少しでも楽しでいただけたのなら幸いです。
「.………….……ここは。」
ゆっくりと意識が覚醒した。
目蓋を開き視界に映ったのは、見慣れない天井。
一瞬混乱したが、すぐにこの場所が何処なのかを思いだした。
機動六課の隊舎だ。
「異世界に来ちまったんだよな俺は。」
窓の外は、仄かに明るい。
時計を見ると、デジタルな数字で六時と記されている。
寝すぎだな。自身が思っていたよりも疲れていたのかね。
こんな姿を修行時代の師匠達に見れたら、
地獄の追加メニュー確定コースだ。
欠伸をしながらベッドから降りて、首、肩、足首を回す。
「ん、体の方に問題はないな。
ドライグはどうだ。何か問題はあるか?」
『こちらも問題はない。いつでも全快で戦える。』
ドライグから力強いオーラを感じる。
互いに調子は悪くない。
いつもなら胴着替えて、三十キロのマラソン。
勿論、百キロの重りを着けて走りに行きたいところだが。
クンクンと上着の匂いを嗅ぐ。
「………………酸っぱい臭いがするな、あと泥臭い。」
カビカビになってしまった髪。
昨日の夜(もといた世界)から一日以上、
風呂に入らずシャワーも浴びずに寝てしまったからな。
「かるくシャワーでも浴びるか。」
脱衣室に入り、着ている服を脱ぐ。
シャワー室に入る。
蛇口が見当たらず、悪戦苦闘の末に水をだす。
温かい水を気持ちよくシャワーを浴びる。
「フゥ~~~~、やっぱ朝のシャワーは最高だよな。」
あまりのサッパリ感に鼻歌でも唄おうかな~~と思っていると。
ペタペタと足音が聞こてくる。
「ん?こんな時間に。」
まだ、朝の六時ですよ。
こんな早い時間がら仕事してんのか機動六課の面々は。
社会人は朝から大変だな。
と、他人事のように思っている中、
コンコンとドアがノックされた。
「藤田陸、起きてるか?
起きているならドアを開けて出てこい。朝の訓練だぞ。」
部屋の中まで響き力強い声。
少し乱暴な口調はヴィータだな。
しかし、俺は只今絶賛入浴中で今部屋に入ってこられるのは少々良くない。
教育的な面で。
「ちょっと待てヴィータ。
今は取り込み中だ。話しなら後でーーー」
「入るぞーーー。」
呼び掛けも通じずカチャリ、と部屋の扉のロックが解錠された。
ヴィータが部屋に入ってきた。
「ーーったく、子供はこれだから苦手なんだ。」
水を止めて髪を拭きながら、衣服を掴み脱衣室のドアを開けると、
「おっと。」
「あっ」
目があった。
出てすぐに鉢合わせ。
長い赤い髪を三つ編みに結った少女、ヴィータ。
管理局の制服をキッチリ着こなし、
子供とは思えないほどに堂々としている。
「なんだ起きていたのか、なら返事….……ぐら……….…いしろ?」
ヴィータは俺の顔を確認すると、次第に下に視線を向ける。
ぼっと、瞬間沸騰したかのように白い肌は赤く染まり。
おおきく息を吸い込み、
「ヘンタイがいたーーーーーー!!!」
「うおっ!!」
寮全域に響きわたる絶叫を放った。
咄嗟に両耳を塞いでガード成功。攻撃力を上げやがったな。
ヴィータは壁際まで後ろに下がり、
俺に向かってビニール袋を投げつけてきた。
「なんで朝から裸なんだお前は!!」
「シャワー浴びていたからに決まっているだろ。」
投擲されたビニール袋を見事にキャッチ。
「いいから早く服を着ろ!恥ずかしくないのかテメェは!!」
「子供相手に恥ずかしがるかよ。ロリコンじゃねーよ俺は。」
「私は立派な大人だーーーーーー!!」
ハッと鼻で笑う。
俺はヴィータの頭アンテナから足爪先までじっくりと見て、
ポンと頭に手を置いて告げる。
「背中と正面の区別が出来るぐらいになったら言え。」
「なっーーーーーーーーー!!!!」
ブチン!!!
ヴィータの中の何かが切れた。
たぶん堪忍袋の線が。
「ぜってぇ、許さねぇ!!!ぶん殴ってやるーーーーーー!!!」
「冗談だ冗談。本気にするなよ。
需要はあると思うぜ。マニアックな人達には。」
「ウルセーーーーーーーーー!!!」
涙目で怒りだすヴィータ。
どうやら俺は地雷を見つけ、自ら踏み抜いてしまったらしい。
思ったことを、すぐに口にだす癖は治した方がいいかもしれない。
そんな見当違いなことを考えていると。
「アイゼンーーーーーー!!!」
叫ぶ。
何処から取り出したのか、
ヴィータの手にはハンマーが握られ縦横無尽に振り回し始めた。
「回避訓練か?
