.hackersが彼らと会話したらこんな感じと思い書きました。
では、始まります。
カイト、ブラックローズ、ガルデニア、エンデュランス、アインズ、アルベド、アウラ、マーレチーム。
次に見に来たのはブラックローズたちのグループである。相手は双子のダークエルフのアウラとマーレである。
そしてまず話した相手がアウラである。
「君がアウラか」
「え、そうだけど」
「なるほど」
「何がなるほどなのよ?」
ハンバーガーを食べながら首を傾げるアウラである。その理由はカイトたちにしか分からない。
「やっぱカイトも気になるわよね。同じ名前だし」
「そうだね。でも同じ名前でも姿や性格も全然違うや」
「だから何がよ?」
「何の話ですかカイトさん?」
アインズまでもハテナマークである。それすらも当然だ。アインズもアウラもカイトたちの知るアウラを知らないからだ。
もう少し詳しく語るならばアインズはカイトたちの言うアウラを実は少しだけ知っている。それはThe Worldに存在するブラックボックスであり、女神である。
それはユグドラシルにも語り継がれており、謎解きが好きなプレイヤーやThe Worldの知るプレイヤーは女神について独自に調べていたりしていたのだ。アインズことモモンガとタブラ・スマラグディナも女神に関して調べていたのだ。
「もしかして最初に出会った時に言っていたアウラに目的を……ってやつですか?」
「うん。そうなんだ」
「アタシの目的?」
「アウラ。貴女何か目的があるの?」
「お姉ちゃんの目的?」
「違うわよ。アインズさんの部下であるアウラじゃなくて、こっちのアウラの話よ」
.hackers側のアウラと言われて、思い出そうとする。自己紹介の中でアウラと同じ名前の仲間がカイトたちに居たか。しかしこのナザリックにはアウラは階層守護者のアウラしかいないのだ。
「カイトさんの言うアウラって誰なんですか?」
「そうだね。ボクたちにとってThe Worldを救うことになった始まりの存在だよ」
カイトたちの言うアウラはThe Worldの女神である。究極の人工知能であり、The Worldに存在する幾万の人々の思考を学ばせることで限りなく人間に、そしてそれ以上の存在(真なる神)になる可能性を秘めているのだ。
この異世界で例えるならば、絶対の女神であり、世界そのものである。おそらくこの異世界で女神アウラに敵う者はいないだろう。
「まさかキー・オブ・ザ・トワイライトである女神だとは思いませんでした。そうなんですか、アウラと言うんですね」
アインズはギルメンのタブラ・スマラグディナに教えてあげたいと思った。一緒にブラックボックスについて調べた仲であり、結局女神について分からなかった。その女神の名前を今知れて本当に教えたいと思ったのだ。
「キー・オブ・ザ・トワイライトまでユグドラシルに引き継いでいるんですね」
「そうなんですよカイトさん。キー・オブ・ザ・トワイライトはユグドラシルにとって究極のワールドアイテムだって噂もあれば、The Worldからユグドラシルに移行した時に受け継がれた究極のブラックボックス(女神)なんて噂もありました。それを解いた時にユグドラシルは黄金期を迎えるなんて噂もありましたよ」
「The Worldでもユグドラシルでも噂は同じようなものだな」
「そうだねガルデニア。でも強ち間違っていないよね」
アインズは興奮していた。興奮しては鎮静したが何度も興奮する。もしかしたらカイトさんならブラックボックスである女神のことを知っていると思っていたが本当に知っている。しかもその当事者である。
これはあとで聞かねばならないと心の中で決めるのであった。アインズの興奮は収まらない。
「お姉ちゃんが女神なんだね」
「違うわよマーレ。女神なのは向こうの方のアウラよ。つーか同じ名前がいるって不便ね」
「あの、アインズ様。女神とは一体何でしょうか?」
「うむ、そうだなアルベド。女神とはThe Worldの時代からユグドラシルの時代まで存在すると言われた最高神のことだ。タブラさんとその存在を探したな」
アインズは女神アウラを神にも等しき存在と思っているがアルベドたちはイマイチ分からない。それは神と言われても彼女たちにとっての神は創造主だからだ。
しかし女神アウラはアインズやカイトよりも上の存在である。女神の名は伊達では無いのだ。
カイトとアインズが女神アウラの話をしているのと別にガルデニアとエンデュランスはアウラとマーレにジャングル階層について話していた。
ガルデニアはジャングルの階層ならば異世界の花があると思い、話を聞いていたのだ。花が好きな彼女にとって異世界の花は興味が出ないわけが無い。
「花ならジャングルにけっこう咲いてるよ」
「そうか。どんな花がある?」
「どんな花があったけマーレ?」
