感想や評価をお待ちしております!!
では、始まります。
異世界転移
「The World」。
MMORPGというネットゲームであり、フェイスマウントディスプレイによる立体映像と音響が楽しめる。まるで異世界に転移したかのような感覚を味わえるゲームだ。
The Worldは絶大な人気により支持を得ている。日本だけじゃなくて海外にも有名となっている。超人気ネットゲームだ。
しかし、それは仮の姿。実際のところThe Worldは究極AIを生み出し、成長させる為の学習装置だ。
ボク自身最初は普通に楽しむためにThe Worldを始めたけどそれで大きな運命に巻き込まれるとは思わなかった。でも大きな試練に立ち向かうために最後までThe Worldを続けた。
アウラを救うため、親友のオルカを救うため、未帰還者を救うために。そして八相を倒してThe Worldを守り抜いた。
後にアウラから「薄明の腕輪」を貰いうけ、その真意を知るまで腕輪を守り抜いた。
そして八相の破片データを取り込んだ「最後のウィルスバグ」をデータドレインして腕輪が消滅したのを機にボクはThe Worldを引退した。
それから数年が経った。ボクは引退したけどやっぱりThe Worldをまたプレイしたいと思っていた。
リアルでもThe Worldの仲間達との交友はあるけど昔みたいにみんなで冒険したいし……アウラにも会いたかった。
でもリアルは忙しいの一言だ。なぜなら受験があったからだ。こればっかりはどうしようもない。
オルカ……親友のヤスヒコだって受験でヒイヒイ言ってたし、ボクも言っていた。
それでもやっと落ち着いてきたと思ったらCC社で火災が起きた。その影響で世界的人気を誇ったネットゲームThe Worldのデータサーバーに深刻なダメージを与えたんだ。
おかげでボクはカイトとしてThe Worldに行けなくなったんだ。
でもまた数年後にCC社からこんなメールが届いた。
「何々……The World R:1のデータサーバーをついに復旧することに成功。つきましてはカイト様にアカウントをお返ししますだって? しかもThe World R:2仕様にもしているのでThe World R:1のキャラのままThe World R:2をプレイできます!?」
これには驚いた。もう不可能だと思っていた空想が現実になったからだ。CC社は凄いと思ってしまった。
もう何年もThe Worldをしていない。もしかしたらこれは運命かもしれない。ログインしてみようかと思った矢先、狙ったかのようにメールが届いた。
メールの送り主はブラックローズからだ。内容は.hackersのメンバーで集まらないかとのことだった。
これはボクも反対なんてしない。久しぶりにみんなに会える。これほど嬉しいことはないから。
いろいろ会って話がしたい。The World R:2をプレイしているメンバーにも話がしてみたい。
「確か、なつめとぴろし(今はぴろし3)、ワイズマン(今は八咫)がプレイしているんだっけ。どっちのキャラで来るのかな?」
ワクワクしながらThe Worldにログインした。
そしてログインした場所はルートタウンの水の都マク・アヌでもなくて遺跡都市リア・ファイルでも無かった。
「ここ何処?」
目に映るのは広がる草原に輝く星空、肌を撫でるように吹く夜風。
「ん? 肌を撫でるような吹く夜風?」
ピタピタと身体を触る。感触があるし、嗅覚なども感じられる。まるでリアルのようだ。
「ログアウトできない……まさか」
『未帰還者』……その言葉が頭の中に浮かび上がった。だけど有り得ない。もう事件は解決したんだ。
「これは本当にどういう状況なんだろう?」
「カイトー!!」
後ろを振り向いて見ると相棒のブラックローズが走ってきていた。
「ブラックローズ!!」
「カイトも居て良かった~。さすがにリーダーだけが居ないなんて寂しいしね」
「いやいや、ボクも困ってたんだよ1人だけなんてね。て言うか……カイトもって、他にもメンバーがいるの?」
「いるわよ。つーかみんながね。ほら向こうにいるから来てよ」
「ちょ、ブラックローズ襟を引っ張らないで。苦しいからさ」
「いいから早く来なさーい!!」
苦しいんだけど。みんなのところに着いた頃にはグッタリとしてしまった。
これじゃあリーダーとして形無しだよ(汗)
「お、カイトじゃないか。お前も来てたか」
「無事のようだなカイト」
「オルカにバルムンク。それにみんなも!!」
その場に居たのはThe World R:1からの仲間たちだ。
ブラックローズ、オルカ、バルムンク、ヘルバ、、八咫(ワイズマン)、ミストラル。
なつめ、ガルデニア、砂嵐三十郎、寺島良子、月長石、エンデュランス(エルク)。
