カイトが竜王国で活躍している時、アインズたちがトブの大森林で大きな事件と関わっていました。
では始まります。
.hackers・ナザリック陣営
アインズ・八咫チーム
これからもう1つの戦が始まる。
蜥蜴人の村への侵攻が失敗した。その報告をコキュートスから聞いてアインズは大いに喜んだ。
失敗に喜んだのではない。コキュートスの成長に喜んだのだ。コキュートスは敗退により、戦の戦況を分析する力を得たのだ。さらに自分の命令に反発して意見を出すまで成長した。
この喜びはまるで親が子の成長を喜んだのと似ている。
「それでナザリック全軍で蜥蜴人の村に力を見せに行くと」
「そうです八咫さん。ナザリックの強大さを見せつけて支配する形になりました。彼らを助命するにはそれしかありませんから」
「ふむ。それで良いだろう。それなら部下たちも納得するだろうな」
今アインズと八咫はこれからの対策会議を行っていた。決定事項としてナザリックの全軍で侵攻し、圧倒的な力を見せつけるのだ。
そして戦うのはコキュートスのみである。第一陣の失敗は自分で汚名を返上するとのことだ。
「その戦いには私を含め他のメンバーも同行させてもらう。いつウィルスバグが襲ってくるか分からないからな」
「ええ、分かっています」
それにしても八咫の冷静さや知力に驚くアインズ。あのデミウルゴスの相手をするほどだからだ。
きっと中の人は自分より年上で貫禄のある人かもしれないと勝手に思う。しかし実際はその逆だ。八咫の本当の年齢を聞いたら驚くだろう。.hackersのメンバーだって驚いたのだからだ。
「八咫さんの他に誰が同行しますか?」
八咫の他に同行するのは砂嵐三十郎、レイチェル、ニューク兔丸だ。
他のメンバーはそれぞれ任務にむかっている。
「分かりました。では明日に再侵攻すると伝えておいてください」
「分かった。皆に伝えて準備しておこう。まあ、ウィルスバグがでない限り出番は無いがな」
「戦いはコキュートスだけですからね。それにコキュートスは砂嵐三十郎さんに自分の力を見せるなんて言ってましたよ」
蜥蜴人の村に強大な軍勢が迫る。
side変更
再侵攻の当日。アインズはナザリックの全軍を蜥蜴人たちに見せ付け、四時間後に侵攻を開始すると一方的に告げた。
その後はある小屋にてコキュートスや蜥蜴人の状況を覗き見する。
その際に蜥蜴人の行為中を見てしまい、なんとも言えない空気となった。
「蜥蜴の交尾なんて誰に需要があるっちゅーねん!!」
レイチェルの突っ込みにみんなが賛同した。
ところ変わり、コキュートスは戦士である蜥蜴人を待っていた。そして、その後ろの方には砂嵐三十郎が静かに見守っている。
彼もコキュートスのように蜥蜴人の戦士さに心を打たれ、この決戦を見届けようとしているのだ。
種族はちがえど、同じ戦士だ。この戦いの勝敗が分かっていようと見守る価値はある。
「アインズ様ト砂嵐三十郎ガ見テイル。恥ジナイ戦イヲシナケレバ。ソレニ蜥蜴人ニモナ」
そして四時後、侵攻が開始される。
コキュートスの前には覚悟を決めた蜥蜴人の戦士たちが現れる。
先頭にいるザリュースが堂々と言い放つ。
「我々は死ぬために来たのではない。戦士の誇りとして戦いに来たのだ!!」
この言葉にコキュートスは再確認する。やはり彼らは戦士だ。
その返事にと死地に向かう戦士だけ前に出ること要求した。
「コノ戦ニ手加減は無用だ。全力デ参ル」
スキルのフロスト・オーラを発動。これにより蜥蜴人たちは凍りつき、絶命する。それでも残るザリュースたちの目は戦う目をしていた。
コキュートスは更なる感動をする。彼らはやはり戦士だと。
「全力デ来イ!!」
