カイトは竜王国を二重の意味で救いました。もう英雄ですね。
では、始まります。
.hackers、竜王国陣営
竜王国はついにビーストマンとの戦争に勝利した。さらにウィルスバグにまで勝利したのだ。
凱旋したカイトたちは竜王国の兵士や民からもう英雄扱いである。『蒼炎の勇者』なんてとも呼ばれるようになっている。
この凱旋はエ・ランテルの時よりも大きい。それはそうだろう。なぜなら王国1つを救ったのだから。カイト、ガルデニア、寺島良子の名前は竜王国の歴史に永遠に残るだろう。
特に『蒼炎の勇者』であるカイトは竜王国の英雄だ。きっと民はこのまま竜王国に残ってほしいと思うだろう。生まれてくる子供には彼のように育ってほしいと同じ名前を命名するだろう。民はカイトとドラウディロンが結婚して子を成して国の安泰を願うだろう。
その件のカイトたちは竜王国の王宮に向かった。そして扉を開けてドラウディロンたちのいる玉座に入った時、カイトに誰かが抱きついてきた。
その誰かとは竜王国の女王であるドラウディロンである。幼女姿ではなくて真の姿である大人な姿である。
ここで補足を入れるとセラブレイトは居ない。ドラウディロンはこの国を救ってくれた英雄に関して真の姿で感謝しないと思って大人の姿なのだ。
セラブレイトに関しては後で呼んで幼女姿で頭をナデナデするつもりである。
「本当に感謝するぞカイト!!」
女王としての振る舞いでなく、竜王国に生きる1人の女性として彼女はカイトに抱きついたのだ。それはもう嬉しさのあまり強く抱きしめている。
ガルデニアと寺島良子は一瞬「むむ」っと思ったがここは抑えた。竜王国が助かったのだから余計な事は考えない。
宰相に関しては特に気にしていない。今だけはドラウディロンの気持ちが分かるのだ。多少はハメを外しても良い日である。
「本当に本当にありがとう!!」
もう嬉しさのあまりにドラウディロンはカイトにキスまでしてしまう。それを見たガルデニアと寺島良子はまた反応するが抑える。
この状況にカイトはドキドキである。男として華麗で豊満な胸の大人な女性に抱きつかれてキスまでされればそうなる。
「この勝利はボクだけの力じゃありません。みんなが力を合わせたからこそ勝てたんですよ」
「ああ、そうだな。今宵はこの勝利を肴に祝おう!!」
すぐにでも祝いの席を用意する。城下ではもう民たちがお祭騒ぎである。無礼講で飲めや騒げやの状態である。そして王宮内も祝いを上げるのであった。
兵士たちは肉を食い、酒を飲む。無礼講で騒ぎ立てる。セラブレイトは幼女を探す。
宰相は女王にあることを耳打ちをする。酔った勢いで兵士たちはガルデニアや寺島良子に告白する。そして兵士たちは散華する。
様々なことが祝いの席で行われるのであった。
その中でカイトはベランダにてアインズからのメッセージ会話をしていた。
「そっか……そっちはフィドヘルが現れたんだね。大丈夫だった?」
『はい。みんな無事ですよ。でもトブの大森林にいるウィルスバグは殲滅しました』
「こっちも竜王国にいるウィルスバグは倒したよ。だから残りは王都リ・エスティーゼだけだね」
女神アウラから教えられたウィルスバグの居場所は残り1つ。それが王都リ・エスティーゼである。今頃、オルカやセバスたちが調査中のはずである。
今度はカイトとアインズ2人で王都に向うことを約束する。残りのウィルスバグはいる王都には仲間を集結させて戦うつもりである。
(それにしても気になるのが2つあるんだよね。予言とメイガスだ)
カイトは今回で八相の破片データを取り込んだウィルスバグが現れると予想していた。そして順番的に第3相のメイガスだと思っていた。しかしハズレであった。
竜王国には黒い煙のようなウィルスバグしか現れなかったのだ。トブの大森林には第4相のフィドヘルが現れたというのに第3相のメイガスが現れなかったのに違和感を覚えたのだ。
『それは八咫さんも気にしていましたね』
「やっぱり……もしかしたら王都にいるのかもしれない」
『それも考えて慎重に調査しないといけませんね』
次に予言である。フィドヘルの予言は間違いなく悪い予言である。今までがそうであったからだ。
予言の中には気になる言葉もあった。それに何か引っ掛かるカイトであった。しかし分からないのだから今は後にすることにした。
「分かったよモモンガさん。報告ありがとう」
『それはこっちもですよカイトさん』
「あ、そうだ。八咫から聞いたんだけどモモンガさんって爬虫類に欲情するんだね(笑)」
『ちょっ、それ誤解だから!!』
アインズは雌の蜥蜴人との交渉について細かく説明する。誤解を解くために。お互いに笑いながら。
アインズとのメッセージ会話を終えた時、ドラウディロンがカイトのいるベランダに訪れた。
「カイトはここにいたのか」
「ドラウディロン女王」
飲み物を渡してくれる。女王から飲み物を渡されるなんてレアだろう。飲み物を貰って喉を潤す。
「カイトには本当に感謝するぞ」
「どういたしましてドラウディロン女王」
