強敵との戦いにセバスやバルムンクたちはどうなるか!?
では、始まります。
この異世界での日付を表すと9月4日。
王国の宮殿にてラナーは蒼の薔薇から新たな戦力を聞いて八本指の殲滅に対してさらに策を巡らしやすくなったと考える。
.hackersは戦力として申し分ないとラキュースからのお墨付き。ある程度無茶をさせられるだろうとも考えてしまう。心の中でクツクツと笑うのであった。
そしてラキュースたちには大事なクライムの活躍を教えた。教えたかったのだ。その活躍とは娼館襲撃事件についてだ。クライムたちが八本指の一角を潰した。その活躍に蒼の薔薇は彼を褒め讃えるのだった。
「凄いわねクライム」
「おお。本当にすげーぜ。また1つ皮が剥けたな!!」
ポンポンとクライムの頭を軽く叩くガガーラン。
「「成長したね」」
ツンツンと突くティアとティナ。
「さあ、クライムを褒め称えるのはここまで。これから八本指の対策会議を始めます」
クライムがせっかく八本指の一角を潰したのだ。ならば八本指は今頃、相当な痛手をくらっているはずだ。
その勢いを消さないように急遽本日中に八本指の拠点を襲うことが決まった。そして八本指を潰すメンバーを決める。
そのためにレエブン侯とザナックを呼び、ラナーの密談によって八本指の拠点を襲撃する人員が揃えられるのであった。
報告を聞いて蒼の薔薇と.hackersは八本指の壊滅準備を完了させた。
side変更
バルムンク、オルカ、セバス、クライム、ブレインチーム
9月4日の夜。ついに六腕が動き出した。見せしめのために彼らはセバスを拠点の1つに呼び出した。
だがセバス1人で拠点に向かってはいない。仲間がいるのだ。
バルムンク、オルカ、クライム、ブレインもまた六腕のいる拠点にセバスと一緒に向かったのだ。それを六腕のメンバーは知らない。
バルムンクたちはセバスの援護のために付いてきていた。セバスなら勝てるだろうが何が起こるか分からない。そのための援護である。
「私1人で十分ですよバルムンク様」
「いや、セバスに何かあったらアインズに何を言われるか分からないからな」
六腕メンバーの前にはセバスとバルムンクが立つ。そして敵は4人。
『不死王』デイバーノック、『踊る三日月刀』エドストレーム、『空間斬』ペシュリアン、『千殺』マルムヴィスト。
彼らは1人でなくもう1人仲間を連れてきたセバスに不信感を覚えたが気にしない。ただ2人とも殺せばよい。
「今回はどれくらいかかると思うセバス?」
「20秒以内です」
セバスとバルムンクは構える。
逆に六腕たちは20秒で片付けると聞いて不快に思う。彼らは八本指の最高戦力。20秒で片付けるなどありえない。
寧ろこちらが20秒で片付けてやると構える。
「見せしめにしてやるよ」
勝負は一瞬。確かに20秒以内で決着がついた。
まず先に動いたのはデイバーノック。複数のファイヤーボールを展開したが、セバスの正拳突きにより頭を粉砕される。
バルムンクはマルムヴィストの持つレイピアの刺突を避けて剣で下部から空高く吹っ飛ばすように斬り上げて仕留めた。
「壱之太刀・垂月」
「お、お、おれ、俺の『空……空間斬』をく、くらえ」
「しゃがんで下さいバルムンク様」
ペシュリアンが鞭と剣を合わせたような特殊な武器による超速の攻撃である空間斬を放ったがセバスによって受け止められる。そして跳び蹴りによってペシュリアンの頭部も粉砕。
最後の1人であるエドストレームは2人に6本の三日月刀を高速で投げつけていたが全て跳ね返され、自分の武器によって串刺しにされていた。
六腕の4人との勝負は決着。残りの六腕は2人である。
「セバスの言う通り20秒で決着ついたな」
「バルムンク様のおかげですよ」
「フ……セバスの活躍が大きいさ」
この瞬間で八本指の一角がまた潰れたのであった。
「さて、確か残り1人いたな。もしかしたらオルカたちが戦っているかもしれない。早く合流しよう」
「そうですね」
バルムンクたちがこの場を離れようとした時にガチャリと甲冑音が聞こえた。その発生源はセバスが頭部を粉砕したペシュリアンであった。
首無しの騎士。まるでデュラハンのようであった。