「えーと……いっぱいあります」
「そうか。花言葉とか知っているか?」
「知らない」
「……そうか」
真顔で少しガックリするガルデニア。しかし異世界の花が見れれば満足する。同盟中ならばそれは可能である。
ガルデニアは必ずナザリックに咲いている花を見に行くと決めた。
「カイトさん。ガルデニアさんは花が好きなんですか?」
「うん、そうなんだ。ガルデニアとはよく花で話が盛り上がるよ」
アインズはそんな彼女を見て、もしかしたらブルー・プラネットと話が合うかもしれないと思った。そしてナザリック地下大墳墓8階層桜花聖域を見せてあげたいとも思ったのだ。
「アウラにマーレよ。今度時間がある時にガルデニアさんを花が咲いている場所を案内してやってくれ」
「分かりましたアインズ様」
ガルデニアは少し微笑する。カイトとガルデニアは感謝した。
「アタシとしては地下9層のロイヤルスイートってのが気になるわね」
9階層はアインズたちのリビングスペースだ。大浴場、バー、ラウンジ、雑貨店、ブティック、ネイルアートショップなど様々な設備がある。
「ユグドラシルでは生活感のあるルームまで造れるのね」
「そうなんですよブラックローズさん。ユグドラシルでは課金をすればある程度、自由にカスタマイズできるんです」
「へー。自由にカスタマイズできるのはユグドラシルの方が上みたいね。羨ましいわ」
「私としてはThe Worldは神話の世界ですから、そっちの方が羨ましいですよ」
「そう?」
アインズとブラックローズも話が弾む。
そんな彼らを見るアルベドは面白くない。愛する人が違う女と楽しく会話をしている姿は気に入らない以外の何ものでもないのだ。
同盟中だからどうしようも無いが、ブラックローズとしては殺気を出しながら見られると困るのである。
「ねえ、アインズさん。アルベドって階層守護者統括がアタシを殺すように見てくるんだけど。何で?」
「そ、それは(汗)」
説明するか躊躇う。人間を下等と思っているからのもあるが、アルベドは設定を変更してしまった原因もあるのだ。それは「モモンガを愛している」という設定だ。それも原因としてある。
それを説明できない。したら恥ずかしくて自分に部屋に引きこもるかもしれないのだ。
(説明出来ない……(恥))
「どうしたのよ?」
その設定を知るのは先となるのであった。
「ところでアインズさんに聞きたいことがあるんだけど」
「何ですかブラックローズさん?」
「マーレっていうあの子なんだけど」
ブラックローズがエンデュランスと話しているマーレを見る。どうやら彼らも植物に関して話しているようだ。
「ねえ、ジャングルにはエノコロ草って植物はあるかい?」
「エノコロ草ですか? それってどんな草ですか?」
「ねこじゃらしみたいな植物なんだ」
「うーん……すみません。分からないです。でもでも、もしかしたら生えているかもしれないので探しときますよ」
「その時はボクも手伝うよ」
エンデュランスにとってエノコロ草は思い出の植物だ。昔、大切な人とよくThe Worldでエノコロ草を探しに行っていた。
思い出すと心がポゥと温かくなる。
「それにジャングルも探索したい。なぜかは分からないけどジャングルからは懐かしい感じがしたんだ」
「そうなんですか。ならアインズ様に許可を確認してみますね」
「うん。お願いするよ」
エンデュランスとマーレは普通に会話している。それがアインズの感想であった。どこも悪いところは無い。
「マーレがどうかしましたか?」
「……何で男の子なのに女の子の格好しているわけ?」
「あ」
意味をようやく気が付いた。精神的に汗がタラリ。
「アインズさんの趣味?」
ブラックローズはジト目でアインズを見る。
「ご、誤解です!!」
誤解を解くためにアウラとマーレの創造主の設定だと必死に説明するのであった。
side変更
カイト、ヘルバ、八咫、アインズ、アルベド、デミウルゴスチーム。
このグループはとても狡猾な話をしているように見える。それがカイトとアインズの感想であった。
ヘルバたちもデミウルゴスもお互いの情報を抜き取ろうと会話している。まさに上辺だけの会話であるかもしれない。しかしそれは仕方ない。デミウルゴスはアインズのため、ギルドのために情報を抜き取ろうとしている。
ヘルバや八咫もまた仲間のために情報を抜き取ろうとしている。お互いに仲間のための行動である。
それでもカイトとアインズは苦笑するしかない。そんな彼らにこんな言葉をかけるのはおかしいかもしれないが、アインズはそう言うしかなかった。
「今日の歓迎を楽しんでいるか?」
「アインズ様」
「ええ、楽しんでいるわよ」
苦笑しながら彼らの感想を聞く。どう聞いても空っぽの答えである。
(デミウルゴス。情報の収集はどうかしら?)
