簡単に言うと馬車内での続きのようなものです。そして短いです。
では始まります。
カイト、バルムンク、アインズ、アルベド、セバスチーム。
「アインズ様、カイト様、バルムンク様。歓迎はいかがでしょうか?」
「セバスか。問題無く楽しんでいるぞ」
「セバスさん。ボクも楽しんでいるよ」
セバスが人数分の飲み物を持ってきてくれた。完璧執事として主と客のもてなしをするのは当然である。
飲み物が無くなる少し前に新しい飲み物を持ってくるなんて気が利いている。それすらもセバスにとっては当然なのかもしれない。
アインズにとってセバスはナザリックの中でも救いの1人である。さすがはたっち・みーが造ったNPCだと心の中で褒めるのであった。
「そういえばセバスは馬車の中でカイトさんたちとどんな話をしたのだ?」
「はい。正義について語りました。私の創造主であるたっち・みー様がカイト様をリスペクトしていたので正義について聞いたのです」
「ほう。どうだった?」
「満足のいく話ができました」
セバスは珍しく微笑をした。アインズにとってこの異世界に転移してからセバスが笑うなど初めて見たのだ。それほど彼にとって満足の話ができたのだ。
(どんな話をしたんですかカイトさん。ニヤニヤ)
(恥ずかしいなあ)
からかうようにカイトに聞くアインズ。自分の正義を言うのを恥ずかしいと言うがそれでもハッキリと答えるカイト。
それを聞いてアインズもたっち・みーがリスペクトする理由が分かった気がしたのだ。肉体的にも精神的にも強いとも分かるのであった。
(正義ね……私には分からない言葉だわ)
(……と思っているだろうなアルベドは)
正義が分からないのはナザリックでは多い。それは仕方が無いのだ。基本的にアインズ・ウール・ゴウンというギルドは悪のギルドだからだ。
その中でたっち・みーやセバスは異質な存在であったかもしれない。それでもギルドのメンバーなのは家族だからだ。アインズはそう思っている。
「正義は人によって様々だ。カイトの言った通り、自分の正義をどれだけ貫けるかも大切だ」
「バルムンクはThe Worldの安寧を願う気持ちと正義感はボクらの中でも1番だよね」
「このギルドはアインズから極悪ギルドと聞いている。そんな中で自分の正義を貫くセバスはたいしたヤツだ」
アインズはバルムンクの言う通りだと思った。自分のギルドはPKギルドで確かに極悪だ。そんな中でカルマ値が善がいるのは不思議でもある。
たっち・みーの影響が強いのかもしれない。それが良いか悪いかと言われれば良いと思われる。アインズことモモンガもたっち・みーに影響されているのだからだ。
「セバスよ。カイトさんやバルムンクさんから認められた正義を誇りに思うのだ」
「はい。アインズ様」
正義とは人それぞれである。
side変更
カイト、ミストラル、アインズ、アルベド、ユリチーム。
ここのグループも温和である。会話の内容が家族絡みの話であるからだ。聞いているだけでほっこりしてしまう。
それにしても驚いたのがミストラルが子持ちということだ。意外にもビックリであった。
(ミストラルさんって子持ちなんですか?)
(うん。ミストラルは一児の母なんだよ。黄昏事件の時も身篭ってもボクを助けてくれたとっても強いお母さんなんだ)
(母は強しってやつですね)
アルベドは母という単語を聞いてアインズもガン見している。未来を想像もとい妄想しているのだ。アインズは恐くて声が掛けられない。
(はぁ、アインズ様と結婚して子を産む。それは至福以外のなにものでもないわ。アインズ様アインズ様アインズ様)
(アインズさん。アルベドさんが凄い目でアインズさんを見てますよ)
(大切な家族ですけど、アルベドが凄い恐い)
骨の身体だが悪寒がゾワゾワと感じるのであった。正直彼女が暴走しないか心配である。主に自分のために。
「うんうん。やっぱり長女は大変だね(⌒_⌒; 」
「そうなんですよ。ルプーは良い子そうでサディストですし、ソリュシャンは真性のサディスト。せっかくの同盟が正直不安です」
「もう姉としての役目だけど、妹の行動を見張るしかないねヾ(´∀`) 」
「ですよね」
母であるミストラルはユリの気持ちが分かる。世話のかかる子は面倒ながらも心配してしまうのだ。
彼女の娘であるミレイユもまたThe Worldで事件に関わったことがある。これも運命なのかと思いながら娘を信じて応援した。そして事件は解決したのだ。その話をユリに話して、長女として妹を応援することを勧めたのだ。
「もちろん間違えたことをしていたら止めるんだよσ(゚ー^*) 」
「アドバイスありがとうございますミストラル様」
