ストックがあと数話あるので、調整をしたら更新していきます。
「明日、なのはちゃん達と模擬戦してな♪」
「はいいいいっ?」
笑顔で宣言するはやてに、空いた口が塞がらない俺。
なにもいきなり、はおっしゃいましたか。
俺は頭に手を当てる。
「ええっと、すまないはやて。
どうやら耳の調子が悪いらしい、幻聴が聞こえた。
もう一度言ってくれないか?」
「ちなみに模擬戦のメンバーは、
なのはちゃん、フェイトちゃん、シグナムにヴィータの四人。
機動六課の最高戦力や。相手にとって不足はないやろ?」
「いやいやいやいや!聞けよ俺の話しを!!
誰もメンバーとか、不足とか、そんな事聞いてないから!!」
この女も人の話を聞かないタイプの人間かよ!
喋り続けるはやてに、俺はリィンにお願いする。
「リィンからも言ってやってくれ。
危ないから止めようぜって。」
「了解です陸さん。リィンにまかせてください。」
リィンははやての側に飛び。
「ダメダメですよはやてちゃん。
いくら陸さんが強くても、なのはさん達四人となんて危なすぎます。」
リィンは俺を心配してくれるのか!!
俺が言いたかったことはそうではないんだが…………いいか。
ちょっと感動したし。
これまで仲間に心配された事なんてなかった。
涙目になる俺に、リィンが不思議ように首をかしげる。
「どうしたんですか陸さん。目にゴミでも入りましたか?」
「いや、リィンは優しいなって感動しているところ。」
リィンの小さな頭を丁寧に撫る。
照れているのか顔を赤く染めていくリィンが可愛すぎる!
頭を撫でながらは、俺とはやてと向き合う。
「にしてもだ、なんでまた模擬戦なんだ?
意味がないだろはやて。戦闘映像を見たんだろ?」
「うん。見させてもらったよ。
陸がとんでもなく強いこともわかっているよ。」
「いいやわかっていない。
俺はお前達が想像しているよりもずっと強いぞ。
四対一だろうがなんだろうが、なのは達四人『程度』では勝負にすらならん。」
「嘘やな。だって陸はなのはちゃん達が戦っているのを
見たことないやろ。それで、勝てるって言うても説得力がない。
いくら、陸が神滅具を持っていても、
私達にも『魔法』がある。」
一歩も退かないはやて。
にらみ合い、俺とはやての間に火花が散る。
「そうです。なのはさん達は負けません。」
リィンまで強気な事を言う。
まあ、確かに事実だ。
なのは、フェイト、シグナムにヴィータの全員の武装は把握はしている。
構える武器がわれば戦闘方法もだいたい予想できる。
が、この世界は魔法世界。
どんな魔法があるのかはわからない。
予想だけでは戦うのは危ないかもしれない。
それでもーーー、俺ははやてに言いきる。
「100%俺が勝つ。1%たりとも俺に負ける要素がない。」
「!!」
はやてとリィンが絶句する。
なのは全員が軍人のような者だ。
実戦経験も豊富だろうし、遠距、接近戦の魔法もあるだろう。
徒手格闘の心得はあるかも知れない。
だがそれだけでは駄目だ。
俺との戦力差は埋まらない。
俺の敵ではない。敵足り得ない。
俺は首をふる。
「ここまでの移動で足はこびをみてわかった。
接近戦が得意なのは、一番が僅差でシグナム、次にフェイト。
三番がヴィータで、なのは、はやての順番だよな?」
「!!正解や。「足はこび」を見ただけでわかるもんなん?」
「リィンもはやてちゃんと同じ意見です。
陸さん、わかるもんなんですか?」
「俺ぐらいの武術の達人になれば、相手の力量を把握も可能だよ。
だからこそ、」
真剣な表情を造り俺は、はやてに問いかける。
「もう一度確認したい。本当、俺との模擬戦するのか?
模擬戦とはいえ、一応は「戦闘」になるんだ。
不測の事態で怪我では済まない事になることもあるだろう。
それでも(模擬戦)やるのか。」
最後の忠告のつもりだ。
ここで、はやてが僅かでも動揺、沈黙するならやらない。
戦闘では想定外の事なんていくらでも発生する。
俺がどれだけ『手加減』しても、フェイト達に怪我を負わせてしまう可能性がある。
一日の付き合いだが、万が一もあり得る。
「はやてちゃん…….…………。」
リィンも心配そうに見つめる中、
「うん、やるよ。陸こそ逃げるの?相手は女の子だよ。」
かちんとくる物言いだが、
はやてはキッパリと、なんの動揺もなく答える。
その顔は心から仲間信じている顔つきだ。
「なるほど、なるほど。覚悟はできていると思っていいのか?」
「うん。陸に勝つ覚悟がね。」
にっこりとはやてが微笑む。
俺はまだはやては何を考えているかさっぱりわからん。
が、なのは達を信頼しているのは確かなようだ。
俺はドライグに確認する。
(なら、イッチョもんでやるか。ドライグもかまわないよな?)
