執筆していると原作のずっと先のことがどうしても書きたくなることがあります。そのときは素直にそれに従って書いてしまいます。モチベーションの維持にはそれが一番だと思ってます。
はい、どうでもいい話でした(笑)
では、本文です。
☆
「うーん!今日もいい天気だねー。マナトくんもパーティー編成のこともいいっていってたし、色々と順調だね!」
今はテルくんと二人でルミアリス神殿へ向かっているところ。そこに神官と聖騎士のギルドが両方あるみたい。カナは道とかまだよくわかんないからテルくんが案内してくれてる。
「ああ、そうだな」
テルくんはやっぱりあんまりしゃべってくれない。しゃべるの苦手なのかな?それともカナのことが苦手なのかな?うーん、あんまり話しかけない方がいいかなー?
「…カナは本当に神官の
やった!話しかけてくれた。なるべく会話途切れないようにしよう。
「うーん。カナはみんなを元気にするのとかけっこう好きだし、向いてると思うよ。それに他の職業もなんかぴんとくるのなかったしねー」
「そうか、ならいい。神官は危険な職業だと言われていたが…」
心配してくれてるのかな?テルくんって冷たそうに見えて意外とやさしいところあるよね。
「カナはけっこう運動とかは得意だし、大丈夫。いざって時はみんなを守るから、任せてっ。マナトくんもいってたけど、スタッフだっけ?で敵を華麗に撃退するんだから」
カナだってパーティーのためになることしないとね。なんか気が早い気もするけど、カナ頑張る。
「そうだな、頼む。だが、そんな状況にはさせない。そのために俺がいる」
そっか、テルくんがいるもんね!でも、テルくんは何で聖騎士になりたいの?」
テルくんだけは自分からやりたいっていってたよね。確か、図書館がどーとかいってたけど…。
「図書館で資料を見てな、習ってみたい先生がいる。すごい人らしいが、ほとんど弟子がついていけないらしい…」
「ふーん、厳しい先生なのかなー?でも、テルくんならなんとかなりそうだねっ」
「まあ、それなりの覚悟はしている。この世界では甘えてられないからな」
そっかー。テルくんは自分に厳しいんだなー。カナは考え方が甘すぎるのかな?
「カナもしっかりやらないとなー」
「無理にすることはない。特にカナは自然体のままの方がパーティーのためになる」
「そうかなー?なんか照れるねー、えへへ」
カナ、誉められてる?嬉しいな。でも、見習うとこは見習わないと。
「見えてきたぞ。あれがルミアリス神殿だ」
うわー、階段いっぱいだなー。あの変な模様がみたいなのがルミアリスの紋章かな?カナが神官になるってことはなんか宗教の教えとかあるのかなー?そういうのなんか苦手だなー。
それに、これから七日もあの中にいるのかー。あ、でも、出ない方が階段登り降りしなくていいから楽かも!
「よし、いくぞ」
「うん!」
カナもみんなに負けないように頑張らなきゃ!
○
魔法使いのギルドは座学から始まる。二日目も座学、三日目も座学。嫌というほどエレメンタル文字と呪文を叩き込まれた。昨日、テストがあり、それは難なくパスできた。今日からやっと魔法ができると張り切っていたんだけど、またも座学だった。
「ミシェル先生、こんなに座学やって今日はなに勉強するんですか?」
「エレメンタル文字はもう終わりだ。今日は魔法の系統についてだ。系統によってできることや得意なことが変わってくる。足止めの役をやるのか、火力を担当するのか、パーティーの中での役割で習得すべき魔法が決まってくる」
これはしっかり覚えなきゃ。パーティーの役に立つには必要だ。エレメンタル文字も覚えてなきゃ魔法さえ使えないからもっと重要なんだけど、もうしばらくは教科書を見たくない。
