予言はアインズたちに何をもたらすのか!?
始まります。
ナザリック、.hackers陣営
トブの大森林に第4相フィドヘルの破片データを取り込んだウィルスバグが現れた。
雷鳴の裁きを発動してアルベドたちを襲ったのだ。威力は凶悪である。いきなり襲われたアルベドたちは何が起こったか分からない。
それでもまだ動けるアルベドたちは魔法で反撃するのであった。しかしフィドヘルには効かない。
それはフィドヘルの能力である。予言者であるため魔法攻撃を確実に回避する能力だ。
戦う方法は物理攻撃でしか有効でないのだ。それを知らない彼女たちのために砂嵐三十郎たちが急いで援護にくる。
「こいつに魔法は効かない。物理攻撃で攻めるんだ!!」
「砂嵐三十郎さんの言う通りだ。魔法で攻撃するな。物理攻撃かスキルを使え!!」
アインズも急いで援護に来ていた。マジックキャスターである彼に対してフィドヘルは天敵だ。だからこそシャルティア戦と同じようにたっち・みーの鎧を装備してきたのだ。
「アインズよ。フィドヘルのプロテクトの破壊を頼む。その後は私がトドメを刺す」
八咫の身体から紋様が現れる。アインズは先ほど聞いて驚いたが八咫もデータドレインが使えると言うのだ。カイトと同じ腕輪を持っているかと聞いたがそうではないと言われた。
それよりもフィドヘルをどう対処するかが問題である。だが八咫からどうすれば良いか考えられている。
アインズたちがフィドヘルのプロテクトを破壊して、八咫がデータドレインでトドメを刺す。それだけである。
そしてフィドヘルの特性も八咫から聞いている。予言による天罰で相手を攻撃するという特異な八相だと。
だから予言を聞いた後は対策を施せば勝てない相手ではないのだ。
(それにしてもトブの大森林には何か感じると思えばフィドヘルの破片を取り込んだウィルスバグがいたからか)
『大地の怒り、全てを揺るがすであろう……』
「魔震の裁きが来るぞ。気をつけろ!!」
大地が割れ、岩石が隆起し、全員を襲う。フィドヘルが予言を起こす度にトブの大森林の一部が変形する。
しかし、予言を聞いてから発動まで時間はある。そのため対策は立てられるのだ。ダメージが0というわけではないが大分マシになっている。
「対策してもこれほどのダメージってとんでもないわ!!」
「ったく何でありんすか……あのモンスターはぁ!!」
「あれがウルベルト様が研究していた八相か。とんでもないですね」
アウラたちが文句を言う。それに賛同していく他の階層守護者たち。
初めて八相の破片データを取り込んだウィルスバグと戦っている階層守護者たち。確かに強大な相手だと理解し、油断していたら確実に消される存在だとも理解した。
それでもフィドヘルよりも厄介な八相は存在する。中でも第8相が凶悪である。しかしまだ分からない彼らである。
「いくで~……アンクラック!!」
「よっしゃあ出番だ!! ギライボルテクス !!」
「忌突鬼!!」
レイチェル、ニューク兎丸、砂嵐三十郎たちが怒涛の攻撃を繰り出す。それを見て負けられないとアルベドたちも反撃する。
「ヤツは予言による魔法攻撃と波動攻撃しか使わない。よく観察して攻撃するのだ!!」
「はい。アインズ様!!」
「それとデータドレインには気をつけろ!!」
攻めに攻めながらアインズは思う。フィドヘルはスケィスやイニスに比べると弱いと。攻撃パターンも少なく対処もできる。
注意すべきなのはデータドレインだけだ。予言の魔法も凶悪だがなんとか対処できる。
『災いの炎、全てを焼き尽くすであろう……』
「次の予言がきたで!!」
「炎による魔法だ。対策しろ!!」
業火の裁きが繰り出される。
ガシャンガシャンとフィドヘルの仮面が回った後に業火が周囲を覆いつくす。もう周囲は炎の海になっている。
「コキュートス決めるぞ!!」
「分カッタ砂嵐三十郎!!」
2人が同時に前へと出る。
「唐竹割!!」
「不動明王撃!!」
フィドヘルに強力な斬撃をくらわした。
「アインズ様!!」
最後にアインズの持つ建御雷八式の一撃でフィドヘルのプロテクトを破壊した。
「八咫さんトドメを!!」
「うむ。データドレイン」
八咫が右手をかざすとカイトと同じようにデータドレインを放つために紋様のような式が展開される。そして閃光がフィドヘルに直撃した。フィドヘルは不気味な呻き声と共に崩壊する。そして不気味な予言を残す。
『古き都市、増殖する蠢く黒炎にて飲み込まれる……』
『12枚の破壊の黒き葉は崩壊を与える……』
『双子は不気味に談笑し、絶望は撒き散らす……』
謎の予言を残してフィドヘルは消え去った。
アインズたちは八相の破片データを取り込んだウィルスバグを倒して喜んだ。しかし、フィドヘルが残した予言により完全には喜べないでいたのだ。
「今の予言は一体……?」