「そのつもりだ!!」
氷結の武神と蜥蜴人の勇者が激突した。
この勝負の結果は見えている。蜥蜴人の奮戦も虚しく一方的だ。それでも食らいついてくる。だから手加減などしない。
「オ前ハ真ナル戦士ダ」
コキュートスは油断していたわけではない。それでもシャースーリューの命を捨てた支援によりついにザリュースの刃が届く。しかしコキュートスには効かない。
それでも圧倒的な差があった状況で刃を届かせた彼らには称賛を与える他ない。遠くで見ていた砂嵐三十郎もまた同じ意見であった。
攻撃は効かないが彼らに同じ戦士として敬意を示す。
「良イ戦イダッタ」
「……肉体は滅んでも誇りは消えぬ」
敬意を示した後、コキュートスはザリュースに全力の一太刀をくらわした。
これにて蜥蜴人との戦は終わった。圧倒的な戦力で勝ちは分かっていた。戦にかかった時間も短い。
それでも戦の濃さはあり、恥じない戦であった。
遠くの小屋から覗いていたアインズもコキュートスの戦いに満足である。特に言うことは無く、最高の部下であると思うのであった。
(何か褒美を出さないとな)
おそらくザリュースたちの復活を望むだろう。それなら叶えてみせる。そもそも侵攻もウィルスバグのために始めたことである。
蜥蜴人たちは運が悪いとしか言えないのである。そんな彼らを復活させるのに躊躇いは無い。
(コキュートスは喜ぶだろうか)
これからコキュートスの許に向かう時に事件が起こる。
side変更
ウィ#ス&グ*営
第?相#レ*ーム
月をイメージした仮面を付けた男が遠くからコキュートスと蜥蜴人たちの戦を見ていた。
その男は蟲と爬虫類の弱肉強食にしか見えないと思ったのであった。しかしそれよりもこれから起こす策にどうなるかと想像して楽しんでいた。
「策と言うよりも実験ですかねぇ」
これから起こす策(実験)は後に起こす大きな事件へとつながるものである。カイトやアインズたちがその事件に飲み込まれるのはもう少し先の話である。
「では始めましょう。蠢けウィルスバグ」
パチンッと指を鳴らす。するとトブの大森林の方から地鳴りが聞こえてくる。何かが蠢くような音である。
チラリとトブの大森林を見ると黒い煙のようなものがモンスターを飲み込みながらコキュートスの許に迫るのであった。
side変更
ナザリック、.hackers陣営
コキュートスはすぐさま気付く。何か得体の知れないものが近づいていると。奥の森を見ると黒い煙のようなものが雪崩れのように向かってきたのだ。
異常事態である。そして気付いたのだ。あの黒い煙のようなものがウィルスバグであると。
武器を構えてウィルスバグに立ち向かう。ワクチンプログラムを持っているから簡単には飲み込まれない。しかし絶対というわけではない。
多量のウィルスバグに飲み込まれればワクチンプログラムを持っていたとしても限界はあるのだ。
「危険だぞコキュートス!!」
砂嵐三十郎が真上から現れ、迫るウィルスバグを一刀両断した。それで終わらず、さらなる剣技で攻める。
「断駆!!」
ウィルスバグを一瞬で切り刻む。それでもウィルスバグは蠢き、まだ多量に残っている。
ウィルスバグの一部が触手のように襲い掛かる。それを砂嵐三十郎とコキュートスが斬り裂く。
「コイツガ、ウィルスバグカ」
「そうだ。ワクチンプログラムがあるからって油断するなよ」
「分カッテイル」
愛刀で斬る。斬る。斬る。
それでもウィルスバグは多量に周囲を埋め尽くす。このままでは2人が飲み込まれるのは時間の問題である。
徐々にウィルスバグはトブの大森林を侵食していく。その中にいる2人は斬り刻んで自分の陣地を守っているようなものだ。
