ついにウィルスバグが動き出しました。王国にとって歴史の中で一番の異変です。
カイトたちはどうウィルスバグに立ち向かうか!?
では、始まります。
カイト、アインズ、イビルアイチーム
王国にウィルスバグが溢れる。
ウィルスバグは上空へと噴出して大きく膨れ上がる。そして、そのまま触手のように伸びて王国へと侵食を始めた。さらに地下からまだウィルスバグは噴出する。上と下もウィルスバグだらけ。
まだ終わらない。今度は地下から12枚の黒い葉を付けた魚の骨のようなものが上空へと飛び出す。正体は増殖メイガス。
正確にはその破片データを取り込んだウィルスバグだ。メイガスは王国の中心上空にて止まる。
「何だアイツは!?」
「メイガス……!!」
「こんなところで!?」
カイトとアインズは驚く。こんなにも大規模な侵食が始まるとは予想外であったのだ。今頃、他の仲間たちも驚いているだろう。近くにいるイビルアイだって驚いている。
「見てカイト!!」
「メイガスの葉が!?」
ブラックローズに言われてメイガスを見る。
12枚のメイガスリーフが王国の全方位に飛んでいく。時計のように全12時の方向にだ。
これを見てカイトはマズイと焦る。メイガスリーフは時限爆弾だ。1つでも起爆すれば残りも誘爆するのだ。
1つでも高火力だというのに全てが起爆すれは即死級の大爆発が王国を襲う。そうなれば王国は消し飛ぶ。ウィルスバグで大侵食を受けているのに大爆発の脅威まで迫る。
「これはマズイ!!」
「早くそのメイガスリーフとやらを潰さないとマズイじゃないか!?」
イビルアイの言葉はごもっとも。しかし、今からメイガスリーフを破壊しに行っても全てを破壊できる時間は無い。人数も足りない。ゲートハッキングで移動しても全ての破壊は不可能だ。
大爆発とウィルスバグは迫る。貴重な時間は過ぎる。
「メッセージ会話さえ使えれば……!!」
今はなぜかメッセージ会話が使えない。ノイズが混じり、会話が出来ないのだ。もし、使えれば仲間に連絡してメイガスリーフの破壊を分担できるからだ。
「……せめて、メイガスリーフを何枚か破壊しよう。それだけで即死級の大爆発は抑えられる!!」
「そうですね……今はそれしかなさそうです」
蠢くウィルスバグの中を突っ切る覚悟を決める。でなければ、メイガスリーフで王国が消し飛ぶ。
走り出そうとした時にカイトにノイズ混じりのメッセージが聞こえた。その相手は女神アウラであった。
「アウラ!?」
『カイト……私も戦う。今、メイガスリーフの時限タイマーを遅くした。制限時間は1時間半ほど……』
「助かるよアウラ!!」
『大規模なウィルスバグにもワクチンプログラムを作る。……時間を稼いで』
「うん!!」
まだ運はあるようだ。アインズとイビルアイたちに説明する。そして、緊急事態時に集まる拠点に向かう。他のメンバーも向かっていることを願うのであった。
走るに走ると途中でオルカたちと合流する。メンバーはオルカを含めて、ブレイン、ガゼフ、クライムだ。
「オルカたちも無事だったんだね!!」
「おおともよ。しっかし、こいつはとんだ事態だぜ」
オルカの言葉に賛同する。特にガゼフやブレインたちはわけの分からないといった状況である。分かるのは王国が長い歴史の中で最大最悪の事態ということだけだ。
「どんな状況か教えてほしいもんだ」
「それなら後で説明する。今は緊急事態に備えた拠点に戻るぞ!!」
全速力で走る。そんな中でクライムは言葉を出す。
「すみません皆さん。自分はラナー様が心配なんです。城に向かっても構わないですか」
「おう。行ってこい。姫様を守るのは騎士の役目だ」
オルカはクライムにワクチンプログラムを渡す。
「それを使え。ウィルスバグから守ってくれる」
「はい。ありがとうございます!!」
「武運を祈るぜ」
クライムは城へと向かう。
「熱い少年戦士ですねオルカさん」
「やっぱモモンもそう思うか?」
まだ走る。
その中でアインズはガゼフのことが気になっていた。彼とはカルネ村以来である。しかし姿は違うため、初対面のようなものであった。こんな状況でなければゆっくりと話がしたいものであった。
「それにしても酷すぎる。ウィルスバグとやらはなにもかも飲み込んでいる」
イビルアイの言葉に賛同するガゼフやブレイン。
ウィルスバグは建物や悪魔、人間と飲み込み、侵食している。
特に激戦となった凶悪な悪魔までいとも簡単に飲み込んでいる。
「こんな状況だと悪魔との戦いが可愛く思えるな」
「同感だな」
「そんなこと言ってる場合かっつーの!!」
カイトたちは走る。
side変更
.hackers、蒼の薔薇陣営
バルムンク、ラキュースチーム
「まさかウィルスバグがこんなに現れるとはな。それにメイガスまでとは」
「ねえバルムンク。アレはなんなの!?」
