※彼女の性格が違うかもしれません。注意です。
では始まります。
ナザリック陣営による歓迎ももうすぐ終える。なかなか色々とある歓迎となったがある意味成功したと思われている。
これからはナザリックと.hackersが力を合わせてウィルスバグを倒していくのだ。その証としてカイトとアインズは仲間の前で硬い握手をした。
「これから我々ナザリックは.hackersと共に力を合わせてウィルスバグを倒していくぞ!!」
「ウィルスバグは強大だ。でもみんなの力を合わせれば絶対に勝てる。最後まで諦めないことが大切なんだ!!」
お互いのリーダーが全員に演説する。2人ともみんなの前で演説するのは苦手だが、本番に強いのと天性のリーダー気質で難なく演説を成功させる。
アインズの部下は感動し、カイトの仲間たちは笑顔である。
「カイトってやっぱリーダーよね。自分では前に出るのは苦手って言ってるくせに、自分からどんどん前に出てる」
「矛盾してるけどそれがカイトの才能かもな。それにアインズも素を知っていると、あの王の風格には驚くぜ」
「それにしてもアインズの部下は凄い忠誠心やと思うで」
チラリと階層守護者たちを見る。見れば感動しすぎている姿が目に映る。何でそこまで忠誠心が凄いのか気になるのであった。
「やっぱりNPCにとって自分を創ってくれた人は神にも等しいんでしょうか?」
「なつめの言う通りかもね。それに彼らの忠誠心は依存にも似ているよ」
なつめの言葉に賛同するエンデュランス。彼自身が依存した経験があるため、その説得力はある。
確かに階層守護者たちを違う視点で見ればアインズに依存しているように見える。彼らの忠誠心は至高の主だからというわけではないかもしれない。
無意識のうちに主が居ないと自分たちはどうすればいいか分からない。主がいるからこそ存在する意味がある。そう思っているように見えるのだ。
「アインズさんは大変だ」
ポーン。
どこからもなくハ長調ラ音が聞こえる。ナザリックで聞こえることの無い音である。
カイトたちは「まさか!!」という顔をし、アインズたちは「何だ?」という顔をしている。
玉座の間の中心に蒼い光の玉が現れる。そして蒼い光の玉は女性の姿となる。その正体は女神アウラ。
「アウラ」
「え、アタシ?」
「違う」
アウラが儚げにフワフワと降臨した。カイトたちは知っているから驚かないが、アインズたちは驚いている。
「まさか彼女が女神アウラなのか?」
「そうだよアインズさん」
仲間と調べても分からなかった最大の謎であるブラックボックス。その存在が自分の目の前にいる。それだけで驚きから興奮へと変わる。
「女神に相応しい姿だ」
興奮から感動へと変わる。この瞬間に本当に仲間に報告をしたかった。特にタブラ・スマラグディナに報告して自慢したいほどであった。
彼はアインズたちとユグドラシルを楽しむ合間にブラックボックスである女神アウラについて調べていた。結局最後まで分からずじまいだったのだ。
本当に教えたいと衝動に駆られるのであった。
「どうしたのアウラ?」
「カイトが心配で来た」
フワフワとアウラがカイトに寄り添う。心配で来てくれたとは嬉しいと思うカイト。久しぶりに出会うアウラであるが昔に比べると本当に人間らしい感じだとも思うのであった。
それにしても積極的に腕に抱きつく彼女であった。そしてドキドキするカイト。そのドキドキは2つの意味がある。
1つはアウラに抱きつかれているからだ。そしてもう1つはブラックローズたち女性陣に睨みつかれているからだ。良い意味と悪い意味のドキドキが両方合わさっている。
「あはは……(汗)」
「そして大事な情報がある。ウィルスバグの居場所」
アウラの周辺に複数のモニターが現れる。そのモニターはこの異世界の地図であった。
3つの印が付いており、その印こそがウィルスバグがいる場所である。その3つの場所は王都リ・エスティーゼ、竜王国、トブの大森林。
「この場所にウィルスバグがいるんだね」
「トブの大森林ならこのナザリックから近いな。それに王都ならセバスたちが調査している場所だ」
「王都に関してはオルカやなつめたちも向かった場所だね」
竜王国だけは誰も訪れていない。近いうち行くつもりの国であった。
「竜王国か。行ってみたいかも」
竜王国の名前の響きに惹かれるカイト。そしてアインズもであった。パンドラズ・アクターに少し感化されているので中二病が滲み出ているのであった。
「カイトさん。ここはこの地点に向って調査しませんか?」
「そうだね。ウィルスバグがいるなら調査しないと」
王都に関してはオルカやセバスたちがいる。王都リ・エスティーゼの調査隊は決まった。
竜王国はカイトたちが向かう形となる。そしてトブの大森林はアインズが調査する。
(元々トブの大森林は侵攻する予定だったからな。ちょうど良かったかも。アルベドから言われた蜥蜴人の実験どうこうは考え直すか)
手を顎に当てて考える。そしてカイトと女神アウラを見る。どう見ても女神アウラがカイトに好意を寄せているようである。
「それにしてもカイトさんって女神に好かれているのか?」
「おう、そうだぜアインズさん。カイトのやつは女神アウラに好かれているぜ。なんたって女神を救った勇者だからな」
砂嵐三十郎がアインズの疑問を答えてくれる。その答えは本当である。アウラを救うために八相と戦ったのだから嘘では無い。
人間の中でも接触として多いのはカイトだけだ。他の.hackersのメンバーでもアウラと関わりがあるのは少ないのだ。だからカイトとアウラの関係は他と比べると深い。
「へえ、そうなんですね。それにして女神に勇者。本当に神話の世界みたいですよ」
