Fate/Imagine Breaker   作:小櫻遼我

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※WARNING!※
舞弥ファンは閲覧注意


Spell2[停戦破棄の時 acht_after_neun.]

冬木市

 

 

 

「____ということで、今日から舞弥さんには住み込みで家庭教師をしてもらうことになりましたー!ちなみに舞弥さんはイリヤちゃん達の部屋に泊まることになったから、二人共、よろしく頼むわね」

「………ぇぇぇえええ私達の部屋!?」

 

衛宮家に訪れた家庭教師、久宇舞弥。

なんと彼女は、イリヤとクロの部屋に泊まり込むことになったのだ。

 

「えっと……ちょっと待って!ベッドは私とイリヤの分しかないわよ?舞弥先生はどこで寝るのよ!」

「私は床に布団を敷かせてもらいますので、大丈夫です」

「あ、それならいい…かな………?」

 

彼女はとても美しく、静かで、笑顔は優しさで満ちていて、少し色っぽい。

イリヤとクロ、そして美遊のイメージがそのまま形になったようだった。

 

地味に胸も大きい。

 

「じゃあ二人共、舞弥さんを部屋に案内してあげて。お茶の用意ができたら呼ぶわ。あ、そうそう、舞弥さんは何のお茶が好きなんですか?」

「トウモロコシのヒゲ茶か紅茶があればそれで結構です」

「なるほど、丁度紅茶があったかしら…?」

「ありがとうございます………じゃあイリヤちゃん、クロちゃん、案内をお願いしてもいいかしら?」

「アッハイ…」

 

イリヤはいまだに緊張が解けていない様子だった。

なんか歩くときに片足と片腕が同時に出ている。

 

すると久宇舞弥が、イリヤに話しかける。

 

「なにも緊張することはないわよ。これから私はあなた達と一緒に暮らすのだから、仲良くしましょう?」

「……………………!!!」

 

イリヤは愕然とした。

久宇舞弥が特に変な行動をしているわけではない。

 

久宇舞弥の天使のような美しい笑顔がイリヤの目に入ったのだ。

 

瞬間、イリヤのヤる気スイッチがオンになった。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…あっ、あ”あ”あ”あ”ぁぁぁ……!」

「ん…イリヤ!?」

 

とっさの判断でクロがイリヤを庇うようにして隠す。

 

「あ、あははははは、すいません先生、2階に看板の掛かった部屋があるので、そこのベッドに適当に腰掛けててくださいー…」

 

イリヤの様子がバレないように、早々にイリヤを廊下の奥に連れて行く。

 

久宇舞弥は階段を上がったようだ。

 

「ちょっと、しっかりしなさいよイリヤ!よりによって今!?今スイッチ入る!?あの人別にスクールなんとかの先生じゃないわよ!?」

「舞弥……まいや……マイヤ……maiya……ま、まま、まい、まいまいままま………う”う”あ”あ”あ”ぁぁ………♥」

「あああああダメよ!家庭教師の先生に性的感情を(いだ)いちゃダメええええええええ!!」

 

何発かパチンパチンとビンタをかます。

すると、

 

「ハッ…私は何を………」

「えええ記憶ないの……?美遊と仲良くなってからよね、その症状……」

 

イリヤとクロの悩み、それは今のイリヤの症状だ。

 

イリヤのアッチ系の感情が強まるとスイッチが入り、自我が完全に消滅、制御不能になってしまう。

しかも元に戻った時に、暴走していた時の記憶が残っていないのだ。

 

魔法少女になり、美遊と仲が深まってから症状が出始めたらしい。

 

「あっ、舞弥先生は?」

「部屋で待っているよう言っておいたわ。全く、世話を焼かせてくれるわよアナタはもう………」

「ごめん……ささ、早く行かないと!」

 

久宇舞弥を待たせないよう、急いで階段を駆け上がる。

部屋のドアを開けると、

 

「なるほど…ここがこうなってて…こういう仕組みね……」

「あっ、ああんっ、そんな激しっ、いやん、ソコはダメっ……ダメえええええぇぇぇぇぇぇっっ♥」

 

久宇舞弥がルビーの星の部分や羽などを触りまくってた。

 

「いやああああああああああああルビーの存在がバレてるううううううううううううう!!?」

「これは一大事よイリヤ!!先生の記憶を抹消…はできないし、ああもう、どうすればいいのよおおおおおお!!!」

「おっと……触りすぎたかしら…」

 

二人に気付いた久宇舞弥がルビーを離す。

瞬間、ルビーがイリヤの背後へ退避した。

 