いくらなんでも部屋の中ではやらないほうがいいぞ。
部屋が壊れる。」
頭部に迫りくるハンマーを、頭を下げてかわす。
「ウガーーーー!!避けてんじゃあねーーーー!」
「いや、当たったら痛いだろ?」
ずいぶんと愉快な娘だなと思いつつも攻撃を回避しつつ、
受け止めたビニール袋を破る。
入ってのは男性用の衣服一式。
制服ではないのは誰かの私物か?
あ、値札が貼ってあるから新品か。
「貰っていいのか?これ。」
「その為に持ってきたんだよ!
さっさと服を着やがれヘンタイ野郎!!!」
「サンキュー。」
罵倒と一緒にハンマーが振られる。
咄嗟にスウェーを使い、上半身を反らす。
ブオンと、ハンマーが振られ前髪が数本が切れて空に舞いーーー
ドゴン!!とハンマーが壁を打ち抜く。
結果として壁に大穴が誕生した。
「あっ。」
タラリと冷や汗が流れる。
こいつ、怒りで周囲が見えなくタイプかよ!
「!!待て待て、落ち着けヴィータ。
俺の部屋じゃないんだから、勝手に壊すな!」
「うるせーーーーーーーーー!!!!」
破砕音がなり響く。
その度に、テレビやクローゼット、
椅子にテーブル等の家具を次々に壊されて木片にされていく。
おいおい。
この壊した物の請求が俺のところにこないよな?
部屋に隅、
被害が受けない位置で破壊者を見学したいところだが、
「部屋が全壊されて、はやてに呆れられるのは勘弁だし。
なにより寝られないのだけは勘弁だからな、ボチボチ止めるか。」
ゆっくりとヴィータに歩みより、師匠の言葉を思い出す。
「避けるのではない。敵の陣地を占領するのだ!!
最も恐ろしいと思われる敵の側こそが、唯一の安全地帯だ。」
わかっていますよ師匠!
高速で振り回されているハンマー。
ハンマーを上に振り抜き、下に切り返した
瞬間ーーーーーーここだ!!
「ほっと。」
即座に間合いを殺して接近。
ヴィータの右手首を掴み押さえ込み。
同時に左肩に手を置き、座らせる。
久し振りに使った「静の技術」だから、
上手くいくか心配だったがうまくいって良かった。
「えっ?えっ?どうなっていやがるんだ?
なんで座っているんだ?」
あまりにも唐突に押さえ込まれたことに、
ヴィータは混乱している。
当然だ。
どうして自分は座らされた事に抵抗出来なかったのか。
それが理解出来ないのだから。
オロオロと困惑するヴィータを見て、
「ふーーーぎりぎりセーフ、全壊の危機は回避出来たな。」
大部壊された部屋を見渡す。
壁と床には穴が空き、テーブルがまん中から折られてはいるが
うん。これなら修理は可能だ。
問題はどうやって、はやてからお金を借りるかだな。
悩う~~んと悩むんでいると。
斬(ザン)!!!と、扉が縦に線が走り、両断された。
「藤田陸!何事だ!敵のしゅ……げー….き…………か?」
部屋に剣を携えたシグナムが飛び込んで、固まる。
「?シグナムどうかしたのか?時が止まっているぞ。」
「……….…………….ヴィータに何をしているんだ貴様は?」
「はっ?………………ゲッ!!」
言われてわかった俺とヴィータの構図。
涙目になっているヴィータ。
そんなヴィータを無理矢理押さえ込んでいる俺。(他人はそうみえる)
しかも、俺の股関部にヴィータの顔があるのだから。
これだけでもかなりヤバイ自体だが、
言い訳は出きる……….と思う。
俺が「服」を着ていて「裸」でなければの話しだがね。
「待て、落ち着けシグナム!!これは誤解だ!!
決して俺が嫌がるヴィータの口で18禁の行為をしていたわけではない。
信じてくれ!!!頼む!」
「裸で言い訳なぞ聞けるものかーーーーーー!!!」
「ですよねーーーーーーーーー!」
クソッ!!
ヤッパリ裸で言い訳は無理があったか。
俺はヴィータから手を放して、窓へと逃げだす
逃げるが勝ちだ!
「逃がすか変態!!!成敗する!!!」
剣を鞘に納めるシグナム。
薬莢が排出され、シグナムの魔力が上がる。
!!!魔法を使うきかこのお方は!!
「くらえ紫電一閃!!!」
「ノーーーーーーーー!!!!」
斬りかかってきたシグナムの刃は、余裕髪で回避した俺だが。
シグナムの斬撃と炎で部屋は炭化され。
俺の部屋は一夜で全壊した。
次はようやく『模擬戦』です。
感想がありましたらガンガンください。
お願いします。
ただ、心の弱い作者ですので、軽めにお願いします。