影と現身のグリムガル~五つの欠片~   作:?BOX

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どうも、更新です。

筆者は近所の本屋に全然原作八巻がなくて嘆いています。おとなしくアマゾンで頼むべきでした。

主人公格のオリキャラが多いと、それに伴ってさらにオリキャラが多くなってしまいますね。読者さんが混乱してないといいですが。
日常部分を減らせばキャラも減ると思うんですが、やっぱりそこが書きたいので減らせませんね。すみませんが、お付き合い下さい。

※四月五日に光魔法の詠唱文を変更しました。それに伴い、前後の会話も少し変更しました。

それでは本文です。


第八話 知らないところで

 

マナトさんと酒場で飲んでから三回の朝を迎えた。僕は今、狩人ギルドにきている。昨日と一昨日の二日間で運良く、三シルバーとちょっと稼ぐことができたので、各自新しいスキルを一つずつ習ってから、ダムローに挑戦しようってことになった。これから二泊三日、ギルドでみっちり修業だ。

マナトさんたちは、僕たちが稼いでいた二日間にギルドでスキルを習っていたみたいで、顔を合わせることがなかった。もしかしたら、マナトさんたちに狩られるはずだったゴブリンがダムローから森に流れてきたから、たくさん稼げたのかもしれない。そんな巡り合わせがあったらおもしろいけど、さすがにないよね。

 

「チハルくんじゃない。今日はどうしたの?」

 

振り向くとストレートの黒髪を腰までスラリと伸ばした二十代中頃の女性が立っていた。メガネをかけているけど、伊達らしい。僕の師匠、サクラさんだ。彼女は狼犬をこよなく愛する人で二匹もの狼犬を従えているらしい。ちなみに独身。結婚に関する言葉を聴くとかなり不機嫌になり、八つ当たりをするように僕のことを厳しく鍛えてくる。線の細い体をしてるけど、かなりの弓の名手で、エルフ直伝の技術を身につけているらしい。

 

「えーと、今日はスキルを教えてもらいにきました。今回は速目(はやめ)を覚えたいです」

「駆け出し義勇兵にはお手頃なスキルね。お代は三シルバーよ」

 

革袋から銀貨を三枚取り出しサクラさんに手渡す。サクラさんの手にはタコがない。ほんとに上手い人は余計な力を入れずに弓を扱えるからできにくいらしい。でも、僕の手にはタコがある。まだまだ修業が足りないな。

 

「あ、あとギルドの資料室にある毒草の本読んでもいいですか?」

「ギルドに所属するものなら誰でも読めるから自由にしていいよ。でも、私は植物の知識そこまでないから教えられないよ。詳しい人なら知ってるから紹介して欲しかったらいって」

 

狩人ギルドには野草や動物などの生態や特徴を記載した図鑑が保管されている。スキルは基本的に口伝で、文章化されていないが、知識に関することなら自由に学ぶことができるようになっている。ただ、植物や動物からの成分の抽出などは技術的なものなので、お金を払って狩猟術のスキルとして習得するしかない。

 

「とりあえずは自分で勉強してみます」

「いい心掛けね。じゃあ、こっちの修業も始めるわよ。さっそく、射撃場まで移動するわよ」

「いきなり練習なんですか?」

「速目は特殊な眼球運動と暗示によって遠目が利くようにするスキルよ。どんどん慣れていかないとマスターできないの」

 

眼球運動と暗示か…。なんか難しそう。

 

「はい、わかりました」

「じゃあ、付いておいで」

 

 

前回と同じように、師匠にたんまりと昼飯を食べさせられた。腹が苦しい。だが、今回の目的は光魔法のスキルを習うことだ。激しい運動をすることはないはずだ。

 

「よし、テル。まずは手本を見せる。よく見ていろ。…光明の神よ、その光を以て我に戦を制する輝きを……誘いの光(ヘイトライト)…!」

 