勇者が女神を救う。ファンタジーの異世界に今いるけども、彼らの関係もファンタジーのようである。そして砂嵐三十郎が爆弾発言をしてしまう。
「それにアウラには娘もいるんだ。おそらくカイトの子じゃないか?」
「「え」」
カイトとアインズがハモる。
「娘ってどういうことアウラ?」
「次の世代の子でありカイトと私の娘」
思考が止まるカイト。ある意味驚くアインズ。
(カイトさん凄い。マジで)
究極の存在である女神と子を生しているカイトにマジで驚く。彼から驚かされてばかりであるが、今回の話に関しては1番驚かされた。腕輪のイリーガルスキルよりも驚かされた。
「ちょっとお!! どーいう意味よカイト!!」
ブラックローズを筆頭とする女性陣がカイトとアウラを囲む。ある意味カイトの絶対包囲であった。そうなれば逃げられない。
「詳しく話してもらいますカイトさん!!」
「……話してもらう」
「なつめも気になります!!」
「いや……ボクも分からないんだけど(汗)」
アセアセと何とか答えていく。しかし分からないので苦しいのであった。
「ゼフィのことか」
「バルムンクは知っているのか?」
「ああ。オレがCC社で働いていた時に出会った」
「バルムンクさん。私にも詳しく教えてください」
ブラックボックスのさらにブラックボックス。聞かないわけにはいかないのであった。
詳しく聞いている中でアインズは1つ思ったことがあった。それは階層守護者たちだ。先ほどから静かすぎるのである。普通ならば侵入者と言って一悶着起こすと予想していたからだ。
しかし、その予想はハズレであり、結果は静かになっているのだ。
(珍しいな。アルベドたちのことだから何か行動すると思ったのだが……されても困るけど)
気になってアルベドたちを見ると、どこか女神アウラを恐れているような感じに見えるのであった。
女神だから人間と違い下等と思わないのは分かる。それでも恐れるほどの存在と認識している可能性がある。
「どうしたのだお前たち?」
「ア、アインズ様。アレは一体……」
アルベドが恐れながら聞いてくる。彼女にしては珍しすぎる反応である。誰かに恐怖するのは本当に初めて見たのだ。
カイトの腕輪の力を聞いた時も恐れていたが、今回はそれよりも目に見えて分かるのであった。
「彼女こそが女神アウラだ。私も実物を見るのは初めてだがな」
「そ、そうですか……」
アルベドを含む階層守護者が恐れる理由はもちろんある。それは女神アウラがNPCである彼女たちにとって絶対の存在であるからだ。至高の方達とは違った意味での絶対の存在だ。
女神アウラは究極のAIであり、ネットワークという世界の中枢システムでもある。そのことからNPCという存在にとって中枢システムである彼女に逆らえるはずがない。
ゲーム(世界)の中枢システムに逆らえるNPCなどいない。設定でも何でもない。ただNPCという存在にとっては逆らえないのだ。
(ふむ。NPCにとって中枢システムとも言える女神か。確かにアルベドたちにとって設定も何も関係無く恐れるものか)
ここでアインズはあることを思いつく。アルベドたちを大人しくさせる方法をだ。有効かどうか分からないが試す価値はある。
(アルベドたちには悪いけど問題を起こすわけにはいかないからな。ここは釘を刺しておこう)
アインズの考えは釘どころかナイフを首元にチラつかせるものである。
「女神アウラ。少し頼みがあるのですがよろしいですか?」
女神だとつい敬語を使ってしまう。実際はそんな必要は無い。案外.hackersのみんなはタメ口で話している。
「なに?」
その頼みとは女神アウラから階層守護者たちに警告をすることである。NPCにとって逆らえない存在からの警告なら素直に聞くかもしれないのだ。
これで腹黒い考えをしている部下を大人しくさせることができればアインズとしては万々歳である。同盟なのに問題が起こったら困るからである。
(デミウルゴスなら勝手な事はしないだろうが、特にアルベドがな(汗))
「分かった」
フワフワとアルベドたちの前にくる女神アウラ。そして警告を放つ。その警告は可愛い言い方だが意味としては深い。
「カイトに手を出したら許さない」
この一言だけでもアルベドたちは考えを改めることになる。自分よりも至高な存在よりもカイトたちよりも上な存在。
忠誠心や設定とか関係無く、認めたくないが脳髄に警告が突き刺さる。
(何よこの女は。私に命令できるのはアインズ様ただ1人よ!!)
アルベドだけは何とか抵抗している。しかし、耐えられるかは時間の問題かもしれない。
(これで少しは大人しくなったかも。でも絶対じゃないからな。主であるオレが目を光らせないとな)
フワフワと女神アウラがカイトの許に戻る。そして腕に絡む。まるでそれが当たり前のようにだ。
そうなれば.hackersの女性陣が黙っていない。ブラックローズを筆頭にカイトと女神アウラを引き離そうと動く。
いつもはカイトがアルベドに迫られるアインズをからかうが、今なら逆ができそうである。しかし、今すぐにはできない。
なぜならカイトは女性陣から迫られているからだ。他人の恋路を邪魔すると馬に蹴られる。だからからかうのはもう少し後となるのであった。
そして明日からウィルスバグの駆除がスピードを増す。
読んでくれてありがとうございます。
今回はついに女神アウラが登場しました。キャラが違う気がしますがそこは生暖かい目で読んで下さい。
自分なりに女神アウラがヒロインとしてカイトに迫るならこんな感じかなと書きました
女神アウラ 「カイト」
カイト 「何かなアウラ?」
ヒロインs 「抜け駆けは許さない」
アインズ 「わーたいへん」