バルムンクとラキュースもまた緊急事態用の拠点まで走っていた。
その中でラキュースは冷静になろうとする。
「まさか、なつめが言っていたウィルスバグとか八相とかいうモンスター?」
「正解だ。オレらが追っている存在だ。しかし、ここまで増殖していたのは予想外すぎる」
今や王国は大量のウィルスバグに侵食され始めている。完全侵食されるのは時間の問題である。もう既に悪魔を含めて王国の民たちは半数は飲み込まれているのだ。
ラキュースは仲間たちを心配する。
「心配する気持ちは分かるが無事を祈るしかない。大丈夫だ。ラキュースの仲間たちは強いんだろ?」
「ええ、そうね」
今は走ることだけを考える。
「拠点に戻ったらこの大惨事を解決することを対策しないとな」
「これを何とかできるの!?」
ラキュースは驚く。このどうしようもない大惨事を解決しようと言うのだから。彼女は避難するしかないと思っていたのだ。
「できる。そう言うしかないからな。それにウィルスバグを倒す力なら持っている」
「本当なの?」
「ああ。ワクチンプログラムというものだ。ラキュースにも渡しておく」
シンプルながらもデザインセンスが良い指輪だった。その指輪はワクチンプログラムが組み込まれたものである。
「それを付ければウィルスバグを倒せる。詳しい説明は拠点で話そう。とりあえず言えるのはワクチンプログラムがあればウィルスバグを倒せる。それだけだ」
ラキュースは早速ワクチンプログラムの指輪を装備する。どこの指に指輪を嵌めたかは、後の拠点にて判明する。そのおかげでガガーランたちにからかわれるのであった。
バルムンクたちは走る。
side変更
ウィルスバグ陣営
第?相ゴ@チーム
蠢くウィルスバグを見る不気味な双子。仮面を付けているから表情は分からないが確実に笑っている。
「我々の策であるカオスゲヘナは順調ですねぇ」
「そうですねぇ。それにしても顔を爆破されたのですね」
「はい。大悪魔にやられました。でも、その大悪魔も蠢くウィルスバグの中に落ちていきましたよぉ」
双子は人間ではない。彼らもまたウィルスバグである。その中でも個性を持ったウィルスバグ。それもある八相の破片データを取り込んだ影響によるものが大きい。
双子は策を巡らして、敵を消す。
「ウィルスバグで侵食され、メイガスの爆弾で追い討ち」
「良い策を考えましたねぇ。そして黄昏の勇者どもは全12時の方向に設置されたメイガスリーフを破壊に行くでしょう」
「そこを狙い打ちですねぇ。ターゲットが向かう場所が分かるなら狙うのは簡単ですから」
双子は不気味に談笑する。
「我々も動きましょうか」
side変更
緊急事態用の拠点に集まるカイトたち。メンバーは大分減ったが.hackersや蒼の薔薇は全員無事である。
リーダーのラキュースは仲間が全員無事でホッとする。
「助かったのはこのメンバーだけか……」
「それでもこのメンバーならメイガスリーフをなんとか破壊できるかもしれない」
人数は本当に少ない。メイガスリーフのところに向かわせるにはギリギリの人数なのだ。
「人数は少ないがウィルスバグやワクチンプログラムについて説明しよう」
今いるメンバーだけにウィルスバグとワクチンプログラムに説明するバルムンク。実際に説明が必要なのは蒼の薔薇だけなのだが。
「黒い煙のようなウィルスバグにはワクチンプログラムが有効だ。その効果を持った指輪や腕輪があるから皆に渡す」
ラキュースがバルムンクの説明に合わせるように既に貰った指輪を見せる。
この時、緊急事態だが心に余裕がある者なら気付いた。
ラキュースが指輪を左手薬指に付けているのにだ。
ガガーランやティアとティナはすぐさま気付く。
(おいおいアレってまさか……!!)
(鬼ボスにも春がいつのまにか来ていた)
(まさかの結婚指輪)
ラキュースが左手薬指にワクチンプログラムの指輪を嵌めたのに深い意味は無い。単純に左手薬指しか指輪を嵌める場所しかなかっただけである。
そんなことは露知らず勘違いするガガーランたちであった。
「そして上空にいるモンスターはメイガスという。アイツにはワクチンプログラムが完全には効かない」
「メイガスがなつめが言っていた八相の1体か?」
「そうだ。八相は不死の存在だ。その凶悪さはアダマンタイト級の戦士たちが何人束になっても敵わないだろう」
八相に次いで聞かされ、驚く蒼の薔薇。それはそうだろう。アダマンタイト級は最高の実力者。束になっても敵わないなんて信じられない。だが、今の王国の現状から信じてしまう。
「では、どうやって倒すの?」
「それはオレたちのリーダーの役目だ。カイトは八相を倒す能力を持っている。メイガスにはカイトをぶつける」
皆がカイトを見る。
「任せて。ボクが必ずメイガスを倒す!!」
(さすがカイトさま。やはり凄い戦士なんだ!!)