神官の回復の光魔法と祝詞がだいぶ違う?もはや別物だ。

師匠が唱え終えると盾に刻まれているルミアリスの象徴である六芒が光り出す。いや、ゆっくりと点滅するように弱くなったり強くなったりしている。

誘いの光は盾の六芒に特殊な光を宿すことで敵の意識を向けさせるというスキルだ。あくまで意識を向けさせるものなので確実に引き付けられる訳ではないらしい。

だが、これを習得すれば盾役(タンク)としてもっとパーティーの力になれるはずだ。

 

「聖騎士の使う光魔法の祝詞は、その魔法ごとに異なっている。それぞれの魔法の効力に関することになっているから覚えにくいということはないはずだ。誘いの光の光は時間経過か、…黄昏の訪れ(トワイライトアドヴェント)…という言葉で見ての通り、消える」

 

師匠の声は低くてよく響くからか、貫禄がすごい。祝詞を聞いた者は全て、ルミアリスの教えを信じてしまいたくなるほどの荘厳さがある。

 

「この魔法を使おうと思う者は少ないが、聖騎士なる者、この魔法を覚えずして如何に仲間を守る盾となるというのか。間違いなく必須のスキルであろうに」

 

確かに、聖騎士になろうという義勇兵の多くは盾役をこなせることと同時に、回復役(ヒーラー)もこなせるという利点を求めていることが多い。純粋な盾役としてのスキルは必要とされていないのだろう。

 

「俺は、パーティーの盾になりたい。だから、聖騎士を選んだ」

「そうだ、始めにここを選んだお前の選択は正しい。お前のその願いは今や、私の願いでもある。私の期待に応えてくれ。私もお前の期待に応える。最高の盾へと導いてやろう」

「はい、お願いします…!」

 

師匠の言葉は心に響く。パーティーのことに対してより自覚を持てたのも師匠のおかげだろう。本当に感謝している。だから、少しでも期待に応えたい。そして、強くなりたい。

 

「では、修業を始めよう。今日はトリストラムを使え、少しでも慣れておいた方が良い」

 

…やはり、まだ手に馴染まない。いつも使っている三叉槍とは材質も重心も違う。それに鍔があるので短く持つこともできない。トリストラムを使うときはだいぶ今と戦法が変わるだろう。

だが、どちらも完璧に近づけるしかない。近づけたい。師匠の期待に応えるため、パーティーの盾になるため、必要なことだ。

 

「魔法の修業の合間でもいい。こいつの修業もつけて欲しい」

「いいぞ、テル、その意気だ」

 

 

「カナちゃん、もうそろそろ休憩にしないかい?」

「なにいってるんですかー、修師(マスター)。カナはまだまだ疲れてないですよー」

「カナちゃんはまだ若くて元気だからいいけど、俺はもう子持ちのおじさんだよ?そんな体力、もうないさ。あと、嫁さんのために夜の体力もとっとかないとな」

「修師は戦う神官で有名だったんでしょ?あと、修業中は下ネタは禁止っ!」

「それは現役時代の話。今は家庭のためにせっせと働くただのギルド職員やってんの」

「じゃあ、今はカナの修業がお仕事でしょ?だから、働いて!」

「おっと、そうくる?でも、これはボランティアみたいなもんだろ?…わかったわかった、そう睨むなって。やればいいんだろ?」

 

この人はカナの修師のタケミヤさん。無精ヒゲを生やしたダンディーな感じなおじさん。性格はちょっとおどけた感じ?おもしろいからカナはけっこう好きだ。

ギルドに来て、もう二日目の夕方だから、癒光(ヒール)はほとんど習得できた。だから、今みたいに修師にひたすら手合わせしてもらっている。

修師は昔、戦う神官として有名だっただけあって普通に強い。通り名もあったらしいけど、…忘れた。でも、まだ全然本気じゃなさそう。ほら、今もあくびしてるし。

修師は普通に強いからカナもよく怪我をする。それを自分の光魔法で治すから魔法の修業にもなる。まさに一石二鳥だねっ。…わっ!

