影と現身のグリムガル~五つの欠片~   作:?BOX

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どうも、更新です。

今回も思ってた以上の量になりました。この書き方だと物語の進展のわりに文章が多くなってしまいますね。展開遅くてごめんなさい。

今日でやっとそれぞれの職業が決まります。

では本文です!


第三話 やさしさの一日

 

遠くで鐘の音が二回聴こえた気がして目が覚める。寒い。藁で寝るのは寒い。それに体がムズムズするし、あちこちが痛い。ほんとに環境最悪だ。まだ、コウタは寝ているようだ。さすがに、寝るときはヘアバンドは外すらしい。僕の寝顔ってあんなんなのかな。そうえいば、昨日、マナトさんもハルヒロさんも僕らの顔に突っ込まなかったよね。なんでだろう。でも、ハルヒロさんは僕の顔チラチラ見てた気がする。やっぱり、初対面だと言いにくいのかな?

 

「…ぅんあぁ」

 

伸びをしたら何ヵ所か骨が鳴った。けっこう長く寝た気がするけど、あまり疲れたが取れた気がしない。寝癖は大丈夫そうだ。テルはどこいったんだろう。とりあえず、昨日の中庭にいってみるか。女の子たちはもう起きてるのだろうか。

中庭へたどり着くとテルがいた。

 

「テル、おはよう」

「ああ、チハルの方か。おはよう」

「方って?」

「いや、お前たち、声も似ているからな」

「そっか、なるほどね」

 

気付かなかった。確かに自分で聞く声と他人が聞く声とじゃ聞こえ方が違うっていうけど。僕あんな声してるのか。っていうか、そこまで似ているって他人のそら似って言い訳通用しないよね。ほんとに双子だったのかな?あー、全然思い出せない。

 

「テルはけっこう前に起きたの?」

「いや、そこまで前じゃない。これを見に来てた」

 

テルは地図を指差す。昨日マナトさんがいってたやつだ。あ、置き書きもしてある。

『残りものでよかったら、鍋の中のスープ食べてね。もの足りないだろうけどね。 マナト 追記 よかったら夕食もここで一緒に食べよう』

…サービス良すぎるよ。後でちゃんと食事代払わなきゃ。

 

「マナトさん、すごいね。あの人に巡り会えなかったらこんな楽に情報手に入らなかったかもね」

「ああ、そうだな。マナトに会えたのは運が良かった」

 

テルって意外と話しかければちゃんと会話してくれるんだよね。

 

「今日はどうしようか?とりあえず、みんなでヨロズ預かり商会いく?」

「それがいい。地図も一つしかないしな」

「じゃあ、みんなを起こしてくるよ。…ちょっとその前にトイレトイレ」

「そうか、頼んだ」

 

昨日も使ったけど、あのトイレは汚くて使いたくなくなるレベル。設備どうにかしてくれないかな。

用を済ませて部屋に戻るため中庭まで戻ってくると、女の子たちが起きてきていた。

 

「カナちゃん、シズクちゃん、おはよう」

「あ、チハルくん、おはよう」

「おはよー」

 

カナちゃんはまだ眠そうだ。よく眠れなかったのかな?それともたくさん寝たいタイプかな?

 

「じゃあ、コウタ起こしにいってくるね」

 

シズクちゃんが頷いてくれた。

部屋に着くとコウタはまで眠ったままだった。よく寝るなー。肩を揺すってみると思ったより簡単に目を覚ます。

 

「…うぅん。え?俺?…ああ、チハルか」

「そうだよ、おはよう。もうみんな起きてるから中庭おいで」

「おはよう。起こしにきてくれたのか、悪いな」

 

コウタは体を起こすと、すぐにヘアバンドを装着する。そんなにお気に入りなのかな?