「魔法には四系統ある。
「じゃあ、神官とかが使う光魔法ってなんなんですか?」
「光魔法は光明神ルミアリスの加護によってもたらされるものだ。相対する魔法に暗黒魔法というものがある。これは暗黒神スカルヘルの加護によってもたらされる。エレメンタルによる魔法とは根本から異なるものだ。まあ、魔力を消費することには変わりないがね」
とにかく、私が使えるようになれるのは炎熱魔法と氷結魔法、電磁魔法に影魔法ってことか。うーん、詳しいことを聞いてみないことにはわからない。
「話を戻すぞ。まずは炎熱魔法から解説しよう。名前の通り炎や熱で攻撃するものだ。四系統の中では最も威力が出せる。一つ見せてやろう」
ミシェル先生が杖を構える。それだけの動作にもなんだか威厳が感じられる。
「デルム・ヘル・エン・リグ・アルヴ」
早い。そんなに早く詠唱できるもんなんだぁ。杖の動きも早い。私には最初のデルムと最後のアルヴしか聞き取れなかった。
あとは、途中でEとNを組み合わせたようなエレメンタル文字は見えた。あれは確かエンだったような…。
そんなことを思っていたら、先生と私の間に火柱が立った。けっこう熱かった。
「これは
「わかりました、炎熱魔法は高火力、高燃費ってことですね。でも、先生の詠唱早くて最初と最後しか聞き取れませんでした」
「…ほう、そうか、聞き取られては困るな。次からはもう少し早くしよう」
お金払わないと意地でもスキルは教えてもらえないってこと?ギルドってケチだなぁ。
「次は氷結魔法だ。エレメンタルの力で対象を凍結させ、敵の動きを阻害したり、それを攻撃に用いるものだ。四系統の中では扱いが比較的難しく、燃費もそこまでよくないが、使用する魔力に対して大きな効果が期待できる魔法だ。では、お手本だ…」
「ジール・メア・グラム・テラ・カノン」
今度はほとんどど聞き取れなかったし、見えなかった。ただ、最後はカノンなような気がするなぁ。もしかして、最後は全部決まってるのかな?
杖の先に青白いもやが現れ、先生が杖でそれを打ち出す。すると、その打ち出されたもやを中心として氷の塊が徐々に大きくなっていくのがわかった。そのあと壁にぶつかって砕けた。
「これは
「氷結魔法は扱いが難しくて即効性は薄いけど、工夫次第で魔法消費が少なくて済む、と。」
ちょっと難しそうだけど、これ、私好みなタイプかも。足止めも火力もできるならパーティーの役にも立つ。
「次に電磁魔法だ。これはエレメンタルの力で雷を引き起こして攻撃するものだ。四系統の中では一番速さがある。燃費もいい。ただ、当りどころによるが威力が総じて低めだ」
「ジェス・イーン・サルク・フラム・ダルト」
不意打ちだった。詠唱を始めたらと思ったら轟音が響いてきた。音がしたところの床が黒くなっている。
今回は詠唱の最後がファルツじゃなかったような気がするなぁ。一切聞き取れなかったが、ファルツだったら聞き取れる自信はあったかな。
「これは
「電磁魔法は速くて当てやすく、広範囲にも対応できるけど威力が低め、と」
嫌いじゃないし、手堅いけど、パーティーの方針次第じゃあまり役に立てないのかも。
「最後に影魔法だ。これは四系統の中で特に異質なものだな。ほとんど攻撃する手段を持たない。主に仲間のサポートが中心だ。そのため、魔力の消費も一番少ない。この魔法だけだと仲間に頼りきることになるから他系統の魔法と併用で使う場合がほとんどだ。いくぞ…」
「オーム・レル・エクト・ヴェル・ダーシュ」
今度は最後がダーシュだった。あれ?でも先生杖使ってない。でも、指先に黒いもやができてる。え?こっちくる?机に当たった。なにこれ?震えてる?