(アルベドか。正直に言うとあまり著しくないですね。認めたくありませんが、アインズ様がこのナザリックに招待するだけの人間ではあります。この人間2人は相当頭がキレますね)
情報を抜き取ろうとしても逆に抜き取ろうとしてくる。デミウルゴスは油断なんてしていなかったがヘルバと八咫の手腕にペースを取られまいと必死である。
しかしヘルバや八咫も同じである。デミウルゴスというナザリックの参謀の知力を本気で認めていた。これは気が抜けないと思うのであった。
(相当な知力だな。もしかしたら彼がナザリックで要の1人だろう。そしてソリュシャンというメイドに情報収集をさせたヤツだろうか?)
(かもね。もしくは向こうの王様の隣にいる守護者統括でしょうね)
(あの2人が我らを相当警戒していると考えていいだろう)
.hackersの参謀も考えを巡らす。
「なかなか難しいそうな会話をしているねヘルバ、八咫」
「カイトか。そんなに難しい話などしていない。楽しく会話をしているよ」
「そうなんだ(汗)」
(アルベド。特にあの白い人間の女に気をつけろ。あの人間の女は危険です。彼女は人間であって人間で無い気がする)
(人間であって人間じゃない?)
デミウルゴスの例えはある意味正解である。ヘルバのPCボディはチートが施されている。どれほどのチートがあるかは謎だが分かるだけでも全パラメータはMAXであり、不死性のスキルだってあるのだ。
それは異世界でもユグドラシルでもThe Worldの人から見ても化け物と言っても過言では無い。だからデミウルゴスの言った人間であって人間で無いのは的を射ている言葉なのだ。
それにデミウルゴスはまだ気付いていないが八咫もヘルバと同じ強力な存在である。それは碑文使いとしての力だ。
(そうなの。気をつけておくわ。でも私としてはさっきからアインズ様の横にいるカイトとか言う人間が気になるけどね)
(.hackersのリーダーであり、アインズ様が絶対に手を出すなとおっしゃった人間ですね)
アインズはカイトたちがナザリックに来る前に大事なことを言っていた。それは.hackersのリーダーであるカイトに手を出すなと言うことだ。なぜならアインズは守護者たちがカイトのデータドレインの餌食になってほしくないからだ。
データドレインを知らないアルベドたちはカイトの実力を計りかねているのだ。
(ふむ。ウィルスバグについての対処を聞いてみますか。そこからカイトという人間の実力も調べてみますか)
今回の同盟はウィルスバグを駆除するためのだ。もちろんウィルスバグの対処方法は教えてもらえるはずである。
「今回の同盟はウィルスバグという災厄を倒すために組んだとアインズ様から聞いています。そしてその対処を貴方たちは知っているとも」
「ええ、知っているわ」
「その対処の方法は勿論提供する。それはワクチンプログラムだ。ウィルスバグに有効な力だ」
ワクチンプログラム。その言葉を聞いてアインズは納得する。やはりウィルスバグに対して有効なようだ。
「ワクチンプログラムを使えばウィルスバグに攻撃や魔法も伝わる。それを使って駆除を手伝ってもらいたいのだ」
「なるほど。そのワクチンプログラムを使えばウィルスバグを殺せるのですね」
「そうだ。しかしただのウィルスバグならばな。普通でないウィルスバグにはカイトの力が必要だ」
「その普通でないウィルスバグとは八相の破片データを取り込んだウィルスバグだな」
「ええ正解よアインズさん。カイト、アナタの腕輪のスキルを教えてあげなさい」
同盟としてウィルスバグを対処する力を教えるのはやむを得ない。しかし同盟を組んだからと言って全て教えることもないのだ。
ヘルバはカイトの腕輪の力を教える代わりに他の切り札を秘密にするのであった。
(まだあの槍や砲台、碑文使いは秘密にしといた方が良いわね)