 

「構わないよ」

 

持っていくものも特にないのでそのまま部屋を出て中庭へ向かう。革袋はちゃんとポケットにはいってる。

 

「あ、コウタとチハルだ。おはよー!」

「おう、おはよう」

「おはよう」

 

カナちゃんが完全に目覚めたらしい。さっきも挨拶したけどね。

 

「じゃあ、今日はマナトさんからいただいた朝ごはんを食べてから、ヨロズ預かり商会にいこう。誰か意見ある?」

「さんせー!」

 

カナちゃんが元気よく返事してくれただけで特に反対意見はないみたい。なんか、この五人でよかったな。記憶がないわりに平和にやれてるし。

 

「あの、誰か火を起こせる人いる?」

 

シズクちゃんの発した言葉にみんなが黙る。誰もできないみたいだ。どうしよう、スープが温められない。

 

「まあ、仕方ないね。せっかく用意してもらったんだし、頂こう」

「私がよそうね。誰か運ぶの手伝ってもらえるかな?」

「オッケー、カナちゃんに任せて!」

 

女の子たちがキッチンに向かう。コウタが地図を眺めていた。

 

「オルタナって意外と色んなとこがあるんだな」

「僕もまだよく見てないんだけど、なにがあるの?」

「図書館とか公衆浴場も一応あるみたいだな」

 

ほんとだ。図書館か情報収集できそう。マナトさんたちに頼りっぱなしも悪いから自分たちでも集めないと。ヨロズ預かり商会いったあとは自由行動がいいかな…?

 

「お待たせ」

 

地図を眺めているとシズクちゃんたちがキッチンから戻ってきた。シズクちゃんがお盆からスープの入ったお皿をスプーンと一緒にそれぞれ男子の目の前へ配膳してくれる。家庭的な雰囲気はシズクちゃんにとても似合っている。女の子の分はカナちゃんが運んでいる。

 

「ありがとう」

「サンキュー」

「…ありがとう」

 

男子たちが口々にお礼をいう。こんな世界だっていうのになんだか和やかな雰囲気で落ち着く。

 

「お礼ならマナトさんたちに言わないと。私は運んだだけだしね。あと、思ったよりスープ、冷えてなかったよ」

「なら、よかった。じゃあ食べようか」

「「「「「いただきます」」」」」

 

あ、ほんとだ。温かくはないけど、ぬるいぐらいだ。冷たいより全然いい。っていうか、このスープ普通に美味しい。少し薄味だけど、素材を生かした感じ。ああ、なんかだか心が満たされる。みんなもほっとした表情をしている。

 

「うまいなこれ。誰が作ったんだ?」

「うん、美味しい!」

「マナトさんのパーティーに料理がうまい人がいるのかな?」

 

あっという間にスープがなくなってしまった。みんなも同じみたいだ。もっと食べたいけど、それはさすがに悪い気がする。食器、片付けなきゃ。

 

「よし、片付けは男子がやるから女の子はくつろいどいて」

「ありがとう、チハルくん」

 

みんなの食器をまとめてキッチンへ向かう。なんか現実を忘れてしまいそうだ。この五人でパーティー組めるといいな。

 

 

あのスープ、美味しかったなぁ。途中の露店でスープを見る度によだれが口の中に溢れてきた。みんなまだかなぁ。みんなはヨロズ預かり商会で両替をしにいってる。私はもうカパーは一杯あるから必要ない。ヨロズ預かり商会に預けるものいいけど、預ける金額の十分の一が預かり料になるらしいから、無理に預けることはないってことになった。少しかさばるけど持ち運べない量じゃないからね。

あ、鐘が鳴ってる。これもさっきヨロズ預かり商会の案内人みたいな人が時間を聞いたら教えてくれた。朝の六時から夜の六時まで、二時間に一回ずつ鳴るらしい。六時だと一回、八時だと二回…って感じで増えていくみたい。今は三回鳴ったからちょうど十時になったのかな。

 

「これ、待たせたな」

 

振り返るとそこには手を差し出しているテルくんがいた。あ、もしかして昨日の夕食代かな?受け取らなきゃ。

 

「ありがとうございます」

「礼をいうのはこっちだ、ありがとう」

 