 

「はい、足下がお留守だ」

 

足を引っ掛けられて尻餅をついた。修師のショートスタッフを捌くのに必死で全然見えてなかった。

 

「えへへ、まだまだ敵わないなー」

「当たり前だ。俺だってまだスキルも使ってないぞ。それにショートスタッフは本業じゃあないからな」

 

修師は戦鎚(ウォーハンマー)の使い手。戦鎚はカナが使ってるメイスより扱いが難しい。メイスは基本的に柄頭で殴ればどの方向でもダメージを与えられるような形をしてるけど、戦鎚は柄頭の両端でしか有効なダメージを与えることができないらしい。その分、威力は高くなるみたいだけど。

 

「じゃあ、持ってきて下さいよー」

「あれはダメだ。加減が難しいからな」

「むー!」

「…おお、なんたることだ!」

「ホーネンの声か?相変わらず、でかい声だ」

 

神殿の入り口の方が騒がしい。誰かが叫んでるような声が聞こえる。なんかあったのかな?…もしかしてまた怪我人?

 

「下、いってみるか?」

「うん」

 

なんか嫌な予感がする。また誰か亡くなっちゃうのかな…。

 

「死した者を救うことは誰にもできぬ。マナト、なんたる愚か者だ!あたら若い命を散らすとは何事ぞ!」

 

…え?死した者?今、マナトって?気のせいだよね?

確かめなきゃ…。

 

「おい、ちょっと待て!走るなって!」

 

うん、気のせいだ。カナ別に耳よくないし。大丈夫、きっと。

 

「このうえは丁重に葬ってやることだ。不死の王(ノーライフキング)の呪いにより、適切に埋葬されない死者は、彼の王の従者と化してしまう。長くても五日。三日でゾンビと成り果てた例もあるのだからな。…友のその様な姿など、誰も見たくはあるまい」

「……君を…燃やせってことですか?」

「然様」

 

聞こえにくいけど、これは多分、モグゾーさんの声だ。

 

「……それも金取られるんですか?」

 

今度は、ハルヒロさんだ。階段を駆け降りる。

 

「持ち合わせがなければ、わしが払お…」

「いいよ!……いいです。マナトは…おれの…おれたちの…」

 

マナト。ついにハルヒロさんの口からマナトさんの名前が聞こえてきた。

それと同時にその光景がカナの目の前に広がる。へたり込んで泣いているシホル。それを抱き締めるユメ。力なく座り込むランタさん。ハルヒロさんとモグゾーさんは神官の人と向き合っている。そして、マナトさんが台の上に寝かされている。

 

「…おれたちの仲間だから」

 

ハルヒロさんの声とシホルの泣き声がルミアリス神殿のだだっ広い空間に反響する。

これ、夢じゃないんだよね?カナ、さっきまで普通に修業してただけ、なのに何で?何でマナトさんが死ぬってことになってるの?

 

「お前の知り合いか…。俺は励ましとか苦手だ。だからなんにもいわない。でも、とりあえず、今日はもう…休憩だ」

 

修師はカナの頭を一撫でしてから上の階へ戻っていった。

 

 

「…まだ無理か。おい、迷い子犬(ウェイバーパピー)。そろそろ鎖を外してみろ」

 

迷い子犬。それが俺につけられた盗賊にだけ通じるらしい、通り名だ。先生によると俺が優柔不断で流されやすいからだそうだ。俺ってそんなにうだうだしてるか?自覚はない。ただ、子犬の方には自覚がある。間違いなく、背がちっさいからだ。仕方ないだろ、そんなの。それにあんたも俺とそこまで身長変わらないじゃないか。

まあ、結局のところ、こんな通り名なら欲しくなかったってことだ。

 

「こんなん最初から無茶なんすよ。どうやって音を鳴らさないで動けっていうんですか」

 

俺は今、盗賊ギルドで忍び歩き(スニーキング)のスキルを修業しているところだ。背面打突(バックスタブ)でもよかったが、先生が忍び歩きを推してきたので、結局そっちにした。

もう二日目も夜になり、修練も終わりが近づいているのにも関わらず、今日は胴体や腕、ふくらはぎに鎖を巻き付けたまま、音出さないように動く練習をひたすら繰り返していた。

 

「俺はできる。できなくてもこの修業でだいぶ変わるはずだ」

 

先生の名前はナカモリだ。先生はビビリで喧嘩殺法を好まない。好まないってだけで使えない訳じゃないみたいだけど、あの小さい体だ。使っても力負けしてしまうのだろう。

性格的には口数が少なくて陰気な感じだ。まあ、正直あんまり好きじゃない。

 

「取りましたけど」

「それで忍び歩きをやってみろ」

「…わかりました」

 

あれ?なんか静かにスムーズ動けるようになってる…?

