最初の数話はなるべく早めに更新するようにしますが全体的に更新速度は遅くなると思います。
では、本文どうぞ!!
第一話 顔合わせ
“──
○
どこからか聞こえてきた声で目が覚めた。頬が冷たい。目を開ける。暗くて何も見えない。いや、遠くでほのかに灯りが揺れているみたい。ここは…どこ?
「…誰かいるの?」
どこからか透き通った感じの男の子の声が聞こえてきた。よかった、独りじゃない。ため息が出てしまった。
「いるよー」
と朗らかな雰囲気の声が次に聞こえてきた。あ、女の子だ。そろそろ体を起こさないと…。
「こっちもだ…」
今度は男の人の声だ。男の子というのはなんだか似合わない声かな?
「ここはどこなんだ?」
さっきの男の子の声が聞こえてきた。でもなんか口調が違う気もするなぁ。そんなことよりもほんとに一体ここはどこなんだろう。あれ?なんでここにいるんだっけ?
「誰か知りませんか?」
恐る恐るいってみた。返事が返ってくるまでの間がすごく長く感じた。
「ごめん、僕もわからないや」
また、男の子だ。その返事を聞いて少し考えてみた。けど、名前以外
◆
自分で質問した後にもう一度思い出そうとしてみる。だが、ここが全然どこかわからない。いや、それだけじゃない、名前以外思い出せない。これ、ヤバくない?どうやら周りもそんな状況らしいのは俺の質問にまともな答えが返ってこないことからもわかる。
「とりあえず、動かないか?」
低い声がそういった。その声の主は立ち上がったみたいだ。確かに周囲はけっこう暗いが人影ぐらいなら充分認識できる。それにしてもよく落ち着いていられるな、よくわかっていないのはあいつも同じみたいだが。
「よっと…。カナも賛成っ」
女の声が聞こえてくる。そちらを向くと金髪の女が立っていた。暗くても金髪だと目立つな。それにしてもあいつも落ち着いているな。…いや、どっちかというと能天気って感じ…?まあ、いいか。そういえば、あと二人ほど声が聞こえたよな…。最初に発言してたやつは…、ちょうど立ち上がった。俺もうかうかしてられないから、立ち上がる。
ふと、後ろを見るとまだ座っている人影があった。女だ。どうしようか慌てている様子が表情まで見えなくても伝わってくる。
「おい、お前も立てよ」
つい、声をかけてしまった。手が動きかけたがさすがに止めといた。さすがにお節介が過ぎるよな。
□
動かないでいる訳にはいかないと、周りに声をかけて立ち上がってはみたものの、どこへいけばいいかもわからない。全員動くようだから、とりあえず、薄く灯りが見える方へでも行くか。
「とりあえず、灯りの見える方へいってみない?」
先に言われた。最初に発言してた男か。
「そうだな、壁づたいにいこう」
そういいながら近くの壁に手を着く。順番は、俺、さっきの男、金髪の女性、もう一人の男、もう一人の女性、だ。
しばらくすると鉄格子が見えてきた。俺達は閉じ込められていたのか…?と思っていたが、俺達の足音が聞こえたからか鉄格子の錠前が下ろされるような音が聞こえた。
「出ろ」
すぐに男の声も聞こえてくる。このまま出ない訳にもいかない。少し身構えながらも鉄格子をくぐる。そこは塔のような建造物の中だということがわかる。
「あっちだ」
先ほどの男は顎を使い、現在進行形で稼働している石壁を指していた。少し態度が気に食わないがここは素直に従っておくべきだろう。後ろのやつらも素直に従っているようだ。
石壁が稼働を終えるとそこには縦長の穴ができた。出ろということか。
恐る恐る穴を抜ける。そこは外だった。時間帯は夕暮れ時のようだ。綺麗な夕日が目に眩しかった。
◇
背の高い男のあとに着いて外に出た僕はまず周りを見渡した。小高い丘の上にいた。少し遠くには街が見えた。後ろには塔がある。
振り返ったついでに後ろにいた人達の顔を確認する。
…。
金髪の女の子は髪をサイドテールに結っている。僕は女の子の髪型に詳しくないからサイドテールという単語が正解なのかはわからない。ただ、髪を結う位置はけっこう高めだ。あと肌の色が少し健康的な小麦色をしている。しかし、色黒という訳ではない。目の色は青い。ちなみに、明らかに胸はない。周りの景色に驚いているのか、「おおー」という声を上げている。
もう一人の女の子は茶髪というか焦げ茶色の髪が肩までサラリと伸びていて、金髪の子と違って大人しそうな雰囲気だ。肌は白くて柔らかそう。胸は服の上からだが、けっこうありそうだ。あの服装は制服かな?セーラー服だし。あれ?セーラー服ってなに?ってかなんで僕はこんなに女の子のことを徹底的に分析してるんだ?僕は特段女の子ことが好きな訳じゃない。いや、記憶がないんだった。いやでも、僕は断じてノーマルだ。え?ノーマルってなんだ?ってか僕はなにしてるんだっけ?あ、そうだ、現実逃避だ。現在進行形で目を離せないでいる目の前の彼の顔からの現実逃避だ。現実逃避というよりはあまりに驚き過ぎていて脳が追い付いてないのかな?まあ、どちらにせよ、僕はきっと彼と同じ表情で驚いているのだろう。
なんせ、
「…え?あれ?双子?」
茶髪の方の女の子が僕らのことに気がついたみたいだ。背の高い男と金髪の女の子も僕らの方を振り返る。みんな驚いた顔をしている。もちろん僕ら二人もだ。
「双子ってことは記憶とか残ってないのか?!」
背の高い男が語気を強めて質問してくる。記憶があったらこんなに驚いていない。
「…お前、誰だよ?!」
僕と同じ顔の彼が質問してきた。そんなの僕が聞きたい。同じ顔、同じような背格好といっても彼とは髪型がだいぶ違う。そもそも彼はヘアバンドをしている。だいぶ違う、大丈夫だ。…よし、少し落ち着いてきた。うん?落ち着いてるのかな?
