今回の話はカイトたちチーム以外の探索チームの話です。
カイトたち以外の行動ですね。登場するのはみんなのヒーローぴろし3!!
では、始まります。
.hackers陣営。
なつめ・ぴろし3チーム。
緑と蒼を基調とした服を着た双剣士なつめと金ピカ重装備の重槍士ぴろし3は天然漫才をしながら王都リ・エスティーゼに到着していた。
早速目的である情報収集を行なうつもりであったがそれはできずにいた。原因はぴろし3である。
王都の中央通りには立ち並ぶ家屋も大きくて立派なものが多く、多くの人々の活気に満ちている。そんな中に全身金ピカの鎧を着た男がいれば必ず目立つ。
さらに独特の言動が相まってやたら人目を引く存在なのでより一層目立つのだ。良い意味でも悪い意味でも。
そんな彼と同行を共にしているなつめは気苦労が絶えない。
「ぴろし3……早く情報収集しましょうよ。なつめは早く情報収集して休憩したいです」
「何を言うなつめ!! こうも目立つと言うことは情報収集に役に立つということなのだぞ!!」
「えー……そうなんですか?」
今ぴろし3が何をしているかというと演説兼、ボディビルの真似事をしている。
実際には金ピカの鎧を見せ付けているだけである。そして演説とは真実と嘘を混ぜ込んだ冒険譚だ。
なぜこのようなことになっているかというと、ぴろし3となつめが王都に入った瞬間にぴろし3の金ピカ鎧が目立ち、人々から質問攻めにあったからである。
ぴろし3の性格から質問されれば無視することはできず、全ての質問に答える。最終的には人々の質問が多すぎてまとめて話すために演説になってしまったのだ。
「私は仲間の為に、愛する世界の為に戦った。相手は世界を滅ぼす黒いモンスター。私は良き目をした仲間に向けてこう言った。ここは任せろと!!」
「まだ続くんですか~」
「私は自慢の愛槍で世界を滅ぼす黒いモンスターをバッシバッシと貫いた。もう何百と倒したのか忘れるくらいにな!!」
本当のことを語っているのだが内容と演説の仕方によってどこかの物語風になっている。王都の人々も気付いているのだがぴろし3の演説兼、ボディビルの真似事が面白いのでツッコミはしていない。
それでも人が多く集まって演説が盛り上がれば野次を飛ばす捻くれ者も現れる。演説が物語風なのでぴろし3の実力が本物かどうかと捻くれ者が言い出したのだ。
「その金ピカは見掛け倒しじゃねえのか!!」
「何を言うそこの捻くれ者よ。私の話は本当である。そして私の強さも本物であるぞ」
「なら相手してくれよ!!」
「よろしい。ならばお相手してやろう。デュワッチ!!」
高く高く跳び上がる。金ピカ重装備なのに軽々しく跳び上がった姿にみんなが驚く。
そしてキレイに着地する。
「翼の折れた荒鷲のように!! 『青き曇天のイーグルマン』ぴろし3!! ただいま参上!!」
決めポーズをした途端に後光が射し、白い歯がキラーンと光った。
「ぴろし3……イーグルの翼が折れててどうするんですか」
「さあかかってこい捻くれ者よ!!」
なつめのツッコミを無視して捻くれ者にラリアットをくらわした。一撃で倒したのを見て人々は更に盛り上がり、次の捻くれ者や荒くれ者が現れる。
それでもぴろし3は次から次へとバッシバッシと倒していく。
「ハーハッハッハッハッハッハ!!」
「ちょっとぴろし3やりすぎですよ!! こんなことしてたら通報されてしまいます!!」
「それが狙いだ!!」
「ええっ!?」
ぴろし3はなつめにコソコソと話す。なぜ無駄に目立つようなことをしているかというと、それは王都での有力者に知ってもらうためにだ。
王都ならば有力者の1人や2人は必ずいる。その人物に出会えれば一般人に情報を聞くよりも多くの情報が得られるからだ。
「そのために私たちは目立って力を誇示するのだよ。そして有力者に気に入られれば大きな情報が得られる寸法だ!!」
「へ~……ぴろし3って意外に考えているんですね。なつめ、少し尊敬します」
「うむ。もっと私を尊敬するがよい」
両手を広げてもっと尊敬してくれとジェスチャーをしている。そして王都の人々にもアピールをすると祭のごとく声援が上がる。