「何だ?」
ペシュリアンもとい首無しの騎士は不気味に佇む。そして首から黒い煙を噴出して自分の身体に纏わせてグニャリと変化する。
その姿は巨大な黒騎士であった。身体から黒い煙が滲み出ている。それはウィルスバグ。
「まさかウィルスバグの感染者か!?」
王国にいるウィルスバグはもしかしたらペリュシャンという感染者なのだろうと予想する。
「どうやらこっから本番のようだ。バグモンスターは厄介だぞ」
「分かりました」
剣の柄を強く握るバルムンクと拳を硬く握るセバス。
「オオオオオオ……」
巨大で歪な鎌のような大剣が襲い掛かる。その一撃は拠点を破壊する。
2人は同時に攻める。バルムンクの斬撃がバグモンスターの腕を、セバスの拳が腹部を攻撃する。手応えは硬いの一言であった。
甲冑にウィルスバグの感染により強化されているのだろう。
「グオオ#&オオ#!オ&オオ!!」
またしても巨大で歪な鎌のような大剣を振り上げて巨大な斬撃を撃ち出した。
「迎え撃つ!!」
バルムンクもまた大きく振り上げて巨大な斬撃に向けて斬った。
「バククラック!!」
「バルムンク様。上です!!」
「何!?」
バグモンスターは空中に跳んでおり、巨大で歪な鎌のような大剣を振り下ろす。地面に突き刺さった瞬間、周囲に大きな紫の鎌が出現した。
大きな鎌は2人を襲う。かすり傷で済んだが食らえば大ダメージだっただろう。
「助かったセバス」
「お互い様です。しかし、ウィルスバグが感染するとこうも強化されると……油断できませんね」
「なに、ただ硬いだけだ。ワクチンプログラムを持つオレらなら倒せるさ」
「では助走を加えますか」
距離を離していっきに走り抜ける。セバスとバルムンクは突貫した。
「流影閃!!」
「はああ!!」
剣と拳がバグモンスターを貫く。
「ぐあああおおおおおお……」
「無影閃斬!!」
突進し、そのまま連続して斬撃を放つ。バグモンスターを細切れにした。
「はああっ!!」
硬い拳による連打。
バグモンスターは崩れるように消滅したのであった。
「ウィルスバグも気になるが今はツアレの救出が先なんだろうセバス」
「はい。……ツアレ、今助けに行きます」
ウィルスバグは駆除したがまだいるかもしれない。2人は慎重にツアレを救出するために奥へと進んだ。
一方オルカ、ブレイン、クライムチームは。
クライムの戦闘は既に終わっていた。相手はまさかのサキュロント。強敵であったが1度戦った相手であるし、戦闘スタイルも分かっている。
だから勝利したのだ。そして今はオルカと共にブレインと六腕リーダーのゼロとの戦闘を見守っていた。
「はああああ!!」
「うおらああああああ!!」
ブレインによる神速の斬撃とゼロのオリハルコンに匹敵すると言われるほどの硬度を持つ拳が打ち合う。
刀と拳で火花が飛び散る。普通ならありえない光景である。その光景をクライムは息を呑んで見守る。
自分よりも上の実力者同士の戦い。それを見逃すことはできなかった。
「す、凄い……」
「ああ、そうだな」
オルカもまたブレインとゼロの戦いを見ていた。またしても出番は無いが、ブレインに何かあれば助太刀するつもりだ。
そのため、いつでも大剣を抜けるように準備をしている。
「オルカさん。助太刀はしないんですか?」
「したいがブレインが一対一で戦うっつーからな。譲ったのさ。だから俺の出番がないわけよ」
それでも彼らの戦いから目を離さない。剣と拳の打ち合いは終わらない。
「やるじゃねえか。お前ほどの者なら六腕のメンバーにほしいくらいだ」
「そうか。でも仲間に入るつもりはない」
否定するように刀で一閃するのであった。
「ちっ……このままじゃ負けるな。仕方ないができれば使いたくなかったぜ」
ゼロは自身の肉体に刻まれているスペルタトゥーを発動させる。このスペルタトゥーは黒い紋様で刻まれており、発動した瞬間にゼロの身体に広がる。
「ぐおおおおおおおおああああああ!?」
その紋様が広がるのを見て思う。まるで侵食されているようだと。
そしてゼロはまるでモンスターのように筋肉を肥大化させるのであった。
(まさかあの紋様は……ウィルスバグか!?)