『相棒がいいなら、問題はない。ただやり過ぎるなよ。』
(おう!)と心中で頷き、はやてを見る。
はやての真剣な顔をみてわかる。本気なんだと。
ならーーー答えなくてはいかんな。
頷き答える。
「わかった、模擬戦してやるよ。
俺も、全員の「力」を体験しておきたいしな。」
「決まりやな。模擬戦開始の時間は朝七時からや。
リィンは陸を空き部屋に送ってあげてな。」
「了解ですはやてちゃん。」
「お休み、陸。」と言う言葉を残し、はやてがディスプレイと共に消失する
俺とリィンだけが残された。
リィンはふわふわと浮かびながら指さす。
「陸さんお部屋に案内します。行きましょう。」
「ああ、よろしくお願む。」
ゆっくりと進みだすリィンの後ろについていく。
建物に入り、食堂を抜ける。
通路を歩き出して、五分程でリィンが止まる。
目的の部屋に着いたようだ。
それと、部屋の壁に寄りかかっているフェイトもいた。
フェイトは俺とリィンに気づき、微笑みを見せる。
「やっと会えた。
トイレに行くって行ったきり帰って来ないから心配したんだよ。」
「悪かったよフェイト。建物が広いから道に迷っていたんだ。」
「本当?部隊長室からトイレまで迷うほど遠くないよ。」
フェイトがじーーーっと見つめてくる。
綺麗な瞳が俺を覗きこんでくる。
近すぎるフェイトの顔に、俺は思わず眼を叛ける。
端から見れば恋人のような距離。
そんな二人にリィンが疑問点を口にする。
「フェイトさんはどうしてここにいたんだですか?」
「えっ?!!それは、陸君が心配で。」
「?陸さんが無事なのははやてちゃんから連絡がいった筈ですよ。」
「うう~~~~。」
きょどるフェイトの行動に、
リィンは頭にクエッションマークを浮かべている。
フェイトはなにがしたいんだ?と思案しているとドライグが言う。
『相棒、あの娘は相棒に食料を持ってきたのではないか?』
(………………根拠を聞いていいかドライグ。)
『会議をする前、あの娘は「話し合いが終わったらご飯」だと言っていた。
自分の発言した些細な約束を守って相棒に「食料」届けにきたのでは?』
一応筋は通っているか。
深く思いだすと…………….確かに二話前に言っているな。
リィンに問い詰められているフェイト。
改めて観察するとフェイトは両手を背に隠してはいるが、
ビニール袋がチラチラと見え隠れしてしまっている。
フェイトの優しさに涙が零れる。
(ドライグ、俺は感動した。
俺なんかの為に「女の子」がご飯を持ってきてくれたんだ。
こんなに嬉しいことはない。)
『相棒………………….「ボッチ」だとバレるぞ。』
(黙ってろドライグ!!)
涙で滲む世界。
腕で涙を払いのけてフェイトを確認。
二人の会話に割り込む。
「すまないリィン。
フェイトには俺が無理を言ってご飯を持ってきて貰ったんだ。
俺、腹が減っていると眠れないタイプの人間なんでね。
そうだよなフェイト。」
「う、うん。陸君がどうしもってお願いだがら。」
意図を察したのか、フェイトは咄嗟に話し合わせてくれる。
リィンも「なるほど~~」と納得したのか、うんうんと頷き。
俺の頭を撫で始めた。
「わかりました。
陸さんがフェイトさんにワガママを言ったんですね。
駄目ですよ陸さん。
フェイトさんだって疲れているんですから、無理を言っては。」
「はは、すまない、すまない。
次からは気をつけるよ。」
「そうしてくださいね。」
できの悪い子供に言い聞かせる姉のようにリィンは俺を叱る。
子供に子供扱いされるとは………………。
俺は苦笑いを浮かべながら扉を指さす。
「立ち話もなんだし、部屋に入らないか?