そんな中、ぴろし3の思惑は成功した。彼らの元に2人組の女性が現れたのだ。
人々の口からは「蒼の薔薇」と発せられている。
蒼の薔薇。
王国に所属している数少ないアダマンタイト級冒険者チームだ。メンバー全員が女性で構成されており、実力は他国にも知れ渡っている。
「誰ですかね?」
なつめとぴろし3の目の前には大振りの宝石を嵌めた仮面と深紅のローブを纏った小柄な女性と筋骨隆々な男女であった。
「俺はガガーラン。そして隣にいるちびさんがイビルアイだ」
「ちび言うな男女」
「ここでうるさい騒ぎを起こしている奴がいると通報を受けてきた。それはお前達か?」
間違いなくガガーランの言うことは正解である。うるさい騒ぎになったのは捻くれ者や荒くれ者のせいだが原因ともなる始まりはぴろし3が起こしたものである。
なつめは「あちゃあ……」という顔をしている。逆にぴろし3は「計画通り」という顔をしていた。
「ふっふっふっふ。いかにも私が栄光ある演説をしていたからこうも盛り上がったのだ」
「お前さんたちは何者だ?」
「うむ。我こそは『鈍き瞬足のドーベルマン』ぴろし3!!」
「わたしはなつめって言います。あとぴろし3ってばさっきと名乗りが変わってますよ。何で鈍いのに瞬足なんですか……」
またも笑いながらなつめのツッコミを無視する。
「おいガガーラン。女の方はともかく金ピカの男は面倒くさそうだぞ」
「俺もそう思うが見てみろあの金で出来た重装備を。間違いなく只者じゃないぞ。それにあれだけの金で出来た鎧なら、どこかのボンボンの貴族だった場合に殴って止めるわけにもいかん」
(なんかあの人たち変に警戒してますね。ぴろし3はただの熱血漢を地で行くやたら暑苦しい漢なだけなんですけど)
「うむ。民衆よ演説はここまでだ。旅路の果てまでも!! 頭上に星々の輝きのあらんことを!!」
ジュワッチとどこかへ跳んでいく。
「あ、2人とも場所を移動しましょう」
「あ、ああ」
場所移動。
ここは人通りが少ない王都の裏路地。そこにはなつめとぴろし3の他に蒼の薔薇のメンバーがいる。
しかも途中で合流したため、蒼の薔薇の全員がいるのだ。
リーダーのラキュース・アルベイン・デイン・アインドラ。三姉妹のうちの2人であるティア(青い方)とティナ(赤い方)。彼女たちが追加された。
彼女たち蒼の薔薇は有名なアダマンタイト級の冒険者チームであり、リーダーのラキュースは王都リ・エスティーゼの王女とコネがある。
まさにぴろし3の思惑は成功したのだ。
「私はラキュース・アルベイン・デイン・アインドラ。蒼の薔薇のリーダーです」
「うむ。私こそがProject.「G・U」(グラフィック・うまい)のリーダーであり、.hackersのメンバーが一人。ぴろし3である」
「なつめと言います。わたしも.hackersのメンバーです。あとなぜかProject.「G・U」のメンバーです」
「えーと……それは2つのチームに所属しているってことですか?」
ややこしいことであるがぴろし3たちは.hackersのメンバーであり、その後に自分のチームを創ったのである。
しかし今は.hackersのメンバーであるためそっちのメインとしているとなつめは伝えた。
「そうですか。それにしてもドットハッカーズですか。聞いたことの無い冒険者チームですね」
「冒険者と言うよりも旅の人って感じです。あなた方みたいになつめたちは冒険者に登録はしてませんから」
「そういえばプレートがねえな。……それにお前さんはどっかの貴族なのか?」
ぴろし3の金ピカの鎧を見て予想を呟くガガーラン。貴族じゃなかったとしても金で出来た大きな鎧を装備するのは只者ではない。
これが普通の鉄などの鎧だったなら気にしないだろうし、ミスリルなどの装備なら大物の冒険者と予想していただろう。しかし金で造られた鎧ならば明らかに違う。
「ぴろし3は貴族じゃないですよ。ただの熱血漢を地で行くやたら暑苦しい漢なだけです」
「うむ。そしてなつめは好きな男を7年間ストーカーしている女だ」
