.hack//OverLord   作:ヨツバ

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アインズ視点からカイト視点へと戻ります。
竜王国もオリジナル展開ですがそろそろ決着です。

では、始まります。


竜と獣の戦

カイトたちはビーストマンの大軍勢と戦っていた。この戦いで竜王国とビーストマンの争いの決着をつけられるかもしれない。そのため竜王国の兵士たちは決死の覚悟で望んでいる。

士気は高い。そしてカイトたちによる的確な指示で戦いは順調に進んでいる。

 

「1人で攻撃しないで複数人で攻撃するんだ!! 負傷したらすぐに後方へ戻れ!!」

 

カイトは先頭に出ながら戦う。自分は竜王国軍の要の1人。一騎当千の勢いでビーストマンを倒して兵士たちの士気を上げていく。

 

「獄炎双竜刃!!」

 

業火を纏わせた双剣でビーストマンに乱舞で斬りつける。その炎は蒼炎。二つ名の『蒼炎』に相応しい姿である。

兵士たちは複数人でビーストマンと戦っている中でカイトは1人で何体もビーストマンを斬り倒していく。それを見る兵士たちは負けていられないと士気を上げながら戦う。

 

「炎舞!! 爆双竜刃!! 火炎独楽!!」

 

蒼炎を纏う双剣で襲い掛かってくるビーストマンを斬る。相手もこの戦いで決死の覚悟で来ているようだ。カイトが何百体もビーストマンを倒しているのに構わずに突っ込んでくるからだ。

撤退は選ばずに食い殺しにくる。それを避けて反撃する。

 

「バラバラになっちゃダメだ。固まって立ち向かうんだ!!」

「カイトの言う通りだ。決して1人になるな!! 」

 

ガルデニアも奮戦している。彼女の槍捌きで華麗に倒していく。戦の中でもファンになった兵士たちが見惚れてしまうほどである。そしてそれを注意する。

 

「余所見をするな!! 敵を見ろ。相手の急所を確実に突け!!」

 

どんな生物も急所を突かれれば一溜まりもない。確実に急所を貫けばスペックの差も埋められるのだ。

 

「この言葉を思って戦いに望め。アイリス、花言葉が使命。希望と光と力!!」

 

兵士たちもガルデニアの言った言葉を復唱して戦う。負傷者がいないわけでは無い。戦争だから死亡者だっている。それでもカイトたちのおかげで希望を持ちながら確実にくらいつく。

セラブレイトもカイトたちの横に立ち、ビーストマンを切り倒していく。『閃烈』の二つ名に相応しい実力である。

 

「穿天衝!!」

 

槍で貫き、斜め上へと突き上げて完全に貫く。

 

「ギライボルテクス!!」

 

雷を纏った槍を回しながら攻撃する。

 

「緋々威!!」

 

そのまま槍を突き、力の限り跳ぶ。そして地面に槍を突き刺して爆風を起こした。周囲にいるビーストマンを吹き飛ばす。

 

「今です。魔法部隊は詠唱をお願いします!!」

 

寺島良子の号令で竜王国の魔法部隊が魔法を唱える。魔法による攻撃で侵攻を防ぐ。

 

「ギガンブレイク!!」

 

力の限りで攻撃して振動で動きを止め、岩塊で潰す。そのまま追撃で魔法を唱えて攻撃する。

 

「ファバクローム!! オルビアニドーン!!」

 

炎の竜巻が発生してビーストマンを飲み込む。次に頭上から巨大な暗黒球が降り注ぐ。

魔法部隊の攻撃は終わらない。それに火力も上がっている。それはカイトの援護魔法による影響だ。

攻撃、防御、魔法攻撃、魔法防御、命中などを上昇させる。

 

「アプコープ。アプボープ。アプトープ。アプコーマ。アプボーマ。アプトーマ!!」

「感謝する!!」

 

援護魔法による強化で兵士たちも力が溢れて戦いに臨む。強気な雄叫びを上げながら剣を振るう、魔法を放つ。

勝つ事だけを考える。剣を振るう、振るう、振るう。魔法を放つ、放つ、放つ。

 

「負ける気持ちで戦うな。勝つ気持ちで戦え!!」

 

カイトが蒼炎を纏い双剣で斬る。ガルデニアが槍を華麗に力強く突く。寺島良子が鬼神のように、天使のように斧を振るう。

彼らを見たビーストマンがどう思っているかは分からない。しかしカイトたちをただの餌なんて考えは決してできない。ビーストマンにとってカイトたちは超人を超えた超人。

人間とは思っていないのだ。それを聞いたらカイトたちは微妙な顔をするだろう。しかし真実である。

 