「がああああああ!!」
ゼロが肥大化させた拳をブレインに向ける。しかし、その拳が届くことは無かった。なぜならオルカが大剣で肥大化させた腕を切り落としたからだ。
もし、ゼロがウィルスバグの感染者ならばブレインに勝ち目は無い。だから一対一の戦いに乱入したのだ。
「悪いなブレイン。もしかしたら奴が俺らの追うモンスターに感染させられているかもしれねえから乱入したぜ」
「そのモンスターって何だよ? まさかウィルスバグってやつか?」
「おおそうだぜ」
ウィルスバグをこの異世界に当てはめて説明する。
黒い煙のようなモンスターで何にでも侵食する。そして上位個体に八相と呼ばれるウィルスバグもいるとも説明した。
「なるほどな。侵食されるとアイツみたいに暴走するわけか」
「ぐおあああああああああああああああ!!」
まるでバーサーカーである。
「それにウィルスバグを倒すにはワクチンプログラムつーのが必要だ。だから、それを持つ俺が倒す」
「分かった。じゃあアイツの隙ぐらいは作ってやるぜ」
刀を鞘に仕舞う。
前にバルムンクに見せてもらった抜刀術の見様見真似で放った。
「夜叉車!!」
暴走したゼロを一瞬のうちに連続で斬る。それを見てオルカは口笛を吹く。見様見真似でバルムンクの抜刀術を使うのだから。
彼は本当に剣の天才なのだろうと思うのであった。
そして次はオルカの番である。大剣を振りかぶり剣技を放つ。
「秘奥義・重装甲破り!!」
回転しながら連続で斬上げ、力任せに斬り潰す。その威力は破壊的と言うしかない。
その威力に耐え切れずゼロは完全に潰されたのであった。
これで六腕は全滅し、八本指の一角である警備部門は壊滅した。
その後、バルムンクたちと合流して拠点の奥で監禁させられていたツアレを救出した。
ツアレはセバスに抱きつく。セバスは彼女を安心させるために優しく抱擁するのであった。
今の彼らを邪魔しないようにバルムンクたちは外に出た。これで一件落着と思ったが、まだ激動の1日は始まったばかりである。
この時を以って王国の一画を包むように炎の壁が出現したのであった。
「何だあの炎は?」
八本指との戦いの次は悪魔との戦いとなる。
side変更
ウィ#ル%*グ陣営
第?相ゴ$チーム
「やっぱり六腕は全滅しましたねぇ」
「そうですねぇ」
不気味な双子は遠くから六腕の拠点が潰されていたのを見ていた。潰されたのをまるで当たり前だと言う。
「一応ウィルスバグを仕込んだが負けましたねぇ」
「でも時間稼ぎはできました。第一段階は完了ですよぉ。これでヤツラは通信ができない」
双子はゲヘナの炎を見る。
悪魔たちが王国で大規模な作戦を実行させようとしている中で不気味な双子は裏にて策を広げるのであった。
読んでくれてありがとうございます。
六腕との戦いはスムーズに終わりました。
そしてオルカも少し出番がありました。やったねオルカ!!
オルカ 「少しは活躍できたぜ」
セバス 「おめでとうございますオルカ様」
なつめ 「次回はわたしたちの番です!!」
エントマ「うんうん」