「今のは
「影魔法はサポート向きで杖なしでも使えるけど、攻撃できない、と」
攻撃できないってのはけっこう扱うのが大変そうだなぁ。でも、杖の影響受けないのはけっこう便利そう。
「これで四系統の魔法の説明は終わりだ」
「…ふと、思ったんですけど、今の先生の詠唱は早すぎてわからなかったけど、他のパーティーの魔法使いの詠唱が聞き取れたら使えるようになっちゃうんじゃないんですか?」
「魔法にはそれぞれ、エレメンタルの扱い方にコツがある。それは詠唱を見たり聞いたりしただけでは簡単に習得できるものではない。前もいったように、私はエレメンタルの生態について研究しているだろう?魔法を使うときのエレメンタルの挙動にはすばらしいものがあるのだよ。それを解析できれば魔法にもっと大きな可能性が見つかるかもしれないんだ。だから…」
あぁ、先先の目の色が変わっちゃった。エレメンタルのこととなると止まらないからなぁ。私、早く魔法やりたいんだけどなぁ。
□
今日でギルドでの訓練が始まってから五日か…。あと二日もこれが続くのか。辛い。体はもちろんだが、あの師匠の相手をするのが思ってた以上に大変だ。弟子がことごとく辞めていくのはこっちが原因だったのだろう。
「よし、テル。朝飯もたらふく食ったことだし、今日も張り切っていくぞ!」
本当にたらふく食べた。吐きそうだ。この人──ヨシゾウ師匠という──を一言で表すならば、善意の塊というところだろう。とにかくやさしい。やさしすぎて重い。
ギルドにいる間の飯は毎食きちんと支給される。だが、師匠いわく「お前みたいな食べ盛りのやつはこんなのでは足りん。たんと食べて体力付けろ」と、自腹を切って毎度のように大量の食べ物を調達してくる。初めの数日は師匠のいないところで吐いてしまっていたが、最近ではなんとか持ちこたえられるようになった。
鍛練のときも「すまない、お前を死なせないよう育てるためにやっていることだ!許してくれ!」と容赦なく技を俺に叩き込んで覚え込ませようとする。このときの師匠が号泣しているのだ。そこまでされると厳しい鍛練をされているとはいえ、怒りや不満をぶつけてしまうことは俺にはできない。なんだかんだ、師匠のことを好きになってしまっている。
その厳しい鍛練のおかげであの量の食事を摂っても全く太る気配がない。むしろ最近、筋肉がついてきた。つまり、結局のところ、俺は師匠に感謝している。
「…そうだ。今日はその前にお前に少し話がある。少し待っていろ」
師匠がいつになく真剣な口調だ。いつもならもっとムダに気合いの入った口調をしている。しばらくすると師匠が台形型の金属でできた大盾を持ってきた。百五十センチぐらいはあるだろうか。
「それは…?」
「これは私が現役時代に使っていた盾と槍だ。名前はトリストラムだ」
師匠が盾の裏側からなにかを取り出す。盾より少し短い柄のついた筒のように見える。師匠がその筒を右手で一薙ぎするとガシャンガシャンと音が鳴り、筒が伸びた。二メートル以上はある。
「お前がこれを使いこなせるようになったとき、私はこれをお前に受け継ぎたいと思っている」
「俺ですか?」
「ああ。今まで取ってきた弟子の中でお前が一番気に入った。口数こそ少ないが真面目でしっかりと鍛練に取り組んでくれたからな。それに背格好を私と同じぐらいだ。この長物でもお前なら使いこなせるようになると信じている」
嬉しい。師匠はよく褒めてくれるタイプだが、明確に理由をつけることがない。つまり、勢いだ。でも、今回は違う。ちゃんと俺のことを認めて褒めてくれた。
「はい、ありがとうございます。俺は絶対そいつらを使いこなせるようになってやります」
「よくいった、テル。それでこそお前だ。ちょっとこいつらを持ってみろ」
師匠がトリストラムを受け渡してくる。槍は傘状の鍔のようなものがついていて、柄がとても長かった。深くまで持つと鍔が肘の辺りまで覆ってくれて防具にもなってくれる。そのとき、柄は肘より長い。腰で支えながら振れるようになっているようだ。盾を腰を落として構えると、しっかりと足元までカバーしてくれ、目線がちょうど盾の上から出るぐらいだ。どちらもサイズがぴったりだ。そしてなにより…。
「…軽い」
「その金属はドワーフにしか採掘、精錬ができないといわれているミスリルだ。知り合いのドワーフにオーダーメイドで作ってもらった。だが、軽いといっても見た目の割りにはといったところだろう?」
ドワーフか。鍔のところにゴルドヘルドという名前が彫られている。これが製作者の名前だろうか。
「はい。俺にはまだ扱えない…」
軽いといっても十分重い。今までの訓練で使っていたバックラーと三叉槍とは比べ物にならない。
「そうだろう。だが、そいつらを使いたいときはいつでもこい。スキル以外なら個人的に教えてやれる。その前にお前はやらなきゃならないことがたくさんあるがな。トリストラムを渡す前にお前に死なれる訳にはいかない」
「わかってます」
「では、張り切っていこう。私の思いに応えてくれ!」
私の思いに応えてくれ。師匠の口癖だ。わかっている。俺にできるのは師匠からできる限りの技を吸収することだ。師匠の思いに応えるためにも、みんなを守る盾になるためにも。
読んでいただきありがとうございます。
やっと次から戦闘に入れると思います。この視点での戦闘がどうなるか…
楽しみにしてもらえると幸いです。
では、次回にて(* ̄∇ ̄)ノ