「決めるよ。天下無双飯綱舞い!!」

「滅天怒髪衝!!」

「ライオパニッシュ!!」

 

3人の怒涛の攻撃でビーストマンの大軍勢は崩れ始める。これを機に竜王国の兵士たちもいっきに攻撃する。この戦に勝機が見える。

ビーストマンたちは少しずつ後退を始めた。そこを攻めに攻める。獣に竜の力を、人間の力を見せ付けた。

そしてついにビーストマンは撤退を選んだ。逃げるように撤退するビーストマンを見て竜王国の兵士たちは勝利の雄叫びを上げた。

 

「勝った、勝ったぞ!!」

 

セラブレイトも力強く勝利の雄叫びを上げるのであった。

 

「やったなカイト」

「うん。そうだねガルデニア!! それに寺島さんも頑張ったね!!」

「はいカイトさん!!」

 

カイトたちも勝利を喜ぶのであった。この戦で一番の功労者は間違いなくカイトである。彼が全員を引っ張り戦ったのだ。

ビーストマンを多く倒したのもそうだ。仲間を守り、敵を倒す。竜王国の兵士たちはもうカイトを『蒼炎の勇者』と褒め称えている。

フラフラのカイトをガルデニアと寺島良子が両側から支える。

 

「大丈夫かカイト?」

「大丈夫ですかカイトさん?」

「うん。でもちょっと疲れたかな」

 

ガルデニアと寺島良子はカイトを優しく治療する。カイトは照れるが嬉しいのであった。

そんなカイトを見る兵士たちはどっちかが恋人なのか、はたまた両方ともなのかと無粋なことを考える。それは勝利したからこそ思えるのであった。

英雄色を好む。この異世界ではおかしな話では無い。セラブレイトもカイトがどっちと結婚して子を成すかと無粋なことを考えている。そして自分はドラウディロン(幼女姿)と……と思っている。

この時ドラウディロンは悪寒が感じたと言うのであった。それはもうツララを背骨に入れられたかのような悪寒だと後に語るほどだ。

 

「ん……あれはどうしたんだ?」

「どうしたんですかセラブレイトさん?」

「どうやらビーストマンの軍隊の方で何かあったみたいだ」

 

遠目で見ても何か騒いでいるようにしか見えない。しかし次に起こる光景を見てカイトたちは戦いが終わっていないことを知ることとなった。

 

「あれはまさか!?」

 

ビーストマンの軍勢の方から黒い煙のようなモノが噴き上がったのだ。その黒い煙のようなモノの正体はウィルスバグ。

ウィルスバグがついにカイトたちの前に現れたのであった。しかも戦が終わった後という最悪なタイミングであった。

 

「なんでこんなタイミングにウィルスバグが出てくるんだ」

 

これにはカイトも勘弁してほしいと思ったのであった。だがそれでも使命のために戦う。

カイトは右腕に光る黎明の腕輪を見る。そしてガルデニアの槍も見る。

 

「どうやらこの槍の出番のようだな」

「うん。お願いするよガルデニア」

 

ガチャリと槍を構えるガルデニア。その槍はただの槍では無い。ヘルバがオリジナル以上に作ろうと作成し、受け取った対ウィルスバグの槍である。

 

「頼むぞ……神槍ヴォータン」

 

 

side変更

 

 

ウィ#ス&グ*営

第?相#レ*ーム

 

太陽をイメージした仮面を付けた男は竜王国とビーストマンの戦いが終わるのを待っていた。そもそもカイトたちさえいなければすぐに実験を始められたのだ。

黄昏の勇者がいるおかげで策と言う実験は出来ずにいたのだ。しかし戦が終わり、ついに実験が始められる。

パチンッと指を鳴らすとビーストマンの大軍勢の中心からウィルスバグが高く高く噴出す。そしてウィルスバグはビーストマンの大軍勢を飲み込んでいく。

 

「やっと実験が始められる」

 

ビーストマンは突然のウィルスバグの発生にわけも分からない。ただ分かるのは自分たちが成す術も無く飲み込まれるだけである。

攻撃しても悲鳴を上げてもウィルスバグは無慈悲にビーストマンを飲み込み、侵食していくのであった。

 

「さあて、どうするのか黄昏の勇者ぁ」

 

ビーストマンの侵食が終われば次は竜王国が狙いとなる。それにカイトたちもいる。正直に思うと簡単には侵食できないだろう。だからどうなるか楽しみなのである。

不気味に笑いながらウィルスバグの侵食具合を観察するのであった。

 

 

side変更

 

 

.hackers、竜王国陣営

 