話は弾む。
「ここは大丈夫ですね」
「そうだねアインズさん」
side変更
カイト、ブラックローズ、寺島良子、マーロー、アインズ、アルベド、ナーベラルチーム。
ここでのグループでは歓迎も何も無い。ブラックローズとマーローがナーベラルと軽い口喧嘩をしている。
馬車の中でからの言い合いがまだ続いているのであった。それでもブラックローズたちは設定だからと思っているので不快とは思っていない。
(うちのナーベラルがすみません)
(大丈夫。気にしてないからさ。それにブラックローズも本気で怒ってるわけじゃないしね)
微笑ましくブラックローズたちの会話を聞く。
「おらあ!! 表出ろ!! オレがデスナイトより強いことを証明してやる!!」
「アタシも手伝うわ。このメイドに実力を見せてやるわ」
「ふん。人間如きが本当にデスナイトに勝てるかしらね」
「皆さん落ち着いてください」
少し物騒な会話となっている。
(大丈夫ですよね(汗))
(たぶん(汗))
寺島良子が緩和剤となっているから大丈夫だろうと予想している。彼女はどんな窮地でも温和な態度を崩さない強さがある。
だから彼女なら止められると思っているのだ。
「あの寺島良子さんって名前はもしかして」
「本名だよ。初心者のありがちのことだよね」
「なるほど」
少しクスリとする。ネットゲームではあるあるの話だ。それにしても寺島良子のキャラエディットはどこからどう見ても天使である。
この異形種のナザリックに天使とは違和感があるのは否めない。逆にマーローはこのナザリックに似合うと思う。それはデスナイトに似ているからだ。
本人は否定しているが似ている。
「本当に似てますね」
「あん? 王様のアインズさんまでオレのことをデスナイトって言うのかよ。目が悪いんじゃねえのか? 部下も部下なら王も王だな」
「貴様。アインズ様になんて口の利き方を!!」
「よい。気にはしない」
マーローも口は悪い方である。しかし仲間に対して心配する気持ちはある。
「まあ。アインズさんも部下に苦労しているみたいだしな。何かあればオレは愚痴くらいは付き合ってやるぜ。無理すんなよ」
(あれ、ツンデレ?)
(優しいでしょマーローは)
ツンデレって本当にいたのかと思うアインズであった。そういえばペロロンチーノがツンデレは正義って言っていたのを思い出す。
どうでもよいことであった。
(男のツンデレって需要あるのかな?)
(さあ?)
side変更
カイト、レイチェル、ニューク兎丸、アインズ、アルベド、ルプスレギナチーム。
「はああああああ……!! 白菜食って、歯ーくさい!!」
「それは面白くないっす」
「何い!?」
「ダメやん」
ここではまだ漫才を続けていた。人気芸人としてお客を笑わせられないのはプライドが許さないようである。
ネタをどんどんと出していく。途中でカイトたちも合流して見ていた。カイトとアインズは彼らの笑いセンスが分かり笑う。
しかしアルベドやルプスレギナは分からないようである。
「うーん。分かんないっす」
「何が面白いのかしら?」
そもそも彼女たちは漫才を理解していないのだから分からないのは仕方なしである。
「そういえばアルベドたちに漫才の知識は無いからなあ」
「あ、やっぱりそうなん?」
「そうなんですよレイチェルさん」
分からないのは分からない。それは責められないのだ。しかしニューク兎丸は考えが違う。
「まだ諦めないぞ!!」
「まだやるん?」
「勿論だ。漫才とは相手に理解してもらって笑わせるのではなーい!! 本能を刺激させて心から笑わせるから漫才なんだよ!!」
彼なりのポリシーがある。それは止められない。
「しゃーない。ウチも手伝うで」
『にゅ~くれいちぇる』がさらなる本気を出す。
(この世界で漫才なんてレアですね)
アインズは久しぶりに漫才を見て笑ったのであった。
side変更
カイト、月長石、アインズ、アルベド、シズチーム。
「静かですね」
「うん。静かだ」
「静かですわね」
カイトたちが見ているグループは月長石とシズの2人組だ。どちらも無口キャラであるため、会話が無い。
しかし何か通じ合っているのか一緒にいる2人である。でも会話が無い。
「ここは大丈夫だな。次に行きましょうかカイトさん」
「もう次に回るの?」
「ここのグループだと会話ありませんし」
side変更
カイト、ヘルバ、アインズ、アルベド、ソリュシャンチーム。
「アインズ様、アルベド様」
「ソリュシャンか。お前も楽しんでいるか?」
「はいアインズ様」
笑顔で返事をしてくれる。
(ソリュシャン。少しは情報は得られたかしら?)