レイチェル、マーロー、ニューク兎丸、ぴろし3(ぴろし)。
全員がいるわけではなくてキャラエディットも違うけど、これは.hackersのメンバー。懐かしいメンバーが勢ぞろいだ。
だけど懐かしがってる場合ではない。今の状況を理解しないといけないんだ。メンバー全員が不安そうな顔、何かを考える顔、ワクワクする顔をしていた。
ここでボクがすることはみんなに何か言葉を言うことくらいだ。
「みんなここは落ち着いて。確かに今の状況は分からないことだらけだ。でもボクたちは今までもどんな困難な事件を解決してきたんだ。今の状況だって大丈夫さ!!」
「カイト……」
ブラックローズが呟く。
「黄昏事件だって最初は分からないことだらけで右も左も動けなかった。でも皆と力を合わせたからこそ八相を倒し、未帰還者たちを救ったんだ。今回だって皆で力を合わせればなんとかなるよ!!」
今回だって皆で力を合わせればどうにかなるはずだ。
「そうよね。今はウジウジしてないで前向きにこの状況を考えるべきよね!!」
「フッ……カイトの言う通りだ。分からないことだらけだがまだ何も始まってもいない。そんなんでいきなり挫折するのはおかしいことだからな」
「そうだな。何もせずに……なんて性に合わないしな」
「ブラックローズ、バルムンクにオルカ。ありがとう」
ボクの言葉は皆に力を与えたようだ。言葉……言霊なんて言うのかな、前向きな言葉をかければ人は前向きになろうとする。言葉の力とはバカにできないと思う。
他のメンバーからも不安が消えている。良かった良かった。
これからこの世界のこと、どうするかを決めようとした時に聞きなれた音『ハ長調ラ音』のポーンという音が聞こえた。
すると皆の中心に光の玉が現れる。光の玉は女性の姿へと変化する。その女性の姿はThe Worldで出会った女神であるアウラであった。
もう何年も会っていない女神アウラ。
「アウラ!!」
「カイト……」
アウラがボクの近づいてくる。そして右腕に手をあてると腕輪が現れた。
「腕輪」。ボクにとって運命を感じるようなモノ。ボクは「黄昏の腕輪」と「薄明の腕輪」を持っていた。
その腕輪は必ず意味があるものだった。なら今ある腕輪にも意味があるはずだ。
「それは「黎明の腕輪」。使う者次第で祝福にも呪いにもなる。カイトなら大丈夫」
「アウラここがどこか分かる?」
「ここはThe Worldではありません。ここはThe Worldとは別の世界です」
「異世界ってやつか……マジかよ」
オルカがボクの思ったことを代わりに言ってくれた。異世界なんて突拍子も無い言葉だがボクはすぐに信じた。
実はブラックローズとボクは異世界に渡った経験はある。これも異世界のことに関した信じた理由の1つだ。ブラックローズを見ると少し驚いているがすぐに冷静さを取り戻している。おそらく前の異世界のことを思い出したのだろう。
周りの皆を見てみると驚いている人もいるけど冷静な人もいた。……案外、冷静な仲間が多い気がする。
「もしかしてアウラがボクらをこの異世界に呼んだの?」
「はい。この世界には八相の破片データを取り込んだウィルスバグがいます。そのウィルスバグを駆除してほしいのです」
八相の破片データを取り込んだウィルスバグと聞いて腕輪を見る。どうやらこの異世界にきた理由は分かった。そしてやるべきこともだ。
「どうやってウィルスバグがこの異世界に入り込んできたのか分かりません。しかしThe Worldから異世界に来たのならば、異世界からThe Worldに戻ってくる可能性もあります」
八相の破片データを取り込んだウィルスバグが異世界で成長したあとにThe Worldに戻ってくることを危惧しているということだ。ならば成長する前にウィルスバグを駆除しようとのことだ。
確かに危険な芽は早めに摘み取るのが定石だ。アウラの言いたいことは分かる。
「私はこの世界には少ししか存在できません。ですが私も力をお貸しします。お願いですカイト、The Worldを異世界を救ってください」
「うん、任せてよアウラ!!」
皆も首を縦に頷いてくれる。この瞬間に.hackersが再結成された。
「ありがとうカイト……」
光の玉となり、アウラはその場から霧のように消えた。
「アウラ……任せて」
side変更
一方、ナザリック陣営ではモモンガの演説が終わった後に守護者たちの超が付くほどの高評価を受けて冷や汗を流していた。
アンデッドなので物理的に汗はかけないが精神的には滝のように流していた。
「疲れた……あいつ等の高評価マジだ」
ガイコツの目が赤く光る。
異世界に2つの大きなギルドが現れた。この2つのギルドが出会うのはもう少し先の話となる。
残念ながらナザリック陣営の出番はまだ少ないです。
ごめんねアインズ様!!