四枚の銅貨を革袋の中に詰め込む。けっこうパンパンだなぁ。どうもテルくんは威圧感があってつい、敬語になってしまう。気にしてるかなぁ?今度からは注意しよう。

 

「お待たせー。はい。四カパー」

 

カナちゃんも戻ってきた。チハルくん、コウタくんも続々と戻ってくる。それぞれちゃんと四カパーずつ渡してくれた。

 

「よし、このあとはどうしようか?自由行動がいいと思うんだけど。僕はちょっと行きたいところあるし。でも、地図が一つしかないんだよね…」

「俺はなくても大丈夫だ。全部覚えた」

 

え?コウタくんもう覚えたの?そんなに見てる時間なかったよね?すごいなぁ。

 

「俺も図書館と宿舎までの道は覚えた。地図はいらない」

「…図書館?僕も丁度いきたかったんだ。着いていってもいいかな?」

「ああ、構わない」

「ありがとう。っていうか、二人ともすごいね」

 

地図ってそんな簡単に覚えられるものだっけ?私には絶対無理だなぁ。地図があったらまだなんとかなるだろうけど。

 

「じゃあ、地図は私たちが借りていいかな?カナちゃん一緒に回ろうよ」

「お、シズクちゃんからのデートのお誘い?!嬉しいなー」

 

デートって訳じゃないんだけどなぁ。まあ、女の子同士で仲良くしたいのはもちろんだけど。…あと、下着とかも見とかなきゃだし。替えがないのはね…。

 

「じゃあ、地図は女の子たちに渡しとくね。集合は夜の六時までに宿舎で大丈夫かな?」

「俺はそれでいいよ」

「私たちも大丈夫」

「よし、それじゃあ、一旦解散で。情報収集も忘れないでね」

 

まだ十時になったばっかだから時間にはかなり余裕がある。お金は無駄遣いしないようにしないとね。とりあえずは市場を一周していろいろ値段を見ていこうかな。なんか、お買いものってわくわくするなぁ。

 

 

どうやら、全員することがなくなったらしく、四時には宿舎に集まってしまっていた。まあ、お金もそんなに使えないし、仕方ないよな。だが、みんなそれぞれ情報を集めてきてくれたらしい。シズクとカナは市場で色んなものの相場を見てきてくれた。塩とか服が意外と値段が張るんだと。服が高いっていってたが、シズクたちはなんか買ってきてたみたいだった。まあ、女の子にはいろいろあるのかね。あと、武器も防具も新品のいいものは単位がゴールドのレベルだそうだ。今の俺らに到底、手が出せる訳がない。

俺はオルタナ全体をざっと回って、地図じゃわからない部分を調べてきた。昨日マナトさんがいってたシェリーの酒場が天空横丁にあるとか、宿場街が花園通りにあるとか、西町がスラム街で東町が高級住宅街だとか、まあいろいろわかった。いくつか良さげな酒場や食事どころも見つかった。ゾルゾとかいうのもうまそうだったが、少し高めだったから食えなかった。お金に余裕ができたらいってみるか。

 

「それで僕らなんだけど、グリムガルの歴史とかギルドとクラスについて調べてきたよ。図書館にあったオルタナニュースって記事がけっこう参考になったんだ」

 

歴史とかは正直興味がない。アラバキア王国だとか、不死の王(ノーライフキング)だとかいってたけど、聞き流した。

 

「で、ギルドのことなんだけど、マナトさんがいってたように、戦士、聖騎士、暗黒騎士、盗賊、狩人、神官、魔法使いの七つがあるらしいよ。パーティーには

盾役(タンク)の戦士か聖騎士、回復役(ヒーラー)の神官は必須になるんだって」

 

戦士とかの盾役は俺には向いてないだろうな。背も小さいし。向いてるとしたらテルか?…なんだ?チハルがなんか不安そうな顔をしている。

 