鎖を取って体が軽くなったからか?いや、それだけじゃない気がする。

 

「…ふん、だいぶよくなったな」

「何で…?特にコツを教わった訳じゃないのに…」

「コツなら最初にいっただろ。柔らかく流れるように動けと」

 

確かにいわれた。けど、鎖を巻いてひたすらに音を立てないように動いてただけな気がする。途中で先生の助言というか文句が聞こえてきたくらいだ。何でそれだけで?

 

「どういう原理なんすか?」

「鎖はゆっくり加速、減速すれば、音を出さずに動く。逆に急加速、急停止させれば音が出る。それだけだ」

 

先生は手に鎖をぶら下げて実践している。

つまり、鎖を巻くことで無意識にそれをやらせて、〈柔らかく流れるように〉動くよう仕向けたってことか?よくわかんねぇ。

でも、とりあえずできるようになった。それでいいだろ。別に俺が誰かに教える訳でもない。

 

「とにかく、忍び歩きはマスターできたってことなんすよね?」

「…及第点だな。あとは実戦で磨け」

 

そうだよな。実戦で使えなきゃ意味がない。明日からはいよいよダムローか。気合い入れていかないと。油断はできない。

 

「わかりました」

「…ふん。今日はこれで解散だ」

 

先生はそのまま部屋をあとにした。俺もいこうか…いや、ちょっとだけ練習していこう。

 

 

あれ?ここって前も通った道だよね?…ってことは間違ってる?前に迷った道だよね?…どうしよう?そうだ、とりあえず、展望楼を目指そう。あそこからなら北門までいける。

時間は?…あった、時計塔。十時まであと少し。集合時間までにはギリギリ間に合うかなぁ?

見えてきた!みんなもういるっぽい?また一番最後かぁ。でも、まだ鐘鳴ってないし、遅刻じゃないね。

今回は氷結魔法(カノンマジック)氷結球(アイスグローブ)を習ってきた。今日からはもっとみんなの役に立てるはず。頑張ろう!

 

「みんな、おはよう!」

「うん、おはよう」

「おはよう」

「おっす」

 

カナちゃんから返事がない。…うつむいていて、元気なさそう。大丈夫かな?

 

「カナちゃん、どうしたの?」

「今日の朝からこんな感じだ。訳はみんなが揃ったら話すといっていた」

「カナちゃん、みんな揃ったよ」

「うん、わかってる。…じゃあ、話すね」

 

カナちゃんが覚悟を決めたように顔を上げる。あんまり顔色がよくないし、表情がすごく暗い。いつものカナちゃんと全然違う。

これから何の話をするんだろう。全然わかんない。でも、よくない話なのはわかる。

 

「……昨日ね、マナトさんが亡くなったの」

 

……え?亡くなったって、死んだってことだよね?マナトさんが?

みんなもなにいってるの?みたいな顔してる。だって、あんな優しくてしっかりしてたマナトさんだよ?それがどうして、そんな、いきなり死ぬなんてことになるの?この前まで普通に過ごしてたのに。私たちだって、少しずつ慣れてきたグリムガルでの日常を過ごしてただけなのに…。お世話になった人が死ぬ?