「フィドヘルが残す予言に良い思い出は無い。気をつけることだ」
「分かりました八咫さん。心に留めておきましょう」
それでもトブの大森林にいるウィルスバグを殲滅したのだ。
残りの八相の破片データを取り込んだウィルスバグは5体。
side変更
ウィ#ス&グ*営
第?相#レ*ーム
月をイメージした仮面を付けた男が遠くからアインズたちを見ていた。ウィルスバグが殲滅されたが男は満足していた。
実験により良い結果が得られたからだ。今回は勝ち負けは重要では無く、実験による結果が重要なのだ。
「ふむ……良い結果が得られました」
得られた結果はウィルスバグによる侵食速度や耐性、防御などである。これにより次に起こす策がさらに上手くいくことになるのだ。
そしてフィドヘルからも良い結果を得られた。そもそもフィドヘルはアインズたちを倒すためにけし掛けたわけではない。フィドヘルに関しても勝ち負けは関係無い。
欲しかった結果とは予言なのだ。そしてその予言も良い結果だった。
「フィドヘルの破片データを取り込んだウィルスバグを捨て駒にしたようで悪いですが、良い予言も聞けました。満足ですねぇ」
身体からウィルスバグが滲み出てくる。それは嬉しくて滲み出したようなものである。それを何とか抑える。
ここで気付かれては台無しだ。早々にトブの大森林から消えたのであった。
side変更
ナザリック、.hackers陣営
蜥蜴人との戦いとウィルスバグとの戦いは終わった。最後には謎の予言を聞いたが、戦いを終えたのだから良しとした。
コキュートスの嘆願によりザリュースたちを無事に復活させた。その前にいくつかアインズを絶句させるようなことが生き残った蜥蜴人との交渉であったが無事に済む。
ザリュースたちは今ではコキュートスに下り、ナザリックでゼンベルたちと共に戦闘訓練を行うようになった。彼らとコキュートス、砂嵐三十郎が仲良くなるのは遅い話では無かった。
「コキュートスも満足しているし良かった良かった」
「そうか。それは何よりだよアインズ」
「八咫さんたちの力のおかげでウィルスバグも倒せましたしね」
「それに関しては君達の働きが大きい。あの作戦は単純であるが効果的であったよ」
今しているのはアインズと八咫の戦後報告である。今までの報告をし、これからのことを考える。
これからのこととはフィドヘルが予言したことだ。間違いなく良いことではなく、悪いことだろう。
何かが必ず起こると八咫は断言する。
「私はフィドヘルの予言を2度聞いた。そして2つとも最悪のことが起きた」
「参考まで聞きますが……どんな?」
1つは現実世界にて大きな災厄が起きた。それはある都市にて原因不明の大火災が発生したことだ。防災システムが作動せず、多数の死傷者を出した。
ゲームからリアルへと侵食したのだ。
2つ目はThe World内にて強大すぎる存在を予言したのだ。その存在はゲームとリアルを崩壊させる程の存在であったのだ。
「そんなことが……」
「だから本当に気をつけたほうがよいだろう」
この言葉を本当に心へと刻みつけた。今までいくつか難所はあったが順調に進んできたのだ。そしてこれからも上手く進むとは限らない。
最悪のケースだって起こりえるかもしれない。覚悟は必要だろう。それでもアインズはハッキリと言う。
「最悪のケースは起こさせませんよ。みんな無事にウィルスバグに勝つ。それだけです」
「そうか……そうだな」
八咫は思い返す。The Worldの戦いでも苦難はいくつもあった。それでも最後には勝ったのだ。今回もそうするようにすればよいのだ。
それにしてもアインズはカイトの影響でも受けたのかと思う八咫であった。まるでカイトと似たようなこと言っているからだ。
(フッ……本当にカイトは誰にでも影響を与えるな)
それは勿論、良い意味での影響である。
一方、アインズはこれから起こることを覚悟しながら次のことを考えていた。それは王都リ・エスティーゼに行くことである。
それもカイトと一緒にだ。トブの大森林、竜王国のウィルスバグが片付けば最後は王都リ・エスティーゼだけとなる。そうすれば王都に足を運ぶのは当然であった。
今頃王都ではオルカやセバスたちが調査をしているはずだ。それに加わり調査を開始するのだ。
(それに王都には足を運ぶつもりだったしな)
そして不謹慎ながらもアインズはカイトと冒険できるのが楽しみでいた。
(カイトさんと冒険ができる!!)
覚悟を持ってウィルスバグと戦うのは良いが、時には息抜きに冒険を楽しむのも悪くない。
今回も無事に八相を倒しました。順調に物語は進みます。
しかし敵側も負けていません。今はですよ。次なる戦いは苛烈さを増します!!
アインズ 「予言が気になる」
八咫 「分かる者には次の展開が予想できる予言だ」