「いっ、いいいいいイリヤさん!!あの人がイリヤさんの言ってた家庭教師ですか!?」

「心配はありませんマジカルルビー。アナタが愉快型魔術礼装で、キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグによって作成されたカレイドステッキのうちの一本だということは把握済です」

「…………はえ?」

 

今の言い方、まるで自分が魔術に通じているとでも言うようだった。

 

「いや、そんな…よりによって先生がなんて……」

「………それはどうかしら」

「えっ?」

 

クロが異議を唱える。

 

「ママだって、私達を一撃で打ちのめす程の魔術の持ち主だったのよ?そのママが頼んだ家庭教師なんだから、魔術について少しは知っててもおかしくないわ」

「その通り。まあ私は、そこまで魔術は使えないけど」

 

情報量が多すぎてイリヤはいまだに理解出来ていない。

シュバインオーグやら礼装やら、専門用語が多すぎる。

 

なので、この件は一旦置いておくことにしたようだ。

 

「…改めて見ると舞弥先生って綺麗ですよね……胸もあるし、笑顔が可愛いし…」

「ふふ、そうかしら?良ければ、触ってみる?」

「え!?い…いいんですか!?」

「ええ。互いの中を深めるには、スキンシップも大切じゃない?」

 

ゴクン、と唾を飲み込む。

 

久宇舞弥のバストサイズは、大人の女性ではごく一般的なサイズだった。

しかし小学生であるイリヤからすれば大きかった。

 

巨乳メンツならルヴィアやリーゼリットがいるが、なかなか触る機会もない。

なにより、相手が会って1時間も経っていない家庭教師という背徳感。

 

「ほら、イリヤが触りたいんなら触らせてもらえば?」

 

クロにすら勧められる。

これはもう、やるしかない。

 

「じゃ、じゃあ…失礼します……」

 

フニっと、イリヤの指が久宇舞弥の胸に触れる。

 

「ん……そうそう、優しくお願いね…」

 

どう思っているのか、クロも頬を赤らめて横目で見ている。

 

引き続き触れ続ける。

撫で回し、掴み、つつく。

生温かい久宇舞弥の吐息がイリヤの手にかかる。

 

すると、久宇舞弥が突然服のボタンを外し始める。

 

「んなっ………!?」

「全く、おかげで汗をかいて蒸し暑くなっちゃったじゃない……アナタの冷たい顔を埋めて…冷やしてくれないかしら?」

 

久宇舞弥の汗で潤った谷間があらわになる

 

クロが凄い顔で見てるぞイリヤ。

お前も凄い顔になってるぞイリヤ。

 

「嫌かもしれないけど……ついでに、汗も舐め取ってくれても、いい……?」

「ぬ、ぬぅぅおぉぁぁ………」

 

普段の冷静な久宇舞弥であればこのようなことはしない。

彼女も気が昂ぶっているのだろう。

何故だ。

 

イリヤはゆっくり、胸に顔を近付ける。

口の中で唾液に浸された舌を伸ばし、そして……

 

 

「イリヤー、クロー、先生ー、お茶と昼食の用意ができ………へ?」

 

 

衛宮士郎が3人を呼びに部屋に入ってきたのだ。

 

「え……………………」

「あらら………」

「…………………」

 

すっかり黙り込む4人。

もちろん、姿勢は直前のままだ。

 

「………………サ、早速先生ト仲良クナッタンダナ二人共、オ兄チャンハ嬉シイゾー!ジャ、ジャア俺ハコレデ……アハ、アハハノハ〜…」

 

逆再生でもしたかのような後ろ歩きで硬い笑顔を作りながら部屋から立ち去る。

 

また誤解されたのだ。

 

「ううっ、ルビー……お兄ちゃんの記憶……」

「はいはい、消しておきますよっとー」

「……これは流石にやり過ぎたわね、ごめんなさい」

「い、いえいえ!先生が謝ることないのよ!?断る勇気がなかったイリヤが悪いんだから!イリヤ、アナタ絶対怪しいクスリの勧誘に引っかかるタイプでしょ!保健で習わなかったの!?」

「ごめん…私、どうにかなってたみたい……」

 

部屋全体が暗い空気に包まれる。

とても居心地がいい状態とは言えない。

むしろ悪い。

 

「いいのよクロちゃん、イリヤちゃんにあんなこと頼んだ私が悪いわ。みんなの気分が元に戻るまでしばらく休んでいましょう」

 

イリヤとクロは、今までにない罪悪感を感じた。

彼女らが衛宮士郎の一部の記憶を抹消し、1階に降りたのは十数分後のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新・冬木ハイアットホテル屋上

 

 

 

「わぁぁぁぁぁーーーーーーーッ、いでっ!」

 

上からくるぞ気をつけろよ、と言われんばかりに屋上ヘリポートへ何処からか落下してくる上条当麻。

 

謎の少年魔術師との戦いで奈落へ落ち、気付いたらこの場に送られていた。

見たところ、ここはおそらく学園都市の外。

そんな広範囲の転移は、学園都市の大能力者(Level4)座標移動(ムーブポイント)”でも不可能だ。

強力な魔術的な何かが発動されたのだろうか?

