りだす妖精(リィン)。

ユニゾンデバイスという物が何かはわからないが、

これほど怒っているのだから余程大切な事なのだろう。

 

「悪いな。気を悪くしたなら謝罪する。」

 

頭を下げて、

 

「すまない。許してくれ。」

 

と、しっかりと謝罪する。

自分が悪い時は素直に謝罪する。

師匠の言葉だ。

躊躇いなく頭を下げる俺に、リィンが笑う。

 

「礼儀正しいんですね。」

 

「….……………よく言われる」

 

「顔を上げてください。」

 

言われた通りに顔を上げると、

ニコリと微笑むリィン。

 

「はじめまして陸さん。

私はリィンフォースⅡです。リィンって呼んでください。

宜しくです。」

 

「藤田陸だ。こちらこそ宜しく頼む。」

 

握手、というかリィンが俺の指を掴むだけだが。

 

「あ、はやてちゃんに連絡しないとです。」

 

ピピッと電子音が鳴り、

空中にディスプレイが展開された。

映し出されたとはやて。

俺の姿をみて安心したのか、安堵の息を洩らしている。

 

「あんま心配させんといて陸、寿命がちぢまるわ。」

 

「悪い悪い。ちょっと道に迷ってしまってな。

この娘に道を聞くところだったよ。」

 

女の子には話しを合わせてもらえばいい。

かるい考えで後ろに振り返る。

が、そこにはなにもない。

樹木があるだけだ。

はやてが優しい声で言う。

 

「あれ?」

 

「.………………陸には妖精さんでも見えるんか?

堪忍してな陸、私には妖精さんは見えんのよ。」

 

「『痛い人』を見る眼差しで俺をみるな!!

居たんだよ!ついさっきまで、オレンジ色の髪をした女の子が!!」

 

「オレンジ色の髪をした女の子?」

 

思案顔をするはやて。

どうやら心当たりがあるのらしい。

そんなはやてに俺は話しかける。

 

「そんで、長いの話し合いは終わったのかはやて?」

 

「うん。そんで、陸にしてほしいことがあるんよ。」

 

「してほしいこと?」

 

なんだろ?

神器なら見せたし、神滅具も確認させた。

『神眼』も『覇龍』のこともはバレてはいないはずだ。

これ以上なにをやれって言うんだ?

悩む俺に、はやてがハッキリと言いきる。

 

「明日、なのはちゃん達と模擬戦してな♪」

 

「はいいいいっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次は「一日の終わり」です。
感想がありましたら、ください。
心が折れない程度で。
心が小枝より脆い作者故に。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。