.hack//OverLord   作:ヨツバ

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今回からVol.3へと移行しました。
原作で言うと王国編ですね。

では始まります。


Vol.3 大侵食
新たな幕開け


王都にて。

王都リ・エスティーゼの王女ラナーに仕える熱き少年戦士クライムは王国最強と言われる戦士ガゼフと訓練をしていた。

ガゼフから剣の努力を認められ喜ぶ。彼はその後に主人であるラナーの下へと向かう。

途中でザナック第2王子にラナーは危険だとわけの分からないことを言われるが、これを無視する。

 

「ラナー様。クライムです。失礼します」

 

ラナーの部屋に入ると蒼の薔薇のリーダーであるラキュースとメンバーであるティナがいた。

彼女たちは王国の裏社会を牛耳る八本指の対策会議を行っていたのだ。そこにクライムも加わり議論は続く。

 

「ところでラキュース。八本指の麻薬製造拠点の焼き討ちはどうなったの?」

「成功しましたよ。思ったよりだいぶ楽だったわ。それも助っ人2人のおかげね」

「助っ人って誰かしら?」

「そういえばラナーにはまだ話してなかったわね。実は今助っ人としてなつめっていう双剣士とぴろしっていう重槍士が仲間になっているの」

 

ここでぴろし3がいれば3を強調するだろう。

 

「実力は?」

「強い」

「ティナのいう通りね。彼らの実力は本物。確かめた時はガガーランも驚いていたからね。それにチーム名もあって、確かドットハッカーズって名乗っていたわ」

 

ドットハッカーズという言葉に反応したのはクライムであった。彼はもう一度ラキュースにチーム名を聞く。

 

「何か知ってるのクライム?」

「はい。ラキュースさんは最近エ・ランテルでアダマンタイト級冒険者チームが2つもできたのを知っていますよね」

「ええ。でもチーム名までは……ってまさか」

「そのまさかですよ」

 

クライムは説明する。

エ・ランテルに.hackersというチームと漆黒と言うチームが結成され、両方とも異例の早さでアダマンタイト級に到達したと。

 

「自国にアダマンタイト級冒険者チームが2つもできるなんて素晴らしいですね」

 

ラナーは心の中で良い駒ができるかもしれないと人知れず思った。

 

「そういえばなつめがエ・ランテルに仲間がいるって言ってたけど、まさか……ねえ、クライムはそのドットハッカーズのリーダーの名前を知っている?」

「はい。確かカイトって名前でしたね」

 

確定した。なつめも.hackersのリーダーがカイトと言っていたのを思い出す。そして実力があるのも理解したのだ。アダマンタイト級のリーダーなら仲間もアダマンタイト級だっておかしくない。

なつめやぴろし3に出会えたことは本当に当りであった。

 

「ねえクライム。ドットハッカーズと漆黒について教えてくれる?」

「もちろんですラナー様」

 

クライムは説明する。

まずは漆黒チームから。リーダーは『漆黒の英雄』モモン。『美姫』ナーベの2人で構成されたチームだ。たった2人だが実力はあり、依頼成功率は100パーセントという実積がある。

次に.hackersチーム。リーダーは『蒼炎』カイト。他に『英傑姫』ブラックローズ、『探索者』ミストラル、『麗槍』ガルデニア、『鬼神天使』寺島良子がいる。さらに他にもメンバーがいるという噂で計り知れないチームだ。

 

「そうなのですね」

「さらに噂で聞きましたが『蒼炎』のカイトには右腕と左腕に『蒼海』と『蒼天』の二つ名を持つ仲間もいるそうですよ」

「二つ名がたくさん。それに、カイトに会える。その時に詳しく聞けばいい」

 

ティナのいう通りであるとラキュースは思う。なつめからの伝言でリーダーであるカイトが王都リ・エスティーゼに訪れるのだ。その時に詳しく聞けば良い。

 

「カイトって人に助っ人になってくれるか交渉しないとね。助っ人になってくれれば助かるからね」

 

アダマンタイト級の助っ人なら誰もが欲しがるだろう。それほどの戦力なのだから

 

「それにしても助っ人か。ワガママを言うならアーグランド評議国のアダマンタイト級冒険者チームも助っ人としてほしいわ」

「それ大丈夫なの? アーグランド評議国と言えば亜人でしょう。……まあ、人間も少しはいるみたいだけど」

「私が言うアーグランドの冒険者チームは人間がリーダーのチームよ」

 

それは珍しいという顔をするラナーとクライム。なぜならアーグランド評議国の冒険者は亜人が基本だからだ。

 