(申し訳ございませんアルベド様。あまり良い情報はありません)
(そう。分かったわ。次はドットハッカーズのリーダーカイトについて調べてほしいわ。弱点とかね)
(分かりました)
アルベドとソリュシャンはアインズに内緒でカイトを探る準備を始める。なぜならカイトの危険視しているからだ。
腕輪に2つのイリーガルスキルはアルベドたちにとって脅威すぎるからだ。
「ねえ、アルベドさん」
「貴女は確かヘルバだったかしら?」
「ええ、そうよ。貴女と話がしたいのだけれど良いかしら?」
「せっかくの交流だ。アルベドも話をしてやれ」
アインズに言われれば否定はできない。本当は会話などする気は無いが仕方なくヘルバと会話をする。
「話って何かしら?」
「貴女でしょう。ソリュシャンというメイドに私たちから情報を得ようと命令したのは」
「……何のことかしら?」
「じゃあ何でもないわ。じゃあこのナザリックでのことだけど……」
(この女……分かって私に聞いてきたわね。やはりデミウルゴスの言う通りこの女も危険な人間ね)
お互い顔は笑顔だがその裏は探りあいを始める。ヘルバは仕返しがてら会話を始め、アルベドは負けまいと会話を始める。
彼女たちの空間が歪んで見えるのは気のせいと思ったのはカイトとアインズであった。
side変更
カイト、なつめ、ぴろし3、アインズ、アルベド、エントマチーム。
「いやーはっはっはっはっは!! 本当に素晴らしいなナザリック地下大墳墓!!」
ぴろし3が周囲を見て興奮しているのはグラフィッカーとして当然であった。リアルであるがナザリック地下大墳墓のグラフィックはとても素晴らしいものである。
第1階層から第10階層のエリアを見学している時は興奮でぴろし3の周囲が歪んだほどである(そう見えた)。
「ぴろし3ってば興奮しすぎですよ。水飲んで落ち着いてください」
なつめが水を渡すが一口で飲み込み、そのまま興奮は収まらない。
「うう~……暑苦しいですぅ」
「すみませんエントマさん。でもぴろし3はこんな方なので慣れてください」
「向こうをどうにかするんじゃなくて、こっちが慣れるんですかぁ」
エントマはまだぴろし3となつめの相手をしていた。なつめに関しては全然平気だがぴろし3だけは違った。とても暑苦しくてダウンしてしまいそうなのだ。
人間なんて餌程度しか思っていなかったが考えを変えられそうになる。人間相手にこんなに疲れるのは初めての体験であった。
「エントマ大丈夫か?」
「アインズ様。はい、わたしは大丈夫ですぅ」
そんな中にカイトとアインズたちが顔を出しに来る。アインズは姿が派手すぎるぴろし3が気になって仕方なかったのだ。なんてたって金ピカ重装備だからだ。
ギルド内でもここまでの派手なメンバーはいなかった。どんな人物が確かめたいのだ。
「貴方はぴろしさんですね」
「違う。ぴろし3だ」
「え? ぴろしさんですよね?」
「いや、ぴろし3だが」
お互いに噛み合わない。それはただ名前がややこしいからだ。説明してもらわないと分からないだろう。
「アインズさん。ぴろし3のさんは数字の3なんですよ。ぴろしという名前に数字の3を付けてぴろし3です」
なつめが分かりやすく説明する。説明を聞いてすごく納得したアインズである。
「それにしてもお主がアインズか!!」
ズイズイとぴろし3がアインズに近づく。それはもう近すぎるくらいにだ。そして眼球の無い目を見てくる。
いきなり近づいてきたので少し後ずさりしてしまう。
(ちょっ……近い近い!!)