俺も、そろそろ休みたいしさ。」
コクコクとフェイトが頷く。必死だな。
「それもそうですね。それでは開けますね~~。」
部屋の前でリィンがカードをかざすと、ピピッと電気音がなり。
部屋の扉が開く。
「今日からこの部屋が陸さんの部屋ですよ。大切に使って下さい。」
「これが、俺の部屋か。」
靴を脱いで部屋にあがる。
十畳ほどの部屋。
壁は白一色で塗られ、仄かな灯火が照らされている。
家具はシングルベッドと大きな机に本棚、テーブルにクローゼット。
パンコンにテレビ。
トイレに個室の風呂まである。
都市なら一ヶ月、十数万円レベルの部屋だ。
「結構いい部屋を準備してくれたんだな。
この半分ぐらいかと予想していたんだが。」
「陸君は大切な保護者だから、はやても気を使ったんだよ。」
「フーーン、そんなもんかね。」
部屋にある物を探り始めると、リィンがお辞儀する。
「陸さん、リィンはこれで自分の部屋に戻ります。
わからない事があれば、通信で連絡して下さい。すぐに駆けつけます。」
「すまないな、余計な仕事ばかり増やしてしまって。」
「いえいえ、それではリィンはこのへんで失礼しますね。」
「お休みなさい、リィン。」
「はい。陸さんもフェイトさんもお休みなさいです。」
部屋を出て通路の奥に飛んでいくリィンを、手を振り見送る。
この場所に、俺とフェイトだけが残されると。
フェイトが頭を九十度下げた。
「これ!」
綺麗にお辞儀しながら両手をつきだす。
両手にはビニール袋が握られ。
袋の中を見て見ると、おにぎりが三つ入っている。
コンビニで売っている物ではなく、これはーーー手作りか。
「ごめんなさい!。陸君お腹空いてるのを知っていたのに、
遅くなってしまって。」
「いや、フェイトは仕事だろ。仕方ないことだし。
別に一食ぐらい抜いたところで死にはしないから、問題はない。」
虚勢ではなく本当だ。
敵勢力に囲まれ一週間、逃げながら断食した経験もあるぐらいだ。
一食抜いたところで僅かにパラメーターにマイナス補正はかかる。
が、それだけだ、戦闘行動に支障はない。
気にしなくていいと手を振るが。
「でも私、約束を破ってしまって。」
「あんな、日常的な些細な約束なんて破った内に入らないさ。
いちいち守っていたらきりがない約束だってある。」
「………………………..」
本人がここまで言っても、フェイトは頭を上げない。
生真面目、というか頑固な娘だなフェイトは。
自分で決めた「信念」を貫きたいのだろう。
やれやれ、このままでは埒があかない。
俺はフェイトの頭に手をおく。
「……………フェイトは約束は破っていないだろう。」
「えっ?」
「ご飯は遅くはなったけど、
約束通り飯を持ってきてくれたんだ。
大切に、味わって食べるよ。ありがとうなフェイト。
手作りなんだろ?」
髪を優しく撫でる。艶やかで、しっとりとした髪。
撫でているこちらのほうが、気持ちいいほとだ。
だが、同時に
「ーーーーーーーーーーーー!!!」
フェイトの頬が赤く染まり、
ビニール袋を腹に押しつけられ。
「お、おい!フェイト?」
俺の呼び掛けを無視して、
無言のままフェイトは走り去って行った。
なんなんだいきなり、トイレか?
首を捻り考えるが、皆目見当もつかない。
「まあ、いいか。」
とりあえず部屋に入り、カギを閉める。
靴を脱ぎ捨てベッドにダイブ、横たわる。
目蓋が重い。
体は疲れてはいないが、精神の方はだいぶ疲れているようだ。
天井を見上げながら、今日一日の事を思い出す。
(コンビニに行こうとしたら異世界に飛ばされ。
変なロボットと戦闘、空から魔法少女が降ってくるわに。
極めつけには倒したはずの白龍皇+他の神滅具までこっち世界に
来ているかも知れない状態。)
疲れるのも当然だな。
考えなくてはいけないことが山ほどあるが、今は寝たい。
『今日は休め相棒。
これからの事は明日から考えていけばいいだろう。』
ドライグにも言われて、俺は意識を手放した。
明日から過ごすだろう毎日。
なのはやフェイト、はやて達との毎日を思い描きながらーーーーーー。
次は「朝のハプニング 一」です。
感想がありましたら、ガンガンください。
心が折れない程度に。