 

いや、それでも学園都市が見えなくなるほど遠く、こんな高さまで転移させることができる可能性は少ない。

 

「……ってか、どこだここ…」

 

すでに空は茜色に染まっていた。

 

高さからしてビルのような建物のようだ。

どんな立地か確かめようと、地上を覗いたその時、

 

上条当麻はあることに気付いた。

 

 

「人が…………いない……?」

 

 

地上には誰ひとり歩いていなかったのだ。

人だけではない。

車も、音も、鳥も、何も存在していない。

 

その場所にあるのは無機物の外見だけで、一切の動力を持っていなかった。

 

アウレオルスの時のような結界……ではない。

先程落下した時の痛みは、三沢塾(結界の中)で階段から突き落とされた痛みに比べればどうってことはなかった。

コインの裏(魔術側)にいた上条当麻達でも(科学側)の住人は目視できた。

 

しかし、ここには表も裏もなく、表にも裏にも人は存在していなかった。

 

すなわち、ここは先程いた学園都市とは全く違う世界。

 

上条当麻は隔離されたのだ。

 

「不幸だぁ………どうすりゃいいんだこんなん…」

 

途方に暮れる上条当麻。

なにか無いかと辺りを見回すと、

 

西に紫色の霧がかかっていた。

 

「あの霧は……どう見ても異常、だよな…」

 

あそこだけ、あそこだけが違う。

 

そして、あの場から放たれる魔力に右手が反応している気がした。

 

「あんなに遠いのに幻想殺し(イマジンブレイカー)が…ありゃ魔術師ってレベルじゃねえよな………」

 

しかし、本能が彼に囁いた。

 

生き延びたいのなら向かえ、と……

 

「なんでだよ!あそこ行ったら多分死ぬぞ俺!………行くしかないのかなぁ」

 

上条当麻はしぶしぶ霧の方へと向かった。

 

 

ビル内のホテルでしばらくくつろいだのは、また別の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

衛宮家、食卓

 

 

 

『いただきまーす!』

 

気持ちの良い挨拶が響く。

 

先程とくらべて食卓を囲む者が1人増え、さらに賑やかになった。

 

今日の昼食はそうめん。

もう9月も半ばなのだが、夏日が続いているため、そうめん人気はまだ衰えない。

 

「おお…未成年なのにこんなにおいしい料理を作れるのですね…特にこの薬味のネギがいい味を出してます……」

「まぁほとんど茹でただけなんですけどね。ネギの選び方にもこだわりったんです。色合いがよく、ピンとしていて、軸に弾力がある。そういうネギを選ぶのがコツです」

「なるほど。私も勉強になります。家庭科がさぞ得意なのでしょうね」

「はい、家庭科は結構得意で…」

 

久宇舞弥も衛宮士郎と話しながらどんどん箸を進める。

 

しかし、そんな中で、1人だけ箸が進まない者がいた。

イリヤだ。

 

「ん、どうしたイリヤ?ネギは苦手だったっけ?」

「いや、そういうわけじゃないんだけど……し、食欲がなくて…」

「そうか…無理するなよ?」

 

食欲が無い理由とは、もちろん先程の部屋でのことだった。

衛宮士郎に見られてしまった時の記憶は彼の脳内から抹消することができたが、イリヤの気分は変わらない。

 

衛宮士郎の知能指数もマッハである。

 

(イリヤ………アナタまださっきのこと根に持ってるの?いい加減忘れたらどうよ?)