「腕輪の力と何ですか?」
「この黎明の腕輪だよ。見えるかな?」
右手に蒼く輝く腕輪が現れる。腕輪には2つのイリーガルスキルがある。それはデータドレインとゲートハッキングだ。
データドレインは八相を倒すことのできる協力なスキルである。相手の構成データを強制的に改竄し、データを奪い弱体化させるのだ。
分かりやすく例えるとレベル100をレベル1に改竄させることができる。 そのため、イリーガルのウィルスバグや不死の存在である八相を改竄して倒しうる存在へと変えられるのだ。
しかもデータドレインは1体のターゲットに撃てるだけでなく、複数撃てる。
次にゲートハッキングはハッキングを仕掛けて無理やり向いたいエリアに侵入する能力だ。それはアインズたちが使う空間ゲートの能力よりも上であり、それはこのナザリックのどこにでも侵入できるのと同じである。
さらに他には全属性および状態異常の耐性もあり、全員をデータドレインによる即死と意識不明から守る腕輪の加護があるのだ。
「腕輪にはそんなスキルがあるのですね」
(そんな馬鹿なスキルがあるのか!?)
アインズは納得し、デミウルゴスとアルベドは恐れる。
八相の破片データを取り込んだウィルスバグを倒すほどのスキルだ。それほどのチートでもおかしくない。しかしそれでも強力すぎるスキルに精神的に汗がダラダラである。
一方、アルベドとデミウルゴスは超が付く程にカイトを危険と確定した。腕輪の2つの力を使えば間違いなく至高の主が危ないと先に考え付いたのだ。
ゲートハッキングは強制的に無理矢理侵入してくる。対抗しても効かない。ならば好きな時に好きな場所へ移動できる。そしてデータドレインはレベルやスキルを強制的にレベル1にする。そうなれば赤子を捻るが如しである。
アルベドとデミウルゴスはそのことからカイトはアインズを暗殺しようと思えばいつでもできる危険人物と判断したのであった。
(馬鹿な……としか言えませんね。ワールドアイテムでもそんな馬鹿げた能力はありませんでした)
特にデータドレインの改竄能力は本当に恐れてしまう。レベル100をレベル1にする能力はとんでもない。さらに本気で放たれると完全消滅にまで至るのだから危険以外のなにものでものないのだ。
アルベトたちはアインズがカイトに絶対に手を出すなという言葉を今度こそ理解した。
(こんな人間をアインズ様に近づかせるわけにはいかないわ)
同盟中なため、カイトに手を出せないがアルベドは何とか抜け穴を探して暗殺できないかと考える。愛する主を守るための考えだ。
それがアインズの反対する気持ちであってもだ。暴走とも言える深き愛は重すぎる。
「なるほど。それは凄いスキルですね」
デミウルゴスはメガネをクイっと直して冷静になろうとする。同盟とは言え、アインズの認めた客。だからどうこうするつもりは無い。
しかし、ヘルバやカイトの人間ではありえない底の知れなさに考えを修正する必要となったのだ。
(下等な人間がこれほどの力を持っているとは……どうにかしないといけませんね)
(アルベドもデミウルゴスも変なこと考えてないよな?)
アインズは2人が余計なことをしないようにと心配するのであった。
読んでくれてありがとうございます。
感想などお待ちして尾あります。
今回の守護者たちの歓迎会話はこんな感じとなりました。
アウラに関してはやはり女神アウラの名前の話になりました。
そしてデミウルゴスとアルベドはカイトの危険性を理解しました。
アウラ 「そっちのアウラってどれくらい強いのよ」
カイト 「たぶんここにいる全員が戦っても負けるかな」
アウラ 「マジ?」
女神アウラ「がんばる」 (終焉の女王になったらヤバァイ)
アルベド 「カイトという人間は危険ね」
デミウルゴス「そうですね。なんとかしないといけませんね」
アインズ 「余計なことしないでね」