「ちょっ!! なつめはストーカーなんてしてません!!」
「ストーカーだって。お前たちと気が合うかもな」
イビルアイは仲間のティアとティナを見る。なぜなら彼女たちの趣味はストーキングだからだ。
公開してはいないが蒼の薔薇のメンバーには知られている。
「むこう、ストーカー。こっちストーキング。違う」
「同じじゃねえか」
どうでもよいストーカーとストーキングの違いを説明している姉妹を無視してラキュースはぴろし3たちが何者かを聞いた。
旅の者と言っているが金ピカの鎧を着た旅人など見たことが無い。ただの旅人ではないと予想しているのだ。
「うむ。実のところだな……私たちはある使命を元に旅をしているのだよ」
「ある使命ですか?」
「はい。なつめたちはある八体のモンスターを討伐するために旅をしてるんです」
この異世界でウィルスバグのことを説明しても理解はしてくれないため、なつめはモンスターとして例えた。強大な力を持った八体のモンスターとして説明する。
「強大で凶悪な八体のモンスターを討伐する旅をしているのですね」
「はい。それにこの討伐の旅はなつめ達だけじゃなくて、他の仲間達も旅をしているんですよ」
「そーいやチーム名も言ってたしな。リーダーは誰だ?」
「わたしたちが所属している.hackersのリーダーはカイトさんって言うんです。とってもかっこよくて強いんですよ。ポッ」
頬を赤くしながら好きな人のことを、カイトのことを美化しながら思い浮かべるなつめであった。その様子を見ながら青春だなと頷きながら呟くぴろし3である。
「そのリーダーであるカイトさんは今どこに?」
「たしか……エ・ランテルにいるって報告がありました。あと冒険者にも登録したって」
「エ・ランテルつーと、王国の領地内だな」
遠いが会おうと思えば会える距離である。蒼の薔薇のメンバーはぴろし3というヤツをチームに入れているリーダーカイトに少しだけ興味を表したのだった。
そしてこんな暑苦しくて面倒くさそうな金ピカを仲間にしているのだから懐の大きいリーダーなのかもしれないとも思うのであった。
「ところで何か八体のモンスターについて知っておらぬか? こんなヤツらなのだが」
八相の描かれた絵を蒼の薔薇のメンバー全員に渡す。
「これ、モンスター?」
「これは豆……種か?」
蒼の薔薇のメンバーは八相の絵を見て首を傾げた。たしかに八相を見たらモンスターかどうか疑うだろう。逆に壁画や仮面なんて言葉のほうが合っているのかもしれない。
八相の姿の絵に疑問を浮かべるが、実際はありえないくらい凶悪な存在である。
「もしこいつらを知っているなら情報を貰い受けたい。もしくは、見つけたら教えてほしい。無論タダで貰い受けるつもりはない。代わりに我々が君たちの力となろうではないか。これでも我々はとーっても強い!!」
「現時点では知りませんが、見つけたら教えますよ。あと力になってくれるとは本当ですか?」
「うむ。男に二言はなーい!!」
ラキュースは考える。できれば今は力になってくれる仲間がほしいところなのだ。
なぜなら蒼の薔薇は今、王都の裏社会を牛耳る地下犯罪者組織の八本指と戦っているからだ。
王国の姫と作戦を練っては八本指に打撃を与えてきた。しかし現段階ではイタチごっこしているにすぎない。
(ガガーランはこの2人の実力をどう見る?)
(緑の女は分からんが、金ピカはあの重装備で身軽に動いていたから身体能力は並じゃないだろう。そこらの傭兵を雇うよかマシだ)
(……分かったわ)
新たな戦力としてラキュースは彼らの力を得る。実はその戦力がとんでもない事だと知らずに。
「て、カイトさんに言わずに勝手にそんな約束していいんですかぴろし3!!」
「大丈夫だとも!!」
(少し不安かも)
彼女たちが麻薬栽培を行う村を襲撃する数日前の出来事である。
読んでくれてありがとうございます。
感想などあればください。
やっぱりぴろし3はどこ行っても目立ちます。
ぴろし3「この私に任せれば全て丸く収まる!!」
青の薔薇「変なの見ちゃった・・・」