「このままじゃマズイな」
「ウム。ココハ、スキルデ凍ラス」
フロスト・オーラを発動。ウィルスバグはいっきに凍りつく。しかしスキルの範囲すら飲み込んでくる。
本当に多量すぎるのだ。
「仕方ナイ。不動……」
「コール・グレーター・サンダー!!」
コキュートスが己の大技を繰り出そうとした時に主である声と強力な雷撃がウィルスバグを襲った。
2人を囲んでいたウィルスバグは消え去り、道が開けた。急いで脱出してまだ侵食していないエリアに向う。
そこにはアインズや八咫たちがいた。
「大丈夫かコキュートス!?」
「ハイ。大丈夫デスアインズ様。アリガトウゴザイマス」
「助かったぜアインズさん」
「砂嵐三十郎さんも無事で何よりです」
侵食されたトブの大森林を見る。よく見るとウィルスバグは円状に侵食している。これを見てアインズはすぐさま作戦を考えた。
ウィルスバグを倒せる作戦だ。
「八咫さん。ここはオレたちに任せてください。ウィルスバグを殲滅する作戦があります」
「ほう。そうか私も作戦を考えたのだが……分かった。任せてもらおう」
「なんだなんだ。俺たちの出番は無しかよ」
「しゃーないな」
アインズたちは各階層守護者たちに作戦を伝える。
ウィルスバグ殲滅作戦が始まる。
各階層守護者たちが6方向に散らばり、ウィルスバグを囲む。
6方向からアルベドたちが自慢の魔法やスキルでウィルスバグを中心へと押し返す。これ以上侵食をさせないためだ。
そしてウィルスバグを中心へとどんどんと押し返す。
「パリィ。カウンターアロー!!」
「フォース・エクスプロージョン!!」
「アチャラナータ。不動明王撃!!」
「レインアロー!!」
「アース・サージ!!」
「ソドムの火と硫黄!!」
そして中心付近にいるアインズは手に山河社稷図を持っている。
アインズが考えた作戦は簡単だ。
円状に広がっているウィルスバグを6方向から囲むように攻撃して押し返す。次に山河社稷図の空間を隔離し、相手を丸ごとその空間に飲み込む力で足止めする。
最後にワクチンプログラムの力で強化した超位魔法で仕留めるのだ。
「この策ならウィルスバグを殲滅できるな」
八咫もアインズの考えた策を認める。その作戦ならウィルスバグを殲滅できる。それに八咫としてはワールドアイテムの効果を知っておきたいのもあった。
「発動。山河社稷図!!」
山河社稷図が螺旋状に開かれる。そしてアインズの腕に装備される。
中心に押し寄せられたウィルスバグ目掛けて発動。ウィルスバグは空間から切り取られ、透明な球体に閉じこまれる。
そしてアインズはすぐさま超位魔法を発動する。
「フォールンダウン!!」
超高熱源体がウィルスバグを燃やし尽くし、溶かし尽くした。ウィルスバグは完全に消滅したのだ。
(やった。オレらでもウィルスバグを倒せた!!)
アインズたちでもウィルスバグを倒せると分かり、喜ぶのであった。
(これでカイトさんの横にも立てるぞ!!)
アインズはカイトの横に立ち、ウィルスバグと戦うのを思い描いた。
そんな中、あるノイズを聞いてしまった。そのノイズに良い思いでは無い。
ジジジ……ジジジジジ……ジジジジジジ。
そして不気味な声を聞いた。それはまるで予言のようなことを言っていた。
『裁きの雷、全てを切り裂くであろう……』
そしてトブの大森林に雷鳴の裁きが降りかかる。
読んでくれてありがとうございます。
今回は蜥蜴人との戦いが終えてからのオリジナルの話となりました。
アインズはウィルスバグの戦いを見つけました!!
アインズ 「これでウィルスバグと戦える!!」
カイト 「やったねアインズさん!!」
八咫 「でも次回は八相だぞ」