「…そこで改めて確認ってのもなんかあれなんだけど、この五人でパーティー組むってことでいいかな?どこか当てがあったりするなら引き止めることはできないけど…」

「いまさらなにいってんだよ。他にいくとこ何てないし。俺、このメンバー、けっこう気に入ってるぜ?」

「ああ、コウタのいう通りだ」

「私もこの五人がいいなぁ」

「カナも大さんせー!!みんなといると楽しいし!」

 

カナはどこでも楽しそうだけどな。思ってみれば今まで誰もパーティーになろうってちゃんと口に出してなかったよな。まあ、不安にもなるか。

 

「そっか、よかった。ちょっと不安になっちゃってね」

「おいおい、しっかりしてくれよ、リーダー」

「え?」

 

どう考えてもリーダーはチハルしかいない。チハルがいなかったらこんなに上手くいっていなかっただろう。間違いなくリーダーとしての素質がある。

 

「私もチハルくんがリーダーでいいと思う。…ううん、チハルくんにやって欲しい」

「俺からも頼む」

「うんうん、カナも大さんせー!!」

「またそれかよ!」

 

ついカナに突っ込んでしまった。みんなが笑ってる。ほんと、いい雰囲気になってきたな。

 

「うん、みんなありがとう。じゃあ、僕がリーダーをやらせてもらうよ。改めてよろしくね」

「俺たちはもうパーティーだろ?そういう堅っ苦しいのはなしだ」

 

俺は立ち上がって右手を差し出す。テルも立ち上がって右手を重ねてくれた。なんか、意外だ。テルが二番目にくるとは思ってなかった。それにカナとシズクが続く。

最後にチハルが右手を重ねる。

 

「…よし、これから僕たちは一蓮托生のパーティーだ。このグリムガルではなにが起こるかわからない。でも、この五人で支えあいながら生きていこう!」

 

なんかカッコつけたこといってやがるよ。まあ、こんなときぐらいはいいよな。チハルが四人の右手をおもいっきり押し出した。その反動で俺は拳を突き上げる。なんかそうしたくなった。みんなもそうしている。テルがやってるのは、やっぱり意外だな。ここまできたらあとはやること決まってるな?せえのっ!

 

「「「「「おーっ!!」」」」」

 

幸先のいいスタートだ。みんな息が揃ってる。会って二日でこれなら大丈夫だ、うまくいく。

 

「よし、じゃあ、まずは職業(クラス)を決めないとね」

「俺は聖騎士になりたい」

 

みんなが座り直しているとテルが不意にそういった。聖騎士?確かにテルの体格なら盾役が適任だろう。でも、何で聖騎士なんだ?

 

「テルには盾役をやってもらいたいと思ってたからいいと思うけど、何で聖騎士なの?」

「ちょっと、図書館で資料をな」

「そっか、考えてのことなんだね。じゃあ、テルには聖騎士をお願いしよう。他のみんなはやりたい職業とかある?」

 

そう言われてもよくわかんねぇ。職業について全然詳しいことも知らないしな。職業の名前で判断するなら俺に合いそうなのは盗賊か狩人ってとこか。

 

「私、あんまり直接モンスターと戦うのは自信ないかも…」

「女の子たちには確かに大変だよね。…一応、僕がそれぞれに合いそうな職業考えてきたんだけど聞いてもらえる?」

「おう、聞かせてくれ」

 

さすが、チハル。用意周到だな。

 

「じゃあ、まずはコウタね。コウタは盗賊がいいと思う。盗賊は主に偵察とかが役割になる。それだと小回りが利く方が有利だよね。それは僕も同じなんだけど、コウタは地図覚えるのすごく早かったし、空間把握能力も高いと思うんだ。だから適任じゃないかって」

 

盗賊か…。確かに俺は地図とか地形の把握は得意だと思う。それに身長も…。実は俺、ほとんどチハルも同じなんだが、身長が百六十センチもない。悔しいことに、カナに負けている。正直、シズクとほとんど差がない。ギリギリ勝っているくらいだ。悔しい。

 

「戦闘でも盗賊は素早く動くのが大切だけど、コウタならできるかなって。僕は多分、そんなに動けないし」

 