イビルアイがいつの間にかカイトの側に近づき離れない。
「では、私がカイトさんの援護をしよう」
モモンことアインズはカイトと共に戦うことを選ぶ。
「ゲヘナ」では2人がメインに戦ったのだ。誰も反対はしない。
「残りはメイガスリーフの破壊に赴く」
作戦は決まった。しかし、やはり人数が少ない。そんな時に扉からセバスが現れる。
「セバスじゃないか!!」
(なぜセバスが?)
(アインズ様。今は緊急事態ですので、ナザリックから急遽メンバーを招集したのです)
(助かる。ではセバスに決まった作戦を教えるから他のメンバーにも伝えてくれ)
(分かりましたアインズ様)
それとセバスに気になることを聞く。デミウルゴスのことだ。
もともと炙り出したウィルスバグを倒す作戦がどうなったのかを知りたいのだ。炙り出したウィルスバグがこんなに大量とは思わなかったが。
(デミウルゴスなのですが行方が不明なのです)
(そうか……心配だな)
メイガスリーフは全部で12枚。破壊しに行く組合せが急遽編成する。
バルムンクとラキュース。
オルカ。
ガガーランとイビルアイ。
ティアとティナ。
ブラックローズとミストラル。
なつめとぴろし3。
ガルデニアと寺島良子。
ナーベラル。
ガゼフとブレイン。
シャルティアとソルシャン。
セバスとユリ。
アウラとマーレ。
合計で12組だ。ちょうどメイガスリーフ12枚ずつ分けることに成功。
そして、カイトとアインズは本体であるメイガスを倒しに行くことが決定した。
「時間が無い。5分で支度して実行するぞ!!」
皆は急いで準備をしてメイガスリーフに向かうのであった。
そんな5分間の中でちょっとした出来事。
「なあラキュース。お前にもついに春が来たんだな」
「急に何よガガーラン。時間も無いのだから早く準備をしなさい」
ニヤニヤとガガーランはラキュースに話しかける。春が来たとは意味が分からない。
「バルムンクとはどうだ?」
「どうだって言われても……彼はとても強い戦士よ」
「そうじゃねえよ。相性はどうかって聞いてんだ」
本当にガガーランの言っていることが分からないでいた。だから分からすために直球で言う。
「身体の相性だよ」
「……なっ!?」
「どうだ?」
「何をわけの分からないことを言ってんのよ!?」
いきなりの質問に顔を赤くするラキュース。彼女は「本当に何を言い出すのだこの童貞狩り」と強く言い放つ。
なぜ、そのようなことを聞かれた理由を問い質す。
「だってよお、その左手薬指に嵌めている指輪はバルムンクから貰った指輪だろ。それを皆の前で堂々と見せ付けるなんて、そういう関係にしか見えねえよ」
「な、ななな何を!!」
ラキュースからしてみれば左手薬指に指輪を嵌めたのは偶然である。たた単純に指輪を嵌める指が左手薬指しかなかっただけ。深い意味は無いのだ。
「ったく、それにうちのチビさんは『蒼炎』のカイトに惚れてるんだよな。蒼の薔薇に甘酸っぱい春の風が吹き荒れてるぜ」
「ガガーランいい加減に……」
「これじゃあ蒼の薔薇じゃなくて春の薔薇だぜ」
ラキュースはガガーランにお灸を据えようと魔剣を握る。しかし、噂のバルムンクが登場。
「準備できたかラキュース?」
「バ、バルムンク!?」
「お、噂の旦那の登場だな」
ガガーランの腹にボディーブロー。だが、固い腹筋には意味をなさない。
「ラキュースのことを頼むぜバルムンク」
「ああ、分かっている。この『蒼天』のバルムンク。この身に代えても守るさ」
「さすが旦那だぜ。相性は良いんだろうな(身体の)」
相性と聞いてバルムンクは悪魔との戦いを思い出す。確かにラキュースと共闘して悪魔を斬り倒した。その時のコンビネーションは抜群だったのだ。
「そうだな。ラキュースとの相性は良い(コンビネーションの)」
「バ、バルムンクは何を言ってるの!?」
「何って本当のことを言ったんだが」
「ほほぉう……やっぱりか。後でクライムやラナーに言いふらすか!!」
「やめろぉ!?」
メイガスリーフを破壊する準備をしている間で、こんなことがあったのであった。
読んでくれてありがとうございます。
今回からウィルスバグにメイガスまでの脅威がカイトたちに迫ります。さらに双子まで動きますからね。恐らく今までの中で一番の大事件となります。
そしてオマケでバルムンクとラキュースの関係はどうなる(笑)
ガガーラン「相性(身体の)は良いって言うけどどんな感じだった?」
バルムンク「彼女は激しく熱かったな(ラキュースの戦士としての実力が)」
ラキュース「だからバルムンクは何を言っているの!?」