.hack//OverLord   作:ヨツバ

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今回から竜王国と蜥蜴人の集落を混ぜながら物語が始まります。

では本編をどうぞ。


竜王国の状況

.hackers陣営

八咫、ヘルバチーム

 

.hackersの参謀である八咫はヘルバに蜥蜴人との交戦の報告をしていた。それは今頃、コキュートスも同じようにアインズにも報告しているだろう。

結果は敗退の一言。そして敗退した理由は簡単である。

兵隊への連絡手段が拙かったこと。兵隊の力や知力が低かったこと。明確な作戦が無かったこと。挙げればいくつでも出てくる。

しかし、それは理由がある。アインズがNPCの更なる成長を促すために敢えて負けるような軍を編成したのだ。負けからの成長というものだ。

後から八咫たちは知ることとなるが、結果から言うとその目的は見事に達成された。コキュートスは負けからの成長をしたのだ。この成長はアインズも嬉しく思うのであった。

 

「成長ね。どんな種族でも成長はするわ」

「成長するさ。ハセヲがそうだったようにな」

 

カイトとは正反対だが、人を惹きつける英雄である仲間を思い出す八咫であった。

 

「で、交戦はどんな感じだったのかしら?」

 

そもそも八咫が蜥蜴人の集落の侵攻に参加したのはウィルスバグの駆逐のためだ。それにトブ大森林からは何かを八咫は感じていたのだ。

だから侵攻に参加したのだ。ウィルスバグを駆逐するためとはいえ、こちら側が悪となろうとも八咫は気にしない。他の参加メンバーは思うところがあったが納得はしている。

 

「そうだな。スケルトンの軍団が蜥蜴人の戦士たちにただ突撃するような戦いであった」

「それじゃあ負けるわね」

「勝つならアインズの魔法でも撃てば勝率は100パーセントだ」

 

ユグドラシルの魔法には驚かされる。あまり反応を見せない八咫でもユグドラシルの魔法の種類の多さには驚かされたのだ。

The Worldにも魔法は多いがユグドラシルには負ける。アイテムだってそうである。ワールドアイテムの能力もとんでもない。

魔法とアイテムの能力は負けている状態である。ステータスに関しては負けていないが、それでも不安なところもあるのだ。

八咫は考える。もしナザリックたちと戦うことになればただでは済まない。同盟関係だから簡単に戦争なんてことは起きないが注意は必要である。

 

「カイトはアインズを信じているから警戒をあまりしていないからな」

「それが彼の良いところでもあるじゃない」

「フッ……そうだな。警戒するのは私たちの役目だな」

 

もし本気で戦争すれば仲間を半数は失うかもしれない。短期決戦を考えるならばドレインハートや碑文使いの力をフル活用するしかない程だろう。

 

(ナザリックはそれくらいの戦力だろうからな)

 

ナザリックの危険性を再確認しながら侵攻の報告を詳しく説明するのであった。

 

 

side変更

 

 

.hackers陣営

カイト、ガルデニア、寺島良子チーム

 

竜王国の王宮にてカイトたちは女王であるドラウディロンから呼び出されていた。なんでも敵国のビーストマンを撤退させたお礼がしたいとのことだ。

 

「まさかボクらも砂嵐三十郎たちみたいに国のトップと関わるとは思わなかったね」

「竜王国の女王。どのようなお方なのでしょうねカイトさん?」

「噂を聞くにドラゴンのハーフみたいだ」

「入るぞ」

 

兵士に案内されて王宮内に入ると竜王国女王と宰相が待ち受けていた。カイトたちは女王が少女だというのに予想外に驚いた。

国を統治しているのが幼い少女とは苦労しているのだろうと3人とも一致した。

一方、ドラウディロンはアダマンタイト級冒険者はどんなヤツかと待っていたが、3人のうち1人に驚いた。なぜなら人間の中に天使がいたからだ。宰相も珍しく驚いている。

 

(女王と言うよりもお姫様だね)

(な、何で天使がいるんだ?)