うん、それが妥当だよな。盾役はできないし、魔法使いも似合わないだろ。神官なんてもっと似合わない。狩人は…弓とかできる気がしない。

 

「よし、俺は盗賊になる。自分で考えてみても俺にはそれが一番向いてそうだ」

「じゃあ、コウタには盗賊をお願いするね。次は女の子たちなんだけど、シズクちゃんが魔法使いでカナちゃんが神官がいいと思ってる。これは逆になってもいいかもしれないけど」

 

シズクが魔法使いってのはなんかわかる。でも、カナが神官ってのはなんか少し違和感がある。てっきりチハルが神官だと思ってた。

 

「それでもこの職業を提案したのは、まず魔法使いは覚えることが多いこと。呪文とかエレメンタル文字をちゃんと暗記しないと魔法が使えないからね。その点、シズクちゃんはしっかりしてるから安心できるかなって思った。別ににカナちゃんが覚えられないだろうとは言ってないから勘違いしないでね?」

 

確かにカナは能天気だし、覚えるのは苦手そうだ。わかる。ちょっと、アホっぽいもんな。シズクがちょっと嬉しそうにしている。

 

「うん、カナは確かに覚えるの苦手だなー」

「あ、やっぱり、そうなんだ」

 

ん?今、チハルの毒舌が垣間見えた気がする。あいつけっこうズバッとものいうよな。俺だって身長ちっちゃいの気にしてんだぞ。

 

「で、カナちゃんに神官を提案した理由は、意外と周りが見えてるところが大きいかな。レッドムーン事務所でた後もシズクちゃんのフォローしてたしね。あとは人を元気付けるのが得意そうだから似合うかなとも思ったし」

 

意外ととかいってるよ。まあ、確かにシズクと手つないでたな。自己紹介するの切り出したのもカナだったし、神官でムードメーカーってのも悪くないかも。つーか、チハル、お前の方が周り見えてるだろ。観察力すごいな。

 

「あと、神官はいざって時に魔法使いを守ってもらわなきゃいけないからかな。カナちゃんならそういうときもちゃんと動けそうだしね。どうかな?」

「私は、それでいいと思う。カナちゃんに守ってもらえるなら安心」

「大さんせー!!回復はカナちゃんに任せとけっ。後ろから応援もするねっ」

 

確かに、これならけっこういい布陣だ。あとはチハルだけど…。

 

「チハルは狩人がいいだろう」

「僕もそれがいいと思ってるよ、テル」

「そうだな、観察力あるし。弓とかけっこう使えそうなタイプって感じするよな。リーダーなら後ろから見てる方が指示しやすそうだし」

「弓とか使ったことないからわかんないけどね。…整理すると、テルが聖騎士、コウタが盗賊、シズクちゃんが魔法使い、カナちゃんが神官、僕が狩人って感じだね。ちょっと前衛が心許ないか…。テルに負担かけるかもしれないけど大丈夫?」

「ああ、任せておけ」

 

テルはこのパーティーで一番体格もいいし、盾役の仕事もちゃんとこなしてくれそうだ。あいつなら安心できる。

 

「一応、マナトさんたちが帰ってきたら相談してみようか」

 

うん?何人かの足音が聞こえる。もしかして、マナトさんたちちょうど帰ってきた?

 

「やあ、ただいま。全員揃ってるみたいだね」

「あ、どうも。こんばんわ」

 

マナトさんと目が合って挨拶するが、少し変な感じになった。そんなに緊張しなくてもいいだろ、俺。後ろにはハルヒロさんの他に男女二人ずついた。

 

「おー、お前らが噂の後輩か?いいか?この、オレ様のことはランタ様と呼んで存分に敬えー!」

 

マナトさんのパーティーにいるわりにはなんかうざいやつだ。様つけさせるとか悪趣味すぎるだろ。

 

「じゃあ、うちのみんなにも自己紹介してもらうね。ほら」

「せ、戦士のモグゾーです。よろしく」

「ユメってゆうんやんかあ。よろしくなあ」

「…シ、シホルです。魔法使いです」

 