「ふぅ…」
とりあえず、深呼吸をしてみた。大丈夫、今度は間違いなく落ち着いた。
「えーと、ちょっと待ってね。僕には双子がいた記憶なんてないんだけど、それは君も同じ?」
状況を整理するために質問をしてみた。
「ああ、そうだ。俺も全く記憶にないな。つーか、そもそも家族のことさえ記憶にない」
予想通りの返事が返ってきた。やっぱりみんなも同じ状況なのだろうか?
「僕も全然記憶がない。他のみんなも同じ?」
「ああ」「そーだよ」「…はい」
揃って同じ答えだった、やっぱり。これはどうしたらいいんだ?あ、あの鎧の男に聞いてみるか。あれ?いつの間にか出てきた穴がなくなってる。
「はーい!!お取り込みちゅー失礼しまーす!!」
どこからか甲高い声が聞こえてきた。え?だれ?みんなも困惑しているようだ。
「うにゅーん!!ここだよー!!」
すると塔の影から女の子がツインテールを揺らしながら歩いてきた。この髪型はツインテールだと自信を持っていえる。なんか変な歌を歌いながらこっちにくる。
「どーもー!!みんな元気ー?グリムガルへようこそ!!案内人を務めさせていや、努めさせて?勤めさせて?…うーん、つとめさせて!!いただくひよむーです!!よろしくにゃー」
どうやら漢字がわからなかったらしい。僕はこれくらいでむかつくことはない。むしろ可愛いと思ったのは秘密。だが、同じ顔の彼は違うらしい。
「おい、なんだグリムガルって?つーか、案内人?なら、もっと真面目にやれ!!」
「もぉー、怒らないでくださいよー。ちゃんと仕事はやりますから!!ね?ね?ね?」
「あーもう!!じゃあ、さっさと案内とやらをしてくれよ。それで俺らのこの状況はなんとかなるんだろうな?」
「まあ、成せば成る、成さねば成らぬって感じー?とりあえず、いっくよー!!」
そういうとひよむーはどんどん歩いて行く。どうやら街へ向かっていくらしい。僕らはどうするか顔を見合わせていた。同じ顔の彼が歩みを進めたことで僕らはひよむーに着いていくことになった。まあ、それしかないよね。
☆
なんか、ひよむーって人の後に着いていくことになったけど、会話がないのは寂しいよね。ということで自己紹介タイムにするのがいいよね?…よし。
「ねーねー、みんな、名前はなんていうの?それは覚えてるよね?カナもそれしか覚えてないんだけど。あ、カナは、カナヒっていうの、カナって呼んでねー」
…あれ?空気読めてなかったかな?誰かー、返事してー。
「あ、私、シズクっていいます」
「シズクちゃんね!よろしく!」
「よ、よろしくお願いします」
やったー、返事してくれた!やっぱり、女の子は優しいな。この調子で男の子たちも教えてくれないかなー?
「僕はチハルだよ」
えーと、双子っぽい人のバンダナしてない人がチハルくんね。…あの前髪邪魔じゃないのかな?左目見えなさそう。今度聞いてみよ。
「チハルくんも、よろしくね」
「俺はテルだ、よろしく」
あの背の高い人がテルくんか。結んでるけど、あれカナより髪長いんじゃないかなー。綺麗な黒髪だし、なんかカッコいいー。
「うん、テルくんもよろしく!」
…あれ?バンダナの人だけ全然答えてくれない。ひよむーに怒ってたからイライラしてるのかな?でも、とりあえず声かけてみよ。
「ねー、そこのバンダナの人ー。教えてくれないとバンくんって呼んじゃうよ?」
「バンくんってなんだよ?!つーか、これバンダナじゃなくてヘアバンドな」
あー、間違えちゃった?ん?でも、ヘアバンドだからバンくんでいいんじゃない?
「ヘアバンドだからバンくんでいいとか思ってんじゃないだろうな?まあ、いい、俺はコウタだ」
「え?バンくんって超能力者?すごい!あ、コウタくんか」
「超能力者じゃねぇよ!ああもう、調子狂うな」
誉めたつもりなのに怒らせちゃった?謝った方がいいかな?
…?あ、ここ、いつの間にか街の中だ。なんかすごい格好した人がいるー。武器とか持ってるよ!銃刀法違反じゃないのかな?あれ?じゅーとーほーってなんだっけ?
「はーい!!そんなこんなで着きましたよー!!もうすぐ夜ですね!!え?どうでもいいって?じゃ、ここが目的地のオルタナ辺境軍義勇兵団レッドムーンの事務所ですよん!!」
…うーん、なんかよくわからないけど楽しそう!
読んでいただきありがとうございます( ̄∇ ̄*)ゞ
少しでもキャラや小説全体の雰囲気を掴んでもらえたでしょうか?
次回からはハルヒロ達も出演予定です。
ちなみに今回の時系列はハルヒロ達がダムローに通い始める直前ぐらいを想定してます。
では、また次回で(* ̄∇ ̄)ノ