「その冒険者チームに一度だけ会ったことがあったのよ。悔しいけど、そのリーダーは間違いなく私たち蒼の薔薇がまとめて戦っても勝てない実力者だと思うわ」

「ラキュースがそこまで言うなんて珍しいわね」

「会えば分かるわ。本能で理解したのよ。彼には勝てないってね」

 

仲間であるティナもうんうんと頷く。その時のことを思い出しているのだ。

アーグランド評議国に蒼の薔薇を超えるアダマンタイト級冒険者チームがいる。一応、警戒はしようと思うラナーであった。

 

「その冒険者チームの名前は?」

「確か……『黄昏の旅団』と言ってたわ」

 

 

side変更

 

 

.hackers、蒼の薔薇陣営

 

クライムはラナーたちから八本指対策の伝言を伝えるために残りの蒼の薔薇メンバーがいる宿屋に向かった。そして黄金の金ピカ重槍士に驚いた。

宿屋に一際目立つぴろし3。その存在は誰もが視線を向けるほどである。

 

「ようクライム。相変わらず童貞か?」

「会った途端にそれですかガガーランさん!?」

「おや? 知り合いですか?」

 

クライムがガガーランたちの席に座る。そしてラキュースたちに頼まれた伝言を伝えた。八本指との戦いが苛烈になることをだ。だから今は準備期間だと。

 

「なるほど。了解したぞ。ハーハッハッハッハ!!」

「あの、彼らは? もしかしてラキュースさんの言っていた助っ人ですか」

「おう。『紫電刃』なつめと『鈍き俊足』ぴろしだ」

「ぴろし3だからな。ハーハッハッハ!!」

「五月蝿い」

 

イビルアイはぴろし3の笑い声を「五月蝿い」と一蹴した。

 

「こんにちは。わたしはなつめです。よろしくお願いしますね」

「私は『鈍き俊足のドーベルマン』ぴろし3だ」

「クライムです。こちらこそよろしくお願いします」

「それにしてもガガーランさん。紫電刃って何ですか」

 

なつめはいつの間にかに付けられた二つ名にツッコミを入れた。しかし、それには理由がある。ガガーランがなつめの戦闘で付けたのだ。彼女の双剣に雷を纏わせて戦うスタイルを見てだ。

ぴろし3に関しては元々である。

 

「まあ、良いじゃないか」

「その通りである。その二つ名に誇りを持て!!」

 

なつめはため息を吐きながら雑談を続ける。そんな中でガガーランからラキュースについて相談される。それは彼女の持つ魔剣についてだ。それの影響か分からないが、闇人格と戦ったり、変な装備を好んだりしているらしい。

異世界だからそんな呪いもあるのだろうとなつめは思っていたが、聞くたびにあの病気を連想させる。

 

(えーと、それってまさか厨二病じゃあ……)

「もし、本当に呪いなら解除したい」

 

ガガーランたちは本気で心配しているが、その呪いの正体が厨二病なら時を待つしかない。そう言うしかないのだ。

 

「恐らく、それは時が経てば治りますよ。わたしの知り合いにも似たような症状の人がいましたが、時が経てば治りましたよ」

「本当か?」

「はい。だから大丈夫ですよ」

 

とりあえず心配は無い。そう諭すなつめであった。そしてぴろし3も厨二病の治療を教える。

 

「ぴろし3は治療法を知っているんですか? なつめは驚きです」

「教えてくれ」

「うむ。治療法は簡単だ。それは恋をすれば良いのだ!!」

「「恋をする?」」

 

ぴろし3が言うには厨二病を忘れさせるくらいの恋をさせれば問題無しとのことだ。確かに恋をすれば周りが見えなくなるなんて聞く。それならば厨二病も忘れさせるだろう。

 

「ぴろし3にしては上手いことを言いますね。なつめは驚きです」

「恋かあ……ラキュースに似合う男がいるかあ?」

「ならばこの私が紹介しても良いぞ!!」

 

恋と聞いてイビルアイは興味を無くす。クライムは不敬ながらラナーのことを思い慕うのであった。

 

「良い男か?」

「うむ。我らがリーダーのカイトとかな」

「それはダメです!!」

 

なつめがいち早く反対するのであった。

 

「そうか……じゃあバルムンクとかどうだ?」

 

いつの間にかラキュースの恋人選びになるのであった。それをラキュースは知らない。

 

一方、恋人候補となったカイトはアインズたちと冒険をしながら王都リ・エスティーゼに向かっているのであった。

 

「王都まで後少しだね」

「そうですね」




読んでくれてありがとうございます。
感想など待っています。

さて、今回の話で「あの人」の登場フラグ(複線)を立てときました。
これを本当に回収できるかは分からないので期待せずにいてください。


ラナー  「そのリーダーの名前は?」
ラキュース「確か、オー・・」

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