「ふむ。目は無いが心の目はあるようだな。そして周囲をよく見て慎重に動く。お主も目があれば良い目をしていただろう」
「はあ……」
分かるような分からないようなことを言ってくる。とりあえず相づちをする。
「このナザリックのグラフィックは凄いぞ!!」
ベタ褒めするのであった。アインズとしては自分のギルドを褒められれば嬉しい。
グラフィッカーとしてよく見ているので細かく、どこが良かったのかを感想を言ってくれる。ちゃんと見てくれているのだなとアインズは嬉しく思う。
「本当に凄いぞ。こんなグラフィックは素晴らしいでは片付けられないぞ!!」
「いやぁ、ありがとうございます」
もうアインズはデレデレである。まさか褒め倒しされるとは思わなかったのである。彼とはナザリックのグラフィックについて夜を明かすほど語れるだろう。
もしギルメンの何人かが居れば彼らもデレデレになっているだろう。丹精込めて創り上げた作品を褒められれば嬉しいに決まっている。
「アインズさんデレデレしてますねカイトさん」
「そうだねなつめ。やっぱ自分のギルドを褒められれば嬉しいからね」
うんうん、と頷きながら分かるのであった。カイトたちも自分のギルドが褒められれば嬉しいに決まっている。
「そういえば3と言っていますが1や2もあったのですか?」
「うむ。あったぞ。第1形態がぴろしであり、第2形態がぴろしACT2だ!!」
「act2は似合ってませんでしたけどね。本当に」
ぴろしACT2に関してはぴろし3自身は気に入っていたのだが珍しくなつめが似合わないと言っていたので却下されたのだ。次回の第4形態はぴろし4everを考えている。
「まだ第4形態になれないのが残念である」
「それ以上はどうなるんですか……」
呆れるなつめであった。そして暑苦しさにダウンしていたエントマは第4形態と聞いて勘弁してほしいと思ったのだ。
「この人間は本当に人間ですかぁ……」
「いやーっはっはっはっはっは!!」
(凄い人ですね)
(悪い人じゃないんだけどねぴろし3は)
そんな時、カイトは前方に気になるNPCを見かけた。それは軍服を着たNPCだ。聞いてみるとアインズは歯切れが悪いように答えてくる。
部下として、自分の作ったNPCとして紹介しないわけにはいかない。それが黒歴史でもだ。本音では紹介したくない。
「アルベド、私はカイトさんと共にパンドラズ・アクターと話してくる。アルベドはぴろし3たちと話していてくれ」
「そ、そんな!? アインズ様を1人にするのは」
「大丈夫だ。危険なことは無いぞ。カイトさんは信じられる人だ」
アルベドとしては一時も離れたくないが命令されてしまえば仕方なし。
アインズはカイトを連れて黒歴史に向う。その足取りは重い。心の中では羞恥の悲鳴で埋めつかされている。
(ああああああああああああ……)
本当に足取りが重い。
「アインズ様……」
「あの~アルベドさん」
「何かしら人間」
「アルベドさんってアインズさんのことが好きなんですか」
なつめは気になることを聞いた。それは彼女の反応を見ていれば分かるのだが彼女としては聞いてみたくなったのだ。
「分かりきったことを聞くのね。私はアインズ様を愛している。それは絶対の愛よ」
「へ~やっぱりそうなんですね。アインズさんも王の風格があってカッコイイですよね。もちろんカイトさんだって負けてませんけど。ポッ」
「あら、貴女は人間のくせに理解できてるのね。そうなのよアインズ様は凛々しく素晴らしいのよ」
相手は人間だがアインズを認めるなら否定することは無い。
「それにアインズ様は私の設定を変えてまで愛することを教えてくれたのよ」
「設定ですか?」
「ええ。アインズ様は私にアインズ(モモンガ)を愛していると設定してくれたのよ。これは愛を教えてくれたのと同じよ」
「それって……完全に両思いじゃないですか!!」
設定変更により両思いでは無いとアインズは語っているがここでは話されない。
「そうなのよ!! 私とアインズ様は両思いなのよ。貴女は人間のくせに分かるじゃない!!」
「そうですよね。だってアインズさんがアルベドさんに設定変更してまでってことは愛してほしいことの表れですよ」
人間は下等と思っているが恋の話となると種族は関係無い。恋愛は種族にとって違いは無い。
「それってもうゴールしてるじゃないですか。良いなぁ、私もカイトさんと……」
「でもアインズ様はなかなか奥手なのよね」
「両思いなら攻めて攻めるべきですよ」
「そうよね。なら今度押し倒そうかしら……」
アルベドが余計なことを考え始める。この時にアインズはわけの分からない寒気を感じていた。<input name="nid" value="77987" type="hidden"><input name="volume" value="19" type="hidden"><input name="mode" value="correct_end" type="hidden">
読んでくれてありがとうございます。
感想などお待ちしております。
今回は視点ごとに短かったですが、こんな歓迎会話となりました。
もしかしたらアレ?って思うところもあるかもですが生暖かい目で読んでくれると嬉しいです。
アルベドは人間を下等と思っていますが恋愛の話となると少しは心を開くと想像しました。
アルベド 「貴女とは少し話しができそうね。貴女に好きな人は?」
なつめ 「カイトさんです。ポッ」
アルベド 「押し倒しなさい。そして既成事実でも作りなさい」
カイト 「何だろう・・少し寒気がするなぁ」
アインズ 「同じく・・・」