ウィルスバグを見たカイトたちはすぐさま竜王国の兵士たちに撤退をさせた。撤退の先頭はセラブレイト。無事で先導させてほしいと頼んだのだ。

カイトたちは殿を受け持った。ここから先は竜王国にウィルスバグを侵食させてはならない。大きな戦が終わった後だが気にしない。

疲れた身体に鞭を打ち、動かす。

 

「行くよガルデニア、寺島さん!!」

「ああ!!」

「はい!!」

 

ウィルスバグの殲滅戦が始まる。ウィルスバグは多量にいるが勝つ。

まずは寺島良子が上級の魔法を放つ。

 

「オルメアンゾット!!」

 

ウィルスバグの真下から暗黒の結晶が隆起し、消していく。

 

「ライネック・ファ!!」

 

次に闇属性の精霊神を召喚して殲滅させていく。

見た目が天使なのだが、彼女の属性が闇だというから違和感バリバリである。それでも性格は天使である。

侵食は少しだけ止まる。だがウィルスバグは敵と判断して触手を伸ばして攻撃してくる。

させまいとカイトは寺島良子を守るようにウィルスバグの触手を斬る。ウィルスバグとの戦いは無闇に突撃してはダメである。ワクチンプログラムがあるとは言え、完全に侵食感染しないとは限らないからだ。

だがこちらにはウィルスバグ対策を持っている。負ける気が無い。

 

「神槍ヴォータン!!」

 

その1つが神槍ヴォータン。その槍はデバッグアイテムであり、ウィルスバグやAI(NPC)まで消せるのだ。

その槍を突くだけでウィルスバグは一直線に消え去る。その効力にガルデニアは珍しく驚く。

 

「ふむ。これは良い槍だ」

 

ウィルスバグの一部が急に集まりだし、蠢きながら巨大な10体の黒いビーストマンとなった。これを見て思ったことはバグモンスター。

バグモンスターはモンスターにウィルスバグが感染したモンスターである。その強さは通常のモンスターよりも超える。

 

「関係無い。この槍で屠るのみ」

 

ガルデニアが神槍ヴォータンを構えてバグモンスターに攻撃する。

 

「崩天裂衝!!」

 

ガルデニアの持つ神槍ヴォータンの前ではバグモンスターは脅威では無い。すぐさま10体のバグモンスターを屠った。

さらにバグモンスターが生み出されてもガルデニアは次から次へと貫く。

その姿は華麗な重槍士。こんな状況でもそう思わせるのが彼女であった。

 

「ジュドゥーム!!」

「さすがだねガルデニア!!」

 

突く、斬る、振るうだけでウィルスバグが容易く消える。さすが神槍ヴォータンである。

ウィルスバグに囲まれないように殲滅していく。カイトは腕輪を展開して照準をウィルスバグに合わせる。

照準が合わさり、データドレインを放つ準備が完了する。

 

「ガルデニア、離脱して。今からデータドレインを放つよ!!」

「分かった。撃て!!」

「データドレイン!!」

 

蒼き閃光がウィルスバグを貫く。データドレインによってウィルスバグは消滅する。

しかし、まだウィルスバグは蠢いていた。それはやはりウィルスバグが多すぎるのであるからだ。

カイトが放ったデータドレインではウィルスバグの全てを消滅させることはできなかったのだ。

だから考えた。データドレインでダメなら進化したデータドレインを撃つしかない。データドレインが単体に放つスキルだ。

だが複数に放つデータドレインもあるのだ。それでウィルスバグを殲滅するしかない。

 

「ドレインアークを撃つしかないな」

 

腕輪をさらに展開させる。

 

「寺島さん。その斧でボクを高く投げ飛ばして!!」

「分かりましたカイトさん」

 

カイトが寺島良子の持つ大きな斧に乗って高く投げ飛ばされる。

 

「せやああああああああ!!」

「神槍ヴォータン!!」

 

カイトが空高く投げ飛ばされている間にガルデニアは神槍ヴォータンをウィルスバグに向かって投げ飛ばす。カイトがドレインアークを放つのに邪魔されないようにするためである。

神槍ヴォータンはウィルスバグを内部から貫き、殲滅した。そしてカイトは空高く上がると腕輪を展開してドレインアークを撃った。

 

「ドレインアーク!!」

 

ウィルスバグを飲み込むほどの蒼き閃光でウィルスバグは完全に消滅した。

 




読んでくれてありがとうございます。
カイトたちは竜王国を救いました。もう彼らは英雄です。
そしてガルデニアが持つ神槍ヴォータン。まだ活躍はありますよ。

ガルデニア 「この槍にはまだ出番がある」
カイト   「じゃあガルデニアも出番あるね!!」
寺島良子  「私もまだ出番ほしいです」

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