 

お互いにちょっとした勘違いである。

 

「お前たちが我が国の兵士たちを助け、ビーストマンを撤退させたのは報告から聞いた。国の女王として感謝する」

「そんな、ボクらは助太刀しただけです。最後まで諦めずに戦っていたのは竜王国の兵士ですよ」

「いや、お前たち3人が加わったことで戦局は変わったんだ。感謝を受け取ってくれ」

「分かりました。ありがとうございます」

 

ドラウディロンはカイトに好印象を抱いた。謙虚で誠実そうな好青年だと。

それにセラブレイトのように少女姿の彼女をねっちょりと眺めてこない。ロリコンでは無いと確信した。

 

「自己紹介がまだだったな。私はドラウディロン・オーリウクルス。隣にいるのが国のブレーンである宰相だ」

「よろしくお願いいたします」

「ボクはカイトです」

「私は寺島良子と申します」

「ガルデニアだ」

 

自己紹介を簡単に済まし、ドラウディロンはカイトたちを見る。リーダーであるカイトと槍を持ったクール美人のガルデニアは良いとしよう。しかし寺島良子と名乗った天使がとてつもなく気になるのであった。

 

「1つ尋ねて良いだろうか?」

「はい。何ですか?」

「その、テラシマリョーコは天使か?」

 

ドラウディロンの質問にカイトたちは微笑を浮かべる。確かに寺島良子を初めて見る人は天使と勘違いするだろう。さらにファンタジーである異世界ならば尚更である。

 

「寺島さんが天使だってさ」

「天使に見えますか?」

「「見える」」

 

カイトとガルデニアがハモる。

 

「ドラウディロン女王様。寺島さんは天使じゃないですよ。れっきとした人間です」

「そ、そうなのか?」

「はい。私は人間です」

「そ、そうか」

 

どこからどう見ても寺島良子は天使に見えるが疑問は解けた。

ここからがドラウディロンにとって本題の話となる。それはカイトたちの力をなんとか貸してもらえないかということだ。

本音としてはカイトたちを竜王国に所属させたい。

 

(だって彼らがたった3人でビーストマンの軍勢を撤退させる実力だからな)

 

本当ならスレイン法国から援軍がくるはずなのだが来ない。スレイン法国の部隊も強いが来なければ意味は無い。

そんな時に同じくらい、それ以上の実力者が国に訪れればスカウトするのは当然であった。

 

(まったく、スレイン法国には少なくない献金をだしているのに何で今年は来ないんだ!!)

 

しかも、そんな時期に限ってビーストマンは大侵攻をする始末である。

彼女の頭痛が酷くなるのは当然であった。

 

(しかし、目の前には協力な冒険者がいる。なんとしても援助してもらうように誘導せねば)

(女王陛下の言う通りですね。彼らが竜王国に訪れてくれたのは運が良い。)

(宰相よ。なんとしても援助させるように誘導せよ)

(お任せを女王陛下)

(うむ。任せたぞ!!)

 

ドラウディロンと宰相がアイコンタクトで密談している中、カイトたちは気になることを質問してしまう。それはまさに彼女たちがどうにかしたいビーストマンに関してだ。

そのことを振られれば、話しやすい。相手から話の切り口を出してくれたのだからだ。

 

「ビーストマンは我が国を侵略してくる部族です。近年から侵略してくるのですが、今年に限って大侵攻を始めたのですよ」

「竜王国はビーストマンたちと戦争中なのですね」

「その通りです。テラジマリョーコ様。我らも迎え撃つのですがビーストマンの実力は人間の20倍はあり、劣勢です」

 

今まで、持ちこたえたのはアダマンタイト級冒険者のセラブレイトやスレイン法国の特殊部隊のおかげである。

 

「セラブレイト殿も奮闘していますがやはり厳しい始末です。そして、なぜかスレイン法国からの援助が来ない状況なのです」

「その通りだ。私は頭痛に悩まされる日々だ」

 

嘘でもなく演技でもない。本当に悩みの種である。

 