これって現実?でも、夢じゃないし、カナちゃんがそんな嘘つく訳がない。あんなつらそうな表情する訳がない。

 

「朝一で火葬場にいったみたいだから、多分、今は火葬も終わってオルタナの外にある墓場に埋葬してるころだと思う」

 

火葬、墓場、埋葬。めったに聞くことない言葉。だからなのか、そんな言葉を聞くとなぜか現実味が増してくる。

 

「カナ、神殿でみんな…ハルヒロさんたち、が、泣いてたり、落ち込んでたりしてたのに、…声掛けられなかった。…なんて声掛ければいいかわからなかった。カナなんにもできなかった…」

 

そっか。つらかったよね。昨日夜寝れたのかな。無理だよね。

気づいたらカランと杖を地面に放り投げて、体が勝手に動いてカナちゃんをギュッと抱き締めていた。

なんて声を掛ければいい?わかんない。いい言葉が見つからない。でも、そのときに側にいてあげたかったなぁ。

カナちゃんもギュッって抱き締め返してきた。言葉が見つからないなら今はそれでいい。できることをやるしかない。

カナちゃんの頭を撫でる。カナちゃんは泣かない。強いな。私なら多分泣いちゃってる。っていうか、今、私の方が泣いちゃいそう。

 

「…あの…さ。僕たちも墓場いってみないかな?僕たちも色々お世話になったから、その、あいさつっていうか弔いみたいなことしたいし」

 

そうだよね。マナトさんの死にもちゃんと向き合わないとだよね。

 

「カナちゃん?いけそう?大丈夫?」

「…うん、いきたい。あのときはなにもしてあげられなかったから」

「じゃあ、みんないこうか」

 

墓場までの道のりはコウタが先導してくれた。私はカナちゃんと手を繋いで歩いたけど、会話はほとんどなかった。もちろん、他のみんなもずっと無言だった。

墓場が見えてきた。人影も五つある。立っているものもあれば、座っているものもある。ハルヒロさんたちだ。当然のことながら、マナトさんの姿はない。

 

「あれが…」

 

多分、今の声はチハル。さらに近づいていくとハルヒロさんたちの目の前に赤い三日月が刻まれた石がある。あれがマナトさんのお墓なんだ。…ほんとに亡くなったんだ。

カナちゃんの言葉でわかっていたつもりだった。でも、それは偽物だった。聞くのと実際に見るのじゃ全然違う。なにかが一気に込み上げてくる。悲しい?寂しい?違う、()()

人ってこんな感じで死ぬのか。このグリムガルにきて、一番っていっていいほどお世話になった人なのに、いつの間にか、知らないとこで死んじゃうんだ。私なんてなにもできずに死んじゃうんだ。

 

「…ハルさん」

「…ぅあ?チハル?…え?どうして?」

「昨日、カナちゃんが神殿にいたらしくて」

「そっか、それで…ね」

 

ハルヒロさんは魂が抜けたような声で受け答えしている。その返答にも力がない。

 

「あの、手、合わせていってもいいですか?」

「…ああ、うん。その方が…マナトも…喜ぶと思うから」

 

チハルがお墓の前に進みでたから、みんなそれに続いた。

カナちゃんと繋いでた手を離して手を合わせて、目を瞑る。こういうときってなに考えればいいのかな?感謝の気持ち?謝罪?後悔?…あれ?わかんない。私、マナトさんの死を悲しいってほんとに思ってる?思ってるはず。でも、なんで、なにも出てこないの?

 

「シズク、いくぞ」

 

コウタの声だ。みんなはもう手を合わせてなかった。

そんなに時間経ってた?でも、私まだなにも…。

 

「シズクちゃん、きてくれてありがとなあ」

 

ユメちゃんがぐったりしたシホルちゃんを撫でながら、疲れた目で見つめてくる。

 

「……ぅ、ぁ…」

 

声が喉の奥でつぶれた。なんていえばいいかわからなかった。




読んでいただきありがとうございます。

そして、マナトファンの方、ごめんなさい。殺してしまいました。
筆者自身もマナト死亡回を見て涙腺が崩壊して、原作の購入を決意したほどのマナトファンなのですが、こうなってしまいました。最初から決めてました。
マナトが生きてる姿も見たかったのですが、グリムガルでの死、()()()()()()()、というものを表現する上で一番相応しいのがやっぱり彼でした。後悔はしていません。
ありがとう、マナト。

では、また次回にて。
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