(クロがまたそうやって古傷を抉るから……はぁ)

 

どうやら彼女の心の中に深く彫り込まれてしまったようだ。

 

食べてはいるが、ちまちまとしか食べていない。

 

すると、

 

コンコン。

玄関から扉をノックする音が鳴る。

 

「失礼します……すみませーん、少々お待ち下さーい!」

 

セラが玄関に向かう。

 

「……大人の女って大変ね」

「うん、そうだね…」

「いや、大人っていうのは結構たのしいわよ?私だって、大人の女になって切嗣と出逢うことができたんだし……はぁと♥」

「はは……男ってツラいな!ははは…」

 

他愛もない話を交わしていると、セラが戻ってくる。

 

 

「イリヤさん、クロさん、遠坂さんがお見えですよ。なんでも”eins(アインス) zwei(ツヴァイ) drei(ドライ)”だとか……どういう意味でしょう?」

 

 

「………イリヤ、早く済ませましょう」

「うん、わかった!」

 

すると二人は物凄い勢いでそうめんを平らげる

 

「うわっ、二人共急にどうしたんだ!?」

「ごめんなさい、私達急がないと!」

「お兄ちゃん、悪いけど食器片付けておいいて!ごちそうさまでした!」

「なっ、おいイリヤ、クロ____!!」

 

二人は出て行ってしまった。

何やら急いでいる様子だったが、どうしたのだろうか。

 

「__マダム、彼女らは何処へ………?」

「いろいろ事情があるのよ、あの二人には」

 

 

 

 

 

エーデルフェルト邸

 

 

 

「簡潔に言うと、鏡面界で新たな黒化英霊(サーヴァント)の反応を確認したわ。それもかなり強大よ」

 

「そんな……黒化英霊(サーヴァント)は全て殲滅したはずよ!」

8枚目のアーチャー(ギルガメッシュ)の件もあるじゃない。とはいえ、なぜこのタイミングで黒化英霊(サーヴァント)が……?」

 

数ヶ月前。

まだクロが存在していない時、カレイドステッキを与えられ魔法少女となったイリヤと美遊の使命は『クラスカード回収の為の黒化英霊(サーヴァント)の殲滅』だった。

剣士(セイバー)槍兵(ランサー)弓兵(アーチャー)騎兵(ライダー)魔術師(キャスター)暗殺者(アサシン)狂戦士(バーサーカー)

これらのカードを2人は回収し、使命を終えた。

それからしばらくして、トラブルによりアーチャーのカードを核としてクロが誕生。

それに近いタイミングで8枚目のカードとなるアーチャーが出現、これを撃破。

 

自体は完全に収束を迎えたはずだった。

 

「クラスカードはもともと7枚…それが8枚目に、今回で9枚目……いよいよきな臭くなってきましたわね…」

「どうするのよ!8枚目のアーチャーと同等レベルの黒化英霊(サーヴァント)なんて……」

 

「もちろん、迎え撃つんだよ」

 

口を開いたのはイリヤだった。

 

「あれから何日も何週間もたった…なのにクロはそれでも弱音吐いてばっかり!相手が強くても、私達だって強くなった。ここで仕留めておかないと、8枚目のアーチャーの時みたいに、いつ現世(こっち)に来るかわからない!」

「そう。イリヤも私も最初はヘッポコだった。でも今は違う。力の差を見せつけてやるべき!」

 

イリヤと美遊のこの熱い意見には、さすがのクロの硝子(ガラス)の心も揺らぐ。

 

「ぐぬ……わ、わかったわよ!やればいいんでしょやれば!」

 

「改めて確認するわよ。敵のクラスは未確定。強さは8枚目のアーチャーと同等かそれ以上」

「……ぷっ、全然再確認になってなくてよ遠坂凛?」

「アンタは黙っとれぃ!……で、3人共どうする?それでも戦う?」

 

「もちろん!」

「そんなの当たり前、戦う」

「仕方ないわね…私もよ」

 

3人の決意は固まったようだ。

 

「それと、2周目のアーチャーとコレが出てきたからには言うのが面倒だしごっちゃになるから呼び方を固定しちゃうわよ。

1枚目のアーチャーをアインスアーチャー、2枚目のランサーをツヴァイランサー、3枚目のライダーをドライライダー、4枚目のキャスターをフィーアキャスター、5枚目のセイバーをフュンフセイバー、6枚目のアサシンをゼクスアサシン、7枚目のバーサーカーをズィーベンバーサーカー、そして8枚目のアーチャーをアハトアーチャー。別にどうでもいい変更点だけど、この方が区別しやすいでしょ?」

「ドイツ語……もしかして気使ってくれてるんですか…?」

「何よそのありがた迷惑みたいな言い方…まぁイリヤもクロも元はドイツ人(ジャーマン)だしね」

 

「さて…魔力が確認されたのは未遠川の冬木大橋付近。午前零時に、そこに集合よ。いいわね?」

 

『はい!』

 

威勢のいい返事が帰ってくる。

 

この瞬間から、彼女達の日常は崩れてゆくことになる________




シャレにならないほどのキャラ崩壊オン☆パレード
まぁいいや(諦め気味)

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