「しかしカイト様たちがこの竜王国をお助けくださいました。身勝手なお願いですが、このままお力を貸してくださいませんか?」

「勿論タダで力を貸してもらうつもりはない。褒美は出せるだけ出そう。私に竜王国に力を貸してくれ」

「いいよ」

「ああ、これに関してはすぐに返事をくれと言うわけではない。何しろ国の問題に巻き込むわけだからな。しかし良い返事を……って、え?」

「いいよ」

 

沈黙する。

 

「あ、あれ、何か変なことを言ったかな?」

(お、おい宰相よ。簡単に返事をもらえたぞ。嬉しいが、少し怖いぞ)

(ふむ。カイト様には何か裏でもあるのでしょうか)

 

嬉しい返事であるが、即決のカイトに疑りをかけてしまう。

しかし、カイトにも理由がある。それは竜王国周辺のどこかにいるウィルスバグを駆除しなければならないのだ。その為に情報を多く手にいられる竜王国の中心に入る必要がある。

 

「即決してくれてありがとう。しかし、理由に何かあるのか?」

「ドラウディロン女王陛下。私たちにはある目的があるのです。それはウィルスバグというモンスターの討伐です」

「テラジマリョーコよ。モンスターの討伐とは?」

「はい。私たちが訪れたのはある情報により、この竜王国周辺にウィルスバグがいると聞いたからです」

 

この理由からカイトたちは竜王国に力を貸す。その代わりにウィルスバグの情報がほしいのだ。

 

「なるほど。そのウィルスバグとはどんなモンスターなのだ?」

「黒い煙のようなやつだ。そして上位個体に八相と呼ばれる8体が存在する」

 

ガルデニアも説明してくれる。そして八相の絵を渡す。

 

「そのうち2体は討伐済だ。残りが6体だ」

 

八相の絵を見て首を傾げるドラウディロンと宰相。こんなモンスターが存在するのかと思っているからだ。

ただの種にしか見えない八相や釘が打ち込まれたハニワのような八相。見ていて違和感しかない。

 

「八相はビーストマンより強大だ。1体だけで1個師団を軽く消せる」

「なんだと!?」

 

本当かどうか分からないが嘘ではない。だからドラウディロンは驚く。今なお、悩みの種であるビーストマンよりも八相の方が強大だと言うからだ。

しかも、1体の八相だけでビーストマンの軍隊を軽く捻り潰せるというのだ。そんな怪物が竜王国周辺にいるかもしれないなど、頭がさらに痛くなる。

 

「でも八相がいるとは限らないです。下位個体のウィルスバグだけかもしれません」

「……その下位個体のウィルスバグの強さは?」

「それでもビーストマンの軍隊を飲み込むことはできる」

 

頭痛は酷くなるだろう。

 

「でも大丈夫です。ボクらはウィルスバグや八相を倒す手段を持っています」

「ほ、本当か?」

「はい」

 

カイトたち全員がウィルスバグを倒すワクチンプログラムを持っている。カイトには腕輪がある。それにガルデニアにはヘルバからある槍を渡されている。

ウィルスバグ対策はバッチリである。

 

「ドラウディロン女王。ボクらがウィルスバグを必ず倒します。絶対に竜王国に災厄を訪れさせません」

 

強くハッキリと言葉を出す。その芯のある強さにドラウディロンはカイトに更なる好感が持てた。

 

(おい宰相。このカイトという青年は良いじゃないか!!)

(そうですね。それに女王陛下の好みにドストライクでもあります)

(そ、そうだな。私も良いかなって思っている)

 

カイトを見て少し照れるドラウディロン。

 

(セラブレイトみたいに余計なことをしないでくださいよ)

(するか!!)

 

ドラウディロンは新たな戦力を手に入れたことにおおいに嬉しく思う。

そして後日、カイトたちの実力を目の当たりにして相当驚くこととなるのであった。




読んでくれてありがとうございます。
感想があればください。

カイトたちは竜王国にて行動を始め、アインズはトブの大森林にて行動を始めました。
カイトたちはオリジナルの物語。アインズは原作通り(少し違うかも)。

寺島良子  「私って本当に天使に見えますか?」
ガルデニア 「見える」
カイト   「そのつもりでキャラを作ったんじゃないの?」

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