ユメって人は弓を背負ってるし恐らく狩人だろう。なんていうかマナトさんのパーティーのわりにはなんか迫力がない感じがする。

 

「ちなみに、俺が神官で、ハルヒロが盗賊だね」

 

ハルヒロさんが盗賊か確かにそれっぽいかもな。マナトさんの神官はイメージ的にはまり役って感じだ。俺の横でチハルが立ち上がる。

 

「僕たちのパーティーも紹介しますね。僕はついさっきリーダーになったチハルです。で、こっちがテル、シズク、カナヒ、コウタ、です」

 

チハルに名前を呼ばれた人が順番に立ち上がって軽く礼をした。

 

「って、お前らもしかして双子か?!そっくりじゃねぇか」

「ほんまやあ、しり二つってやつやなあ」

「ユ、ユメっ」

「うり二つね、一応」

「なんだよしり二つって!確かにしりは二つあるけどな」

「…あ、ああ!」

「モグゾォ、てめえ反応遅すぎだろ!」

 

目の前で繰り広げられるコントのようなやり取りに少し吹き出してしまった。けっこう仲がいいパーティーなんだな。

 

「そのことなんだけど、俺も昨日から気になってたんだよね」

「あ、おれも」

 

ハルヒロさんが小さく手を上げている。やっぱりか。チラチラ顔、見られてたし。

 

「みんなと同じように全く記憶がないんです。双子がいたことも覚えてないんです。ごめんなさい」

「そっか。全然謝ることないよ。…うん、これからよろしくね、チハルくん、コウタくん、テルくん、シズクさん、カナヒさん」

「くん付けとかしなくて大丈夫ですよ?」

「俺も大丈夫です」

「好きに呼んでくれ」

「私もなくて大丈夫です」

「カナはカナでいいよー」

「わかった、今度からそうさせてもらうね」

 

マナトさん、ほんとできる男って感じだ。素直に憧れる。

 

「じゃあ、夕食の準備しようか。詳しい話は食べながらでも」

「僕たちも手伝います。あ、そういえば朝食、ありがとうございました。朝食代いくら払えばいいですか?」

「いいよ、そんな。ただ残り物食べてもらっただけだし」

「…やっぱり払わないってのは、申し訳ないです」

「じゃあ、夕食分も含めて一人一カパーだけ受け取っておこうかな。これでいいだろ?」

「え?それだけでいいんですか?」

「うん、別に利益を求めてる訳じゃないしね。それに今日は久々に稼げたから気分がいいんだ。それくらいさせてくれないか?先輩の顔を立てると思って」

 

二回の食事で一カパー。十分破格だ。というか激安。利益どころか赤字。ただ、あんな風にいわれたら断れない。

 

「わかりました。マナトさんがそこまでいうなら」

 

みんなの銅貨を集めてチハルがマナトさんに渡した。

 

「おいおい、マナト!そこはもっとふっかけとけよ!」

「ランタは先輩がカッコいいってとこ見せなくていいの?」

「ま、まあ、確かに?オレは器がでかいからな。それくらい当然だな、当然。お前ら、感謝しろよ、この懐の深いランタ様に」

 

このランタって人はいちいちめんどくさい。まあ、一応は感謝しておく。

 

「よし、じゃあ、準備を始めようか」

 

マナトさんの声にみんなが動き出す。明日からはギルドで生活か。どんな感じになるんだろうか。期待半分不安半分って感じだ。いや、不安の方が多いか。とにかく、うまくパーティー組めて助かった。おっと、ぼーっとしてないで俺も手伝いにいかないと…。

 




読んでいただきありがとうございました!

本文にも出てきましたがアニメ公式のオルタナニュース、時間があったら是非読んでみて下さい。けっこう面白いですよ!

原作漁って呪文のこと調べていたんですが、電磁魔法(ファルツマジック)だけ呪文の最後がファルツじゃないんですよね。何でですかね?まあ、そういうものだと思っておきます。

ではまた次回で(* ̄∇ ̄)ノ

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