「本当に感謝する。そしてカイトよ……もし良ければなんだが我が国に所属しないか? お前は今や我が国の英雄だ。誰も反対しないぞ」
まさかの誘いである。カイト自身はまだ気付いていないが、この異世界の国からしてみればカイトたちは超が付くほどの実力者だ。
どの国もカイトたちを知れば所属させるだろう。
「えーっと。そうだなあ」
カイトは悩んでしまう。それはどう断るかをだ。
カイトたちはウィルスバグを倒すという使命がある。いつまでも一箇所の場所にいるわけにはいかないのだ。拠点だってタルタルガという場所がある。
(どうやって断ろうかな……やっぱり正直に言うしかないよね)
やはり正直に言った。ウィルスバグとの戦いがあるから竜王国には居られない。世界中を旅しなければならない。
それを聞いてドラウンディロンは残念に思う。こうもはっきりと断れればどうしようもない。
「そうか……残念だカイトよ」
それでもドラウディロンは諦めない。宰相と何度も打ち合わせをした。断られることも可能性としてあったのだ。
「それでもだ。もし旅が終えればこの竜王国にまた訪れてくれるだろうか?」
「うん。それは勿論!!」
カイトは笑顔で握手を求める。この行動は必ず竜王国に訪れることだ。
「そうか!!」
ドラウディロンは握手に応じる。また竜王国に来てくれる。それだけでも嬉しいのだ。
「本当にまた会いに来てくれ!!」
そしてまた抱きつく。嬉しくて仕方が無いのだ。そしてカイトの耳元にある事を艶やかに囁く。
「なあカイト。この後に私の部屋に来てくれないか? 大事な話があるんだ」
「ん? 分かりました」
(よし。カイトから言質を取ったぞ。このまま宰相の計画通りだ!!)
実は今晩にドラウディロンはある計画を実行しようとしていた。それは宰相と打ち合わせをした1つの作戦。
宰相はカイトを竜王国に所属させたいのならばドラウディロンの婿にでもすれば良いと言った。彼は竜王国の英雄。女王が英雄を娶ってもおかしい話では無い。民も反対はしない。
ドラウディロンも乗り気である。何も問題は無いのだ。だからこそ、こう言ったのだ。
「既成事実でも作れば良いんじゃないですか女王陛下?」
「そうだな!!」
「それにカイト殿ほどの英雄ならば血を受け継いでおきたいですしね」
「そうだよな!!」
ぶっとんだことを言う宰相であった。そしてその意見に即決するドラウディロンもドラウディロンであった。お互いに竜王国の危機が去ってから頭の考えが少しズレたのかもしれない。
(このままいけるんじゃないか!? 敵であるガルデニアとテラシマリョーコは兵士たちに時間稼ぎをさせてるしな!!)
カイトの腕に絡みつき、そのまま祝いの席から離れる。向うは自分の部屋。部屋にはイロイロと用意してある。そうイロイロとだ。
今晩に起こるであろう濃厚なひと時を妄想してしまうドラウディロンであった。
しかしカイトを巡る戦いは上手くいくことは簡単ではない。いつも何が起こるのだ。
「あ、ガルデニアに寺島さん」
「何だと!?」
「2人もドラウディロン女王に呼ばれたの?」
「まあな」
「はいカイトさん。お話って何ですかドラウディロン女王様」
兵士たちに足止めさせていた2人がなぜかドラウディロンの前になぜか立ちはだかっていた。
(馬鹿な……確かに足止めはさせていたのに!?)
彼女たちにとって兵士たちの足止めなど意味は無いのだ。そして笑顔なのに恐いと感じたカイトである。
「えーと……(汗)」
「カイトさんには後で話があります。ブラックローズさんやなつめさんたちも含めて話しましょうね」
「え」
(こんなところで邪魔されるとは……しかし諦めないぞ!!)
ドラウディロンも笑顔で話す。
「いや、カイトだけで話がしたい。2人はまだ祝いの席を楽しんでくれ」
「大事な話ならカイトだけでなく私たちも聞こう」
「はい。私たちはカイトさんの仲間であり、特別な関係ですから」
(特別な関係って何だろう?)
「ほう……しかし私は2人で話がしたいのだ」
遠まわしに邪魔者は引っ込んでくれと言う。しかし、それで引き下がる2人ではない。部屋の前で繰り広げられる女の戦い。
カイトは空気。今夜は違う意味で濃い夜となったのであった。この後どうなったかは彼らしか知らない。
読んでくれてありがとうございます。
カイトたちは竜王国の英雄となりました。そして次は女の戦いが始まりました。
どうなったかはご想像にお任せします。
竜王国編はこれで終わりますが、構想を思いつけばオリジナルでまた書くかもです。
あと原作で情報が出ても書くかもです。
そしてこの話でVol.2は終了です。次回からはVol.3へと移行します。
Vol.3ではウィルスバグが活性化します。(戦う意味で)
次回をお楽しみに!!
ドラウディロン 「カイトよ。婿にならないか?」←直球
カイト 「それは・・・」←後ろの視線が恐い
ガルデニア 「アジサイの花言葉を知っているか?」←笑顔の圧
寺島良子 「私はカイトさんを信じていますよ」←笑顔の圧